生活保護を支給されていると、経済的には助かりますがいろいろな制約があったりして、自分の希望通りの生活ができないこともあります。
そんなときに気になるのが、生活保護を支給されていても転居はできるのだろうか?ということではないでしょうか。
このページでわかること
1. 生活保護を支給されている人は賃貸契約できる?
1-1. 生活保護とは
まず生活保護とはどんなものなのかというと、資産や能力を活用したうえでも経済的に生活していくことが困難な人たちに対し、国や自治体がその程度に応じて必要な手助けを行い、その自立を支援するというものです。
もっと簡単に言うと、特別な理由があって収入がない人や少ない人に対して国が支援をしますので自立できるようになってくださいということです。
1-2. 生活保護で賃貸契約は可能?
生活保護は、貯金や土地などの資産を所有していると、対象外になってしまいます。
その他にも所有するものなどについて厳しい決まりがありますが、生活保護を受けていても、賃貸契約を交わすことは可能です。
ただし、通常の契約とは手順が異なってきます。
基本的には役所と不動産会社を往復することになり大変ですので、事前に手順を確認しておくと迷わずに済みます。
1-3. 住宅扶助制度とは
生活保護の8種類のうちの一つである住宅扶助は、生活保護の対象者が住居に住むために必要な敷金・礼金などの家賃に関する費用に対して、支給されるものです。
受給者はある程度住居を選べますが、当然ながら高級な住居に住みたいというような願望は却下されます。
支給される額は地域ごとに決まっており、何人世帯かによっても数千円~数万円の差があります。
1-4. 住宅扶助を受けられるのは家賃関係や初期費用のみ
住宅扶助に含まれるのは、家賃の他に初期費用としてかかる、敷金・礼金・仲介手数料・引越し費用・火災保険の費用などです。
その他、生活していくうえで必要な水道光熱費などは、支給の対象外になります。
支給対象になっていたら使いたい放題ですから、当然といえば当然ですね。
2. 生活保護を支給されている場合の賃貸契約方法
生活保護を受けていて、住宅扶助を受ける場合の手続きは意外と面倒です。
ケースワーカー、不動産会社とのやり取りを何度か繰り返すことになります。
どういう物件が承認されるかというところは、ケースワーカーによってまちまちな部分もありますが、基本的には同じような感じです。
2-1. 役所の許可
引っ越しを希望しているとしても、いきなり物件探しをするわけではありません。
まずは、転居をしたいという旨を役所に伝え、その許可をもらう必要があります。
転居を許可してもらえる条件は16種類あり、いずれかに該当していれば転居を許可されます。
以上は自分の希望で転居する場合の話ですが、家賃の上限が規定よりも高すぎる場合など、ケースワーカーから転居を伝えられる場合もあります。
そういうときは転居をしたくないと感じることもあると思いますが、生活保護の支給が中止にならないとも限りません。
ですからそういう連絡があった場合は、指示に従ったほうが良いでしょう。
2-2. 不動産会社へ問い合わせ~物件探し
役所から許可をもらえたら、物件探しを始めます。
物件を探す流れは、普通の探し方と特に違いはありません。
インターネットや近くにある不動産会社で探しましょう。
その際、事前に不動産会社に生活保護であることを伝えておいたほうがいいでしょう。
いい物件が見つかったら見積もりを出してもらいます。
部屋の間取りなどの情報が分かるものと、見積もりをケースワーカーに見せます。
審査をしてもらい、その部屋に転居しても良いという許可がおりたら、いよいよ賃貸契約に進みます。
2-3. 入居審査~賃貸契約
役所の審査が終わったら今度は入居の審査です。
申し込みをして審査してもらいましょう。
審査に通ったら契約に進みますが、事前にケースワーカーから支給される日を聞いておく必要があります。
初期費用の支払い期限に間に合わないということがないようにしましょう。
2-4. ケースワーカーに報告
契約の手続きが済んだら、初期費用を支払った領収書と契約書をケースワーカーに見せて、間違いのないことを確認してもらいます。
2-5. 引っ越し
残るは引っ越しのみです。
引っ越しにかかるお金も住宅扶助の対象になります。
ですが、これは好きな業者を選べるわけではなく、何社か見積もりをしてもらい、その中から最も安い業者に頼むことになります。
いくつかの見積もりを出してもらったら、それをケースワーカーに見せて承認を待ちます。
承認されたら引っ越し費用をもらい、引っ越しを完了します。
引っ越し業者に支払った領収書を、ケースワーカーに渡すのを忘れないようにしましょう。
3. 生活保護者の賃貸契約の保証人について
簡単に住宅扶助を支給してもらい、賃貸契約をする流れをご紹介しましたが、実際に賃貸契約をするときには、すんなり行かないこともあります。
3-1. 賃貸契約には保証人が必要
通常賃貸契約には、保証人が必要になる場合が多くなっています。
生活保護者も当然必要になります。
ですが、生活保護を支給されている人たちは保証人になってくれる人がいないケースも多いのです。
3-2. そもそもなぜ保証人が必要なの?
賃貸契約における保証人の役割は、家賃を滞納されたときにちゃんと滞納分を回収するための保険と言えます。
大家さんも家賃を払ってもらえず、そのまま逃げられてしまったら困ります。
それを防ぐために保証人を立てて、代わりに払ってもらうという手段を取っているんですね。
3-3. 初めから保証人不要の物件を探せばいい?
最近ではネットでの物件探しが主流になっていますので、物件を探す際に「保証人不要」という条件で検索することもできます。
ですから、保証人不要の物件を探せばいいのではないかと思うかもしれません。
ですが、本当に保証人が不要というところは少なく、保証人不要となっている物件は、大抵保証会社に保証人になってもらう必要があります。
4. 賃貸保証会社について
4-1. 賃貸保証会社の生活保護者に対しての審査は厳しい
生活保護の支給を受けている人が賃貸契約を交わすときでも、保証会社を利用でき保証人としての役割は十分あります。
ただしそれは、保証会社が保証してくれればの話です。
というのは、保証会社は生活保護者の契約には厳しく審査するケースがあり、それに通るのは簡単とは言えないからです。
また、保証会社との契約の際に緊急連絡先が必要になりますが、生活保護者の中には緊急連絡先を持っていない人もいるため、そもそも契約が難しいというケースもあります。
4-2. なぜ生活保護者に対して厳しいの?
ではなぜ、保証会社の審査は生活保護者に対して厳しくなっているのでしょうか?
その一番の理由は、家賃を滞納された場合に回収する手段が皆無だからなんです。
生活保護を支給されている人なら、滞納する人はいないんじゃない?と思いますよね。
ですが、生活保護で支給されたお金は、差し押さえができないと生活保護法で決まっています。
つまり、滞納されたが最後、ちゃんと家賃を払ってくれる人でなければ回収するのは難しくなります。
そもそも家賃をちゃんと払える人は滞納なんてしないとも考えられますし、保証会社が生活保護者と契約を結ぶのは、かなりのリスクを負っていると言えます。
こういう理由から、生活保護者に対しては契約をしないという会社もあるんですね。
5. まとめ
生活保護者の賃貸契約についてご紹介してきました。
生活保護者の賃貸契約は難しい場合もありますが、すんなり契約できる場合もあります。
また、生活保護者を対象に積極的に物件を扱っていたり、保証会社と交渉をしてくれたりする不動産会社もいます。
そういうところに頼めば、そこまで苦労なく契約することができるでしょう。




