3DKの退去費用の相場とトラブル一覧

賃貸の部屋を借りた場合、部屋を退去するときには元の状態に戻さないといけません。

そのとき、壁紙の張替えや畳の表替えなど、部屋を元に戻すための費用が発生します。

部屋を退去するときにお金がかかるのは、一般的に良くある話なのですが、費用がかかりすぎるとトラブルに発展しやすくなります。

誰の責任なのか、どこまでが許容範囲なのかをはっきりさせておけば良いのですが、そうでない場合はトラブルになって、長期間にわたって揉めることもあります。

トラブルにならないためには、事前にその原因を知っておくことが必要です。

そこで、この記事では3DKの退去費用の相場やトラブルについて紹介していきます。

1. 3DKの退去費用の相場はいくら?

まずは、3DKの退去費用の相場を紹介していきます。

基本的には部屋が広くなればなるほど、専有面積が大きくなればなるほど、退去費用は増えていきます。

それでは3DKの場合の退去費用は、具体的にいくらになるのでしょうか?

賃貸物件の退去時の費用は、大きく分けて3つ挙げられます。

① 部屋の原状回復費用

② 退去月の家賃の日割り分(もしくは1ヶ月分)

③ 滞納家賃の精算

です。

②については、家賃の額で大きく変わってきますし、③は基本的にはない場合がほとんどなので、今回は除外して①の「原状回復費用」だけで考えていきます。

部屋の原状回復費用と言っても、きれいに使っている人と、雑に扱っていた人とでは部屋の汚れ具合が違うので、一概にいくらというのは難しいことが多くなっています。

また、長年住んでいた場合と、1年程度など比較的短期間で退去する場合とでも、原状回復費用には大きな差が生まれることがあります。

そこで、比較的差が生じにくい室内クリーニングの費用をもとに考えてみます。

室内クリーニングはだいたい契約書に書かれていて、借主の負担になることがほとんどです。

室内クリーニングの相場は3DKで、

  • アパート、マンション 50,000~90,000円
  • 戸建て        60,000~110,000円

ほどの金額になります。

これに、畳の表替えや壁紙の張替えなどの費用がプラスされていきます。

きれいに使っていて、修繕の必要がない人もいるので、そういった方はクリーニング費用の負担だけになることもあります。

2. 3DKの退去費用の内訳

3DKの退去費用は、先程紹介した①部屋の原状回復費用、②退去月の家賃の日割り分(もしくは1ヶ月分)、③滞納家賃の精算の3つがあります。

③の家賃滞納がないものとして考えると、実質的には、①の部屋の修繕費用と、②の退去月の家賃だけになります。

②の退去月の家賃に関しては、退去する日までの家賃を日割りで計算してくれる場合と、退去する日が何日であっても、その月は1ヶ月分の家賃がかかる場合があります。

後者の場合だと、たとえば3月2日に退去して、3月は2日しか住んでいないとしても、3月の家賃がまるまる1ヶ月分かかってしまって、かなり損な計算になりますね。

このあたりの計算はすべて契約書、もしくは重要事項説明書に書かれているので、今一度確認してみると良いでしょう。

損をしないようにするには、契約書で家賃の計算方法を確認して、月払いならなるべく月の後半で引越しをすることです。

3つの費用のなかでも、様々な費用が含まれている①の原状回復費用ですが、実際に一般的な費用の内訳を見ていきましょう。

・室内クリーニング代

室内クリーニングはほとんどの場合、賃貸借契約書に借主負担で行うこと、のような一文が入っていて、部屋を借りた人の負担になることがほとんどです。

これは、法律上借主がやらなければいけないこと、と決まっているわけではありません。

そのため契約するときに、大家さんの負担にしてもらうように交渉するのも一つの手段です。

空室の多いアパートでは、退去時のハウスクリーニング費用は発生しないというところもあります。

・畳の表替え

洋室しかない家には関係ないのですが、和室のある部屋では畳の表替え費用が発生します。

3DKの部屋だと、特に古いアパートやマンションの場合には和室があることも多いですね。

畳の表替えとは、畳の表面だけを張り替える作業です。

畳床を捨てて新しい畳を入れるわけではないので、比較的安く済む場合が多くなっています。

表替えをすると、畳は新品のようになります。

・壁紙の張替え

小さなお子さんがいて、壁に落書きをしてしまったなどという場合は、退去時に壁紙の張替えをする必要があります。

壁紙は汚れてしまった部分の箇所だけ張替える、というわけにはいかず、張替えるなら一面全部張替える必要があります。

そのため、大きな壁をちょっとだけ汚してしまい他の部分がきれいな場合でも、その一面はすべて張替えないといけません。

逆に狭い場所なら、その一面だけ張替えれば良いので、もしも汚してしまうならば広い面よりも狭い面の方が費用が安く抑えられます。

子供さんが落書きをしてしまう場合などには、なるべく狭い面にのみさせるようにし、広い面は汚さないように注意しましょう。

・穴の補修

故意に壁に大きな穴を開けてしまった場合は、穴の補修が必要になります。

通常、壁紙の下には下地と呼ばれるボードが入っているのですが、ボードまで穴があいている場合は、ボードを交換して、新しい壁紙を貼ることになるので、費用が高くなります。

・床の補修

重たいものをフローリングに落としてあいてしまった穴や、尖ったものを引きずってついてしまった傷などの補修です。

簡単なものなら補修ですむ場合もありますが、穴があいてしまっていたり、大きくへこんでしまった場合には、その箇所のフローリングを張替える必要がでてきます。

近年の賃貸物件に多い「クッションフロア」の場合、へこみや穴が比較的できにくいので、入居時にはクッションフロアの物件を探すようにするのも、退去時の費用を節約する方法のひとつです。

3. 退去費用が高い?!修繕費用の相場とは

修繕費用は意外と高いなと思うことがありますが、そんなときに相手に指摘できるように、相場を知っておくことは大切です。

ここでは具体的に、3DKの賃貸物件の退去費用相場を紹介していきます。

・3DKのハウスクリーニング

  • アパート、マンション 50,000~90,000円
  • 戸建て        60,000~110,000円

こちらはさきほど紹介したとおりです。

ハウスクリーニングは、室内が広くなればなるほど高くなるので、アパート、マンションなどのワンフロアの物件よりも戸建ての方が高くなります。

クリーニング費用とひとくくりに言ってしまっても、実際には様々な内訳の費用がかかっています。

部屋の貸主は、借主からは部屋全体をクリーニングするという名目でお金を受け取っていますが、その後のことはわからないので、もしかしたらきれいなお風呂は掃除しない、といったことをしているかもしれません。

多くの契約書には、クリーニング費用は「ハウスクリーニング一式」という形でまとめて書かれているのですが、本当ならもっと具体的に「キッチン清掃、トイレ清掃、全体窓拭き、床ワックスがけ」など、細かく書くべきでしょう。

もし気になるようなら、大家さんを追求すれば、クリーニング費用が安くなるかもしれません。

・畳の表替え 4,000~5000円

畳は、1枚4,000円ほどで表替えをすることができます。

この価格は比較的固定されていて、どこでも同じような金額だと考えられます。

もし異常に高かったら、誰かが中抜きしようと費用を上乗せしているかもしれません。

畳の表替えも、契約書に借主の負担になると書いてあることが多いようです。

和室は6畳の部屋が多いのですが、4,000円で6畳なら24,000円。6畳が2部屋あるなら畳の表替えだけで48,000円になります。

畳の表替えが借主負担になっている場合、これだけでもかなりの金額になるので、借りるときに注意が必要です。

・壁紙  1㎡ 800~1,000円

壁紙は㎡単位の価格になります。

きれいに気をつけて部屋を借りていれば、張替えの負担がない場合もあります。

4. 賃貸退去時の「原状復帰」ってなに?

原状復帰とは、借主が部屋を退去するときに、部屋を借りたときの状態に戻して返すことです。

この「借りたときの状態に戻す」という言葉が一人歩きして、大家さんと不動産屋はこの言葉を盾にして、過去にはは何でも借りた人の費用負担で補修していたような時代もありました。

しかし、実際には「借りたときの状態に戻す」には「通常使用による損耗は除く」という意味も含まれています。

たとえば、部屋の隅に家具を置いていたら、その部分だけ日焼けして、壁紙に跡が残ったという場合が考えられます。

これは明らかに通常使用なので、借主の負担ではありません。

壁紙が家具の日焼けをしないようにするためには、常にカーテンを閉めておかないといけないのですが、それは完全に普通の生活とは言えません。

通常の生活をしていれば、家具を部屋の隅に置くこともありますし、カーテンを開けて生活するので、壁紙に家具の形の日焼け跡ができることもあります。

そういった、通常使用の損耗を除いて借りたときの状態に戻すのが、本当の原状復帰です。

5. 退去費用でよくあるトラブル一覧

インターネットの普及や、不動産会社のコンプライアンスの徹底などにともなって、昔に比べると「原状復帰」を巡るトラブル自体は少なくなっている傾向にあります。

しかし残念ながら、トラブル自体が根絶されたわけではなく、現在でも退去時に大家さんや、大家さん側の不動産会社、不動産管理会社とトラブルになることがあります。

ここでは、具体的に生じたトラブルの例を紹介します。

・一面しか汚していない壁紙の全面張り替え

壁紙は一部しか汚していなくても一面張替える必要がありますが、一面だけ張り替えると、古い他の壁紙と色が合わなくなってしまうので全部張替える、といわれる場合があります。

これは、借主は一面だけの費用だけで良いのですが、大家さん側は壁紙の色が合わなくなったのは借主の責任だと主張して、全部張替えの費用を請求してくることもあります。

原則的には一面だけの負担でいいので、このような要求があった場合は注意しておいた方が良いでしょう。

・タバコのヤニで壁紙が変色した

タバコのヤニは借主負担が普通です。

タバコを吸うのであれば、換気扇の下で吸う、外で吸うなど気をつけて、壁紙が変色しないように注意するか、壁紙の交換費用の負担を覚悟した方が良いでしょう。

ただし変色する場合は、天井など通常では交換しないようなところまで交換しないといけなくなるので、費用は高くなりがちです。

そして費用が高くなったことに付け込んで、明らかにヤニによる変色ではない部分まで費用を請求しようとするような業者も中には存在します。

どの部分がタバコのヤニで汚れているのかといったことを、退去の手続きの前にひととおり確認しておくことが重要になります。

・不当に費用が高い場合

上記のようなことに気をつけていたにもかかわらず、それでも原状復帰費用が不当に高い場合は注意が必要です。

最近はネットで相場もわかるようになってきたので、以前に比べておかしな金額はなくなってきましたが、一部ではいまだに借主の無知につけ込んでくるケースもあります。

原状復帰の工事をするときに、大家さんや不動産の管理会社が費用に経費を上乗せしてくることがほとんどです。

工事を監督して、それぞれの業者に発注するという立場なので、多少の上乗せは仕方がないかと思われますが、中には常識的な範囲を超えた上乗せをしてくることもあるので、相場とあまりにかけ離れた金額が出てきた場合には、まずは理由を聞いてみてください。

6. 3DKの退去費用とトラブル事例まとめ

3DKの退去費用とトラブルについてご紹介してきました。退去費用に関するトラブルを避けるためには、

  • 退去費用は実際の相場と比較してみる
  • 明らかに不当に高い場合は理由を聞く
  • 特に壁紙の費用負担は範囲を明確にしておく

といった方法があります。

相手に確認しても納得のいく返事がない場合、あるいはうやむやにされてごまかされそうになってしまった場合には、消費者センターや、市町村の無料法律相談所に相談してみるのも一つの手です。

不当に高い料金を取ろうとする相手は、泣き寝入りを狙っている場合が多いので、自分が納得するまで交渉すると良いでしょう。