賃貸物件を借りるときに連帯保証人の実印はなぜ必要なのか?印鑑証明が必要な理由もわかりやすく解説!

引っ越しなどでアパートやマンションの賃貸物件を借りる際に、連帯保証人が必要と言われたことはありませんか?

賃貸借契約書の中には、連帯保証人についての項目があります。

ここに、連帯保証人の記名と実印による押印が求められます。

なぜ実印でなければならないのでしょうか。

また、契約の際には実印とセットで印鑑証明も提示しなければなりません。

なぜ実印と印鑑証明が必要なのか、具体的に見ていきましょう。

1. 賃貸契約の連帯保証人の実印はなぜ必要?

賃貸マンションなどの部屋を借りるときは、連帯保証人を要求されることがほとんどです。

その際に連帯保証契約を行い、連帯保証人であることを証明する文書を作らなければなりません。

この連帯保証契約書は、法律によって保護された公的な文書です。

一般的な賃貸契約の場合は、賃貸借契約書の中に連帯保証人に関する項目が設けられています。

たとえば、賃貸物件の借主が、親に連帯保証人になってもらった例を見てみましょう。

もし借主が家賃の滞納をしてしまい、物件の大家さん(貸主)が連帯保証人に滞納家賃の支払い請求をした場合を想定してみます。

通常であれば、借主の代わりに連帯保証人が家賃の支払いをしなければなりません。

しかし、この連帯保証人が「いや、連帯保証人になった覚えはないから」などと言って、支払い請求に応じないこともあるでしょう。

これでは大家さんも困ってしまいますよね。

そこで登場するのが、賃貸借契約書にある連帯保証人の項目です。

この部分に連帯保証人の記名と押印があれば、その人が連帯保証人になっていることを確実に証明できるのです。

ただし、この契約書には連帯保証人の印鑑が押されていますが、この押印された印鑑が本当に連帯保証人のものであるのかを証明する必要が出てきます。

基本的に、大家さんは連帯保証人と直接会うことなく契約を行う場合がほとんどです。

そのため連帯保証契約の箇所に押されている印鑑が、本当に連帯保証人のものなのか証明できなければなりません。

これを証明するために、「印鑑登録証明書」というものが必要になります。

よく「印鑑証明」と略されていますね。

印鑑登録証明書とは、その印鑑が確実に本人の物であると公的に証明するためのものです。

これは、市区町村の役場で印鑑登録をすることで発行されます。

ここに登録された印鑑が「実印」となります。

1-1. 連帯保証人とは?

そもそも連帯保証人とは、いったいどんな役割なのでしょうか。

連帯保証人は、賃貸物件を借りた人とまったく同じ責務を負うことになります。

扱い的には借主とほぼ同等なので、借主が家賃を滞納すれば、連帯保証人にも同様の責任(債務)が発生します。

通常の保証人とは異なり、「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」というものが認められていません。

たとえば、通常の保証人であれば借主が家賃を滞納していて大家さんから支払い請求をされたとき、「まず借主に家賃を払うように言って!」と突っぱねることができます。

これを催告の抗弁権と言います。

さらに借主が不動産や自動車・高級時計などの財産を持っている場合は、「借主の財産を差し押さえて、そこから支払わせて!」と主張することができます。

これが検索の抗弁権となります。

しかし、連帯保証人にはこうした主張が認められておらず、大家さんから滞納家賃の支払い請求をされたら代位弁済(代わりに支払う)するしかありません。

それくらい、連帯保証人は責任が重い役割なのです。

1-2. そもそも実印の意味って?

実印とは、「持主が本人である」ということが証明された印鑑を言います。

あらかじめ市区町村に届け出れば印鑑登録をすることができ、必要であれば印鑑証明書を交付してもらえます。

この印鑑証明書を第三者に提示することで、実印であると証明できます。

この印鑑の届け出は、1人に対して1個までしか登録することができません。

そのため、本人の実印として存在するのは1個だけとなります。

この実印は、不動産の契約書をはじめその他の重要な契約書に用いることができます。

1-3. 連帯保証人の実印の必要性とは

賃貸物件を借りる契約をするときは、ほとんどの場合不動産業者が仲介をしています。

そのため借主は、物件の大家さん(貸主)と直接会うことなく、賃貸借契約をして住み始めます。

連帯保証契約の場合も同じように、連帯保証人が大家さんと直接会うわけではありません。

もし何かあったときは、この連帯保証契約をした人が本人であるかどうかを証明する必要があります。

そのためにも、きちんと市区町村に登録された印鑑(実印)で、契約書に押印していることが重要なのです。

2. 連帯保証人は印鑑証明も必要!?

連帯保証人が本人である、と証明するためには印鑑証明が必要です。

この印鑑証明さえあれば「契約書に押印された印鑑は、ちゃんと市区町村に登録されたもの」と判断できるので、誰が見ても明らかだからです。

2-1. 印鑑証明とは?

印鑑証明とは、契約書に押印されている印鑑が、本人の物かどうかを証明するためのものです。

あらかじめ役場で印鑑を登録しておくことで、「印影(文書に押された印鑑の跡の形)が登録者の物である」と市区町村長が証明してくれます。

たとえば自動車を運転するときは、運転免許証を携帯していることで「この人は運転することが認められている」と証明することができますね。

印鑑証明も同じように「この印影は本人の実印である」と第三者に対して簡単に証明することができるのです。

2-2. 連帯保証人の印鑑証明の必要性って?

もし印鑑証明が無い場合は、わざわざ役場まで行って「本人の実印なのか」を確認しなければなりません。

毎回契約をする度に、こんなことをしていてはとても非効率的ですね。

印鑑証明があれば、「この印鑑は間違いなく本人の物である」と市区町村が証明してくれるので、相手方(貸主)も安心して契約をすることができるでしょう。

実際の契約の場では、印鑑証明を提示すれば本人の実印とすぐにわかるので、スムーズに契約を進められますね。

3. 連帯保証人の実印と印鑑証明を出さないとどうなる?

賃貸借契約をするときに、実印と印鑑証明を出さなければ、契約そのものができない場合があります。

前述の通り、連帯保証人が大家さんと直接会うことはありません。

そのため大家さんとしても、連帯保証契約をした人が本人であると証明できるものがないと安心できないのです。

たとえば借主の家賃滞納が起こり連帯保証人に支払い請求をしたときに、「連帯保証人になった覚えはない」とゴネられるケースもあります。

そのときに、大家さんとしてはちゃんと連帯保証契約をしたという証明をしなければなりません。

契約書に連帯保証人の実印が押されていればそれを証拠にできるので、「言った言わない」のような紛争が起こるのを未然に防ぐことにもつながるでしょう。

賃貸物件を貸す大家さんには「借主による家賃滞納や設備の破壊」といったリスクが伴うため、常に不安がつきまといます。

そのリスクを少しでも軽減するためにも、連帯保証人はとても大きな存在と言えるでしょう。

この連帯保証人にまで言い逃れられてしまうと、そもそも契約の意味が無くなってしまいます。

契約書に法的な効力を持たせるためにも、「ちゃんと本人が同意して契約をした」と証明できるものが必要になるのです。

4. どうしても提出したくない場合の方法とは

それでもどうしても実印と印鑑証明を出したくない場合は、運転免許証のコピーや住民票の写しでも良いか交渉してみてはどうでしょうか?

連帯保証契約をした人が本人であると証明できる物があれば、大家さんも同意してくれるかもしれません。

ただし、大家さんとしてもできるだけ紛争が起こらないようにしたいでしょうから、実印と印鑑証明がないと断られる可能性もあります。

5. まとめ

賃貸物件を借りる契約の際には、たいてい連帯保証人を求められます。

このとき実印を契約書に押印し、その印鑑が本当に本人の物なのかを証明するために印鑑証明を提示しなければなりません。

それは、連帯保証契約をした人が本当に本人なのかを証明できなければ、大家さんとしてもリスクが高くなってしまうからです。

また印鑑証明があることで、契約の度に役場まで行って本人確認をする必要もなくなります。

賃貸借契約をスムーズに行うためにも、実印と印鑑証明はセットで持っていくことが大切ですね。