引っ越しをすると市町村役場で転出・転入の届出をしなければなりません。
バタバタしがちですが、転出届の手続きを忘れてしまうと、住民票が取れないなど転居の手続きがスムーズにできないので、期日にあわせてしっかりやっておきたいものです。
引っ越しに欠かせない、転出届の意味と届出の仕方についてみていきましょう。
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このページでわかること
1. 【引っ越しの際の役所での手続き】転出届
引っ越しのときには住所が変わるので、いろいろな届出や手続きが必要になります。
住民票の住所変更が済んでないと、正式な住所の証明として役に立ちませんから、国民健康保険や勤め先での届出のときにも困ってしまいます。
引っ越しのときには、住所が変わることを関係機関に伝える「転出届」の手続きをする必要があるのです。
1-1. 転出届とは
引越しをして住所が変わることを住んでいた市町村役場に届け出るのが転出届の手続きです。
郵便局に郵便物の転送をお願いする手続きを「転出届の手続き」と呼ぶことがありますが、ここでは市町村役場に行う転出届けについてお伝えします。
同じ市区町村内で引っ越すときには転居届、違う市区町村に引っ越して所轄の自治体がかわるときには「転出届」の手続きをします。
行政サービスや児童手当などの交付金を受けるときに、どの自治体の住民かによって手続きする市町村役場が決まってきます。
(例)
- 中野区内で引っ越した場合には中野区役所に「転居届」を提出、行政サービスの窓口は中野区になります。
- 中野区から新宿区に引っ越すときには、中野区に「転出届」を提出、新宿区に「転入届」を提出、行政サービスの窓口は新宿区に変わります。
引っ越しをして自治体区分が変わった場合、もとの住所がある役場で「転出証明書」をうけ、引越し先の役場に「転入届」に添えて提出します。
この手続をすることで、住民票の住所が変更され、引越し先の行政サービスが受けられるようになるのです。
1-2. 提出時期と方法
転出届の用紙には、引っ越し予定日を記入する欄があります。
この日の2週間前から転出証明書の発行ができ、2週間以内に引越し先の役場で転入届の手続きを行います。
ですから、4月1日が引っ越し予定日であれば、3月18日から転出証明書がうけられ、転出先の役場で転入手続きを行うのは4月1日から4月15日の間ということになります。
土日祝日に重なる場合は自治体によって対応が違うため、直接電話などで確かめておくと良いでしょう。
ただし、転出証明書を発行してもらう手続きは、郵送でも受け付けており、新住所へ返送してもらうことが可能です。
1-3. 必要書類
② 転出届(役場に備え付けてあるのでその場で記入)
② 本人確認書類(自動車運転免許証、マイナンバーカード、官公署発行の写真付き身分証明書、パスポート、外国人登録証明書は1点でOK)
③ シャチハタ以外の印鑑(自署でOKのところも多いです)
④ 1点でOKの本人確認書類がない場合はAから2点、AとBの組み合わせで2点用意
A⇒国民健康保険証、健康保険証、共済組合証、介護保険証、年金手帳、国民年金証書、厚生年金証書、生活保護受給者証、住民基本台帳カード(写真なし)、後期高齢者医療被保険者証
B⇒法人の身分証明書(写真付)、官公署発行の資格証明書(写真付)、学生証(写真付)、預金通帳 、キャッシュカード、クレジットカード、診察券、シルバーパス、公共料金領収書(3ヶ月以内)、官公署からの通知書(住所、氏名の記載あるもの)
1-4. 市区町村役場へ出向くのが難しい場合
『委任状を持った代理人』
本人または世帯主が届け出るのが基本ですが、委任状を持っていれば他の人でも手続きが可能です。
- 転勤で家族ごと転出する場合⇒夫が世帯主でも代表者として妻が届け出るのはOK
- 子供の独立⇒世帯主の夫が届け出るのはOK
- 友人が代理で⇒委任状、本人確認書類がそろっていればOK
各自治体のホームページで委任状のダウンロード、案内がされていることもあります。
自治体によって細かい部分に違いがある場合もありますから、委任状を託して手続きする場合は役場に確認してみましょう。
『郵送手続き』
以下の書類を引っ越し前の役場の住民課に郵便で送り、転出証明書を新住所に送り返してもらうことが可能です。
- 転出届出書(ホームページからダウンロード、または手持ちの便箋やコピー用紙に転出元住所、転出者氏名と認印、生年月日、連絡先を記載)
- 返送用封筒(切手を貼り、宛先を記入)
- 身分証明書のコピー
- 印鑑登録証(印鑑登録している場合)
2.【引っ越しの際の役所での手続き】転入届
住んでいた役場で転出証明書を受けたら、転出証明書を添えて新住所の役場で転入届の手続きを行います。
手続きすると、新住所の自治体が行政サービスを受けるときの窓口になります。
2-1. 転入届とは
引っ越しで住所が変わると、行政サービスを受けるときの手続き先が変わります。
新宿区から中野区に引っ越した場合や、横浜市から川崎市に引っ越した場合、都内から神奈川県に引っ越した場合など、自治体が変更になる引っ越しで必要な手続きです。
① もとの役場で転出届けを提出して「転出証明書」をもらう
② 引越し先の役場に「転入届」とともに提出する
「転入届」の用紙は役場に備え付けてありますから、必要な書類や印鑑を持って役場にいって記入し、「転出証明書」と一緒に提出します。
手続きが済むと、新住所の住民票を取ることができます。
運転免許証、職場での住所変更などで、新住所の届出手続きに住民票が必要なものがありますから、転入届のついでに必要数を発行してもらうと良いでしょう。
2-2. 提出時期と方法
引っ越した日から2週間以内に届け出る決まりになっています。
4月1日が引っ越した日なら、4月15日までに引越し先の役場で手続きをしましょう。
転出証明書の引っ越し予定日が、実際の引越し日からずれてしまった場合には、転入手続きの時に申し出て修正することが可能です。
職場によっては赴任旅費や手当の手続きの関係で、住民票の異動日が指定されることがあり、引っ越しの日を合わせたほうが良いか確認したほうが良いケースがあるかもしれません。
ただし、事実にそって届出をすることが原則で、正当な理由がなく届出をしない場合、5万円以下の過料に処されることがあります。
2-3. 必要書類
① 転出証明書
② 転入届
③ シャチハタ以外の印鑑(自署でOKのところも多いです)
④ 本人確認の書類(自動車運転免許証、マイナンバーカード、官公署発行の写真付き身分証明書、パスポート、外国人登録証明書などは1点でOK)
⑤ その他
1点でOKの本人確認書類がない場合はAから2点、AとBの組み合わせで2点用意
A⇒国民健康保険証、健康保険証、共済組合証、介護保険証、年金手帳、国民年金証書、厚生年金証書、生活保護受給者証、住民基本台帳カード(写真なし)、後期高齢者医療被保険者証
B⇒法人の身分証明書(写真付)、官公署発行の資格証明書(写真付)、学生証(写真付)、預金通帳 、キャッシュカード、クレジットカード、診察券、シルバーパス、公共料金領収書(3ヶ月以内)、官公署からの通知書(住所、氏名の記載あるもの)
また、印鑑登録が必要なら登録したい印鑑、児童手当の移行手続きに国民健康保険証や印鑑・通帳が必要です。
転入手続きと同時に行える手続きに必要になるものを持参すると、役場に行ってまとめて済ませることができます。
3. 住民基本台帳カード・マイナンバーカードが交付されている場合の手続きについて
住民基本台帳カードやマイナンバーカードの交付を受けている場合には、紙の転出証明書の発行を受けなくても転入手続きができます。
3-1. 手続きの流れ(東京都北区の例)
自治体によって細かい部分が違うこともありますが、東京都北区の例をみてみましょう。
『転出のとき:以下のものを持参して窓口に行く(郵送も可)』
- 住民基本台帳カードまたはマイナンバーカード
- 本人確認書類(自動車運転免許証や保険証など)
- 印鑑
- 国民健康保険証
- 備え付け用紙「住民異動届出書」の転出にチェックをいれ「転出届」とする
『転入の手続き:以下のものを持参して窓口に行く』
- 住民基本台帳カードまたはマイナンバーカード
- 本人確認書類(自動車運転免許証や保険証など)
- 印鑑
- 備え付け用紙「住民異動届出書」の転入にチェックをいれ「転入届」とする
3-2. カードを持っている場合の手続きの特徴
『転出証明書なしで転入手続きできる』
転出証明書の発行をせずに、カードと暗証番号で転入の手続きができます。
郵送で転出の手続きをした場合、カードなしの場合は転出証明書の返送を待たなければなりませんが、受理されたタイミングで引越し先の自治体役場での手続きが可能になります。
『別世帯の人が手続きするには委任状が必要』
カードと暗証番号で手続きをしますが、窓口で本人や同一世帯の人が届出人だと確認をします。
別世帯の友人や知人が手続きをしたい場合には、委任状と本人確認書類が必要になります。
『コンビニ対応自治体ではカードで住民票発行』
カードを持っていると、住民票や印鑑証明がセブンイレブン、ローソン、ファミマなどのコンビニのマルチコピー機で発行できます。
窓口発行より手数料がやすくなります。
4. こんな時どうする?
引越し手続きの時には、いろいろなアクシデントにみまわれることがありますし、予定通りにできない場合があります。
転出届けにまつわる困りごとや心配ごとの解決策をみていきましょう。
4-1. 転出届けを引越し前にできなかったら
- 引越し後の2週間以内に転出届、転入届の手続きを行えば良い
- 忘れて期日を過ぎてしまっても気づいたらすぐに届け出たほうが良い
転出届は必ず引っ越し前に行わなければならないという決まりはありません。
引っ越し予定日の前後2週間で行うのが原則です。
引越しがおわった後にもとの住んでいた役場に転出届けを出し、転出証明書を受け取ったら新住所の役場に転入届けを出しましょう。
引越し後に前の住所の役場に直接行くことが難しければ、郵便での手続きが可能ですが、転出証明書が送られてくるまでに1週間ほどかかります。
転出証明書が送られてきたらすぐに手続きをしましょう。
届出そのものを忘れて時間が経ってしまった場合でも、事情を説明して対処してもらえる場合があります。
むしろ日付をごまかすなど、悪質と判断されて過料に処されるかもしれませんし、届出を怠ったために納税に混乱がおこり、もとの住所がある自治体と引越し先の自治体の2箇所から納税通知がきてしまう事態になるかもしれません。
4-2. 転出届で後に引越しが中止になった場合
- 転出もとの役場に引っ越しが中止になったことを届け出れば良い
- 「転出届の抹消手続き」といいます
転出届をしたあとに引っ越しが中止になったら、「転出届の抹消手続き」をおこなって、引っ越し前の登録状態にしてもらいましょう。
そのままにしておくと、住所不定者となり、住民票をとるこができなくなってしまいます。
もちろん、いろいろな行政サービスを受けられないので、児童手当や子供の医療費補助がもらえなくなります。
国民健康保険に加入している人は自治体単位での加入になりますから、健康保険が使えなくなります。
5. 転出届と同時に終わらせたい手続き
役場での転出届の手続きでは、「転出証明書」を発行するのが目的になります。
引越し先での転入手続きの拠所となる証明書で、前に住んでいた自治体から引っ越してきたことが公的に証明され、転入手続きを行うことができるのです。
役場窓口に直接行く場合も多いので、役場で一緒に済ませるべき手続きがあったら済ませて置きたいですし、役場以外でも引っ越しのタイミングで終わらせて置きたい手続きについてみていきましょう。
5-1. 役場内で一緒に済ませたい手続き
・健康保険などの手続き
『国民健康保険の資格喪失手続き』
国民健康保険は自治体単位での加入手続きになっています。
会社員で厚生年金に加入している、共済組合に加入している場合は、職場を通じて住所変更等を行うことになります。
国民健康保険や高齢者医療制度に加入している場合には、転出届で役場に行った時に、担当窓口で済ませるとラクです。
『介護認定を受けている家族がいる』
介護認定を受けている家族がいる場合、介護保険担当部署で「受給資格証明書」をもらい、転入先でスムーズにサービスが受けられるようにしましょう。
・お子さんがいる家庭では…
『転校の手続き』
小学校・中学校のお子さんがいる家庭で引っ越しが決まったら、学校に連絡し、通学している学校で在学証明書と教科書給付証明書を発行してもらいます。
自治体が変わる転出・転入の必要な引っ越しでは、転出届の手続きで、「転出学通知書」の発行を受けます。
引越し先の役場に転入届けを出して、新しい住所の住民票が取れるようになったら、その住民票と「転出額通知書」を役場に出して「転入学通知書」を発行してもらいます。
転校先の学校に「転入学通知書」、元の学校で発行してもらった「在学証明書と教科書給付証明書」を提出します。
『幼稚園や保育園の申込みは?』
引越し後スムーズに幼稚園や保育園に通わせたいとおもう方は多いのではないでしょうか。
定員に空きがあれば、入園が可能です。
エリアによっては定員空き待ちの状態が続いていることもあり、住民票を移してから申し込みが可能になるというケースも少なくありません。
引っ越しが決まったら、希望の園さがし、空き状況の情報を集めて転園・入園の手続きをすることになるでしょう。
保育園の場合には、就業証明書や収入状況の証明書が必要になります。
空きの少ないエリアに引っ越す場合には、無認可保育所やシッターさんなどでつなぐことも想定しておきましょう。
『児童手当の手続き』
転出届が必要な、市区町村をまたぐような引っ越しでは、児童手当の手続きが必要です。
転出証明書を受ける手続きをしに役場に行くときに、「児童手当受給事由消滅届」を提出します。
このとき住民税課税証明書など、所得の証明になる書類をとっておきます。
引越し先の役場で、手続きをする時に必要なのは…
- 健康保険証
- キャッシュカードや金融機関通帳
- 住民税の課税証明書
- マイナンバー
- 印鑑
…を準備して、引越し先の役場に「児童手当認定請求書」を出します。
『住民税課税証明書の取得』
保育園の利用料金など、収入に応じてレベル分けされている制度を利用する時に、住民税課税証明書が必要になることがあります。
引っ越してすぐに必要になることがわかっているのなら、転出届けの手続きで役場を訪れた時にとっておくと良いでしょう。
住民税は前年の1月から12月の収入をもとに課税されるので、引っ越したあと年度替わりまでは前の居住地が発行する課税証明書が必要です。
就学援助の補助金を受ける、ローン申し込みなど所得についての証明書が必要になる場合にはとっておくと良いでしょう。
5-2. ほかにも終わらせたいこんな手続き
『郵便局への転出届け』
郵便局に郵便物の転送をお願いする手続きは、役場や住民票の異動と関係ありません。
郵便局に備え付けのはがきを利用するか、公式サイトから転居届のページに新住所を入力して登録します。
『電気・ガス・水道などの引越し手続き』
住宅に紐付いている料金事業者に電話連絡して、使用期日を伝えます。
インターネットでの手続きが可能な場合もあります。
コンロや湯沸かし器など、ガス機器の取り外しが必要な場合には、ガス会社と相談して元栓のチェックと合わせて引越し当日に取り外しをしてもらえるようにしておきましょう。
『固定電話の引っ越し連絡』
固定電話を利用しているなら、引っ越しのタイミングを回線業者に伝えておきましょう。
配線の引き込みが必要なく、壁の接続コンセントに機器をつなぐだけに見える場合でも、『開通工事』として扱われ日程の調整が必要なケースがあります。
『インターネット回線の廃止・申し込み』
ネット回線もそのまま引越し先で継続利用になるのか、廃止手続きが必要なのか判断し、申込みをしておく必要があります。
光回線の個人契約を継続する場合でも、工事日の関係ですぐにできないことも多いですから、引越し先の住所がはっきりしたら、早めに連絡をとっておきましょう。
『引越し業者の手配』
引越し業者の手配、予約が終わっていれば、転出届けの引っ越し予定日もはっきりしたものになります。
転出届を出す日までに予約が完了していれば、いろいろな計画が立てやすくなります。
『ピアノ、エアコンなど特殊な荷物の運び出し手配』
引越し業者に丸投げでは運び出せない荷物がある場合には、個別に業者の手配が必要になります。
希望の日に一度に済むようタイミングをはかりたいので、引っ越しが決まったら早めに連絡をとって置きたいものです。
5-3. その他の覚えておきたいこと
『住民票をとったら自動車運転免許証の住所変更をする』
いろいろな場面で本人確認書類として活躍するので、新しい住所の住民票が発行できるようになったら、運転免許証の住所変更もすぐにしておきましょう。
所轄の運転免許試験場、運転免許更新センター、警察署で手続きができます。
『金融機関・クレジットカードなどの住所変更』
ネットから手続きができる場合もありますが、書類を請求して住民票をつけて返送する手続きになるケースもあります。
手続きをしておかないと、カード切替時に旧住所に配送されてしまいます。
『選挙権はどうなる?』
住民票を移してから3ヶ月経つと新住所での投票ができるようになります。
それまでは、古い住所で4ヶ月間選挙人名簿に名前残り、旧住所での投票が可能なケースもあります。
投票場にいけない場合には、不在者投票で投票することができます。
地方選挙の場合、県外に転出した場合には投票できませんが、県内市区町村であれば投票可能です。
6. まとめ
- 市区町村をまたいだ引っ越しでは市区町村役場に転出届が必要
- 転出届けは新しい住民票の取得や行政サービスを受けるためにも必須の手続き
- 届出の期間は引っ越し予定日の前後2週間で転出・転入の届けを行う
引っ越しは、不動産屋との契約手続き、引越し業者の手配、学校や子供に関する手続きなど、決まった期間で済ませなければならないことが多くバタバタしがちです。
役場での転出届が、行政サービスの切り替え手続きと結びついているものは多いですし、いざという時に住民票が取れないなんて言うことがないように、引っ越し前にすませておきたいですね。




