
通勤など、日常的に車を利用している方にとって、マンション購入の際には「駐車場」が非常に大きなウエイトを占める条件になってくるかと思います。
駐車場のあるマンションであれば、購入すればそのまま駐車場も自由に使えると思ってしまいますが、実はそうではありません。
マンションと駐車場とは契約の形が違っていて、マンションを購入したからと言って無条件に駐車場が付いてくるというわけではないのです。
記事内で詳しくご説明していきますが、駐車場の契約は大きく分けて「賃貸方式」と「分譲方式」の2つになります。
簡単に言うと、駐車場を“借りている”のか“買っている”のか、という違いです。
長く、同じマンションに住み続けるのであれば、物件と同じように“購入”してローンを返済していく方が、長期的にはオトクなような気がしますが、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事では、駐車場の権利、「賃貸方式」「分譲方式」について詳しく解説するとともに、マンション駐車場選びのポイントを6つご紹介します。
これからマンション購入をお考えの方で、日常的に車を利用している方は、ぜひ、ご一読ください。
このページでわかること
1. マンションの駐車場権利はどうなっているの?
冒頭でもお伝えした通り、駐車場の契約には、「賃貸方式」と「分譲方式」の2つの方式があります。
現在では、マンションの駐車場設置率が100%を下回ることが多いことや車を所有している方が少なくなっていることもあり、賃貸方式のマンションがほとんどです。
しかし、稀ではありますが、もちろん分譲方式のマンションも存在します。
ここでは、「賃貸方式」、「分譲方式」それぞれの特徴と、メリット・デメリットについてお伝えしていきます。
(参考URL:アルファジャーナルhttps://journal.anabuki-style.com/mansion-parkiglot)
2-1. 賃貸方式
多くのマンション駐車場は「賃貸方式」となっています。
マンションを購入しても、毎月、決められた額の使用料を払って駐車場を利用する形式です。
賃貸方式が主流となっている理由は、上述の駐車場設置率や車の利用者の減少が大きいです。
賃貸方式のポイントは、駐車場がマンション共用部であるという点。
マンションの敷地内には、「専有部分」と「共用部分」があります。
「専有部分」とは、特定の人のみが利用できるエリアです。
マンション入居者とその家族(あるいは同居人)のみが自由に利用でき、他の人はマンション入居者であってもその部分を利用することはできません。
簡単に言うと、マンションの部屋一室などが「専有部分」です。
契約・購入している人や家族のみが入れて、他の人が勝手に入ってくることはありませんよね。
これに対して、廊下や階段、エントランスやエレベーターなど、マンション入居者であれば誰でも利用可能な部分を「共用部分」と言います。
共用部分は、マンションの管理組合が管理し、入居者から管理費や修繕積立金などを徴収して維持や補修をしています。
誤解されやすいのですが、バルコニーなども共用部分です。(参考URL:オウチーノhttps://o-uccino.com/front/articles/48801)
バルコニーは、基本的にはその部屋の入居者のみしか入れない場所で、一見すると「専有部分」に見えるのですが、災害の際の避難経路になるなどの制限があって、実は「共用部分」なんですね。
そして、駐車場も同じく、マンションの「共用部分」。
ですから、各部屋の所有者ではなく、管理組合が管理、運用していることがほとんどで、自分で補修・修繕をする必要がないのがメリットとなります。
その代わり、駐車場を利用するときには、管理組合へ毎月駐車場使用料を納める必要があります。
また、自分しか利用していない駐車スペースであっても、権利は管理組合にありますから使用の仕方に多少の制限があります。
「自転車やバイク、あるいは荷物など、車以外のものを置いてはいけない」など、規則によって駐車場利用のルールが定められており、それに従って使用しなければいけません。
簡単にまとめますと、自分で管理する必要がない代わりに、各種の制限があるのが共有部分で、賃貸方式の駐車場には、このようなメリットとデメリットがあるのですね。
(参照:Parkle http://parkle.jp/archives/196#i-2)
(参照:アルファジャーナル https://journal.anabuki-style.com/mansion-parkiglot)
(参照:大京穴吹不動産 https://www.daikyo-anabuki.co.jp/sumai/detail/1011)
2-2. 分譲方式
一方、賃貸方式に対して、駐車場の権利ごと購入するのが「分譲方式」です。
月々の駐車場使用料を払う必要がないため、長期的にみると安く済ませられるように思いますが、駐車場の購入金額に加えて、登記費用や固定資産税がかかります。
そのため、トータルで考えると結局のところ得にはならなかったというケースもないとは言い切れません。
また、分譲方式の駐車場では、厳密に言うと「所有権分譲型」と「専用使用権分譲型」の2種類があります。
「所有権分譲型」は、土地ごと駐車場を買い取る形であるため、購入後の駐車場使用の自由度は非常に高くなります。
その一方で、管理や修繕なども自分自身で行う必要があります。
「専用使用権分譲型」は、駐車場の土地はマンション・駐車場管理者のものですが、その区分を専用で使用できる権利を購入するという形です。
駐車場がマンションの共有部分扱いとなりますので、管理費や修繕積立金が必要となりますし、他の入居者よりも共用部分を多く利用することになりますので、管理費や修繕積立金の金額が高くなる場合もあると言われています。
所有権分譲型よりは使用の自由度は下がりますが、管理費・修繕積立金を支払う分、自分ですべてメンテナンスしなければいけないということはありません。「賃貸方式」に近い形なんですね。
「賃貸方式」同様、固定資産税などの支払い義務はありませんが、権利の内容に曖昧な部分が多く、それぞれで管理規約を設けているため、トラブルが起こりやすいといった一面もあります。
(参照:川原一守事務所 https://www.kawahara-mankan.com/knowledge/share/parking/)
2. マンションの駐車場選びのポイント6つ
マンション駐車場には、「平置き駐車場」「自走式駐車場」「機械式駐車場」の3つの種類があります。
それぞれ、特徴があり置ける車種なども変わってきますので、マンションを選ぶ歳には駐車場もきちんとチェックしておくようにしましょう。
平置き駐車場は地下や地上に車の並ぶ一般的な駐車場。
自走式駐車場は階層があり、自分の駐車スペースまで車を運転していく駐車場。
機械式駐車場は、機械を使って車を移動させ、地下や2階、3階のスペースに車を保管できる駐車場です。
2-1. 車の出し入れの利便性
普段からよく車を利用する方で、利便性を重視したい方は、平置き駐車場がもっともおすすめです。
平置き駐車場は、道路からすぐに入れる場所にあることも多く、スムーズに車を出し入れすることができます。
自走式駐車場も、機械式駐車場に比べればスムーズですが、駐車位置によって出し入れしにくい箇所もあります。
2-2. セキュリティ面
マンション敷地内にある駐車場であれば、比較的部外者が立ち入ることも少ないですが、入ろうと思えば、入れてしまいます。
機械式駐車場であれば、操作できるのは管理者と利用者のみですのでセキュリティ面ではもっとも安全です。
自走式駐車場は、場所によっては死角ができることもあるため、やや不安が残ります。
2-3. 費用面
都心に近づくにつれ、土地代が高くなりますので、平置き駐車場だと購入金額や固定資産税が高くつくことになります。
機械式駐車場は、小さなスペースで車を保管できるため、金額的には安くなることが多いです。
しかし、機械のメンテナンスや維持に費用がかかるため、管理費や修繕積立金が他の2つよりも高くなることがあります。
2-4. 子どもの安全性
小さなお子さんがいる場合、機械式駐車場は危険を伴います。
車を載せるパレットに挟まるなど、平置き・自走式駐車場では起こり得ない事故につながる可能性もありますので、注意が必要です。
2-5. 車種の自由度
機械式駐車場の場合、パレットに収まる車でなければ利用できませんので、車高や重量などに制限があり、車種の自由度が低くなります。
また、自走式駐車場でも、地上高の低すぎる車はスロープでこすってしまう可能性もあります。
2-6. 天候や気温の影響
屋根のない平置き駐車場の場合、直接、天候や気温の影響を受けることになります。
機械式駐車場は、タワー型や地下に保管するタイプが多く、天候や気温の影響は受けにくいと言えます。
また、自走式駐車場も、屋上階以外であれば雨ざらしになることはありません。
3. 分譲で買った駐車場は売れるの?
所有権分譲型の駐車場であれば、不動産であるため物件と同じように売ることができます。
ただし、マンションの部屋と別々に売買を行うと、マンション入居者以外の人が敷地内の駐車場を利用できてしまうといったトラブルも考えられますので、「マンションの部屋と駐車場はセットで売買しなくてはいけない」など、条件が契約書に記載されていますので、よく確認しておきましょう。
ちなみに、マンションを売る際、駐車場の所有権もついていれば、所有権のない物件と比べて査定額も上がります。
また、駐車場を外部の人に貸したい場合も契約書の確認が必要です。
所有権を持っている場合、他の人に貸し出す権利もあるにはありますが、敷地内であれば部外者の立ち入りなどセキュリティ面もありますので、契約書で禁止されていることも多いです。
分譲方式の駐車場で、専用使用権のみを購入している場合は、駐車場を売ることはできません。
専用使用権は、その区画の駐車場の“使用”の権利であって、所有権は管理組合にあります。
そのため、専用使用権のみを他人に売ったり譲渡したりすることはできないのです。
マンションを売るときには、専有使用権は失効し、管理組合に権利が移ります。
したがって、専用使用権のみの場合、“次の入居者に駐車場ごと譲る”ことはできません。
(参考URL:合人社計画研究所https://www.gojin.co.jp/faq/08/faq_08_02.htm)
(フクマネ不動産:https://fukumane.jp/apartment-purchase-parking-lot/)
4. まとめ
マンション駐車場の契約の種類と、駐車場選びのポイントをお伝えしました。
現在では、ほとんどのマンション駐車場が賃貸方式の形をとっていますが、分譲方式で購入できる駐車場も少ないながら存在しています。
賃貸方式よりも駐車場利用の自由度が高く、駐車場使用料の支払いも必要ありませんので、「できれば分譲方式の駐車場を」と考える方も多いでしょう。
しかし、分譲方式の駐車場のうち、所有権分譲型の駐車場では、購入金額に加えて固定資産税などが必要であるほか、自分自身で駐車場の管理や修繕をしなければならないため、必ずしも得になるというわけではありません。
一方、分譲方式の専用使用権分譲型は、管理や修繕は管理組合が行ってくれますが、その代わりに管理費と修繕積立金を納める必要があります。
また、権利の内容が不明瞭な部分もあるため、契約内容をよくチェックしておかなければいけません。
マンション売却の際には、専用使用権のみだと査定額への影響はありませんし、所有権のある駐車場であっても、駐車場のみを売りに出すことはできない場合も多いです。
それぞれのマンションでルールや契約内容は異なりますので、やはり契約内容の確認は怠らないようにしましょう。
契約内容や賃貸・分譲の方式、そして、駐車場のタイプすべてを考慮に入れて、ご自身に適している駐車場を選んでくださいね。




