賃貸借契約書、印紙は必要?

契約のときの契約書などに添付する印紙ですが、具体的にどういうときに印紙が必要になるかを詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。

仕事では、この書類には印紙を貼るとか、契約金額がいくら以上なら印紙を貼ると覚えている人もいるでしょう。

ですが、正しく理解しておかないと、最悪罰金になる可能性もあります。ここで詳しく理解しておきましょう。

 

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1. 印紙とは?

1-1. 印紙は印紙税を納めるための証票を指す

一般的には印紙と略して呼ばれていますが、正確には収入印紙といい、切手によく似た形をしています。

収入印紙に印字された金額は全部で31種類あり、最低金額は1円から最高金額は100,000円まで分かれています。

1-2. 印紙税とは

印紙税とは、不動産等の譲渡契約書、請負契約書、保険証券、約束手形などの書類を作成した人や会社に課せられる税金になります。

収入印紙を購入した時点で税金を支払った意味になると思うかもしれません。

ですが、そうではなくさらに購入した収入印紙を書類に貼って消印をして、はじめて税金を支払ったと証明している意味になります。

1-3. 収入印紙はどこで買える?

収入印紙はどこに売っているのかというと、基本的には切手が売っている場所ならだいたい売っています。

切手というとまず浮かぶのは郵便局ですが、実はコンビニでも買えるんです。

ちなみに収入印紙は消費税が非課税ですので、コンビニで買っても消費税はかかりません。

購入時に必要な金額を伝えれば、基本的には最低の枚数で買えます。

1-4. 収入印紙の使用方法

該当する契約書等の書類に添付し、書類と収入印紙の彩紋に消印(割り印)をします。

または、印章の代わりに署名でも代用できます。

印章の種類は別にこれでなくてはならないと指定されているわけではなく、氏名や会社名などが分かれば、ゴム印でも可能となっています。

消印は、最低でも書類作成者の誰か一人がすればよいという風になっています。

もし契約書のような書類で甲と乙の双方で作成する場合、消印の押し方としては、収入印紙の左側に甲の印章、右側に乙の印章を押すのが普通です。

ですがこれは法律では決まっているわけではありませんので、これを守らなかったからといって無効になるわけではありません。

ですが、消印を忘れた場合や正しい方法で消していない場合は、収入印紙としての効果がなく、つまり納税をしていないと見なされてしまいます。

そうなると、再度同じ金額を支払わなくてはいけなくなります。要するに全部で2倍の金額を支払う必要があります。

これは法律で決まっていますので、覚えておきましょう。

2. 賃貸借契約書における印紙について

賃貸借契約書を作成する場合、印紙が必要になるかどうかは、契約の対象となっているものによって変わってきます。

実際にどんなものなら必要になるのでしょうか。

2-1. 収入印紙が不要の場合

賃貸借契約書が建物に対しての物なら収入印紙は不要になります。

昔は課税の対象になっていましたが、平成元年に改正された印紙税法によって、非課税になりました。

国税庁は賃貸借契約書に書いてある敷地面積も、建物の扱いになるため収入印紙は不要としています。

2-2. 収入印紙が必要な場合

しかし、賃貸借契約書の対象が土地や地上権の場合は収入印紙が必要になります。

国税庁のホームページにある、印紙税額に書かれている表の1の2に、例として「土地賃貸借契約書」が挙げられています。

建物は非課税になったのに、土地だけ課税対象になるのは変ですが、現在の法律ではそういう扱いになっています。

3.  駐車場の賃貸借契約書について

駐車場の賃貸借契約書は、土地に関係していますので、収入印紙が必要になるのではないかと思われがちですが、これは借りる駐車場の形態により異なってきます。

もっと具体的に言うと、収入印紙が必要になるかどうかは、それが駐車場の用途として使うただの土地か、しっかり駐車場としての機能を果たしているかどうかによります。

具体的に、必要な場合と必要ない場合をそれぞれ見ていきましょう。

3-1. 収入印紙が必要な駐車場とは?

ほとんどの場合、駐車場の賃貸借契約では収入印紙は必要ありません。

ですが、唯一課税対象になる場合として、それが駐車場としての機能を持っているのかというところが挙げられます。

駐車場ではなく、ただの土地だと見なされれば課税対象になってしまいます。

では、どのような基準で駐車場と判断するかですが、それは後述します。

3-2. 収入印紙が不要な駐車場とは?

建物や施設の賃貸借契約書は非課税となりますから、その駐車場が設備と見なされるなら、非課税となります。

ですから、わかりやすい例で言えば、駐車場として賃貸借契約を交わす物件が車庫なら非課税となります。

また、屋根や車庫などがない、いわゆる青空駐車の場合でも、駐車場として運営されている一つのスペースを対象に賃貸借するならば、それは駐車場と言えますので、非課税になります。

そして、駐車場と似たものに車を預ける寄託契約というものがありますが、これは駐車場を借りる契約というよりは、車を預ける契約になりますので、そもそも課税の対象外となっています。

3-3. 駐車場として機能しているかをどう判断するの?

先ほどの、どうやってその場所が駐車場だと判断するのかですが、ただの更地になっている土地を「ここは駐車場だ」と言い張っても、それが認められるのは難しいでしょう。

少なくとも、アスファルト舗装や砂利を敷くなどして、さらに白線を引くなどして駐車スペースであると明確にしておくべきです。

誰が見ても駐車場だと分かれば駐車場だと言えるでしょう。

4. 賃貸借契約書の印紙税額は?

4-1. 賃貸借契約書における印紙税額表

賃貸借契約書の印紙税額は、契約書に記載されている契約金額で、その印紙税額に違いがあります。

1万円未満のもの、つまり0円~9,999円までは非課税となり0円です。

  • 10,000円~100,000円 200円
  • 100,001円~500,000円 400円
  • 500,001円~1,000,000円  1,000円
  • 1,000,001円~5,000,000円  2,000円
  • 5,000,001円~10,000,000円 10,000円
  • 10,000,000円~50,000,000円 20,000円
  • 50,000,001円~1億円 60,000円
  • 1億円~5億円  100,000円
  • 5億円~10億円 200,000円
  • 10億円~50億円  400,000円
  • 50億円を超える場合  600,000円
  • 契約金額の記載なし  200円

4-2. 印紙を貼り忘れた、貼らなかった場合どうなるの?

場合によっては印紙を貼り忘れたり、貼らなかった場合があると思います。

こういう場合、契約書はどうなるのかというと、特に問題はなく契約の効力はあります。

ですが、決められた収入印紙を添付していないというのは、税金を納付する義務を怠ったと見なされますので、過怠税を支払わなくてはならなくなります。

過怠税は、納付するはずだった金額と、その2倍の金額を合わせて支払わなくてはいけません。

つまり当初の税額の3倍の金額を支払うことになります。決まった形式の契約書などでは、あらかじめ印紙を貼り付ける欄を作成しておけば、貼り忘れは防止できます。

税金逃れのために意図的に貼らないなどは、デメリットのほうが大きくなりますので、課税対象になっている書類に関しては、必ず収入印紙を添付するようにしましょう。

5. まとめ

課税対象になるかどうかは、税理士でも判断に迷ったりする場合もあるので、それだけ難しいものだとも言えます。

ですが、自己判断で非課税と思っていたら、実は課税対象の書類だったとなったら、3倍の罰金を払わなくてはいけなくなります。

判断が難しいものに関しては、専門家の意見を求めるのも方法の一つです。