会社の引越しは手続きが多い!会社の引越し手続きをご紹介!

会社の引越しは、家の引越しとは違ってかなり大掛かりです。

引越しに伴う手続もたくさんあります。

登記関係の手続きや税金、労務関係の手続きなど、一朝一夕には終わらせることが不可能なほど、煩雑かつ多数の項目が待ち構えています。

今回はそんな会社の引越しの手続きについて、必要なことを詳しくご説明していきます。

1. 【会社の引越し】関係役所への手続きについて

「会社が引越しをする」と聞くと、あまりピンとこない人も多いでしょう。

ですが、いざ会社が引越しするとなると、かなり大掛かりなことになりますし、決して簡単なことではありません。

会社の引越しが、家の引越しの延長線上にあると思ったら大間違いです。

オフィスというハコの引越し作業や、たくさんの書類関係、そこに加えて関係省庁への届出など、日々たくさんの手続き業務があります。

会社が移転することになったら、社内の移動だけも大変なのですが、役所での手続きがいくつもあります。

会社の引越しに伴う、関係役所への届出を順番にみていきましょう。

1-1. 法務局

会社が移転する時は、移転登記の手続きをすることになります。

届け出期間は、会社の移転後2週間以内で、届け出先は、移転前の管轄法務局になります。

法務局に提出する書類は、株主総会議事録、取締役会議事録で、収入印紙を貼付して提出します。

・会社の本店を移転する場合

会社の本店を移転させる際には、変更に関する登記を法務局で行う必要があります。

移転先の場所によって、手続きの方法や必要書類、登録免許税の額が変わってきます。

・会社の支店を移転する場合

会社の支店を移転する際には、「支店移転登記申請書」が必要位なります。

 

手続内容 窓口 添付書類 提出期限 備考
・本店移転
本店移転登記申請書
移転前の管轄 取締役会議事録
または
株主総会議事録
移転日から
2週間以内
定款の変更
同一・類似商号の調査
商号の仮登記
・支店移転
支店移転登記申請書
取締役会議事録 ・本店所在地
移転日から2週間以内・支店所在地
移転日から3週間以内
まず本店所在地で登記し、その後、支店所在地で登記
同一・類似商号の調査

<旧本店所在地と新本店所在地が同一の法務局の管轄である場合>

同一管轄法務局区内に本店を移す場合は、登録免許税として3万円かかります。

<新本店所在地が旧本店所在地とは別の法務局の管轄である場合>

管轄の法務局が変わる場合は、登録免許税として6万円かかります。

<支店の登記がされている場合>

すでに登記されている支店がある場合には、支店所在地でも本店移転登記が必要になります。

移転日から3週間以内に手続きします。

支店所在地での変更登記の際には、登録免許税として9,000円かかります。

1-2. 税務署

税務署は、会社の利益に関係する「法人税」を管理しているので、会社の住所を変更をした際には報告する必要があります。

法務局で変更登記の手続きが終わったら、次は税務署に「異動届」を提出します。

異動届の他に必要な提出書類は、消費税異動届出、給与支払事務所などの移転届です。

ただし、2017年4月1日以後に移転した場合は、異動前の税務署へ届出書などを提出するだけで、税務署の手続きは完了です。

◆税務署での手続き

届け先 移転前の管轄税務署
届出時期 移転後
提出書類 ・異動届出書 (国税庁のホームページで申請書をダウンロードできます)

・移転登記後の法人登記謄本を添付して提出します

1-3. 都道府県税事務所

会社が移転する際は、税務局への届出と同様、都道府県税事務所にも住所変更の報告手続きをします。

届け先 移転前の管轄都道府県税事務所
届出時期 移転後
提出書類 ・異動届出書 (国税庁のホームページで申請書をダウンロードできます)

1-4. 社会保険事務所(年金事務所)

会社の引越しに伴って、社会保険事務所(年金事務所)での手続きも必要になります。

「法人の設立・設置・変更等に伴う届出(異動届)」を行ないます。

書類の提出方法は、窓口持参の他に電子申請や郵送も可能です。

会社の引越し時に提出する書類は、以下の通りです。
・法人(商業)登記簿謄本のコピー
・個人事業所の場合は所在地変更書類
・事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)
・公共料金の領収書のコピー等などです。

◆社会保険事務所(年金事務所)への届出について

届け先 移転前の社会保険事務所
届出時期 事実発生から5日以内
提出書類 ・事業所所在地変更届

1-5. 公共職業安定所

会社の引越しによってハローワークの管轄が変わる場合は、引越し先を管轄しているハローワークに届け出ます。

順序としては、まず先に労働基準監督署に「労働保険名称・所在地等変更届」を提出し、その後ハローワークで手続きを行います。

会社の引越しで、都道府県をまたいだ移転の場合は、先に労働基準監督署で「労働保険関係成立届」を提出してから、ハローワークへ必要書類を提出します。

届け先 移転前の管轄職業安定所
届出時期 移転後10日以内
提出書類 ・雇用保険事業主事業所各種変更届

(ハローワークのホームページで申請書をダウンロードできます)

・給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書

・登記事項証明書など

1-6. 労務基準監督署

住所を変更した日の翌日から10日以内に労働基準監督署へ住所変更届を提出します。

労働基準監督署へは、郵送でも受け付けてくれますが、用紙が複写式になっているため、先に用紙をもらいに窓口へ出向かなければなりません。

移転によって労働基準監督署の管轄が変わる場合は、引越し先を管轄する労働基準監督署へ提出します。

届け先 移転前の管轄労働基準監督署
届出時期 移転後10日以内
提出書類 ・名称所在地等変更届

・商業登記簿謄本のコピーまたは賃貸契約所のコピー

1-7. 警察署

会社の引越しの時は、車庫に関することも手続きが必要です。

それぞれの車を停める駐車場にも、車庫証明が必要になります。

車庫の場所を管轄する警察へ行って、新たに車庫証明を取ります。

◆車庫証明の取り方

警察署へは、車庫証明に関する申請書一式をもらいに行きます。

車庫証明の使用権限を示す書類、いわゆる保管場所使用承諾証明書が必要になるので、車庫証明の申請書、車庫証明を取ろうとする車庫の配置図・所在図を作成します。

これは、申請までに1週間ほどかかることがあります。

また車も車検証の住所変更が必要になるので、陸運局で住所変更の手続きを行います。

陸運局での住所変更手続きも、住所が変わってから15日以内にしなければなりません。

 

届け先 車庫の場所を管轄する警察署(交番は不可)
届出時期 住所が変わってから15日以内
提出書類 ・車庫証明申請書

・保管場所使用承諾証明書

・自認書

・所在図、配置図

1-8. 消防署

消防署でする手続きは、以下の通りです。

提出先 提出方法 提出書類 提出期限
防火・防災管理者選任(解任)届出書

 

移転先の管轄消防署 正と副の2部を持参 期限の定めはないが、移転先オフィスの管理会社にも提出が必要
防火対象物工事等計画届出書

 

移転先の管轄消防署 防火対象物の概要表、案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図、室内仕上表及び建具表 造作工事開始の7日前
消防計画作成(変更)届出書

 

移転先の管轄消防署 正と副の2部を持参 消防計画書2部 オフィス移転の7日前
防火対象物使用開始届出書

 

移転先の管轄消防署 正と副の2部を持参

 

オフィスレイアウト図2部 オフィス移転の7日前

1-9. 郵便局

会社が移転してから郵便物が新住所にきちんと届くように、郵便局に住所変更の届け出を行ないます。

転居届提出後は、1年間新住所に郵便物が無料で転送されます。

届け先 移転前の管轄郵便局
届出時期 移転前
提出書類 ・郵便物届け出変更届

郵便局の窓口でもインターネットでも、住所の変更届けを提出することが可能です。

窓口に提出する時は、身分証明証や社員証などが必要になります。

2. 【会社の引越し】事務手続き

会社の引越しをするとなると、様々な事務手続きが必要になります。

会社の引越しは、準備しなければいけないことの他に、取引している銀行や、お世話になっている取引先への挨拶状など、やるべきことが色々あります。

2-1. リース契約会社、設備会社へ連絡

会社の引越しの時、コピー機、複合機などのOA機器をリース契約している場合は、引越しが決まったらリース会社へ連絡しましょう。

リース契約している機器を、引越し先のオフィスへ運ぶ場合、会社側が運搬するのか、リース会社で運搬するのかなどの確認もしておきましょう。

什器などをリース契約している場合も同様、リース会社へ連絡して引越しの指示を仰ぎましょう。

またリース契約に際して、変更手続きをする上で必要な指示があるかどうかも確認しましょう。

2-2. 移転の挨拶関係

会社が引越ししたということを、「会社移転のお知らせ」で取引先やお付き合いのある方へ連絡します。

「◯月◯日より、移転後の住所です」という旨をお伝えしましょう。

移転の報告は、挨拶状を出す、メールでの挨拶、どちらでも構いません。

取引先の社風や、社長の人柄などを考慮して、ベストな形で移転報告をしましょう。

だいたい1ヶ月前から取引先にお知らせしていくことが理想です。

2-3. 社内印刷物

社内印刷物である、移転後の住所が載った会社のパンフレットや封筒、名刺などは、移転後からすぐに使えるように準備しておく必要があります。

いつお客様に名刺を渡すタイミングが来るかわからないので、引越し後すぐにでも渡せるように、社内印刷物は早めに準備しておきましょう。

会社のゴム印や社判なども、引越し先ですぐに使えるように準備しておくことが大切です。

2-4. 取引銀行の住所変更

会社の引越しをしたら、取引銀行の口座の住所変更もしなければなりません。

口座の住所変更は、会社の引越し後すぐにしましょう。

 

届け先 取引銀行の窓口
届出時期 移転後すぐに
提出書類 通帳、口座の届出印、移転後の登記事項証明書、社判、窓口に行く人の本人確認資料(運転免許証など)

社員証や名刺もあると良い

◆その他の事務手続き

・クレジットカード関係

法人のクレジットカードを利用している場合、クレジットカード会社で住所変更の手続きをしましょう。

クレジットカード関係の住所変更は、手続完了まで時間がかかることが多いです。

会社の引越しが決まったら早めに連絡して、住所変更に関する必要書類の請求をしておくと良いでしょう。

揃えられる分の添付書類を事前に準備をしておきましょう。

手続き方法は、インターネット、コールセンター、郵送とあり、各カード会社によって異なります。

・電話

会社が引越しする場合、引越し元の電話を撤去して、引越し先では電話架設申し込みをしなければなりません。

NTTの場合、連絡は116番に電話して「会社の引越しをしたい」という旨を伝えましょう。

会社の引越し後、スムーズに電話対応ができるようにするためにも、会社の引越し日が確定したら、速やかに116番に連絡をしておきましょう。

電話移転にあたり、電話番号が変更される場合は、番号変更の案内をしてもらうように申し込んでおくことも忘れないようにしましょう。

・インターネットなどの通信関係

会社の引越しが決まったら、インターネットの契約をしている会社に連絡をしましょう。

引越し日が決まっている場合は、引越し日からインターネットが使えるように、回線を整えておく必要があります。

インターネット関係の工事が必要な場合は、数日かかってしまうこともあるので、余裕を持って手続きをするようにしましょう。

インターネットサーバー会社へも、住所変更の連絡をしておきましょう。

ネット関連は、オンライン上で住所変更の手続きが可能な場合が多いです。

・注文サイトの登録情報の変更

会社の引越しの際は、普段事務用品備品などを定期的に注文しているインターネットサイトの登録情報を変更する必要があります。

住所変更は、オンライン上でも可能です。

うっかり住所変更をしないまま注文してしまうと、旧住所に商品が届いてしまうことがありますので注意しましょう。

・宅急便の送り状などの印刷物

クロネコヤマトや佐川急便など、送り状に会社の名前や住所などを印刷するサービスがあります。

会社の引越しをしたら、旧住所のものは使えなくなります。新たに新住所で印刷してもらって下さい。

3.まとめ

普通の家庭の引越しとは違い、会社の引越しはかなり大掛かりになります。

手続きも、社内の事務手続きで済むものから行政での手続きまで、やらないといけないことが多くてストレスになります。

しかし、新しい事業所への移転は、社長だけでなく多くの社員も期待していることです。

そのためには、スムーズに引越し業務が終わるように心がけなければなりません。

引越しまでに必要な事務手続きを書いたリストを作りながら、やるべきことを1つずつこなしていきましょう。