都心部では2階建ての住宅も根強い人気がありますが、最近は平屋住宅も注目を集めています。
ゆったり暮らせるイメージがある平屋住宅は、建築家の中でもそのデザインにこだわりを持つ人が増えてきて、新興住宅地にもこのタイプの家が目立つようになってきました。
注文住宅で平屋2LDKを建てる場合に必要となる予算、土地の広さなど色々な方面からご紹介いたします。
このページでわかること
1.2LDK新築平屋の建築費用
住宅を建てる場合、建築費用はハウスメーカーや工務店によって変化します。
延べ床面積や計算方式によっても変わってきますし、各ハウスメーカーの提案する間取り、設備によっても変わってきます。
また、平屋なのか、二階建てなのかでも建築費用が変わってきます。
全国的な平均を見てみると、新築平屋2LDKで1,500~2,000万円くらいが相場と言えます。
気になっているハウスメーカーや住宅会社で見積もりを取り、各社で比較してみるとそれぞれ違いがはっきりしています。

以下では、新築平屋2LDKと新築二階建て2LDKの費用のちがいや、メーカーによる価格のちがいなどについて、見ていきましょう。
まずは、平屋と二階建ての新築費用のちがいについて簡単に説明します。
1-1. 新築平屋と新築二階建ての価格比較
新築平屋と新築二階建ての価格比較
今、新しく住宅を建てる際に二階建て住宅ではなく、平屋住宅を希望する世帯が増えているようです。
その理由としては二階建て住宅は平屋住宅より、建築費用が高いと思われている方が多い(実に7割以上)傾向にあるからだと言えます。
費用が高く思われる要因としては、耐震補強に費用がかかり、それに伴い使用する資材が増えてしまうことなどがあります。
しかし実際はどうでしょうか。平屋で二階建て住宅と同じ居住スペースを確保するには、それと同じだけの敷地を確保しなくてはいけません。
さらに、平屋が二階建て住宅と同じ床面積を確保しようとすると、単純に総二階建ての場合屋根と基礎の施工面積が約2倍になるため、資材も人件費も必要となってしまいます。
そのため、坪単価でみると費用が高くなってしまうなど、必ずしも平屋の方が建築費用が安くなるとは言えないようです。
さらに、二階建て以上の住宅というのが日本では一般的となっているため、多くの住宅会社は二階建て用の資材を多く取り扱っています。
そのため、市場的に少ない平屋用の資材価値が高くなってしまい、建築費用を押し上げる要因ともなっているようです。
ただし、平屋と二階建てで全く同じ間取りになることはほとんどありません。
そのため、二階建て住宅には必要であっても平屋にすることで不要となる設備や階段スペースに関しては、節約できるようになります。
建築価格は単純に比較をするということが難しいため、ニーズに合った様々な要素を総合的に判断することが大切となります。
1-2. 大手ハウスメーカーの建築費用
大手ハウスメーカーで平屋住宅を建てる場合の建築費用は、坪単価40~65万円になります。
ハウスメーカーで家を建てる場合、ハウスメーカーは何と言っても規模の大きさが特徴です。
ハウスメーカーでは設計から施工まで一貫して行っており、部材も自社工場で加工できるため、現場に直接搬入出来ることや、住設機器を大量に仕入れることが可能です。
したがって、原価コストを抑えることが可能になります。
また建材のルートもメーカーごとに確保されているので、工場で大量に生産される建材や製品を使用することが可能なのです。
そのため工期を大幅に短縮することや、常に一定の品質を保つことができて、仕事の質が安定しています。
一方で家作りにおいてはパターンが規格化されており、設計の自由度が制限されてしまい、オリジナリティある家作りが難しいこともあります。
一般の規格の中のデザインから選ぶことに同意し、コストを抑えて建てる場合には、出費を抑えることができます。
しかし、規格を外れてオリジナリティを優先させようとすると、予想外に金額が跳ね上がってしまう場合があります。
またハウスメーカーによっては、規格外の仕様や設計には対応せず、自社内のデザインや規格のみで建築を進めるというところも多くあります。
1-3. 工務店の建築費用
工務店で平屋住宅を建てる場合の建築費用は、坪単価40~65万円です。
工務店とざっくり言っても、規模は小さなところから大きなところまで様々です。
棟梁のほか数名で地道に施工のみを行う工務店もあれば、設計から施工までトータルで請け負う工務店もあります。
さらに外部の建築士と提携して施主の希望に沿ったデザインを起こす工務店や、工務店側からデザイン性に優れた住宅を提供する場合もあります。
どの場合も、規格商品を持つハウスメーカーとは全く違うので、仕様やプランには制限がありません。
工務店での家作りは、エリアや敷地の条件、施主の希望やこだわりを尊重した家作りが可能だという特徴があります。
また、都市部のとても狭い土地や、変形地に家を建てたい人などの要望にも応えられるのも、工務店の特徴です。
限られた土地や家作りへのこだわりが具体的にある人は、工務店での建築も選択肢の1つです。
しかし、工務店は手作業が多くなるため、工期はハウスメーカーより長くかかってしまうというデメリットもあります。
1-4. 設計事務所の建築費用
設計事務所で平屋住宅を建てる場合の建築費用は、坪単価55~75万円です。
設計に特化している設計事務所に家作りを依頼するということは、ハウスメーカーよりも建築費用がかかっても「施主の夢のお家を建ててくれる」という提案力があることが、何よりも特徴です。
とても狭い土地や崖部分の土地、変形地など、一見条件が悪く見える土地でも、設計事務所での家作りであれば、あらゆる角度からの可能性を見出してくれます。
自分の夢のお家、オリジナリティあふれる個性的なお家、店舗と一体化したお家など、自分の目的がはっきりした人が家作りを検討している場合は、設計事務所での建築がおすすめです。
一生に何度もない家作りの機会なので、予算は多少かかったとしても、設計事務所で家を建てようという人も増えています。
暮らしやすさを追求する人、家のデザイン性を重視する人、家に大きな価値を求める人などには、こだわった住まいを提案してくれる建築家との家づくりは、一生の中でもやりがいのあるものになるでしょう。
施工は施主が建築家に要望を伝え、建築家が描いたプランを実現できる工務店に依頼して行います。
ハウスメーカーのように工法や仕様に対する制限はないので、予算面も含めて施主の立場に近い目線でプラン提案をしてもらえます。
施工監理は常に第三者の立場で現場をチェックできることと、建築家にも随時報告や連絡が行くために、施主側の思いが家に反映されやすくなります。
建築費用としては、工務店に支払う施工費用に加えて、設計料や監理料その他諸費用を設計事務所に支払うことになります。
ですので、直接工務店に依頼するケースよりはどうしても金額が高くなります。
また、施主ごとにこだわったデザインを叶えるために、建築材や家のパーツなどは特注品やこだわりの部材を使用することも多々あります。
家の細部にまで手間のかかる仕上がりや見た目の美しさも追求するため、建築費用は思っていた以上に高くなることもあります。
また、工務店同様に工期は比較的長くなり、ハウスメーカーの4~5倍の時間がかかることもあります。
家の建築時期とお子さんの学校入学を合わせて予定している場合は、設計事務所と工期についてよく相談しておきましょう。
1-5. ローコスト住宅の建築費用
ローコスト住宅で平屋住宅を建てる場合の建築費用は、坪単価30~50万円です。
この価格帯は、基本的には薄利で多く売ろうと思って設定されている値段です。
そのため、建物自体には最低限の設備のみ、箱のみといったイメージです。
また、一つ一つ必要なものを揃えて行くとオプション扱いになることも多く、そのオプション価格が高いというデメリットがあります。
建物に個性を活かそうと思うと相当のオプションをつけなければならず、ひとつ上の価格帯になるハウスメーカーで家を建てた方が安くなる場合もあるので注意しましょう。
1-6. 2LDK平屋の建築費用とローン支払い例
例えば土地を持っていて19坪 2LDKの平屋を新築しようと思った場合、価格は 1,031万円(税込)というハウスメーカーがあります。
標準仕様として、オール電化、エコキュート、システムキッチン、IHクッキングヒーター、システムバス、ウォシュレット、カラーテレビモニターインターフォン、全室照明付き(LED)、ワックスレスフローリング、火災報知器、床下収納庫、全ての窓にペアガラスを採用、外部に散水栓、24時間換気システムと新築一戸建てでフル装備住宅になります。
すぐに住めるような利便性と機能性に配慮された住宅です。
建物価格 1,031万円(税込)
上記の値段だった場合、土地を持っていれば、借り入れが1,040万円(変動金利で0,87%時)、頭金なし35年ローン、ボーナス払い0円隣、毎月の住宅ローン支払額は28,731円になります。
例えば、定年退職した60歳の夫婦が終の棲家として2LDKの平屋を建てるとします。建物自体は1,000万円前後で建てることができるとしたら、退職金など一部入金すれば月々の支払額もかなり軽くなります。
住むエリアで家賃は変わりますが、2LDKの賃貸アパートに住む場合は、全国平均で見てみると家賃は大体8万円前後です。
家賃の1年間の合計は約100万円、10年住んだとして1,000万円の家賃を払うことになるのです。
20年住めば2,000万円です。賃貸で家賃を払い続けるよりも、2LDKの新築平屋を建てた方がずっと安く上がる場合もあるのです。
2. 2LDKの平屋建築に必要な土地の平均坪数と土地価格
2LDKの平屋建築に必要な土地の平均坪数を出してみると、20~35坪といったところでしょう。
坪数の計算の仕方は、2帖で約1坪計算です。
例えばLDK15帖、居室6帖×2、玄関3帖、お風呂2帖、洗面3帖、収納3帖、廊下3帖と言った間取りで計算して行くと約20.5坪(約67.76㎡)という感じになります。
土地の値段は、住んでいる地域によって価格差があります。郊外の方へ行けば、土地と建物込みで1,500~2,000万円という物件も多くあります。
お住いの地域の土地価格をしっかり調査しておきましょう。
3. 2LDKの平屋を建てるメリットとデメリット
2LDKの平屋を建てる際のメリット・デメリットをご紹介します。
3-1. 4つのメリット
・移動が楽
2LDKの平屋のメリットとは、何と言っても家の中の移動が楽なことです。
平屋に住んだ人が一番メリットに感じているのは、部屋から部屋への移動が楽だということ、また階段を上り下りしなくて良いため家事動線も作りやすくなり、気になる作業が思いついた時にできるという環境下で家事がどんどんはかどり、楽になると言うことです。
・掃除が楽
毎日の作業で案外大変なのが掃除機かけですね。
2階建て住宅であれば階段での移動は必須で、さらに掃除機を持っての階段移動になります。
しかし平家であれば、階段の負担がない分、掃除も楽にできるというメリットがあります。
・平屋は年老いても安心
平屋住宅は赤ちゃんから高齢者まで、誰もが暮らしやすいというメリットがあります。
若い年齢で家を建てても家には長く住むことになるため、10年後、20年後はだんだん年老いてきます。
将来を想定して家作りをしますが、自分の体の老いは全く状況がつかめないですよね。
自分の予想とは違って、早い時期に階段の上り下りが辛くなってしまうことも可能性はゼロではありません。
そうなると2階建て住宅の2階部分は使わずに、1階部分だけで生活するようになってしまうという人も多くいます。
・スペースを有効活用できる
平屋住宅は、敷地を十分に生かした家作りができるというメリットもあります。
2階建ての家を建てる時は、ついこだわりすぎて無駄なスペースが生じてしまうことも多々あります。
しかし、平屋の一戸建てであれば「1階部分のみでどのように効率よく暮らすことができるか」と考え、敷地内を無駄なく活用することができるのです。
平屋ならではの外観にこだわりを持たせたり、中庭のあるデザインを際立たせたり、個性豊かな家作りを楽しめるのも平屋住宅のメリットです。
3-2. 2つのデメリット
・外から見えやすい
2LDKの平屋を建てる場合は1階しかないため、プライバシーの面など周辺環境の影響を受けやすいという特徴があります。
特に、都市部や住宅街で平屋を建築した際に起こりがちなのですが、平屋の場合「周囲にある2階建ての家から丸見えなのではないか」など周囲の視線が気になるというデメリットがあります。
・日当たりがよくない場合がある
エリアによっては、平屋の中心部分の日当たりが良くない場合もあります。
郊外の田舎暮らしや土地に余裕がある場合の平屋住宅は開放感があるため、これらのデメリットを感じることは少ないようです。
平屋住宅を建てる場合は、家を建てるエリアや環境について十分考慮してから進めていきましょう。
4. 終わりに
2LDK新築平屋の建築費用や土地の平均坪数、メリット・デメリットなどをご紹介しました。
2LDKの新築平屋は、夫婦2人暮らしにはぴったりな間取りです。
「平屋は2階建て住宅よりも建築費用が高くなるのでは」と思っている人も多いでしょうが、ハウスメーカー、工務店、設計事務所、ローコスト住宅と、それぞれで値段にかなりばらつきがあります。
自分のニーズに沿ったところに依頼して建てれば、建築費用を抑えることもできます。
また敷地面積が狭くなれば、それだけ必要な基礎などの面積も減らすことができるので、その分建築費用の削減につながります。
工務店や設計事務所を通した新築平屋の建築でも、床材やドアなどの部分で建築費用を抑えることは可能です。
「名の知れたハウスメーカーだから大丈夫だろう」と知名度だけでハウスメーカーを選ぶのではなく、たくさんの住宅展示場を見に行くことや、平屋の建築実績が豊富な住宅会社に頼むことも1つのポイントです。
平屋は生活のしやすさが一番のメリットですし、購入後のメンテナンスコストも2階建て住宅よりも安く済みます。
ずっと賃貸の2LDKに住み続けて高額な家賃を払うことを考えると、お庭作りを楽しむことができて、自分の資産となる2LDK新築平屋の暮らしへシフトするのも、人生において賢い選択だと言えるでしょう。
ぜひ参考にして、検討してみてください!




