職場まで車で通勤したい方、あるいはお子さんがいてご家族で暮らしている方にとって、マンションに駐車場があることは必須条件ですよね。
しかし近年では、若い単身の方や高齢者だけで暮らしている方も増え、“クルマ離れ”が進んでいると言われています。
それに加えて、都心部では土地が少なく十分にスペースが確保できないなどの理由から、マンション敷地内に戸数分の駐車場が設置されていないところも多くなっています。
それでも、あなたと同じように、敷地内に駐車場のあるマンションをお探しの方はたくさんいらっしゃいますので、少ない土地でも有効活用することによって敷地内に駐車場を設置しているマンションもあります。
この記事では、マンション駐車場の3つの種類と仕組みをご紹介し、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
駐車場のタイプを理解して、どのタイプがご自身に適しているか判断し、マンション選びにお役立てください。
このページでわかること
1. マンション駐車場の3つの種類と仕組み
冒頭でもお伝えしましたが、マンション駐車場には3つの種類があります。
それぞれの仕組みとともに、メリット・デメリットにも触れていきますので、どういった特徴があるのか理解を深めていきましょう。
1-1. 平置き駐車場
平置き駐車場とは、車道と同じ高さに設置されている駐車場で、平面駐車場とも呼びます。
「駐車場」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがこのタイプの駐車場です。
平地に白線やロープなどが引かれ、車一台分ずつのスペースが仕切られており、露天タイプが多いですが、屋根が付いているところもありますね。
また、コインパーキングでよく見られるのもこのタイプですね。
平置き駐車場のメリットは、何と言っても入出庫がスムーズで、荷物の出し入れもしやすい点が挙げられます。
1階スペースや地下にある場合はその限りではありませんが、多くは屋外に設置されている平置き駐車場は、車高や重量制限がなく、どういった車でも駐車できるというメリットがあります。
一方で、屋根のない屋外の平置き駐車場では、天候や気温の影響をダイレクトに受けてしまうというデメリットがあります。
砂埃や雨によって車が汚れたり、寒さでフロントガラスが凍ったりと、細々と洗車やメンテナンスの手間がかかってしまうこともあるでしょう。
2019年10月には台風19号の影響で、首都圏でも大雨や河川の氾濫による被害が相次ぎました。
冠水によって、使用できなくなってしまった駐車場もありますので、車道と同じ高さにある平置き駐車場は天候の変化に注意が必要だといえるでしょう。
(参照:「【お知らせ】 台風19号による東駐車場の冠水について」)
ただし、マンションの規約などにも寄りますが、平置き駐車場の場合、駐車スペースに車を停めたまま洗車や車内の掃除などができます。
車を移動させるなどの手間がありませんので、思い立った時に車をきれいにできるのはメリットの一つと言えます。
一方、平置き駐車場は、利便性の高さから人気が高く、また広い土地も必要になるため、駐車場使用料が高くなる傾向があります。
スペースに限りがありますので、利用したくてもいっぱいで空きがないことも多いです。
また、道路から比較的近く入りやすい一方で、誰でも入ることができるという点では、セキュリティ面はやや不安があるとも言えます。
1-2. 機械式駐車場
機械式駐車場は、機械で車を出し入れできる立体型の駐車場です。
より小さなスペースで多数の車を駐車できるため、都心部のマンションでは機械式駐車場を採用しているところも多いです。
パレットと呼ばれる車室に車を停めたら、機械を操作して地下や上の階層へ移動させ保管します。
機械式駐車場では、パレットが車を運ぶことになるため、車高や車幅、重量などの制限が多くなります。
パレット上で荷物の出し入れをすると非常に危険なため、運転手以外の乗員や荷物は、車を停める前に下ろさなければいけません。
また入出庫時、パレットの位置によっては時間がかかってしまうというのが難点です。
一方で、機械式駐車場では車を停めた後、機械を操作して出庫するまでは車は駐車場内に入っており、不審な人が車に近づくことはできません。
そのため、セキュリティ面ではもっとも安心できると言えます。
面積が少なく済むため、都心部など土地代の高い場所であっても比較的駐車場使用料が安く済む傾向にあります。
ただし、機械のメンテナンスや維持費などが必要になり、マンションの管理料に含まれている場合もあります。
その際は、他のマンションよりも管理費や修繕積立費が高くなることがあります。
(参考URL:CHINTAI https://woman.chintai/ST01/knowledge/0351_mechanical_parking/)
1-3. 自走式立体駐車場
自走式駐車場は、商業施設や大型のスーパーの駐車場を思い浮かべていただくと良いかと思います。
二階、三階建ての建物や鉄骨が組まれており、スロープを上がって駐車スペースまで自分で運転していくタイプの駐車場です。
平置き駐車場と比べると、限られたスペースであっても駐車できる車の台数が多くなるので、駐車場がいっぱいで“空き待ち”をしなければいけない可能性が下がります。
多くの台数を収容できることや、機械式駐車場のように定期的なメンテナンスがほとんどいらないことから、駐車場使用料は安くなることが多いです。
ただし、1階など車の出し入れがしやすい好条件の駐車スペースは逆に使用料が高くなることもあります。
また、屋上以外のスペースでは屋根があるため、雨が降っても濡れずに車まで移動できるというメリットがあります。
駐車スペースに停めたまま荷物の出し入れも可能ですので、小さな子どものいるファミリー層にはうってつけと言えますね。
一方、地下へ下りたり上階へ上がったりする必要があるため、平置き駐車場よりはある程度、車高や重量制限などがあります。
また、スロープの傾斜が急な場合、地上高の低い車は地面にこすってしまう可能性もあるため注意が必要です。
セキュリティ面に関していうと、平置き駐車場よりは外部の人は入りづらくはなりますが、入ろうと思えば誰でも入れるといった点ではやや不安は残ります。
柱や他の車などで死角が多くなるため、駐車位置によってはいたずらをされやすいとも言えます。
2. マンションの駐車場が修繕積立費用に関わってくる?
結論からお伝えすると、マンションの駐車場は、「修繕積立費用」にも十分関わってきます。
まずは、「修繕積立費用とは何か?」というところからご説明しましょう。
簡単に言うと、修繕積立費用とは、マンションの管理費用の一部であり、入居者が月々負担する必要のある費用です。
管理費は、大きく分類すると“日々の管理に必要なお金”と、“長期的にみて必要になるお金”に分かれます。
「日々の管理に必要なお金」には、エントランスや廊下などマンションの共用部分の清掃、エレベーター・宅配ロッカーや防犯カメラなどの保守点検、維持といった費用があります。
マンションに入居している人たちが安全、快適に過ごすための費用です。
もう一つの「長期的にみて必要になるお金」は、建物の経年劣化による傷みや破損の修繕費用、設備などのメンテナンス費用のための積立金であり、駐車場のメンテナンス・修繕費用もこれに含まれます。
駐車場で大きく問題になるのは、こちらのほうです。
機械式駐車場を設置している場合、その他の駐車場と比べてメンテナンスや維持に費用が必要で、費用が高くなる可能性が高いです。
とりわけ、年月を経て、機械式駐車場の設備を丸ごと入れ替えなければいけないといった場合、それまでに積み立てた「修繕積立費用」を使うことになりますが、足りない場合は増額や一時金徴収というパターンもあります。
(参照:ダイヤモンドオンライン「機械式駐車場はマンションスラム化の要因になる「金食い虫」だ」)
3. 駐車場を借りるのに敷金と礼金ってあるの?
駐車場付きの賃貸マンションなどでは、「駐車場無料」という文言で出されている物件もありますが、この場合はほとんどが家賃の中に駐車場使用料が含まれています。
分譲マンションの場合でも、駐車場の管理を外部に委託しているところが多く、家のローンとは別に駐車場使用料や駐車場の敷金・礼金が必要な場合もありますし、マンション敷地外の月極駐車場を契約するときには、そのほとんどで敷金・礼金が必要です。
賃貸物件での敷金とは通常、退去する際に部屋を原状復帰するための費用に充てられるのが普通ですので、駐車場の場合であれば「車を停めているだけなので原状復帰も何も…」と思うかもしれません。
では、なぜ敷金を支払う必要があるのかというと、駐車場を借りる際の敷金はいわゆる“担保”のような意味合いがあるのです。
使用料の滞納があった場合や、ガソリン漏れ、火災などの損害があったときの修繕費用の補填として使われるお金となるため、物件を借りるときと同じように、駐車場にも敷金が必要となります。
ちなみに、礼金は、オーナーや管理者に対しての”お礼”のお金ですので、必ずしも払わなくてはいけないというものではありませんし、礼金のない駐車場も存在しています。
(参考URL:LIFULL HOME’S https://diamond.jp/articles/-/143619?page=2)
(参考URL:月極駐車場検索エース:https://parking.s-giken.info/fees_summary)
4. まとめ
マンションの駐車場のタイプには、「平置き駐車場」、「自走式駐車場」、「機械式駐車場」の3種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあることをお伝えしました。
都心部では、より狭い土地で多くの車の駐車スペースを確保できる機械式駐車場が増えてきています。
しかし、土地代は安く抑えられるものの、大きな機械を正しく動かし続けるために維持費やメンテナンス費用がかかってしまうことがお分かりいただけたかと思います。
機械式駐車場の維持・メンテナンス費は通常、マンション管理費の中の“修繕積立費用”の中に含まれます。
新築から間もなくではそれほど大きな金額にはなりませんが、年月が過ぎ、経年劣化が進むとその分維持・修繕に費用が必要となるため、“修繕積立費用”の金額が上がる場合もあります。
また、マンション敷地内の駐車場に限らず、外部駐車場を契約する際には物件を借りるときと同じように敷金・礼金といった初期費用がかかります。
3つの種類の駐車場、あるいは外部の一般駐車場を利用する際には、それぞれさまざまな費用が必要となります。
これからマンション購入を検討している方は、ぜひ、駐車場にかかる費用にも注目して、マンション・駐車場選びを進めていってくださいね。




