賃貸マンションの浴室リフォームを大家に申し入れできる?

自分の中では納得して物件を借りたつもりだったが、いざ生活をスタートしてみるといろいろと気になることがでてくる・・・

なんてことはよくあることではないでしょうか。

特にほぼ毎日必ず利用するものなら、なおさらのはずです。

そんなときは、その部分を交換すれば問題は解決といいたいところですが、物によっては困難になることもあります。

一般的に水まわり関係のリフォームは大掛かりで、費用的にも負担が大きいイメージがあると思います。

そこで今回は、浴室のリフォームをする方法について考えていきます。

気になる箇所を借主が自由にリフォームすることはできるのでしょうか。

長年、不動産業に従事してきた宅建業の専門家でもある宅地建物取引士がみなさんの疑問にお答えします。

 

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1. 賃貸マンションの浴室リフォームを大家に申し入れできる?

「賃貸マンションの浴室リフォームを大家さんに申し入れできるのか?」と問われれば、答えは、「イエス」です。

ただし、大家さんが承諾するかどうかは別の問題になります。

もし、リフォーム費用を出すのが「大家さん」ということであるならば、「イエス」という確率は限りなくゼロに近いでしょう。

一方、もし大家さんがリフォームを承諾した場合には、どのようなことが考えられるでしょうか。

大家さんがリフォームを承諾した場合、以下のような可能性が考えられます。

リフォーム費用を大家さんに請求?

リフォームが民法上の「造作買取請求権」の対象になってくるものである場合には、みなさんは建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、大家さんに対しリフォーム分を時価で買い取るべきことを請求することができると定められています。

ただ、一般的なマンションの賃貸借契約の場合には、この規定は排除していることが多くなります。

本来、賃貸借契約においては、借主保護が優先されるため、貸主にとって有利な規定は無効になります。

しかしながら、この規定は一見借主にとって有利な規定に見えますが、逆の見方をすれば、家主が承諾しない限りは、リフォームをすることができないということにもなります。

ということから、この規定は一概には借主不利の規定とはいうことができないので、法律上排除することは可能となっており、実際に排除されている場合が多いのです。

退去時にリフォーム費用を請求される?

そしてもうひとつ考えられるのが、退去時に多額の費用を請求される可能性です。

なぜなら、賃貸借契約を締結した場合には、退去時には「原状回復」をしなければならないからです。

「古いものを新しいものに取り替えたのだから、価値は上がったはず。だから、元に戻さなくてもいいじゃないですか」というのは、あくまで借主の言い分です。

客観的に価値が上がったとは限りません。

したがってリフォームの結果、価値が下がったと判断されれば、多額の原状回復費用を請求される可能性もあるのです。

水周りは多額の費用が必要になりますので、このようなリスクをとることはおすすめできません。

修繕費となれば費用請求も

では、浴室のリフォーム費用を大家さんに請求することは、ほとんど不可能なので、多少壊れたとしてもガマンして使い続けなければならないのでしょうか。

そうとは限りません。

みなさんは、家賃を支払っているのですから、設備が壊れたりした場合には、設備の修繕を要求することができます。

さらには、家主がなかなか修繕をしてくれない場合などには、みなさん自身が修繕などの手配をすることも可能です。

この場合の修繕費は、民法的には「必要費」に該当する可能性が高くなります。

「必要費」とは、物の保存や管理に必要とされる費用のことを言います。

具体的には、雨漏りしている屋根の修理費用などが該当します。

そして、みなさんが「必要費」を支出した場合には、直ちに大家さん等に請求することができるのです。

ただ、今回のケースから考えていくと、必要費のケースにはならない可能性のほうが高いでしょう。

大家さんの承諾なしにリフォーム?

次に、大家さんからリフォームの承諾を得られなかった場合のことを考えてみましょう。

この場合、リフォームをしなければ問題は起こらないのですが、実際にリフォームをしてしまった場合は問題が起こります。

大家さんの承諾なしにリフォームを行うと、信頼関係の破壊による「賃貸借契約の解除」となる可能性があるのです。

大家さんの承諾がないにもかかわらず、大家さんの所有物を原状回復できない状態にすることは、契約解除の要件に該当するおそれがあると考えられるからです。

結論としましては、できる限り大家さんに事情を説明し、きちんと申し入れ、承諾を得た上で費用の負担や事後処理などを明確に決めるようにしましょう。

たとえば、みなさんが費用を全部出し、退去時には造作買取請求権も行使しないので、浴室のリフォームを承諾してほしいと申し入れれば、承諾してくれる大家さんもいらっしゃるかもしれません。

その場合には、口頭ではなく、しっかりと書面に残すようにしてください。

あとからトラブルになってしまえば、原状回復が記載された契約書を根拠に多額の原状回復費用を請求されることもありえます。

通常、みなさんが賃貸マンションを借りたときに、不動産業者などから、「現状有姿での賃貸借」という説明を受けているはずです。

現状有姿とは、「現在あるがままの状態」ということで、現状有姿での契約とは、いまある状態の物件の貸し借りを約束したということになります。

そして、家賃10万円の物件である場合には、みなさんがこの物件の現在の状態なら10万円の価値があると判断したので、契約を締結したということになります。

したがって、もし浴室のリフォームを大家さんに申し入れ、大家さんが承諾した場合、現在の状態とはちがう状態を希望するということですから、賃料が増額となるのが自然です。

2. 賃貸マンションの浴室を快適にするための工夫

大家さんの承諾が得られなかった場合には、リフォームすることはできませんので、ここからはなんとか浴室を快適にする方法を考えていきます。

もしみなさんが借りた物件がユニットバスである場合には、カーテンを自分好みにしてみるのはいかがでしょうか。

他にも、最近は浴室の壁に固定することができるポスター等も比較的安価で売られています。

ですので、そういうものを上手く使って自分だけのユニットバスルームを作ることが出来れば、そこは快適な空間に作り変えることができるのではないでしょうか。

浴室でどうしても気になることと言えば、冬の寒さ対策も重要ではないでしょうか。

当然、リフォームをして床暖房にすることはできませんので工夫が必要になります。

ユニットバスの場合であれば、シャワーを高めの位置から床等に当てることをお勧めいたします。

そうすることにより、浴室内がミスト状態になりますので、暖かさを感じることが出来ます。

他には、ユニットバスにお湯を張るときには、どうしても足元がメインになりますので、お湯の温度を少し熱めに設定しておくと良いでしょう。

普通の浴室の場合にお勧めしたいのは、床がタイル張り等で足元が寒い場合には、すのこ等を引くことによって、かなり軽減されます。

あとは、断熱パネルを貼ったりすると、熱が逃げなくなりますので、温度を保つことが出来ます。

こちらは、ジャンルとしては一応リフォームになるのかもしれませんが、貼るだけなので、そこまで大掛かりになることはありませんし、自分ひとりでも可能な方法です。

3. 賃貸マンションのリフォーム申し入れは難しい。部屋選びは慎重に!

みなさん、いかがだったでしょうか。

マンションの賃貸借物件において、浴室のリフォームは、やはり難しいといわざるを得ません。

気に入らないからといってすぐ引っ越すことになれば、またいろんな費用がかかることにもなってしまいますので、毎日使用する場所だからこそ、お部屋選びの際には、慎重になってください。