マンションを選ぶとき、何を基準にしていますか?
家賃や物件の価格はもちろん、立地や間取り、築年数、耐震やマンションの管理体制などなど、チェックしておきたいポイントは山ほどあります。
数々のチェックポイントに加えて、忘れてはいけないのが「駐車場の有無」です。
これまで、マンションの敷地内の駐車場でなく、外部の駐車場を借りていた方もいらっしゃるかもしれません。
それほど車を利用する機会のない方であれば、なんとか不便なく過ごせていたかもしれませんが、駐車場までの移動の時間がもったいないと感じたことはないでしょうか。
とくに、車で通勤されている方は、マンション敷地内に駐車場があれば朝の忙しい時間をもう少しゆったりと過ごすことができます。
また、ご家族で住まわれている方は、小さな子どもの面倒を見ながら荷物を抱えて駐車場まで行き来するのは労力がかかりますし、安全面を考えても敷地内に駐車場があるのは非常にありがたいですよね。
しかし、残念ながら、さまざまな事情が相まって、マンション敷地内の駐車場の数は減少しています。
それにもかかわらず、敷地内の駐車場はやはり人気で、「駐車場はあっても空きがない…」といった現象もよく起こってしまいます。
こういった場合、どのように対処すればよいでしょうか。
この記事では、駐車場付きマンションの空きがない場合や、駐車場がない場合の対処法をご紹介します。
加えて、さまざまある駐車場の種類や利用する際に注意しておきたいポイントについても詳しくお伝えしますので、ぜひ、マンション選び・駐車場選びにお役立てください。
このページでわかること
1. 駐車場付きのマンションー設置率・敷地面積はどれくらい?
マンションの部屋の数分だけきちんと駐車場があれば問題はないのですが、実は、マンションなどでは「必ず駐車場を設置しなくてはいけない」という決まりはありません。
そのため、住める部屋はあっても駐車場があるわけではありませんし、「部屋数=駐車場の数」とは限りません。
したがって、駐車場付きのマンションに住んだからといって、必ず自分用の駐車場があるとは限らないのです。
近年は、マンションなどの集合住宅は数多く建設されていますが、駐車場の数は減少傾向にあります。
これは、交通機関の発達と維持費・駐車場代などのコスト面から車離れが進んでいることが考えられます。
また、一戸建てから利便性の高いマンションへ引っ越す際に車を手放すといった高齢の方も増えています。
せっかく駐車場を設置しても埋まらなければ利益にはなりませんし、マンション側にとっては無駄なコストを支払うことになります。
土地にも限りがありますので、都心のマンションなどではどうしても駐車場少なくなってしまうのです。
(参考URL:東洋経済オンライン「10年で半減!マンション駐車場が激減のワケ 東京23区で大きな異変」)
1-1. 設置率
設置率とは、戸数や床面積に対して何台の車が停められるかの比率です。
たとえば、100戸あるマンションで100台分の駐車スペースがあれば設置率は100%、50台分であれば50%ということになります。
お伝えしたように、マンションには必ず駐車場をつけなくてはいけないという法律はありませんが、ほとんどの場合は各自治体の条例において、マンションなどの集合住宅や商業施設での駐車場の設置率を定めています。
東京23区と大阪市の設置率を例に挙げてみましょう。
東京都23区の場合、駐車場の設置率は「商業地域に建設されている一定規模以上のマンションは、基準床面積350平方メートルあたり1台分」とされています。
23区外や、マンション以外の商業施設などのそれぞれの基準が定められています。

(参考URL:東京都都市整備局「駐車施設の附置義務」より引用)
大阪市の場合は、「商業地域に建設されている70戸以上のマンションであり、なおかつ1戸あたり35平方メートル以上の専有面積のあるマンションは、40%以上の設置率でなければいけない」など、建設されている地域や戸数に応じて規定されています。
<大阪市の駐車場設置率>
| マンションなどの全住戸数 | 一戸当たりの専有面積
35平方メートル以下 |
一戸当たりの専有面積
35平方メートル以上 |
|
| 30戸以上 | 商業系地域 | 10% | 30% |
| その他地域 | 35% | ||
| 70戸以上 | 商業系地域 | 10% | 40% |
| その他地域 | 50% | ||
(参考URL:大阪市「共同住宅における駐車施設の設置」から作成)
このように、各自治体では駐車場の設置率を定めており、この基準を満たす分の駐車場が設置されています。
都心に近づけば近づくほど設置率は低く、郊外へ行くほど自治体が定める設置基準が厳しくなり、設置率が高い傾向にあると言われています。
1-2. 敷地面積
敷地面積とは、建物が立っている土地の面積のことを言います。
先に挙げた例では、大阪市の駐車場設置率は「一戸当たりの専有面積」が基準となり、戸数に応じて定められています。
専有面積とは、部屋ごとに所有権が認められている部分の面積で、バルコニーや玄関ポートなどはこれには含まれません。
また、共用部分も専有面積には入りません。
一方、23区の場合は、「床面積」が基準となって駐車場の設置率が定められています。
床面積とは、「建築物の各階またはその一部の、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」のこと。(参照:SUUMO「住宅用語大辞典」「基準・制限に関する用語一覧」「床面積」)
細かい違いを抜きにすれば、「床面積」と「敷地面積」はほぼ同義と捉えて間違いないでしょう。
この床面積には、バルコニーやマンションの廊下など共用部分も含まれていますが、駐車場の面積は含まれていません。
つまり、23区の場合、“敷地面積×3/4が1500平方メートルを超えるマンションは、350平方メートルにつき1台分の駐車場が必要”ということになります。
(参考URL:東京都都市整備局「対象となる床面積は」)
2. マンションに駐車場がないの場合の対策2つ
これまでご説明した通り、都心に近づくほど駐車場の設置率は低く、“駐車場付きマンション”であっても空きがない場合も多いです。
設置率が低く、戸数よりも駐車場が少ないマンションの場合、抽選によって利用者を決定するのが一般的です。
新築の場合は購入時、それ以外は契約更新時など数年に一度抽選を行います。
しかし、購入や入居の時期がズレると、すでに抽選会が終わっており無条件に駐車場利用ができないというケースもあります。
駐車場の抽選に落ちてしまった、あるいは駐車場のないマンションの場合、どのように対処すればよいでしょうか。
2-1. マンションの駐車場の空きを待つ
“空き待ち”の申し込みをして、マンション駐車場が空くのをひたすら待つ”というのが1つ目の対策です。
ただし、なかなか転居する人がおらず駐車場も空かない場合も多く、同じく空き待ちをしている他の入居者が大勢いることも考えられますので、すぐに駐車場を利用できるとは限りません。
いつ空きが出るかわからないので、それまでは外部の駐車場を契約して利用することとなります。
2-2. マンション外部の駐車場を探す
空き待ちをせず、最初から外部の駐車場を探すのも一つの方法と言えます。
マンション敷地内の駐車場であっても設置率の低いマンションの場合、使用料が高いことも多いです。
比較すると、外部の月極駐車場を契約しても金額的に変わりないこともあります。
車を利用するときには契約駐車場まで歩かなければいけませんが、いつ空くかわからない駐車場を待ち続けるより気が楽だという方は、いっそのこと外部駐車場で手を打つのが良いかもしれません。
注意しておくべきは、駐車場であっても住居と同じように保証人や審査が必要な場合があるということです。
また、敷金や保証料、不動産仲介会社などへの手数料が必要であるなど、初期費用がかかってしまうというデメリットがあります。
(参考URL: LIFULL HOME’S https://www.homes.co.jp/cont/buy_mansion/buy_mansion_00217/)
3. マンション駐車場を利用する場合に気をつけること
マンション駐車場には「平置き駐車場」、「自走式立体駐車場」、「機械式駐車場」の3つの種類があります。
平置き駐車場は、地面にそれぞれ駐車スペースがあり、車を並べて停める一般的なもの。
自走式立体駐車場は、建物や鉄骨が組まれた駐車場で、自分で運転してスロープを上がっていく、ショッピングモールなどによくみられる駐車場です。
機械式駐車場は、機械で車を出し入れできる立体型の駐車場で、地下のスペースや二階建て三階建ての構造になっています。
パレットに車を載せて移動させることで、少ないスペースによりたくさんの車を駐車することができる仕組みです。
都心部では、土地が少ないため機械式駐車場が増えています。
しかし、機械式駐車場は他の2種類に比べて維持費が高く、駐車場代も高額になることが多いです。
また、操作やパレットの移動に時間がかかるため、スムーズに入出庫できないといったデメリットもあります。
加えて、子どものいるご家族の場合は特に注意が必要です。
大きな機械が自動で車を動かすので、子どもにとっては好奇心をくすぐられる場所ですが、過去には死亡事故も発生したことのある非常に危険な場所でもあります。
地下のスペースに車を移動させるタイプの機械式駐車場では、一見すると地上に車が停まっているだけに見えてしまいます。
しかし、パレットの昇降中などは転落や挟まってしまう可能性もありますので、絶対に子どもだけで遊ばせないように注意しておきましょう。
当然、センサーなど事故を防ぐ対策もされているのですが、機械式駐車場には思いもよらない危険性があるということをきちんと理解しておく必要があります。
4. まとめ
普段から車を利用している方はもちろん、今後家族が増える予定のある方も、マンションを選ぶときには駐車場が点いているかどうかをチェックしておくことをおすすめします。
と言っても、都心に近づくにつれて駐車場の設置率は低くなり、マンションの戸数よりも遥かに少ない台数分の駐車場しかない場合も多いです。
この場合、申し込みをして敷地内駐車場が空くのを待つか、あるいは外部駐車場を契約して利用するかの二択しかありません。
外部駐車場は契約の際に、敷金や保証金といった初期費用がかかってしまうだけでなく、保証人が必要であったり、審査に通る必要があったりと、契約を結ぶにも時間とお金、労力がかかってしまいます。
家から駐車場への行き来にも余分な時間がかかってしまいますので、できることなら、初めから駐車場付きのマンションを選ぶのが良いでしょう。
また、近年では、機械式駐車場の数が増えてきています。
その都度機械の操作が必要で入出庫に多少時間がかかってしまいますが、少ないスペースで多くの車を停めることができるので、機械式のマンション駐車場もよく見受けられます。
機械式駐車場であれば、敷地内の駐車場を利用できる可能性は高くなりますが、大きな機械が動く場所で子どもにとっては非常に危険も伴います。
これからマンションを選ぶ方は、駐車場の有無だけでなく、ご自身やご家族の安全面も考慮して駐車場のタイプにも注目してみてくださいね。




