賃貸の原状回復の範囲はどこまで?【エアコン編】

賃貸住宅には、「あらかじめ設備にエアコンが付いている物件」と「エアコンが付いていない物件」があります。

あらかじめエアコンが付いていない物件にエアコンを取り付けた場合、退去する時には原状回復をする必要があります。

ただエアコンの原状回復となると、どの範囲までが自己負担になるのか気になりますよね?

そこで今回は賃貸でエアコンを取り付けた場合、退去時の原状回復の範囲について分かりやすく解説していきます。

 

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1. 賃貸の原状回復の範囲はどこまで?【エアコン編】

賃貸住宅を契約した入居者は、その部屋を退去する際に入居時と同じ状態に戻す義務があります。

これを一般的に「原状回復」といいます。

原状回復といってもいろいろなケースがあります。

エアコンの場合は、取り付けとなると大掛かりな工事が必要で、入居時の建物に大きな変更を加える必要があります。

たとえば、室外機と室内機をホースでつなぐために壁に穴をあける必要がありますし、室内機を壁に設置する場合も固定のためにビス止めなどが必要になります。

そのため、エアコンの現状復帰となると、一般に借主であるあなたの負担はかなり大きいと考えておく必要があります。

1-1. 貸主負担になるもの

あらかじめ設備としてエアコンが備え付けられている場合

最近の賃貸住宅では、あらかじめエアコンが設備として備え付けられている場合があります。

この場合、設置および管理の責任は貸主である大家さんにあります。

ですからあなたが退去するにあたってエアコンを撤去するということはありません。

もちろん原状回復の必要もありませんので、費用も発生しません。

設置時に大家さんに許可を取っていた場合

エアコンを設置する場合、原則として大家さんの許可が必要です。

これは「設備にない物を新たに部屋に設置する」からです。

とくにエアコンの設置工事となると、壁に穴をあけたり、室内機の設置のために壁にビス止めをする必要もあります。

このような工事を行う場合は、原則として大家さんの許可が要ります。

この原則に従ってエアコンを設置した場合は、原状復帰であなたの負担が軽くなる場合があります。

また、契約次第ですが、退去時にあなたがエアコンの買い取りを大家さんに申し出ることで、撤去の必要がなくなり、撤去費用や原状復帰の費用を負担する必要がなくなる可能性もあります。

大家さんが買い取りに応じない場合もある

入居者が取り付けたエアコンでも買い取りの請求があれば大家さんはそれに応じる場合があると言いましたが、買い取ってもらえない場合もあります。

賃貸契約をした時に「賃貸借契約書」というものがありましたよね? この中にはさまざまなルールが書かれているのですが、それに加えて「特約」と書かれた項目もあります。

契約書の「特約」の中に「入居者が入居後に取り付けた設備の買い取りには一切応じない」という内容が書かれている場合があるのです。

この場合は、あらかじめ「買取しない」という条件付きで大家さんとあなたは賃貸契約をしているのですから、大家さんはエアコンの買い取りに応じません。

つまり入居者であるあなたには、自分で取り付けたエアコンの撤去費用だけでなく原状回復にかかる費用も負担しなければいけないのです。

1-2. 借主負担になるもの

自分でエアコンを購入・取り付けを行った場合

大家さんの許可を取って自分でエアコンを購入・取り付けを行った場合、退去する時には取り付けたエアコンの撤去と取り付けによってできたキズや穴の修復にかかる費用(原状回復費用)を負担する必要があります。

単にエアコンを撤去するだけであれば「取り外し工事のみ」なのですが、もと通りにするための原状回復工事はこれに含まれません。

原状回復のために必要となる作業としては、「ビス穴の修復作業」「壁紙の張替え作業」があります。

ただしエアコンの室内機と室外機をつなぐホースのために、壁には穴があけられていますよね? この穴をふさぐためには専用のキャップが必要です。

このキャップの購入費も、エアコンの原状回復にかかる費用に含めて考えます。

入居時に設置されていたエアコンの場合

入居時に住居の設備としてエアコンが設置されている場合には、撤去は不要ですから、撤去費用も必要ありません。

ところが、契約書の「設備に関する項目」にエアコンが含まれていないのに、入居した時点でエアコンが設置されている場合があります。

住居の設備ではないのに、エアコンが設置されているケースです。

前の住人が使っていたエアコンを取り外さないで、そのまま転用しているのだと考えられます。

この場合は「大家さんに相談してみる」がポイントです。

前の住人のエアコンがあなたの入居時に部屋に設置されていたということは、「前の住人が大家さんにエアコンの買い取り請求をし、大家さんもそれを承諾した」という可能性が考えられます。

そうであればあなたが同じように買い取りを請求した場合、大家さんがそれに応じる可能性もあります。

ただしエアコンだって寿命があります。

前の住人が買い取りを依頼した時点とあなたが依頼する時点では、エアコンの状態にもかなりの差があるはずです。

エアコンの劣化がひどいのは当然あなたが依頼した段階の方ですから、大家さんが前の住人の時と同じように買い取ったとしてもすぐに修理・取り換えが必要になる可能性もあります。

このような場合は「設備についていないものなので、撤去して原状回復してください」といわれることがあります。

このように大家さんから申し出があった場合、エアコンは設備として含まれていないのですから、あなたが撤去費用・原状回復にかかる費用を負担する必要がでてくる可能性があります。

2. 賃貸のエアコン修繕費用の相場

エアコンの撤去工事

エアコンの撤去工事にかかる標準的な費用は、1台当たり5000円前後と言われています。

ただし、エアコンの撤去工事費用は、業者や時期によって変わることも特徴です。

エアコンの取り付け・撤去の繁忙期には、1台当たり2~3万円かかる場合もあるのです。

さらに希望する日に工事予約が取れないこともあります。

そこで、引っ越し業者のオプションサービスとしてエアコンの撤去工事を依頼する人が増えています。

引っ越し業者のオプションサービスの場合も、費用は1台5000円前後と言われています。

ただし、繰り返しになりますが、撤去工事費用は時期や業者によっても相場は変わります。

少しでもコストを抑えたいのであれば、数社から見積もりを取って、比較したうえで依頼する方が良いでしょう。

ビス穴の修復工事

エアコンを取り付ける時に壁についたビス穴は、退去時に原状回復する必要があります。

相場は2~3万円と言われますが、複数個所の修復が必要な場合は5万円以上請求される場合もあります。

壁紙の張替え工事

エアコンを取り付けていた部分の壁紙には、どうしても設置のあとが残ってしまいます。

日焼けなどによって色が変わってしまうこともありますし、ビス穴の修復によって壁紙の張替えが必要になることもあります。

この費用は使用されているクロスの素材や値段によっても前後します。

一般的にクロス張替えの工事費用は「一㎡あたり○○円」という方法で単価表示します。

賃貸住宅に使われている壁紙は量産品が多いですので、壁紙の張替え費用も含めて1㎡当たり1000円前後が相場と言われています。

3. 賃貸退去時のエアコン修繕でよくあるトラブル

設備に含まれていないエアコンが備え付けられている場合

契約書の設備項目に「エアコン」が含まれていない場合には、退去時にトラブルになるケースがあります。

本来であれば前の住人が撤去して原状回復するのですが、あなたが入居した時点で備え付けられている場合は「正式な設備ではないけれど、あなたがそのまま利用するのであればどうぞ使ってください」という意味でとらえなければいけません。

つまり「使う」「使わない」はあなた次第であり、入居時に撤去の申し出をしていないのであれば、入居後のエアコンの管理責任はあなたに移ります。

そのため退去をする時に撤去を求められることもあります。

こうしたトラブルが起きやすいのは、賃貸契約時に「設備に関する項目」をきちんと確認していなかった場合です。

きちんと確認していれば、設備の欄にエアコンが含まれていないことに気が付くはずです。

その時点で「退去する時には私が撤去の負担をしなければいけない」ということがわかります。

でも入居の時にエアコンが部屋に設置されているのを見てしまうと、「このエアコンは設備の一部である」とあなた自身が思い込んでしまっている可能性があります。

この場合は「設備として取り付けられているのだから、原状回復の時に費用の請求はないだろう」と思うはずです。

もちろん設備としてエアコンが設置されている時には、撤去費用などは掛かりません。

ただし設備に含まれていない場合は、撤去と原状回復の義務があります。

そのためエアコンに関するトラブルは、「設備として含まれていないエアコン」の場合によくおこります。

4. まとめ

部屋を退去する時には、原状回復をするのが入居者の義務です。

ただし「どこまでの範囲を入居者が負担するのか」についてはあいまいな点が多く、トラブルになることもよくあります。

退去手続きになってイヤな思いをしないためにも、賃貸借契約書の内容をよく確認することが大事です。

とくにエアコンに関しては「設備に関する項目」だけでなく「特約」に書かれている内容もきちんとチェックするようにしましょう。

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