長年住んでいる2DKの賃貸マンションを引越しする時に、思いもよらぬ出費として「クロスの張替え」が発生することがあります。
クロスの張替え料金を巡るトラブルは非常に多く、請求された金額が適正なのかどうか判断できないことが多いようです。
そのような声が多いことから、2DKのクロス張替え料金を調査しました。
費用を巡る退去時のトラブル解決にも役立てていただければ幸いです。
このページでわかること
1. 2DKのクロス張替え料金の相場はいくら?
クロスの張替え料金は、種類や壁の面積によって様々で、材料費の他にかかる工賃が会社によってピンキリです。
工賃などはその業者の技術料でもあるので、目に見えない物にどれ位の価値があるのか分かりませんね。
2DKの賃貸マンションの場合、クロスの張替え料金の相場は、どれくらいになるのでしょうか?
1-1. 量産品と1000クラスの違い
クロスには、大きく分けて「量産品」と「1000クラス」があり、インクの種類や厚みが違ってきます。
量産品は、3種類程度のインクから作られ、機能性が低く、ジョイント部分が目立ちにくいので施工難易度も比較的低いものです。
一方1000クラスになると、クロスの厚みが薄いものが多く、ジョイント部分が目立つことから、施工に技術や経験を必要とします。
量産品のクロス張替え料金は、100㎡で10~20万円ぐらいの相場になることが多く、1000クラスだと大体これの1.3倍ぐらいの料金になります。
業者によって、大まかなパック料金を採用していることもあれば、1㎡毎の単価で計算する場合もあるので、事前のチェックが必要です。
2DKの平均的な広さは約45㎡であることが多く、全体で25帖ほどの広さになります。
この内、クロス張りの対象になる部屋が、ダイニングキッチン8帖、洋室6帖、和室6帖と考えると、3部屋の20帖に対して張替え料金が発生することになります。
1−2. クロス張替えの平米単価
前述の通り、1㎡単価による張替え料金の計算方法を採用している業者もあり、その相場はクロスによっても違ってきます。
量産品クラスであれば、1㎡あたり800~1,100円ぐらいで、1000クラスになると950~1,500円ぐらいの相場になります。
2DKの間取りで考えた場合、6帖で40㎡のクロスが必要となり、8帖で43㎡ほどのクロス張替えが必要です。
これを踏まえた上で計算すると、安くても量産品で「800円×123㎡=98,400円」以上かかる計算になります。
また、メートル計算を採用している場合もあり、量産品が650~850円で1000クラスが750~1,200円ぐらいの相場になっています。
メートル単位の方が安く感じるかもしれませんが、クロスの幅は0.9mと決まっているので、壁や天井の幅を把握した上で、業者へ事前に相談する方が良いでしょう。
シンプルな構造で、業者が用意するクロスの幅がぴったり合えば、メートル計算の方が安く済むかもしれません。
2. 2DK退去時のクロス張替え料金の負担はどれくらい?
2DKの間取りの場合、最大でダイニング部分と2部屋分の、合計3部屋分のクロス張替えが必要になります。
このとき、壁だけでなく天井部分の張替えも必要になってくるので、相応の料金がかかってくることが考えられます。
では、賃貸マンションの退去時において、クロス張替え料金はどれくらい負担することになるのでしょうか?
2−1. 敷金で負担
入居時に敷金を払っていれば、賃貸マンションの退去時において、クロス張替え料金などの退去費用は、普通に暮らしている分には発生しません。
しかし、入居時に敷金を払わない契約で住んだマンションや、あまりにもひどい使い方をした場合には、クロス張替えに限らず負担金が発生する場合があります。
最初に敷金を払っている場合は、退去時に返金される金額もあらかじめ決まっており、追加の原状復帰費用が発生しなければ、最初に約束された金額が返ってきます。
しかし、クロスをタバコ等で汚したりした場合には、敷金の中から負担することになるので、返金される金額が減ることはありますが、よほどのことがない限り、負担することはありません。
タバコによる汚れ等は、生活において想定できる範囲なので、管理会社側もそれを見越した敷金をあらかじめ受け取っていることがあるのです。
心配であれば、管理会社へクロス替えの料金が、敷金でどれぐらい負担できるものなのかを確認するのも良いでしょう。
2−2. 退去時に負担する事になった場合
もし敷金の制度がなくて、退去時にクロスの張替え料金を負担することになった場合、事前に見積金額を出しておくことが必要です。
前述のとおり2DKのマンションであれば、最低でも10万円近くかかってくることが考えられます。
しかし、ここで注意しなければならないのが、全ての場合において全額負担するのか?という部分です。
借主には、「原状回復義務」といって、入居する前の状態に戻す必要があります。
しかし、生活している上で発生する「通常の汚れ」については管理会社側の負担になります。
例えば、冷蔵庫の裏に発生した汚れや、日照による変色、画鋲やピンの穴等です。
敷金の制度がない場合は、どこまでが自然の汚れになるのかを明確にするため、入居時に写真を撮っておくのも有効な手立てになります。
3. 2DK退去時のクロス張替え料金が高い場合の注意点
実際の張替え作業では、クロスを張る作業の他に、下地処理や廃材の処理等と付属する作業がいくつかあります。
そのため、張替え料金の他に諸経費がかかってくることも多く、想定していた金額よりも高くなった、ということも多いようです。
賃貸マンションを管理している管理会社側は、住人が退去する際に原状回復を行い、入居前の状態に戻しておかないといけません。
事前に想定している範囲の汚れであれば、管理会社が負担することになっていますが、想定外のひどい汚れの場合には、敷金から負担するか、退去者への請求をします。
退去者にとっては、その金額が高いと感じながらも、金額の根拠を知ることなく払ってしまうケースが後を絶ちません。
退去時において、クロス張替え料金が高いと感じた場合は、どの点に注意をすれば良いのかを以下にまとめてみました。
3−1. 通常の汚れは管理会社負担
前述したように、あまりにも高いと感じた場合には、どこまでが自然消耗でどこからが自分の責任によるものなのかを、明確にする必要があります。
生活をしている上で、当然発生しうる汚れは経年と共に増えていくので、入居者の責任範囲ではありません。
たとえば、故意に壊した部分があったとしても、その部分と自然消耗部分は切り分けるようにしましょう。
管理会社によっては、「損壊がひどい」という理由で全てを丸め込んで、全額請求するところもあります。
請求された金額を鵜呑みにするのではなく、どの部分に支払い義務があるのかをはっきりさせましょう。
3-2. 見落としやすい天井の張替え
貼張替え料金の計算で見落としがちなのが、天井のクロス張替えです。
どうしても壁だけに注目しがちですが、汚れ具合によっては、壁と天井の色に差がついてしまうので、全て張替え直す場合も多いようです。
平米毎の単価計算の際には、壁の広さだけでなく天井分も見越して予算立てすることをおすすめします。
普通に暮らしていて、天井が自然消耗を超えて激しく汚れることは、そう多くありません。
クロス張替え料金が高いと感じた場合には、貼張替え料金の中に天井部分が含まれているかどうかを確認するのも一つの手段です。
もし、天井部分のクロス張替え料金が含まれている場合は、負担すべきでない料金である可能性が高いのです。
3-3. その他の諸費用にも注意
クロス張替えの際には、張替え料金以外にも別途費用が発生してくる場合が多くあります。
具体的には、他の家具や壁を汚さないために施す「養生費」や、クロスを張り替える前に行う「下地の処理費」がかかってきます。
また、場合によっては古いクロスを処分するための「廃材処理費」等も請求されることがあるので、事前に確認しておきましょう。
4. 2DKの退去費用相場とトラブルにあった場合の解決方法
実際に、高額な退去費用を請求されるトラブルにあった場合でも、基準となるものがなく客観的に妥当な金額なのかどうか判断がつきません。
そんな時には「敷金診断士」の査定をおすすめします。
敷金診断士は、賃貸物件における敷金や保険金に関するトラブル解決を図る専門家で、全国に7つの支部があります。
敷金診断士の査定を入れることで、適正な敷金の返還額を算出し、借主にとっても納得のいく結果を得ることができます。
貸主と険悪な関係にならないか心配される方がいるかもしれませんが、ほとんどのケースにおいては、貸主側の知識不足から、本来より少ない金額を返還する場合が多いのです。
敷金診断士は、そう言った意見の食い違いや、認識の違いをひも解く役割を担うので、トラブルになっても円満に解決することがほとんどです。
5. まとめ
クロスの張替え料金は、値札を貼って店頭に並んでいる商品ではないので、即座に相場を把握することが難しく、基準を設けにくいのが特徴です。
そのため、大家さんや管理会社から請求額を見せられてしまうと、強く言い返せないのが現状です。
このような形のないものに対する料金相場は、事前に調査しておくことが非常に重要です。
また、日常的に大家さんや管理会社と不明点を相談したり、コミュニケーションを取っておくことで、退去時のトラブルを少なくすることもできます。




