都民税の免除の条件!しくみから抑える方法までご紹介

所得を得ている人に対して、ほとんどの場合課税される都民税(住民税)は意外と大きな金額になります。

給与から天引きされる特別徴収だとあまり実感がありませんが、1年間で納付した額を計算してみると驚くかもしれません。

特別徴収されない場合は普通徴収となり、自分で都民税(住民税)を納めることになりますが、計画を立てていないと思わぬ大きな支払いに困ってしまうことがあります。

そのような時はどうすればいいのか、免除される条件と合わせて解説をしていきます。

都民税(住民税)の計算方法や節税方法についても触れていますので、普通徴収の人はもちろん特別徴収の人もぜひお読みください。

1. 都民税(住民税)はどんなときに免除されるの?

都民税(住民税)は収入がある程度ある場合はすべての人に課税されるものです。

社会人になったばかりだと予想外に大きな金額が給料から天引きされていて驚くこともあったと思います。

そんな都民税(住民税)も状況や収入によっては免除されることがあります。

どのような条件に当てはまると免除されるのでしょうか?

都民税(住民税)は所得によって課税されていくので、前年度の所得が大きく関係しています。

まずは都民税(住民税)の種類と仕組みについて解説していきます。

1-1. 住民税は二種類ある

住民税と一言で言っても、二種類あります。

「都道府県民税」と「市町村民税」と呼ばれるもので、東京都の場合はそれぞれが「都民税」と23区内に在住の場合は「特別区民税」と呼ばれています。

この2つを含んだ税金を私たちは「住民税」として給与から天引きされていたり、一括納付を行ったりしています。

住民税は地方自治体から行政サービスを受けている場合は必ず発生するものですので、個人だけでなく法人も対象になっています。

個人に課される住民税は「個人住民税」と言い、規模を問わず会社などの法人に課される住民税を「法人住民税」と呼びます。

ここでは個人住民税にスポットをあてて免除の条件や都民税の仕組みについて解説をしていきます。

1-2. 都民税のしくみ

都民税(住民税)は天引きされた額をみたり、自分で納めることになったりすると大きな額に感じます。

どのように計算されて税金として納めることになっているのか、とても気になる部分ではないでしょうか? 所得に応じて決まるということを少しだけお話ししましたが、さらに掘り下げて解説をしていきます。

住民税は前年度の所得に応じて変化する「所得割」と定額で課税されていく「均等割」の2種類があります。

この2つの額を合計したものが住民税として私たちに課税されるしくみになっています。

定められた金額を給与から天引きの場合は月ごとに、自分で納める場合は4カ月ごとに納付していきます。

所得割で割り当てられるのは都民税で4%、市町村民税(特別区民税)は6%と定められています。

所得の10%が課税される計算になります。

所得が多い人ほど多くの都民税を納めることになるため、都民税の納税額はその人の信用度にも直結します。

大きな額のローンや融資を受ける際に納税証明書が必要になるのはこのためです。

均等割は均等に割り当てられる税金で、都民税は1,500円、市町村民税(特別区民税)は3,500円と定められています。

単純に計算すると所得の10%+5,000円が住民税として個人に課されていくことになるわけですね。

課税所得が300万円なら30万5,000円、1,000万円なら100万5,000円を納付しなくてはいけないと考えると非常に大きな金額になることがわかります。

しかし、収入によっては都民税(住民税)が免除されたりすることもあります。

どのような時に免除の対象となるのか、次の項目から詳しく解説をしていきます。

2. 都民税(住民税)免除申請の基準

都民税(住民税)が免除されるのは、納付が難しい判断される場合です。

その判断基準としては以下の3つの要件が定められており、いずれかに当てはまる場合は都民税(住民税)が非課税となります。

2-1. 生活保護を受けている

生活保護を受けている場合は都民税(住民税)が免除になります。

生活保護の受給条件が就労による収入がないことが条件ですので、国民健康保険税も含めてさまざまな税金が免除されます。

ただし、若干の収入があり一部のみ生活保護を受給している場合は例外となることがあるので、生活保護受給者全員が必ずしも都民税(住民税)が免除されるわけではありません。

2-2.  未成年者・障がい者・寡婦・寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下

寡婦・寡夫とは夫や妻と死別・離婚した後に婚姻をしていない人でなおかつ扶養家族や生計をともにする子ども(年間所得が38万円以下で他人に控除対象や扶養になっていない)がいる人などのことを言います。

寡婦・寡夫のなかで条件に当てはまる人は合計所得が125万円以下だと都民税(住民税)が免除されることになります。

所得が1つの会社からの給与収入だけの場合は、年間の給与収入が204万4000円未満である必要があるということになります。

http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/kojin_ju.html

2-3.  前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下

東京23区の場合は以下の額を下回ると都民税(住民税)が免除されます。扶養している家族がいる場合といない場合とでは金額に大きな差がでます。

  • 扶養している家族がいない場合

前年の合計所得が35万円以下

  • 扶養している家族がいる場合

35万円×本人・扶養家族・控除対象配偶者の合計数+21万円)以下

給与所得控除を考えると少しわかりにくいと思いますので、例を挙げて解説をしていきます。

東京都内で扶養家族なしでパートをして年100万円の給与所得が発生しているとします。

100万円からの給与所得控除(180万円以下の所得の場合は一律して65万円)を引くと、所得は35万円となります。

扶養している家族がいない場合の免除条件に当てはまるので、都民税(住民税)はギリギリで非課税ということになります。

所得税の課税が始まる103万円の壁と一緒に考えてしまう人が多いですが、パートの場合でも100万円を超えると都民税(住民税)は発生し始めるので注意が必要です。

101万円の給与所得を得た場合、所得税は発生しませんが都民税(住民税)だけは納税する必要がでてきます。

3. 免除が難しい場合でも分納がある!

ここまでで解説をしてきたように、都民税(住民税)は前年度の所得を元に計算されて課税されます。

つまり後払いというわけですね。

退職や転職など、なんらかの理由で収入が減った状態でも大きな金額を徴収されることになるので、一括で納付するということが難しい場合もあります。

そのような場合はほとんどの市区町村では都民税(住民税)の分納という手段を選ぶことが可能です。

都民税(住民税)の分納・分割に関しては統一された基準があるわけではなく、自治体や担当者の判断によって決められます。

分納や分割の制度があるわけではなく、相談して分納する形を取らせてもらうという形です。

ほとんどの場合が分納・分割が認められますが、以下の場合は断られてしまう可能性があるので要注意です。

  • 一度の支払額が低すぎる
  • 支払う意思がないと受け止められた
  • 誠実さがなく信用してもらえなかった

自治体によって異なりますが、分納の場合の最低金額が決まっていることがあります。

それを下回ると希望額での分納を受け付けてもらえなかったり、分納自体を断られたりすることもあります。

都民税(住民税)を滞納した状態になってから初めて相談に行く人は支払う意思と信用度が問題になることが多いです。

支払う意思がないのに先延ばしにするために分納しようとしていたり、分納後に何度も滞納していたりする場合は誠実さがないと判断されかねません。

また、収入はなくても財産がある場合は調査がはいるとすぐにバレてしまいます。

嘘が明るみになると一括納付を求められることがあるので、分納の相談に行く場合はしっかりとした支払い計画を考え、嘘偽りのない交渉を行うようにしましょう。

くれぐれも督促状が来てから初めて相談にいくというようなことはせず、一括で納付できないと感じたらすぐに相談してくださいね。

4. おすすめ! 都民税(住民税)を抑える方法

所得の10%が課税される都民税(住民税)は少しでも抑えて負担を減らしたいものですよね。

ですが、所得割と均等割で引かれてしまう割合はどうしても変えることができないので、抑えるためにできることは限られています。

とくに給与所得を得ている人は特別徴収として給与から天引きされるので、自分の力で都民税(住民税)を抑えるということはほぼできないと考えた方が良いでしょう。

しかし、自営業や個人事業主の場合は管理と工夫で都民税(住民税)を抑えることができる場合があります。

4-1. 個人事業主は経費の見直しがおすすめ

個人事業主の場合は経費をしっかりと計上していくことが大切です。

経費をどれだけ正確に計上できたかによって都民税(住民税)も変化してくるので、節税したい場合は管理を徹底しましょう。

しかし、節税のためにお金を多く使って経費を増やそうとするのは本末転倒になってしまいます。

基本は「現在支払っているものを経費にできないか」をよく検討することです。

例えば自宅で仕事をしている場合は自宅の光熱費を経費にできますし、パソコンやプリンターの購入も経費として計上ができます。

紙の請求書を発行していたり、宛名を印刷したりしている場合は、紙やインクトナーも経費になります。

4-2. 受けられる控除はすべて受ける

控除の受け忘れがないかも見直してみてください。

親や子どもが障がい者の場合は「障がい者控除」というものを受けることが可能なのですが、基本的に自己申告しないと控除されません。

税理士を入れていても、なかなか「障がい者はいますか?」と聞いてくる人はいないので、障がいの認定を受けている場合は必ず申告しましょう。

死別・離婚の場合の控除(寡婦・寡夫控除)もありますが、障がい者控除と同じくなかなか聞きにくいものなので自己申告しないといけません。

4-3. 医療費控除は必ず行う

源泉所得税が0円だから医療費控除の確定申告はしなくていい、しても意味がないと考えていませんか?

たしかに源泉所得税がないと還付を受けることはできないのですが、申告だけしておくと都民税(住民税)が安くなる場合があるのです。

医療費控除は年末調整では控除ができないので、面倒でメリットがなさそうだと思っても確定申告は必ず行うようにしましょう。

いろいろな条件があるのですべての人に言えるわけではありませんが、都民税(住民税)が減額されるケースも多いです。

5. まとめ

都民税(住民税)は会社に勤めているとほとんどの場合が特別徴収され、給与から天引きされています。

特別徴収は1回の納税額が少なく、自動的に引かれていくので納付漏れがないというメリットがあります。

しかし、1万円以上が給与から引かれているのはあまりよい気がしない人も多いですよね。

そうすると普通徴収の方がいいと考えるかもしれませんが、会社勤めの場合は原則として特別徴収になります。

例外もあるため、会社勤めでも普通徴収にできることがありますが、普通徴収は年4回に分けて納付することになるため、1回の納付額が高くなり負担が大きくなることを忘れてはいけません。

支払う合計額は特別徴収も普通徴収も同じですが、普通徴収は滞納や未納が多く、支払いができずに分納を行う人も少なくありません。

滞納のまま放置してしまうと延滞金がかかったり、差し押さえがされてしまったりする場合があります。

そうならないためにも普通徴収の人はとくに都民税(住民税)のことを考え、控除や節税対策を行うようにしましょう。

免除の条件はややこしく見えますが、所得が35万円を下回る場合はすべての人に免除の可能性が出てきます。

自分だけでは判断ができない場合は一度相談しにいくとよいでしょう。

免除が適用されなくても、早めに相談しておくことで分納や分割納付が認められやすくなり、金銭的にも精神的にも負担が軽くなります。