賃貸借契約書に書く住所は転居前か、転居後のどっち?

賃貸借契約書に書く住所は、契約前のものを記入するようにしましょう。

契約書の住所欄は必須で、うっかり転居先の住所を書かないよう注意が必要です。

加えて、契約時には住民票を提示する必要があります。

本記事では賃貸借契約書の借主の住所欄の記入方法と、契約時に住民票が必要な理由、住民票と契約書で住所が異なる場合はどうなるかについて解説します。

 

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1. 賃貸借契約書の借主の住所はどこを書けばいい?

賃貸借契約書の借主の住所は転居前のものを記入しましょう。

以下に2つの理由を述べます。

1-1.  まだ転居が決まっているわけではないため

賃貸借契約時は、まだ入居者の転居が決まっていません。

従って、契約書に転居先の住所を記入すると、余計なトラブルを招く恐れがあります。

契約時点では入居者は物件の取得が決まっているわけではなく住民票も前の住所から異動していません。

賃貸物件に入居する方は、前の住所から引っ越す形になります。

うっかり転居先の住所を記入してしまうと、貸主が入居者の前の住所を特定できません。

場合によっては住所不定や身元不明ではないかと疑われてしまうこともあります。

基本的に転居前と転居後の住所を書き間違えただけで契約を破棄されることは考えられませんが、貸主にいらぬ誤解を招かないように、契約書には転居前の住所を記入しましょう。

1-2.  住民票がまだ異動していないため

新しい賃貸物件に契約する際は、住民票が異動前であることがほとんどです。

引っ越しをすると住民票の異動がありますが、それは基本的に転居後に行います。

転居前に住民票を異動させてしまうと、まだ居住実態がないことで、手続きの不備が生じるおそれがあります。

住民票は借主の身元確認にも必要です。

身分証明書や住民票に元の住所などの個人情報が示されているため、入居者の実態と照らし合わせることで、なりすましを防ぎます。

賃貸借契約書に転居後の住所を入力すると、プロフィールを隠し通す意図があると貸主が考えることもありますので注意しましょう。

2. 賃貸借契約の際に住民票が必要な理由

賃貸借契約には住民票が必要になります。契約のプロセスがよくわからないなどの理由で住民票をうっかり忘れる人もいます。

住民票が必要な理由に加え、忘れた場合の対処法などの注意点を述べます。

2-1. 身元確認のため

賃貸借契約に住民票が必要な理由は、入居希望者の身元を正確に確認するためです。

基本的に入居者の氏名、生年月日、現住所 (転居前)、世帯主の氏名と続柄、戸籍、住民となった年月日、住民票の届出の年月日と従前の住所などを本人が申請書類に示した個人情報と照らし合わせます。

契約時には運転免許証などの身分証明書の提示も求められますが、住宅業界では、本人確認は身分証明書だけでは不十分とされています。

住民票に記載されている項目は氏名、生年月日、現住所以外は運転免許証に記載がありません。

住民基本台帳カードやパスポートなどの身分証明書でも入居者のプロフィールが本物と証明するには不十分です。

身分証明書は偽造を受けるリスクがあり、それで本人確認をするとなりすましを見破ることができません。

入居者が偽造した身分で生活している場合、予期せぬトラブルが発生し、入居を許可した貸主も責任を問われる可能性があります。

なりすましのリスクを未然に防ぐ意味でも住宅業界では、最も個人情報が正確かつ詳細に述べられた住民票があってはじめて入居者の本人確認ができると定められています。

2-2. 他の住人や物件の評判を守るため

住民票による本人確認は、身分を隠したり他人のなりすましで入居しようとする人から他の住人の安全や物件の評判を守るうえでも重要です。

身分を偽造したり、他人になりすます人は、反社会勢力であったり、 既に犯している犯罪があり警察のマークから隠れようとしているなどの事情を持った人がほとんどです。

犯罪者が間違って入居すると、他の住民にとっては脅威になります。

賃貸物件が逮捕現場になると 後々の評判に悪影響を及ぼしかねません。

重大事件になると賃貸物件にマスコミが寄り集まったり、事故物件扱いになるケースも考えられます。

以上のような事態を避けるためにも、住民票を使った本人確認は住宅業界で重要視されています。

2-3. 住民票を忘れた場合の対処法

住民票をうっかり忘れてしまうと契約の締結ができない可能性が高いです。

契約締結前にあらかじめ住民票を取得しておきましょう。

2-4. 住民票取得時の注意点

住民票を取得する際も、注意点があります。

住民票は市区町村の役所で取得できますが、役所は平日開いておらず、時間は午前8:30~午後5:00の場合が多いです。

余裕を持ったスケジュールで対応することが大切です。

住民票はマイナンバーなしが望ましいです。

マイナンバーは個人情報のなかでも重要な要素とされるため、プライバシーに対する過干渉を避けるため貸主からマイナンバー付き住民票の受け取りを拒否されるケースもあります。

仕事で忙しいなどの理由で住民票を取りに行く時間がない人もいるでしょう。

その場合は、親族や知人などを代理人として住民票を取ってもらうという方法があります。

この場合は市役所に委任状を発行し、本人の署名捺印を設けたうえで代理人が市役所に持参することになります。

市役所には夜間窓口もあり、電話予約で夜間に住民票を受け取ることも可能です。

郵送での取得も可能ですが、窓口で直接もらうケースに比べ、時間がかかるので余裕を持ったスケジュールで行動しましょう。

3. 住民票と賃貸借契約書に書く住所が違う場合

住民票と賃貸借契約書で記入した住所が異なる方もいます。

一人暮らしを始めたばかりの大学生や社会人の場合、住民票を実家から異動させないまま賃貸物件に暮らし、そこから別の賃貸物件へ引っ越すなどのケースも考えられます。

しかし、住民票と賃貸借契約書で住所が違うと、大家さんによっては不審に思い入居を断る可能性もあります。

住民票に示された住所と、現在住んでいる住所が異なるまま転居先と契約する場合は、事前に不動産会社に事実と理由を知らせておくと、混乱を未然に防げます。

上記のケースでも実家に住んでいた時期があるのは事実なので、契約書に最初から住民票には実家の住所を書けば良いと考える方がいるかもしれません。

しかし、それは避けたほうが賢明です。

実家での居住実態がない時期や、別の賃貸物件への居住時期が事後でわかった場合の余計なトラブルを避けるため、不動産会社に事前に住民票を移していないことを申告したうえで、契約書には現在の住所を書きましょう。

4. まとめ

賃貸借契約書に書く住所は、転居前のものにしましょう。

うっかり転居先を書いてしまうと、貸主を混乱させたり、身分偽造やなりすましを疑われたりします。

また、賃貸借契約の際は、必ず住民票を持参してください。

住民票は本人確認に必要です。

運転免許証やパスポートなどの身分証明書よりも詳細なデータがあるため、偽造した身分での入居を防ぎます。

これは犯罪者を入居させることで他の住人の安全や物件自体の評判に悪影響がおよぶのを未然に防ぐ目的もあります。

住民票と賃貸借契約書で違う住所を書くことになった場合は、事前に不動産会社に理由を添えて知らせておきましょう。