賃貸マンションの場合、退去時に修繕箇所が増えると費用を請求されることがあります。
そのため賃貸の場合は「壁に傷をつけない」が原則です。
でも「壁に画鋲」はOKというケースがほとんどです。
そこで今回は「賃貸マンションの壁に画鋲」に関するあなたの疑問、不安について分かりやすく解説!
壁に画鋲を刺す場合にあらかじめ知っておきたい3つの注意点と、壁に画鋲を刺す場合に知っておきたいおすすめアイテムについて紹介します。
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このページでわかること
1. 賃貸マンションの壁に画鋲を刺しても大丈夫
賃貸マンションでは入居前に管理者と「賃貸借契約書」の内容に基づいて賃貸契約をします。
賃貸契約では「借りるための条件の提示」だけでなく「返す(退去する)ための条件の提示」もあります。
部屋を返すための条件には「現状の回復」があります。現状の回復というのは、「借りたときの状態と同じようにして返すこと」を言います。
これは借りる側の責任になるので、退去するときには必要になります。
実際にあなたが「マンションの壁に画鋲はいいの?」と悩んでいるのも、契約書の中に書かれている「現状の回復」という項目の存在が関係しています。
ただし現状の回復の目安についてはややあいまいなところがあり、そのことが悩みのもとになっているはずです。
1-1. 基本的に「壁に画鋲」はOK!
賃貸マンションであっても、基本的に壁に画鋲を刺すのはOKです。
確かに「画鋲を刺す」ということは壁に穴が出来ることです。ですから賃貸契約に書かれている「賃貸人の故意による行為」とも取れます。
でも「壁に画鋲を刺すことそのものが一般的に起こりえないことなのか?」となると、それはちょっと違いますよね?
例えば「壁に写真を張る」「子どもが描いた絵を飾る」「大切な書類を一時的に壁に貼る」ということはよくあります。
どちらかというと「誰もがやっていそうなこと」ですよね?
ですからこの場合は「一般的に使っていたとしてもできてしまうキズ(損耗)」と考えることが出来ます。
そのため賃貸マンションであっても「壁に画鋲」は基本的にOKと考えています。
1-2. 「壁に画鋲がNG」の場合もある
賃貸契約の中には、マンションを利用するために守らなければならないルールについても説明があります。
わかりやすく言うと「マンションの法律」のようなもので、これを「管理規約」といいます。
管理規約の中に書かれている内容は、入居者が守らなければいけないことが書かれています。
この規約の「特約」と書かれている蘭に「壁に画鋲を刺すことは禁止する」とある場合は、壁に画鋲を刺してはいけません。
「特約」とは一般的なルールに追加事項を書き加えたものです。
つまり「そのマンション限定で決められているルール」と言えます。
ですから特約に書かれた禁止事項も入居者は守る必要があります。
そのため一般的にはOKなのですが、特約として書かれている場合は「壁に画鋲はNG」となります。
2. 原状回復のガイドラインと賃貸マンションでの画鋲利用について
2-1. 「明け渡し時の原状回復内容の明確化」が問題になっていた
平成24年2月に国道交通省によって発表された『「賃貸住宅標準契約書」改定』の改訂概要第14条によると「(以下抜粋)退去時の原状回復費用に関するトラブルの未然防止のため「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を踏まえ、入居時に賃貸人、賃借人御双方が原状回復に関する条件を確認する様式を追加」とあります。
この「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が公表された背景には、あなたと同じように退去時の原状回復をどこまでしなければいけないのかと悩む入居者が多いということが関係しています。
契約では一般的に「入居時と同じ状況で返却してくれなければ敷金から費用を差し引きます」というお触書のようなものが出ているので、あなたも「出来るだけキレイに使わなくちゃいけない!」という気持ちをより強くもったはずです。
ただ部屋の設備は長く住めば必然的に劣化してきます。
マンションにあらかじめ取り付けられているエアコンやコンロにも使用期限がありますし、それを過ぎれば故障をすることは十分に考えられます。
もちろんこうした設備は管理者にお願いすれば修理・交換は無料で行ってくれます。
でも壁の汚れや画鋲の穴、床のワックス剥がれなどについては生活していればどうしても起きてしまうものです。
ところがこれまでこうした設備に対して「こうなったら退去の時に原状回復のための費用が掛かりますよ」という明確な表示はあまりありませんでした。
そのため賃貸マンションを借りる時には無意識に「壁に画鋲を刺したらあとから請求される」というイメージが定着してしまったのでしょう。
2-2. ガイドラインが考える借主の原状回復義務の目安
平成23年8月に国土交通省住宅局が発表している『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)』の内容には、「特約に関すること」と「借主の原状回復義務に関すること」も書かれています。
契約書の特約に「壁に画鋲は禁止」とされている場合に画鋲を刺すと修繕費を請求されることがあるのですが、ガイドラインの中には「特約の要件」についても書かれています。
内容をそのままここで紹介すると難しくなってしまうのですが、ものすごくわかりやすくすると「特約として請求することに客観的で合理的な理由があると認められる場合」ということになります。
つまり画鋲を刺すという行為が一般生活の中で特別な行為ではないと考えるならば、そのことを特約で禁止していたとしても「法律上」「社会通念上」として考えれば借主であるあなたよりも管理者である家主が負担を負う義務があるとも考えられます。
そのため画びょうをめぐるトラブルの判例などでは、「画鋲を刺すことが特約の要件を満たしていない」と判断。
特約としての法的効力がないし、借主が修復費用の負担を負う義務がないと判断されたケースもあります。
2-3. 画鋲を刺した部分だけ補修し費用を借主に請求するのは不公平
画鋲を刺した部分がほんの一部分だった場合でもクロスに穴が開けば「クロスの張替え」が必要になります。
でもこの場合、借主であるあなたは相当不公平ですよね?
なにしろ画鋲を刺してできる穴なんてほんの一部です。
その画鋲の穴を修復するために壁の一部のクロスを張り替えれば、はっきり言って全体のバランスが悪くなります。
つぎはぎだらけの壁だと、いくら新品だとしても見栄えは良くありませんよね?
つまりこの場合、あなたが退去し次の入居者を募集するためには壁全体のクロスを張り替える必要が出てきます。
この費用をあなたがすべて負担するとなれば、これは間違いなく不公平ですよね?
このように原状回復については「借主による明らかな破損・損傷」であったとしても、「費用を請求する客観的・合理的な理由がある」でなければいけないとしているのがガイドラインの考えにあります。
3. 賃貸マンションで画鋲を刺す場合の3つの注意点
3-1. 釘・ネジに関してはほとんどの場合はNG
壁の画鋲に関しては「一般生活の範囲内で起きること」と考えられるのでOKなのですが、釘やネジとなると話は違います。
釘やネジの場合、壁にできるキズは画鋲の比ではありません。
修復するためにはパテを使って穴を埋めなければいけませんし、クロスの張替えも必要です。
さらにコンクリートの壁に釘を使えば、マンションの強度にも影響する可能性があります。
ですから賃貸マンションで画鋲がOKであっても、釘・ネジはNGと覚えておきましょうね。
3-2. 契約書の「特約」を確認すること
マンションの賃貸契約では、賃貸借契約書のほかにマンションの使い方に関する管理規約や使用細則などがあります。
こうした契約書の中には「特約」という項目があります。
特約は一般的な契約内容とは別に「マンション独自の利用方法」として書かれているものです。
ところがこうした特約は内容が難しく、しかも契約時に説明をされても見逃しやすいことが多いです。
でも特約の中に「室内の壁に画鋲の使用を禁止する」とある場合は、一般的な常識としてはOKであっても契約しているマンションではNGなのでやはりルールは守らなければいけません。
もちろんルールを守らなければ、退去時に修繕費の請求を受ける可能性があります。
ですから契約書の中でも特に「特約」と書かれた部分のチェックは重要です。
3-3. 自己判断で画鋲を使わないこと
契約書の内容は難しい表現が多いです。
細かく読み込んでみても判断が難しい表現もたくさんあります。
だからと言って「画鋲程度なら問題ないだろう」と自己判断で使うのはNGです。
分からない時・不安になった時は、管理会社に相談すれば一発で解決します。
契約書の表現では「画鋲はNG」と受け取れたとしても、管理会社に相談してみると「一般的画鋲であれば問題ありませんよ」と答えられることもあります。
逆に「特約の欄にNGとされているので、画鋲は使えません」と断られることもあります。
でもこうした相談は電話でもすぐにできます。
将来のことが不安なのであれば「相談した日時」「対応した担当者の名前」「相談内容」「担当者の回答」の4つをメモに残し、そのメモを契約書と一緒に保管しておくと安心ですよ。
4. 賃貸マンションにもおすすめ!画鋲以外の便利グッズ3選
4-1. 両面テープ
画鋲を使わずに写真や絵などを張りたいのであれば、両面テープを利用するのがおすすめです。
両面テープにも様々な種類が合い、壁紙に張ってもはがしやすいタイプもあります。
このような両面テープを利用すれば、テープが原因でクロスが破損することもありません。
4-2. 壁美人
ランドセルやかばんなどを壁に掛けたい時におすすめなのが、ホッチキスを使って金具を取り付けることが出来る「壁美人」です。
ホッチキスの針を使うのでクロスに穴が目立つことは全くありません。
それなのにランドセルのような十両のあるカバンもかけることが出来ます。
しかもホッチキスも家庭にあるホッチキスを使えます。
専用の金具をホッチキスの針で停めるだけなので、取り外す時も針を引き抜けばOK!これはかなり使えますよ!
- 壁美人(楽天で購入する場合)
https://item.rakuten.co.jp/godhand/wakabayashi-p-4shw/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_101_0_0
- 壁美人(Amazonで購入する場合)
https://www.amazon.co.jp/ホチキスで取付壁掛けフック-石膏ボード用固定金具-痕が目立たない-2枚セット-P-4Shw/dp/B00CB6TFXE
4-3. 取り外し可能接着剤
接着剤は用途に合わせて粘着力のタイプが様々あります。
画鋲の代わりとしておすすめなのが、粘土のような柔らかさで取り外した後も跡が残らないタイプの接着剤です。
個人的におすすめなのが「Pritt(プリット)」の接着剤です。
プリットといえば「スティックのり」のイメージが強いでしょうが、実は接着剤の世界的に有名なメーカーです。
そんなプリットの接着剤の中にはペースト状の粘着剤「ハイパー多用途」があります。
これはフッ素樹脂やシリコン樹脂以外であればなんでもOK!しかも凹凸や隙間があっても使える優れものです。
他にもプリットの粘着剤にはいろいろなタイプがありますので、ホームページをチェックすると理想の粘着剤が見つかるはずですよ!

https://bungu.plus.co.jp/pritt/
5. まとめ
賃貸マンションであっても画鋲を使うことは基本的にOKです。
でも賃貸契約の内容によっては画鋲がNGの場合もあります。
ですから内容が気になる場合には「賃貸契約書を確認する」または「管理会社に相談」をするようにしてくださいね。




