1Kは、キッチンと居室という最も小ぶりな、主に単身者向けの間取りです。
玄関を開けたらすぐキッチンで、その奥にお部屋が続いているという造りが最も一般的ですね。
そんな1Kで、1人暮らしならまだしも、カップル2人での同棲生活は可能なのでしょうか?
何とも手狭で住みにくそうに思えるこの1Kでの同棲ですが、実はインテリアのちょっとした配置や工夫により、意外と不自由なく2人で暮らせたりするものなのです。
このページでわかること
1. 1Kの同棲におすすめインテリアのレイアウト例
ではこの慎ましい居住空間の中で、どのようにお部屋をレイアウトすれば空間を最大限に活用でき、2人がストレスを感じずに過ごすことができるのでしょうか?
キッチン、リビング、寝室の3要素に分けて、それぞれを見ていきましょう。
1-1. 例①「キッチンのレイアウト」
1Kは居住空間のコンパクトさに合わせて、キッチンの作りも必要最低限になっています。
お料理をあまりしない1人暮らしなら、そんなにこだわりはないかもしれませんが、同棲ならやはりどちらか、もしくは2人でお料理を楽しみたいものですよね。
お料理をする人が不自由なく、しない人にとってもゴチャついて見えないキッチンを作るコツは、ズバリ以下の2点です。
・すでにある収納を最大限に活用する
限られたキッチンスペースを美しく見せるためには、すでに備わっている調理台下や上部の収納スペースを最大限に利用することです。
まずは、シンク・調理台下の収納を殺さないことを意識します。
ここで登場するのが、「伸縮式ラック」「ファイル立て」と「ボックス」です。
伸縮式ラックは、ちょうど台下の収納の高さいっぱいまで伸ばします。
ここに調理器具を置いたり、細々とした物があれば、小型のボックスを置いてその中にしまいます。
また醤油や油など、高さのある調理器具・調味料などはファイル立てに入れて置いておけば、無駄なく収納でき、しかも取り出しやすくなりますよ。
このように、デッドスペースになりがちな上下の空間をうまく活用することが、スペース利用の基本となります。
次に中段の引出しですが、こちらは様々な形状のボックスを中に配置して、徹底的に間仕切りしましょう。
「引出しに、さらにボックスを入れて意味あるの?」と思われるかもしれませんが、収納する物の形状にあった大小様々なボックスは、物理的にも心理的にも、スッキリとした仕切りを作ることができるので大変便利です。
特にキッチン周りの品は、形状にバラツキが多いものです。
例えばお箸のような細長い形状のものから、箸置きのような細かいもの、ずんぐりとした調理器具…こういった形状の特徴ごとにまとめてボックスに収納することが、見た目にも機能性にも効果を発揮するのです。
・壁掛け収納を用いる
続いてメインの調理台ですが、こちらは塩・胡椒などの第一線で活躍する調味料だけを置く小さなトレーのみを配置します。
もしその他にダシの素やスパイスなどを使用する場合は、すぐ正面・横の壁に壁掛け収納を設置し、そこにしまっておきましょう。
この時壁掛け収納は、洗いやすくシンプルなデザインの布製がおすすめです。
「壁」というのは、ワンルームでは特に積極的に活用したいデッドスペースの一種なのです。
1-2. 例②「リビングのレイアウト」
2人の活動・食事・くつろぎの場であるリビングですが、こちらの配置が間違いなく最も苦戦することでしょう。
2つ以上の個室のある2DKなどとは違い、物理的には1Kでは2人が常に顔を合わせている状態で、いくら仲が良くてもかなり気を配ることになるので、お互いがリラックスできるようなレイアウトを考えなければなりません。
2人の趣味や生活スタイルにもよるので、コレという正解はありませんが、いくつかのリビング設計のコツをご紹介します。
・収納家具は1つか2つ
1Kはお部屋の収納スペースが極端に少なく、ここに同棲となると、つい焦って、棚などの収納家具をかき集めてしまいがちです。
しかし、同棲では間違いなくこれがアダとなります。
収納家具は、物理的には大容量収納できるので便利に思えるかもしれませんが、実際にはかなりの圧迫感を生活空間に与えてしまうことになるのです。
キッチンの項でも少し触れた通り、1Kではいかにデッドスペースを有効活用するかがポイントです。
大きな収納家具に頼らず、ボックスやファイル立てをどんどん活用していきましょう。
具体的には、テーブルやソファなど大きな家具の足元や、ラックの最上部などの目につかないスペースに、小さなカゴをたくさん配置したり、その他壁掛け収納なども1つあると、ちょっとした物をしまうのに便利ですよ。
・家具は部屋の形状に合わせる
リビングに置きたい家具としては、ソファやテーブル、TVとTVラックなどがあると思われますが、いずれの家具も先入観にとらわれず、様々な形状があることを再認識しておきましょう。
全体的なポイントとしては、天井の高さに家具の高さを比例させることです。
例えば天井が比較的低いお部屋には、カーペット+足なしのローソファ(クッション)、折りたたみ式ローテーブルなどが良いでしょう。
天井に比較的余裕がある場合は、足のしっかりしたテーブルにソファもしくは椅子といった具合です。
このようにお部屋の高さに合わせて家具を選ぶと、すっきりと心地よい生活空間を演出できますよ。
あくまで一例ですが、天井が高い場合はロフト型ベッドを置いて、その下部分のスペースにソファを置くのも良いかもしれません。
またリビングに使うテーブルは、スペースに余裕があれば伸長式テーブルを用いるのもおすすめです。
これだと、人数や用途によってテーブルの長さを自在に調節することができますね。
高さを意識すると同時に、家具のデザインを部屋の縦横の形状に合わせることもポイントの1つです。
例えば縦長の1Kの場合、部屋のラインをシャープに見せるために家具のデザインも細長いものにして、両側の壁際に配置します。
一方、ほぼ真四角の形状をしたお部屋の場合は、中心にローテーブルを置いてむしろ狭さを親密さに転換させるか、もしくは壁際にソファをL字型に配置して、部屋の中心の空間を広めに見せると良いでしょう。
・空間をさりげなく仕切る
1Kでは1部屋しかないので、空間にメリハリを持たせることが困難になってきます。
くつろぐ所、寝る所、活動する所など、どうしてもそれぞれの空間の感覚を持たせたい場合は、観葉植物や収納家具を使って、それとなく間仕切りをすると良いでしょう。
1Kでは間違いなく、鉢植えなどの観葉植物が良いのですが、これは背の低いローシェルフや奥行きの空いたオープンシェルフなどでも代用可能です。
後者のように収納家具を間仕切りの役割に利用する方法は、収納も増やすことができるので一石二鳥なのですが、くれぐれも背の低いものかオープンタイプのものを使用し、できる限り圧迫感が出ないよう注意してくださいね。
・カーテンは長めのものがおすすめ
カーテンですが、こちらは可能であれば、天井から床までスッポリとカバーできるものをかけるのがおすすめです。
こうすることにより、天井から床までを意識させ、上下の高さを心理的に大きく見せることができます。
色味については後でも触れますが、圧迫感を与えないよう、淡いブルーなど引込んで見える「寒色系」を取り入れるのが良いですね。
1-3. 実例③「寝室のレイアウト」
3つ目に寝室のレイアウトですが、こちらは何といってもベッドの種類と配置が全てです。
まずベッドの種類についてですが、こちらは寝室の収納スペースの有無が第一基準となります。
お部屋全体として、収納が足りていない場合には収納付きのベッド、もしくは高さのあるベッドを選んでその下にバスケットを配置します。
収納に事足りている場合は、できることなら足なしのロータイプベッドを配置した方がリラックス感が出るでしょう。
後者については敷布団でも良いかもしれませんが、この場合布団の下にマットレスを敷くとより快適度が増しますよ。
また少しおしゃれに演出したい時は、運搬などに用いる木製の「パレット」や、その代用としてコルクマット・すのこなどを敷くと、また違った味を出すことができます。
もし天井が高く部屋の奥行きが狭い場合は、前述のロフト型ベッドを用いるのも良いでしょう。
次にベッドの配置について見てみましょう。
1Kの場合、どうしても壁際になることが多いかと思われますが、2人の起床時間が違う場合、必ず壁側に出入りの遅い人が寝なければなりません。
寝起きにお互いストレスのないようにするためには、こういった位置関係に気を使うか、もしくはスペースに余裕があればツインベッドを置いたり、壁に頭側を向けて中央に配置し、どちらからも出られるようにするなどの工夫が必要になります。
2. 1Kに同棲するメリット・デメリット
さて、レイアウトの大まかなイメージができてきたところで、今一度1Kでの同棲におけるメリット・デメリットをわかりやすくまとめておきましょう。
2-1. メリット
1Kは確かに最も狭いお部屋の間取りですが、実際住んでみれば案外その利点は多いものです。
以下にいくつかメリットを並べますが、その全てが逆転の発想、つまり狭さをポジティブに捉えたものなのです。
・親密な雰囲気が生まれやすい
同棲にとって、これは最も大きなポイントとなります。
コンパクトな間取りを選ぶことにより、2人の間に親密な空気が生まれます。
特に恋人同士の同棲という段階で広すぎる間取りを選ぶと、同じ空間にいながらにして、かえってよそよそしさが漂いかねません。
・収納上手→細やかな印象に
収納スペースの少ない1Kなので、その分ちゃんと整理整頓をしようという意識が生まれます。
ここで培う収納術は、これから先もそのまま活きてくる生活の知恵となりますし、要らないものを持たない習慣がつきます。
きっちり収納を施したり独自の技を用いると、そこには美しささえ生まれ、来客があっても感心されることでしょう。
・小回りがきく
お部屋がコンパクトなので、単純に小回りがきき楽です。
ちょっとした行動や物を取りに行くのも移動の手間が省け、欲しい物にすぐ手が届く感覚は、1Kならではの心地良さです。
2-2. デメリット
前項のような1K独自のメリットもありますが、もちろん物理的なマイナス面も否めません。
・同棲不可の物件が多い
そもそも同棲のできる物件が少ない、というのが1Kの一番のネックです。
他の条件を考えたり内見に行く前に、最初の段階で同棲可能なお部屋かどうか、しっかり確認をしておきましょう。
・収納スペースが少ない
少ない収納スペースを生かすも殺すも腕次第です。
ここで紹介したような細かなテクニックを利用したり、そもそも要るもの・要らないものを整理していきましょう。
そうしないと、あっという間にお部屋が雑然としてしまい、その分だけ充実した1Kライフは遠のいていくことでしょう。
・四六時中一緒である
いくら仲の良い2人とはいえ、ずっと同じ空間にいるというのは、どうしても気が滅入ってしまう時もありますよね。
恋人とはいえ1人の人間ですから、お互いに最大限の配慮を払うことはもちろん、先ほどご紹介したような間仕切りをしたり、後述の照明テクニックなどで雰囲気を変えたり、細やかにメリハリをつける努力は必要です。
3. 1Kにインテリアを配置するポイントと広く使うコツ
ここまで大まかな1Kでのレイアウトのポイント、1Kに同棲するメリット・デメリットについてお伝えしてきましたが、このあたりでもうひと押し、全体としてのいくつかのポイントをご紹介しておきましょう。
・色味を統一する
意外と軽視されがちなのが、色味の統一です。
家具を購入する時は、それ単体で吟味することになるので、どうしても派手なデザインになってしまいがちなのですが、必ずお部屋全体の中での一部分として見る習慣をつけましょう。
前半でも少し触れましたが、1Kではお部屋の基本色を、淡色系または寒色系に統一しましょう。
見映えのする赤や黄、オレンジなどの暖色系は、コンパクトな1Kでは想像以上に強烈で、圧迫感を生み出してしまいます。
メインの家具や収納ボックスの色味は、壁や床の色に合わせて白やベージュ、茶色などにしましょう。
カーテンや壁掛け収納その他は、ブルーなどの寒色系にしておき、ここぞというちょっとしたアクセントとして赤やオレンジなどの色のインテリアを添えると、センスの良いお部屋に仕上がりますよ。
・デッドスペースの活用、収納付き家具を用いる
何度もしつこく重ねますが、1Kに2人が住むには、とにかくデッドスペースを上下左右に活用していきましょう。
家具の下や壁などに収納グッズを置いておくのはもちろん、すでにある収納も伸縮式ラックやボックスで、どんどん間仕切って行きます。
コツは大きな箱をドンと置くのではなく、キッチンもそうですが、物の形状に合わせて細かくたくさん分類することです。
クローゼットや押入れの中は、突っ張り棒・伸縮式ラック・ファイル立てを使って、縦横にスペースを分けます。
最も大きな収納スペースには何かと物を突っ込んでしまい、どうしても使い方が大雑把になりがちです。
そうならないために、上部に突っ張り棒を使って衣類などをかけ、その下はラックやボックスで区切って収納場所を設置すると、見事な収納空間の出来上がりです。
生活空間の方は、収納家具ではなく収納「付き」家具をできるだけ用います。
ソファやベッドなどを収納付きにしない手はありません。
特にソファの方は、大容量の収納を備えたデザインの物が多く販売されており、ローデザインを使用しない場合は、とにかくここでスペースを稼ぐようにします。
・照明の活用
最後に忘れがちなポイントが、照明という重要な要素です。
天井からの光も大切なのですが、ここでお話ししたいのは、ライトスタンドやフロアライトなどの間接照明です。
特に1Kというコンパクトな空間では、フロアライトの設置を強くおすすめします。
1Kは、どうしても生活空間にメリハリをつけることが難しいのですが、夜間にこのフロアライトを使用するだけでも全く印象が変わってきますよ。
昼の活動と夜の休息の間である「ゆったり」とした時間を作ること、これが同棲を円滑にする秘訣です。
ライトには色々なデザインがありますが、個人的におすすめなのは、バスケット風(編みかごタイプ)のアジアンテイストのものです。
昼間の圧迫感を抑えるために、1Kのお部屋はどうしても単調なデザインに設定されているので、この時くらいは一味違ったムードを演出したいものです。
4. 1Kの同棲におすすめインテリアのレイアウト例まとめ
いかがでしたでしょうか?
1Kでの同棲を想定したインテリア調度・配置についてご紹介してきました。
1Kという小ぶりなスペースは、どうしてもそのワードから狭苦しい印象を持たれがちですが、工夫次第でどうにでもなり、むしろコンパクトさを有効活用できる例さえあります。
今回ご紹介したような、ちょっとしたテクニックをふんだんに活用し、1日の流れを想定したお部屋作りをしましょう。
朝起きてから夜寝るまで、2人の生活スタイルを考慮しながら、できるだけ鮮明にそのお部屋での生活をイメージしておくことが、最適な生活空間のデザインに直結します。
是非、積極的に工夫を凝らし、2人だけのアイデアあふれる空間を創造していってくださいね!





