近年、比較的強い地震が頻発するようになってきています。
このような時代にマンションを購入する場合、耐震性も物件を選ぶ際の重要なポイントとなります。
ここでは低層マンションの耐震性と、低層マンションの耐震性を見極めるためにチェックすべき重要なポイントを紹介していきます。
このページでわかること
1. 低層マンションの耐震性とは?
マンションの構造には、大きく分けて二つの種類があります。
一つは「ラーメン構造」、もう一つは「壁式構造」というものです。
この二つの構造を簡単に説明すると、ラーメン構造は柱と梁の骨組みで建物を支える構造であるのに対して、壁式構造は壁自体で建物を支える構造になっています。
このことから、壁自体で建物を支える壁式構造のほうが、ラーメン構造よりも建物を支える面積が大きくなるため、耐震性に優れた構造方法であることがお判りいただけると思います。
低層マンションは、この壁式構造を採用して建てられている物件が多いため、耐震性に優れているといえるでしょう。
1-1. 低層マンションの特徴
低層マンションとは、おおむね4〜5階建てまでの高さのマンションのことを言います。
この低層マンションは、第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域に建てられていることが多く、これらの地域にはほぼ住宅しか建設されていません。
その理由は、都市計画で第一種及び第二種低層住居専用地域に指定されている地域は、建てる建物の高さや用途が制限されているため、パチンコ店や風俗店が入るような雑居ビルや、工場などの建築が厳しく制限されているためです。
第一種及び第二種低層住居専用地域に建っている低層マンションは、静かで生活がしやすい閑静な環境に位置しているといえるでしょう。
このような地域にある低層マンションは、土地自体の建ぺい率が低く制限されているため、敷地にゆとりがある作りになっています。
そのため、平置きの駐車場や、一階であれば専用庭が附属している物件もあります。
このようにマンションでありながら、一戸建て感覚で住むことができる点が、低層マンションの魅力といえるでしょう。
また低層マンションには、高層マンションのようにさまざまな間取りがあることはまれです。
そのため、家族構成、生活パターンの異なる人々が雑多に住んでいる例はあまり見られません。
同じような間取りが多く、閑静な住環境を求めるという感性を持った入居者が多いため、住民の間で良好な関係が築きやすいことも特徴の一つです。
入居者同士のトラブルが起きる可能性も低いといえるでしょう。
入居者同士の良好な関係が築きやすいもう一つの理由に、低層マンションは戸数が少ないという点があげられます。
居住者自体が少ないということは、住民同士が顔を知っているケースが多いうえに、不審者がマンション内に侵入した際に住民に気づかれやすいという安全面でのメリットもあります。
1-2. 高層マンションとの違い
低層マンションは住宅街にあることから、商業施設や駅まで距離がある物件も多いでしょう。
しかし、その点高層マンションは駅前などのアクセスの良い場所に建設されているため、そのような不便を感じることは少ないでしょう。
しかし、低層マンションでは朝の出勤時などに、エレベーターがラッシュになることが少ないため、高層マンションのようにエレベーター待ちに時間がかかるということがありません。
もしエレベーターが混雑していたとしても、階段を使って移動するという方法をとることもできます。
前の章でも説明しましたが、低層マンションは一戸建て感覚で住まうことが可能なので、高層マンションのように窓が開けられない、洗濯物を外に干すことができないといったデメリットもありません。
しかも周辺が商業地域など喧騒にまみれた立地であることが多い高層マンションに比べて、静かに生活することができます。
しかし、高層マンションにはフィットネスジムやゲストルーム、高層階の眺望を眺めることができるラウンジなど、住民が利用できる共有設備が整っていることに対して、低層マンションにはそのような設備があることはまれです。
このように、低層マンションと高層マンションにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、自分と家族のライフスタイルに合った物件を選ぶようにするとよいでしょう。
1-3. 低層マンションの耐震構造
低層マンションの耐震構造はほとんどの場合、壁で建物を支える壁式構造であることは前の章で説明しました。
しかし、低層マンションでも免震構造や制震構造を取り入れる必要がある建物もあります。
それは地盤が弱い地域に低層マンションを建設する場合です。
低層マンションを選ぶ場合は、その物件に適した耐震構造になっているかどうかを、しっかり確認する必要があるといえます。
2. 旧耐震基準と新耐震基準
1978年(昭和53年)に起きた宮城県沖地震をきっかけに、1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法が改正されました。
この改正により新しい耐震基準が定められ、これを新耐震基準と呼ぶようになり、これ以前の耐震基準を旧耐震基準と呼ぶようになりました。
新耐震基準では、震度5程度の地震が起こった際に建築部材の各部位が損傷を受けないことを条件として定めています。
しかし旧耐震基準は、震度5程度の地震が起こった際に、建物の倒壊または崩壊がなければよいという基準で定められていました。
そのため、震度5程度の地震が発生した際、旧耐震基準しか満たしていない建物は大きなダメージを受ける恐れがあります。
近年では震度5程度の地震が起こることはそう珍しいことではなくなってきています。
大規模地震が起こらなくても、旧耐震基準しか満たしていない建物は損傷が重なることにより、危険な状態になってしまう可能性も少なからずあります。
旧耐震基準に置いては、震度5程度の地震に対してのみ言及されていましたが、新耐震基準では震度6から7程度の地震が起きた場合に対しても規定があります。
新耐震基準では、震度6から7程度の地震が起きても、倒壊または崩壊しないことと定められています。
また、新耐震基準を満たしていれば、地震が発生した際に建物と身の安全を守ることができるということ以外に、税制上のメリットもあります。
新耐震基準を満たした住宅を住宅ローンで購入した場合には、住宅ローン減税を受けることができるためです。
3. 低層マンションの耐震性を確認するその他のポイント
低層マンションは、基本的に耐震性が高い構造をしています。
それでもやはり高い耐震性を期待するのであれば、チェックすべきポイントがあります。
まず、一番のポイントはその低層マンションの築年数です。
その低層マンションが、建築基準法改正前の1981年以前に建築されている場合には、旧耐震法の条件しか満たしていない場合があります。
そのため、新しいマンションに比べて耐震性が劣る場合があります。
またそれ以外にも、入居を検討しているマンションの地盤がしっかりしたものであるか、調べる必要があります。
もちろんしっかりとした地盤の上に建っている低層マンションのほうが、耐震性は高くなります。
しかし、比較的脆弱な地盤の上に建っている場合でも、きちんとした「免震構造」や「制震構造」で建てられていれば、地震に対する強度に問題はないと考えてもよいでしょう。
このように、「低層マンションだから地震に強い」と信じ込まずに、もう一歩踏み込んだ視点で低層マンションを選ぶようにするとより安心です。
4. まとめ
ここまで、低層マンションの耐震性と新耐震基準・旧耐震基準などについて解説してきました。
低層マンションは一般的に地震に強い作りになっていますが、それを鵜呑みにせず、その建物の構造や建っている場所の地盤などを、きちんと確認しておくことが重要だとお判りいただけたと思います。
低層マンションは一戸建て感覚で住むことができ、住民の間でも良好なコミュニティーを形成することができる魅力的な物件です。
これから入居を考えている方は、耐震性にもフォーカスをあてて物件選びを行うようにしましょう。




