母子家庭になったために、住居を探さなければならなくなった時、どのような条件で物件を探しますか?
母子家庭になることによる一番の不安は、やはり経済面でしょう。
そのため、家賃を抑えたいという思いから、1Kの賃貸物件を検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、母子家庭の方が1Kの物件を選ぶ際の注意点や、受けられる支援制度をご紹介します。
このページでわかること
1. 1Kは母子家庭に十分な間取り?
1Kという間取りは、1つの部屋とキッチンからなる住居のことです。
1ルームの場合は、部屋の一角にキッチンが設置されているのに対し、1Kのキッチンは部屋との間に仕切りとなる壁やドアなどがあり、独立したキッチンスペースがあります。
1Kのキッチンは、一般的に4帖半以下です。
しかし、1DKにはあるダイニング、つまり1つの部屋とキッチンに加えて、食卓を置けるほどのスペースが1Kにはありません。
調理をするキッチンは部屋と分かれていますが、食べる部屋と寝る部屋は一緒になります。
それでも、1つの部屋の広さは物件により異なるので、その広さによっては母子家庭でも暮らせる間取りといえるでしょう。
ただし、母子家庭で1Kという選択を考える時に、同時に考慮する必要があるのは、子供の年齢と人数です。
子供が1人で、また小学生未満であれば1Kでも十分かもしれません。
けれども、子供は心身ともにどんどん成長します。
2人以上であれば窮屈さを感じるのはもちろん、1人でも思春期の年齢になると個室を必要とするでしょう。
家賃を安く抑えられるという面では1Kは良いのですが、長期間住むこと、子供が成長することを考えると、1DKや2DKで家賃の安いところに条件を変更して探してみるのも一つの方法です。
2. 母子家庭で1K賃貸に入居する時の注意点
1Kの賃貸物件というのは、基本的に単身者向けに造られているため、2人以上での入居や母子家庭での入居は断られる場合があります。
また、特に小さな子供がいる場合は、子供の声や足音などの騒音トラブルが起こることも考えられます。
どうしても1Kで考えたいのであれば、条件を1階部分や角部屋などに絞って探すなど、入居した後の近隣住民への配慮も考える必要があります。
2-1. 家賃目安
母子家庭で借りる部屋の家賃は、どのくらいを目安に考えれば良いのでしょうか。
賃貸物件への入居審査を通過するための家賃の目安としては、月給の手取りの3分の1ほどの金額に抑えるのが良いでしょう。
3分の1を超えると、審査に落ちやすくなってしまうからです。
またこの時、養育費の金額は除いて考えましょう。
さらに入居後の生活を経済面から考えると、家賃は2割近くに抑えられるのが理想とも言われています。
・マンション、アパートに入居する場合
一般的に、母子家庭は毎月の収入が少なく不安定と思われ、家賃の滞納につながる可能性が高いと判断されやすい傾向にあります。
そのため、賃貸マンションや賃貸アパートの審査に通りにくく、部屋を借りにくいのが現状です。
しかし、マンションでもアパートでも賃貸物件は様々あるので、母子家庭であっても入居審査に通過でき、部屋を借りられることも多々あります。
・公営住宅に入居する場合
公営住宅とは、各都道府県の市区町村などの地方公共団体が、公共住宅法に基づいて建設した、低所得者向けの賃貸住宅のことです。
種類としては、都営や県営、市営、区営などがあります。
敷金として家賃3か月分は必要になりますが、礼金は必要ありません。
地方公共団体によっては、敷金さえも不要なところもあるようです。
公営住宅は、各家庭の収入に応じた家賃設定になるため、マンションやアパートを借りるよりも、家賃がかなり安くなる可能性があります。
その仕組みもあって、入居の申込者は多く、抽選で当選するのが難しいという点が公営住宅の特徴の一つでもあります。
しかし母子家庭の場合、その当選確率を上げられる制度が存在します。
2-2. 入居に必要な審査項目
賃貸物件を借りるには、入居審査をクリアすることが必要です。
この際、母子家庭のシングルマザーであることはデメリットになりやすく、入居が難しくなる場合があります。
しかし、賃貸物件を契約することはもちろん可能です。
母子家庭の方が、賃貸物件に入居する契約をする際にチェックされる項目は、主に下記になります。
審査項目とポイントを押さえておきましょう。
1.職業や勤務先、家賃に対する年収
入居審査のうえで、職業や年収に関しては、家賃をきちんと払い続けることのできる安定した収入が確保できるかという点が最も重視されます。
母子家庭の場合は特に、収入が不安定で少ないと思われるため、収入があることを証明することが必要です。
基本的には、月給の手取りの額が家賃の3倍以上に達していれば、審査に通ると言われています。
2.連帯保証人
連帯保証人とは、万一家賃が払えなくなった場合に、代わりに家賃を支払ってくれる人をいいます。
その人物が誰になるかも重要な点です。
連帯保証人は、近しい親族であるほど信用性が高まります。
また連帯保証人がいることは、大家さんにとっても家賃の滞納リスクが減るので、入居を認めやすくなります。
しかし、連帯保証人を頼める親族がいない家庭もあるでしょう。
その場合でも、連帯保証人が不要の保証会社を利用することで、部屋を借りることが可能になります。
3.人柄や見た目
人柄や見た目から与える印象も大切です。
入居後にトラブルを起こさないかなどは、入居前の段階での人柄の良さや見た目から受ける印象により、その信用性が左右されます。
4.子供の年齢
母子家庭での入居審査において、一般的な賃貸審査に加えられる審査項目が、子供の年齢です。
子供が中学生以上の年齢であれば審査に通りやすくなりますが、小学生以下では、年齢が幼ければ幼いほど審査に落ちやすくなります。
幼い子供の夜泣きや声、足音をはじめとした騒音からトラブルが起こる可能性が高いことがその理由です。
3. 母子家庭の入居費用に関する支援制度
新しく部屋を賃貸して入居する際には、初期費用がかかります。
結論から言うと、家賃の約4~5か月分の費用になるのです。
敷金や礼金、場合によっては仲介手数料も必要になります。
また、火災保険料や保証料などで、合計の初期費用が家賃の4~5か月分かかるのです。
さらに、これに引越し費用も加わってきます。
母子でこれから生活していくことを考えると、入居費用もできることなら抑えたいものですが、この費用に関する支援制度はあるのでしょうか。
結論としては、入居費用を直接支援する制度はありません。
しかし、母子家庭の方が受け取れる手当や助成金による生活の支援制度はいくつもあります。
手当には、児童扶養手当や児童育成手当があります。
また、医療費助成や就学援助、母子家庭自立支援給付金というものもあるのです。
さらに、住居に関する支援もあります。
それは住宅手当や、公営住宅への優先入居などです。
ここでは、児童扶養手当と住宅手当、公営住宅への優先入居についてご紹介します。
3-1. 児童扶養手当
児童扶養手当とは、母子家庭および父子家庭を対象として国が支給を行っている制度です。
0歳から18歳に達して、最初の3月31日までの間にある年齢の子供を対象として支給されます。
児童扶養手当の支給金額は、児童手当と同じく所得や扶養人数によって異なります。
支給区分は「全額支給」「一部支給」「不支給」の3区分です。
全額支給になった場合、子供が1人のケースは月額4万2千円、2人のケースは4万7千円、3人目以降は1人増えるごとに月額3千円が増額されます。
一部支給の場合は、一部支給の手当月額計算式が用いられ、それにより支給額が計算されます。
児童扶養手当は、母子家庭になったからといって、地方公共団体から案内が送られてくるわけではありません。
自身で調べて、自ら申請する必要があります。
少しでも暮らしやすい環境にするためにも、早めに申請するのが良いでしょう。
支給額は、申請が受理された翌月から計算されます。
支給される月は、4月、8月、12月と定められています。
3-2. 住宅手当
母子家庭の方が賃貸物件を借りる際に受けることができる制度の一つに、住宅手当というものがあります。
母子家庭家賃補助や母子家庭住宅助成などとも呼ばれます。
残念ながら国の制度ではないため、地方によってはこの制度が実施されていないところもあるようです。
住宅手当は地方公共団体から支給されるものなので、支給金額は賃貸物件を借りる市区町村により異なります。
また、すべての母子家庭が住宅手当を受け取れるわけではなく、受け取ることができる条件が設けられています。
その条件も金額と同様で、市区町村により異なりますが、主な条件をご紹介します。
- 生活保護を受給していないこと。
- 20歳未満の子供を扶養していること。
- 家賃が1万円以上6万円未満であること。
- 前年度の所得が自治体の定める一定額に達していないこと。
住宅手当の申請を検討する場合は、各自治体の市役所や福祉事務所に問い合わせて詳細を確認しましょう。
3-3. 公営住宅への優先入居
20歳未満の子供を扶養している母子家庭などは、公営住宅への入居が優先される場合があります。
公営住宅への入居は、一般的にまず応募をして抽選があり、当選により決定することがほとんどのようです。
しかし市区町村によっては、抽選時に母子家庭の当選確率を一般家庭の2倍にしたり、入居の優先順位を上げたりするなどの優遇措置をとるところもあります。
しかし、全ての地域でこの措置がとられているわけではありません。
公営住宅への応募を考えた際には、その地域の役所に問い合わせてみましょう。
4. 母子家庭の方が1K賃貸に入居する方法まとめ
母子家庭でも1Kの賃貸物件を借りることは可能ではありますが、子供が小さい場合は特に、入居前に断られてしまうケースも多いと思われます。
子供の声や騒音で近隣住民とのトラブルが起こる可能性や、子供が成長していくことを考慮すると、1DKや2DKで家賃の安い物件に条件変更するのも選択肢の一つです。
児童扶養手当や住宅手当など、母子家庭の生活を経済的に支援してくれる制度は複数存在するので、それらをうまく利用すると良いでしょう。




