賃貸マンションの転貸(又貸し)は契約違反

賃貸マンションを契約する場合、賃貸借契約を行います。

でもこの賃貸借契約の契約者が別の人に転貸をした場合、契約違反となります。

最近は「民泊」が流行っていることもあって管理者にバレないように転貸をしている契約者も増えていますが、そもそもこういった行為自体も契約違反です。

ではなぜ賃貸マンションの転貸は契約違反になるのでしょうか?

今回は賃貸マンションの転貸の実態や契約違反となる理由、さらに契約違反がバレた時にどうなるのかについても詳しく解説します。

 

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1. 賃貸マンションの転貸(又貸し)は契約違反

1-1. 転貸(又貸し)とは

転貸(てんたい)は、別名「又貸し」ともいいます。

転貸と表現すると「どういった意味なんだろう?」と思う人も多いでしょうが「又貸し」と表現するとイメージがわきます。

ようするに「正式な賃貸契約者以外の第三者が住んでいる」という状態のことを転貸というのです。

 

1-2. 転貸(又貸し)が契約違反になる理由

賃貸マンションの転貸は「家主にバレなければよい」という問題ではありません。

理由はいくつかありますが、まずはわかりやすいところから説明していきましょう。

あなたが賃貸マンションの契約者ですが、実際にはあなたの弟・妹が住むことになったとしましょう。

この場合、あなたは「私の名義で契約しているのだから、きちんと家賃は支払うように!」と弟・妹にもきつく注意するはずです。

でもあなたの弟や妹だからと言って、家賃を払わなくてもペナルティのないきょうだいが将来にわたって間違いなくあなたの代わりに家賃を払うという確約はあるのでしょうか?

もしかしたらあなたの弟・妹の気持ちの中では「困ったことがあっても兄・姉だか事情を説明すれば何とかなる」と考えているのではないでしょうか?

さらにそんな時に限ってあなたにも事情が出来、弟・妹に貸したあなた名義の賃貸マンションの家賃を支払うことが出来なくなったらどうなるでしょう?

あなたは家主に対して「実は私のきょうだいがその部屋に住んでいるので、私は家賃を払えません」と説明するのでしょうか?

そもそもこれは契約上ではおかしな話ですよね?

思い出してみてください。賃貸契約をしたのは契約者であるあなたです。

ですから家賃を払う責任があるのはあなたです。

しかも家主は「あなたが住む」という条件で賃貸契約を交わしています。

ところが実際にはあなたは住んでおらず、かわりにあなたのきょうだいが住んでいます。

さらに「契約者だけど実際には住んでいないから家賃は払えない」というあなたの理屈には、どこに合理性があるのでしょう?

これは間違いなくアウトですね?

もちろんほかにも賃貸マンションの転貸が契約違反である理由はあります。

 

1-3. 賃貸契約をするための条件をクリアしているとは限らない

あなたが今の賃貸マンションを契約する時には、書類上の契約を交わす前にいろいろな審査を受けましたよね?

中でも一番重視されるのが「あなたの収入(年収)」だったはずです。

賃貸マンションの家賃は、物件によっても変わります。

でも契約した金額を毎月決められた期限までに支払うことが必要になります。

賃貸の場合「適正家賃の目安」というものがあるのですが、一般的に年収(または月収)の3分の1以内とされています。

つまりこの条件を満たすだけの収入が契約者であるあなたにあると認められたことで、正式な賃貸契約は交わされたわけです。

ところがあなたが家主に無断で別の人に契約した賃貸マンションを貸したとすれば、本来審査しなければいけない「支払い能力のチェック」が出来ないことになります。

ですから正式な手続きに基づいた賃貸契約が継続で来ているとはいえません。

 

1-4. 住民トラブルを起こす可能性のある職業の人は契約できない

賃貸マンションの契約では、職業によって入居が認められないケースもあります。

契約が難しいといわれる職業の代表というと「風俗関係」があります。

風俗関係の場合、収入に問題がないがなかったとしても住民とのトラブルを起こしやすい傾向があります。

こうしたトラブルは賃貸マンションの経営では一番避けなければいけないことです。

同じような理由から「反社会勢力に属している人」「不法滞在の外国人」も契約は難しいです。

ただこのようなケースであっても、生活するためには住む場所を確保しなければいけません。

そこで利用するのが「転貸」です。

転貸を依頼された契約者側は、「バレなければ問題がないだろう」と軽い気持ちでやっているかもしれません。

でも契約者であるあなたがそこに住んでいないのですから、転貸してもらった人がどのようにして部屋を使っているか確認することはできません。

もしもその相手がトラブルを起こしたとしたらどうでしょう?

あなたが間に入って解決できたとしても、他の住人にあなたが又貸ししていることはバレてしまいます。

またあなたがいくら注意したとしても、又貸ししてもらった本人が受け入れるとは限りません。

承諾してもらうまでは低姿勢で「なんでも言うとおりにするよ」と答えていたとしても、実際に承諾してもらった後はあなたへの態度を急変させる可能性だってあります。

こうした悪質な態度をとる人がマンションの規約を守って生活するとは考えられません。

ルールが守れない住人は必ず住人とトラブルになります。

こうしたリスクを避けるために、家主(管理会社)は正式な賃貸契約をする前にはあなたの職業などを細かくチェックしているのです。

 

1-5. 法律でも禁止されている

賃貸マンションの契約には法律もあります。

特に転貸に関しては民法第612条できちんと書かれています。

民法第612条では「賃借権の譲渡及び転貸の制限」について書かれています。

ここには「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができない(「民法第612条1」より引用)」ときちんと書かれています。

つまり民法上でも「賃貸契約の契約者が勝手に転貸すれば法律違反になりますよ!」ということをはっきりと定めているわけです。

ですから「バレる」「バレない」に関係なく、転貸そのものが法律違反なのです。

 

2. 賃貸マンションの転貸(又貸し)がバレた場合

2-1. 家主は事実を知った時点ですぐ対応してくる

家主側も転貸の事実を知ったうえで放置していれば「黙認の承諾」と判断されてしまい、結果としてトラブルが長期化するリスクがあります。

ですから転貸を承諾した契約者のあなたが「家主にバレた時に対応を考えればいいや」とのんきに考えているのであれば、それは大きな間違いです。

ハッキリ言っておきますが、転貸の事実を知った家主の行動は素早いです。

何しろ転貸をしていた契約者に対して「対応が遅れる」「ちょっとでも隙を見せる」は、家主にとってデメリット以外何もないのです。

だからこそ転貸の事実を知った時点で家主は即行動に移します。

もちろんこの時にはマンションを管理している不動産会社だけでなく法律のプロである弁護士が同伴することもよくあります。

 

2-2. 契約の解除は民法でも認められている

民法612条第2項には、転貸をしていた賃貸契約者に対して「契約の解除をすることが出来る」と書かれています。

つまりあなたは、あなた名義で契約した賃貸マンションからの退去を命じられるというわけです。

しかも民法では「転貸して収益を得ていた場合」も同じく契約違反とみなし、契約の解除が出来るとなっています。

ですから「賃貸マンションで民泊」もこれに含まれます。

ちなみに民泊は分譲マンションでも問題になっています特に外国人客が利用する場合は近隣住人とのトラブルも起きやすく、「バレずに民泊」なんてことは不可能に近いです。

いずれにしても転貸は民法でも禁止されていますので、訴えられれば損をするのは契約者であるあなたになります。

 

3. まとめ

転貸を承諾する理由はいろいろあるでしょう。

でもそもそも賃貸マンションの契約は、契約者と家主の信頼関係の上に成り立っています。

転貸はその信頼を裏切ることになりますので、明らかな契約違反になります。

ですからどんなに頼まれたとしても、あなたが契約者であれば絶対に断るべきです。