内見(ないけん)とは、内部見学の略称です。
不動産会社に紹介してもらったお部屋の中で気に入った物件があれば、実際に現地を訪れて、部屋の内部を見せてもらうことができます。
それがいわゆる内見です。
この内見で得た情報は、物件を購入または借りるかどうかの重要な判断材料になります。
図面や資料ではわからないことも、自分の目で見ることでハッキリします。
費用もかかりませんのでぜひ行ってほしい内見ですが、ひとつデメリットがあります。
忙しくて時間が取れない方や、遠方からの引っ越しを考えている方には現地に訪れるのが難しいということです。
ところがこの内見が、近年VR(バーチャルリアリティー)を通して行えるようになりました。
VRを使うことで、現実空間を再現したコンピューター上でのシミュレーションを、「いつでも」「遠方から」でも行うことができます。
視線に連動して周囲が360度動く専用のゴーグルを頭にかぶる事で、あたかも自分がその場にいるようにお部屋の中を見学できるのです!
まだまだ始まったばかりで未熟な部分もあるこの最新の内見方法である「VR内見」。
そのVRを用いた内見の概要やメリット・デメリットについて、徹底的に紹介します!
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このページでわかること
1. 不動産業界にも導入されたVRによる内見とは
VRという言葉を聞いたことがありますよね。
VRとはバーチャルリアリティーの略称のことで、コンピューターで創られた三次元的空間を、疑似体験できるものです。
このVRは仮想現実とも呼ばれています。
視覚だけで別の空間を体験できるところからこのように呼ばれるようになったと考えられます。
VRは大きなゴーグルのようなものを装着し、コンピューターが創り出した仮想現実を体験できます。
ゴーグルをつけたまま右を向けばそれにあわせてゴーグルの画像も右に動き、
下を向けばこれまた同じように床が見下ろせるという、
自分が仮想空間の中に入り込んだかのような没入感が得られるのが特徴です。
既にゲームなどはこのVRに対応した商品が開発されているので、ご存知の方がほとんどでしょう。
2016年がVR元年と呼ばれており、東京ゲームショウでも対応ゲームが一斉に展示されました。
今年がわずか3年目ということで、これからますます成長していく分野といえます。
実はゲーム以外でも、医療や教育の現場などパブリックな場所での利用も進んでおり、不動産業界でも開始当初より注目されています。
VRによる内見とは、その名の通り、VRの技術を取り入れた、店舗・ウェブサイト上で気になる物件を疑似内見できるというシステムです。
現在は大手の不動産会社が中心ですが今後は対応する業者も増えていくでしょう。
それではこのVRによる内見は、どのようなメリット・デメリットをもっているのでしょうか。
2. VRで内見するメリット5つ
VRによる内見のメリットは以下の5つが挙げられます。
2-1. 効率的に物件の内部を見ることが可能
VRによる内見は、店舗にいながら、あるいはウェブサイト上で行えるので、地理・時間に縛られることなく物件を疑似的に内見できます。
実際に現地で行う内見よりも短時間でより多くの物件を内見することができます。
2-2. 想像と現場の雰囲気のミスマッチを失くせる
不動産会社から得た情報に期待して、実際に内見に行ったら「想像と異なり、がっかりしてしまった」というような話をよく耳にします。
VRによる疑似内見を行えば、このような想像と現場の雰囲気のミスマッチを失くすことができます。
2-3. 物件に入居者がいても内見可能
VRによる内見では、入居者さんが現在いても、その方が退去する前から疑似的に内見を行うことができます。
退去前申し込みをしていた部屋を退去後に見に行ったら、思っていたのと違ってやはり他の部屋にしたいということもほぼなくなるという点では、入居を希望したい方にとっても、不動産管理会社にとってもリスクを減らす事のできる良いシステムのようですね。
2-4. 天候に影響されない
実際に物件に足を運んでみたものの、天候の悪化により、部屋からあまりよい眺望が見えないということがあります。
VRの疑似体験では、晴れた日の部屋からの眺望を確かめることができます。
目的に応じて、実際に行う内見とVRによる内見を組み合わせるのは賢い使い方であると言えるでしょう。
2-5. 写真ではわかりづらいこともわかる
VRによる疑似内見では、部屋の内部を360°見回すことが可能です。
これにより、写真だけでは伝わりづらい広さの感覚・全体の雰囲気などがよくわかります。
また、コンセントの位置といった細かい点もよくわかります。
今後はさらにVRの技術も発達することが予想され、VRによる疑似内見で知り得る情報量が増えていくでしょう。
3. VRで内見するデメリット3つ
メリットが多くみられるVRによる疑似内見ですが、やはりデメリットもあります。
今回はそのデメリットを3つ紹介します。
3-1. 細かい部分の精度がまだ高くない
VRによる疑似内見はまだ精度がそこまで高くはないため、それだけを判断材料にして、物件を購入や借りる決断をすることはオススメできません。
疑似内見は視覚を主に利用するものであるため、部屋の壁・床などの質感は把握できません。
実際には壁紙に破れがあったり、フローリングに傷がついていたりする可能性もあります。
いまのところ、ざっくりと部屋の雰囲気を掴むために利用することをオススメします。
3-2. 日当たりや風通しといった部屋の空気感がわからない
VRによる疑似内見では、日当たりや風通しの良し悪しは把握できません。
南向きの物件でもあまり室内に光が入ってこないお部屋もあります。
水回りの臭いもわからないのでカビなどの確認も出来ません。
3-3. ドアの軋みなど設備の状態が確認できない
ドアやクローゼット、窓などの開閉がスムーズに行えるかといった、設備面の確認が出来ません。
クローゼットなどは奥行き感など、実際の収納力がわかりづらい面もあります。
3-4. 生活音の漏洩具合を判別できない
周囲の騒音がどの程度聞こえてくるか、また、隣の部屋からの生活音がどの程度聞こえるか、自分の生活音が隣の部屋へどの程度聞こえてくるかを、VRによる疑似内見では判断することはできません。
よく知りたいと思った物件は、やはり実際に訪れてみるのがよいでしょう。
VRによる疑似内見のメリット・デメリットをよく理解し、目的に合わせて上手に活用することが大事ですね。
3-5. 周辺環境が把握不可である
VRによる疑似内見では、あくまで室内しかわかりません。
マンション自体がどんな状態なのかがわからないので、玄関や廊下など共用部の清掃状態などを見る事ができません。
また、ベランダからの眺めも分かりづらく、外の通りが広いのか人通りは多いのかなどの周辺環境もわかりません。
近隣にどのような方が住まわれているかが分からないというのが最大のデメリットでしょう。
よく知りたいと思った物件は、やはり実際に訪れてみるのがよいでしょう。
VRによる疑似内見のメリット・デメリットをよく理解し、目的に合わせて上手に活用することが大事ですね。
4. VRによる内見の導入事例(不動産屋さんへ)
VRを導入するために必要なものは、以下の通りになります。
- 360°カメラ(2~3万円)
- 一脚(5000円程度)
- VRグラス/ゴーグル(1~2千円のものもある)
360°カメラは、VRに使用する写真を撮影するために必要になります。
近年は、より高画質な360°カメラがより安価で売られるようになってきています。
様々な会社が360°カメラを発売していますので、どれがよいかわからない場合は電気店に聞いてみるなどしてみましょう。
一脚は、美しい360°写真を撮影するために用意すべきものです。
三脚よりも一脚の方が好ましいのは、360°カメラで撮影した時に、三脚の脚が写ってしまうことがあるからです。
一脚は、5000円以下の価格で十分なものが購入できます。
VRグラス/ゴーグルは、店頭などでVR内見が可能な物件を、お客様に見せるために必要なものです。
ゴーグルやグラスにはさまざまな種類があります。
眼鏡を着用していない方向けのものと眼鏡を着用している方向けのゴーグル、またはグラスを用意しておきましょう。
5. VRに対応した物件の探し方
大抵の不動産会社は「VR内見が可能な物件」と張り出しを行っています。
張り出していない場合でも、不動産会社の方に聞いてみると、VR内見を取り入れているかどうか教えてくれますので、事前に問い合わせてみましょう。
6. VR内見を利用する場合の2つの注意点
VRによる内見を利用する際の注意点について2つ紹介します。
6-1. 実際の物件状態が伝わらないこともある
VRによる疑似内見は視覚が主になっていますので、実際の壁紙の手触り・材質の温もりなどは感じられません。
そのため、VRによる疑似内見を,物件を購入するかどうかの最終判断材料にすることはオススメできません。
VRでの疑似内見を通して、よいと思った物件に関しては、直接赴いて確認してください。
あくまで、思ったのと違った・・・というミスマッチが起こらないようにするための手段として考えましょう。
6-2. 酔ってしまう・不快に感じる方もいる
車酔いしやすい方に限らず、VRは酔いやすいです。
車酔いしない方でも酔ってしまうそうですので、ちょっとでも不快になったらすぐ中断しましょう。
また、化粧崩れ・衛生面などを気にして、ゴーグルを装着するのを好まない方もいます。
7. まとめ
今回は、VRを用いた内見について紹介してきました。
VRによる内見は、メリットが非常に大きく、実際にVRによる内見を取り入れた会社では、オンラインの閲覧時間・閲覧ページ数が増加したというデータもあります。
もちろん、VRによる内見にもデメリットもありますが、これからさらに改良、充実されていくと思われます。
また、今後は内見もVR以外のものと組み合わさった新しい方法が出てくるのではないかと予想されます。
例えば、家具が置かれていない部屋に、家具を置くのをイメージしてくださいと言われても難しいですよね。
今後は、VRで家具が置かれていない状況の部屋に、家具を配置した様子を映像で確認できることができるようになるかもしれません。
拡張現実(AR)と呼ばれる技術が進み、VRと組み合わされるようなことになれば、ますますVRは進化し、VRでの内見が増えてくるかもしれませんね。
しかし、VRだけに頼らず、少しでも心配や不明点は不動産会社に確認をとり、納得のいく物件を選ぶようにしましょう。




