マンションの立体駐車場は使い勝手がよくない?メリットと注意点を解説!

引越し先を選ぶときには、駐車場の使い勝手も重要なポイントとなります。

立体駐車場のあるマンションが候補になったときは、実際の使い勝手はどうなのか気になるという人も多いでしょう。

そこで、マンションの立体駐車場にはどのような種類があり、どんなメリットやデメリットがあるのか紹介します。

また、使う前に知っておくべき注意点についても解説します。

マンションの立体駐車場にある5つのタイプ

立体駐車場にはさまざまな形のものがあり、駐車できる車の台数も大きさによってかなりの差があります。

しかし、そのタイプは大きく5つに分類でき、それぞれの違いがわかればマンションを選ぶ際にも参考になります。

まずは、それぞれのタイプの特徴について紹介していきましょう。

最もコンパクトな地上二段式

「地上二段式」の立体駐車場は、機械を利用して車を駐車させる機械式駐車場の一種で、2階建てのような構造をしています。

上段部分と下段部分にそれぞれ1台ずつ駐車できるようになっているので、1台分のスペースに車2台を収められるのが特徴です。

しかし、上段に車を停める際にはパレット(車を載せる台)がエレベーターのようにまっすぐ下に降りてくるので、下段に停めてある車を一旦外に出さなければなりません。

そのため、マンションなどの集合住宅での利用にはあまり向かないタイプです。

立体駐車場としては最もコンパクトなものなので、一戸建てでよく使われています。

地下を活用するピット二段式

「ピット二段式」も、地上二段式と同じ機械を利用して車を駐車させる機械式駐車場の一種で、2階建てタイプの立体駐車場ですが、下段がピットにもぐるような構造になっています。

「ピット」とは、地下に空けられた穴のことです。

地下に格納された車を出し入れする際には、上下のパレットが一緒にせり上がって下段に停めた車が地上に出てくる仕組みです。

地上二段式のように下段の車をどかさなければ上段の車を出し入れできないということがないので、マンションなどでもよく使われています。

なお、地下に2階分のピットを確保しているタイプもあり、この場合は3階建てになるので全部で3台の車を停めることができます。

パズルのように格納する昇降横行式

「昇降横行式」は、機械式駐車場の一種で、3階建ての各階に3台分の駐車スペースを横に並べるなどして車を格納するタイプです。

必ず1台分の空きスペースができるようにして、どのパレットも上下左右に動かせるようになっています。

パズルのようにパレットを動かすことで、目的の車がどこに停められていても1階まで移動して出し入れすることが可能です。

すべての階が地上に出ているタイプと、ピットを併用することで1~2階分を地下に収めているタイプとがあります。

また、各階に左右だけでなく前後にも駐車スペースを並べたタイプもあります。

タワー型の垂直循環方式

「垂直循環方式」は、機械式駐車場の一つで、タワー型の設備の内側をパレットが循環するタイプです。

1階の出入り口から入った車は下から上へ、上から下へと観覧車のゴンドラのようにひとまわりして、もとの場所に戻ってきます。

格納できる台数が多いものは車の出し入れに時間がかかってしまいますが、構造が単純なため比較的故障が少ないのが特徴です。

マンションの場合は地上に建てられるケースが多くなっていますが、タワーの一部または全部が地下につくられている場合もあります。

高度に制御されたエレベーター方式

「エレベーター方式」は、タワーの内部に車を整然と格納するタイプの立体駐車場です。

1階の出入り口から入った車はパレットごとエレベーターに乗せられて空きスペースのある階まで移動したあと、横方向にスライドして格納されます。

反対に、車を出すときはパレットが横方向にスライドしてエレベーターに載せられ、出入り口のある1階まで降りてきます。

地下を活用してつくられることもあるのは、垂直循環方式と同様です。

また、より多くの車を効率よく格納するため、各階に放射状に駐車スペースが配置されて円筒形のタワーになっているタイプもあります。

使い勝手は? マンションの立体駐車場にある4つのメリットとデメリット

立体駐車場に自分の車を駐車するとなると、普段の使い勝手などが気になりますよね。

ここでは、マンションの立体駐車場を使うことによるメリットとデメリットについて紹介します。

メリット

  • 料金が安い

立体駐車場は、狭いスペースを活用して何台もの車を駐車できるようにするものです。

普通の駐車場に比べると、車1台あたりに必要になる土地の面積が少なくて済みます。

そのため、駐車場を借りる際の料金は比較的安く設定することができます。

都市部などのような土地の価格が高い地域でも、平面駐車場に比べて安い料金になっていることが多いです。

  • 無断使用されにくい

車を出し入れするとき、立体駐車場では機械の操作が必要です。

操作方法はマンションの入居者など関係者でなければ知らないのが通常なので、無関係な人が簡単に使用することはできません。

そのため、借りている駐車スペースが他人に無断で使用されてしまったせいで、自分の車が停められないというようなことは起こりにくいです。

  • 防犯性が高い

立体駐車場のタイプによっては、駐車スペースが完全に建物の内側になるため防犯の面で効果があります。

盗難や車上荒らしにあったり、いたずらで車を傷つけられたりというような被害にあうリスクは低いです。

二段式の駐車場でも、車が上段や地下に停まっている場合は同様の効果があります。

また、平面駐車場では近くのスペースを利用している人に車をぶつけられて近隣トラブルに発展するなどの心配がありますが、立体駐車場では車同士が接触しにくい構造になっているため安心です。

  • 直射日光が当たらない

駐車スペースが建物の内側になるタイプの立体駐車場では、直射日光が入らないため夏場でも車内の温度が上昇しにくいです。

また、車のボディの退色を防ぐ効果もあります。

二段式の下段に停める場合も、上の段のパレットが屋根の代わりになるので同様の効果があります。

デメリット

  • 操作の待ち時間がある

車の出し入れをする操作には、ある程度の時間がかかります。

実際にどれくらいの時間がかかるかは立体駐車場のタイプや格納される場所によっても変わります。

また、ほかの人が使っているときは、操作が終わるまで待っていなければなりません。

  • 1台分のスペースが狭い

立体駐車場では駐車可能な台数を増やすため、平面の駐車場に比べると車1台分のスペースが狭いつくりになっていることも多いです。

そのため、ぶつからないように車の出し入れをするには、何度も切り返しが必要になることもあります。

  • 車の大きさに制限がある

駐車できる車の大きさは、立体駐車場の製品仕様によって違いがあります。

特に、車高の高い車は駐車できるかどうかあらかじめ確認しておくことが必要です。

軽自動車でも車高の制限で入れられない場合があります。

  • タイミングによって使えない場合がある

立体駐車場は機械で動きます。

そのため、故障や事故を未然に防ぐためには、必ず定期的なメンテナンスが必要です。

メンテナンス中は操作ができないので、車の出し入れもできなくなります。

車が必要なときにメンテナンスのスケジュールが重なってしまった場合は、事前に駐車場から出しておかなければなりません。

マンションの立体駐車場を使う前に知っておくべき注意点

立体駐車場には、災害時などに気をつけなければならないポイントがあります。

また、機械式である以上は事故につながる危険性もあるため、使用する際にはある程度の注意が必要です。

ここでは、マンションの立体駐車場を使ううえで知っておきたい注意点について紹介します。

  • 故障や停電の間は使えない

立体駐車場は、故障が発生すると修理が終わるまで使えなくなってしまいます。

また、機械部分は電気で動くため、故障がなくても停電中は車の出し入れができません。

故障や停電の原因が地震などの災害の場合は、復旧まで時間がかかることもあります。

いざというときに取り出せないと困るものは、車に積んだままにしないようにしましょう。

  • 水が流れ込むことがある

立体駐車場のタイプによっては、車が地下に格納される場合があります。

このとき、大雨や洪水などで水害が発生すると駐車スペースに水が流れ込んでしまい、最悪の場合は車が水没するケースも考えられます。

ピット二段式の駐車場の下段を利用している場合は、天気予報などから大雨が予想される日は車を地上に出しておくとよいでしょう。

  • 巻き込み事故のリスクがある

国土交通省の発表によると、立体駐車場に関する事故は2007年から2014年に207件発生しています。

このうち発生場所が確認されているのが145件で、そのなかの約4割がマンションで起こった事故です。

操作中に機械に巻き込まれて死亡者や重傷者が発生した事例もあり、運転者が連れていた子どもも犠牲になっています。

このような痛ましい事故を減らすために、立体駐車場の設備に人感センサーを取り付けたり、周囲を柵で囲ったりする取り組みが進められています。

利用する立体駐車場ではどのような対策が行われているか、あらかじめチェックしておくと安心でしょう。

  • 駐車場を安全に利用するために

事故防止の対策が進んでいるとはいえ、小さな子どものいる家庭では事故のリスクは他人事ではないでしょう。

機械式の立体駐車場を利用する際は、操作中に人が巻き込まれてしまわないよう十分に注意することが大切です。

まず、運転者以外は駐車場の内側に入らないことを心がけましょう。

荷物の積み下ろしをするときも、駐車場に車を入れる前に外で行うのが基本です。

機械の操作は駐車場の内側に人が立ち入っていないことをよく確認したうえで行い、操作が完了するまでその場を離れないようにします。

特に、小さな子どもを連れているときは要注意です。

子どもと手をつないで目を離さないように気をつけるなど、操作中も安全を確保するよう十分注意しましょう。

マンションの立体駐車場はニーズに合ったものを選ぼう!

マンションの立体駐車場は、車の出し入れに時間がかかるなどのデメリットはありますが、コストや防犯の面では平面の駐車場よりもメリットが多いのが特徴です。

また、災害時の注意点や事故のリスクを十分に理解し、ルールを守って使用することが大切です。

種類によって使い勝手は異なるので、ニーズに合った駐車場を選ぶようにしましょう。