賃貸の連帯保証人を変更することはできる?

賃貸物件を借りる際、貸主(大家さん)が家賃の支払い等を確実に担保してもらうために、一般的は連帯保証人を立てます。

連帯保証人は、物件の借主と同じ重い責任を負います。

そのため、一定の収入のある家族や親族が連帯保証人となるケースが多いようです。

どうにもならない事情があり、一度立てた連帯保証人を変更したい場合も考えられますよね。

今回は、自己都合で連帯保証人を変更することは可能か、可能な場合どのような手続きが必要になり、またどういった対応をすればいいのかをご紹介していきます。

 

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1. 【賃貸における連帯保証人の変更】連帯保証人を変えるのは可能?

結論を言うと、連帯保証人を変更することは可能です。

しかし勝手に変更はできません。

まず、貸主に承諾してもらわないといけません。

というのは、保証契約は借主本人と大家さんとではなく、あくまで連帯保証人と大家さんとの契約だからです。

そもそも、借主の家賃支払い担保のために連帯保証人を設定しているので、自己都合での連帯保証人の変更は、貸主の同意を得ることは、現実問題、非常に難しいと言えます。

もちろん、貸主が納得してくれて承諾すれば、問題はありません。

しかし納得してもらい、連帯保証人の変更を認めてもらうには、現在連帯保証人となっている人と同等、もしくはそれ以上の資力がある人、公務員等の収入が安定した職業の人、家賃支払いに当たり十分な貯蓄がある人等、連帯保証人として、支払い能力を十分に持っている人を代わりに立てる必要があります。

1-1.すでに賃料滞納が起こっている場合

滞りなく家賃の支払いが行われており、滞納が生じていなければ、条件次第により連帯保証人を変更してもらうことは可能だと考えられます。

しかしすでに滞納が発生している場合は、借主が連帯保証人を非常に強く必要としている状況となります。

そのため、変更や解除が認められるケースは非常に稀です。

たとえ変更や解除が認められたとしても、これまでの滞納金を一括弁済して清算が完了してから、といった条件付き変更・解除となります。

そのため変更する連帯保証人は、非常に重い責任を負うことになります。

その上で十分な資力を持つ人を、新たな連帯保証人として貸主に認めてもらわなければいけません。

連帯保証人を変更できる可能性が高いケースとして、不動産等の担保を差し出すことが挙げられます。

しかし、これは現実的に考えてかなり難しいと言えるでしょう。

2. 【賃貸における連帯保証人の変更】変更の場合の流れは?必要書類は?

連帯保証人を変更したい場合、まずは大家さんや不動産会社に相談しましょう。

変更の手続きは個々のケースで異なりますが、次のような手順が一般的です。

まず、「連帯保証人変更の覚書」「連帯保証人の変更願」という書類を作成します。

そのあとで、不動産会社や大家さんの元に借主本人が「賃貸借契約書」、本人の「印鑑証明」、新連帯保証人の「印鑑証明」、「収入証明書類」、「住民票」等を持参して、新たに賃貸借契約を結びます。

3.【賃貸における連帯保証人の変更】連帯保証人の責任期限はあるの?

連帯保証人の責任期限は、よくトラブルになる原因の1つです。

親戚を連帯保証人にしている場合、2年ごとの賃貸借契約の更新時に連帯保証人の署名、捺印を特に貰っていなかったというケースです。

家賃滞納が発生し、連帯保証人に連絡したところ、「契約の更新したあとの保証を引き受けた覚えはない」と拒絶されというケースがあります。

この場合、連帯保証人に滞納した家賃を請求できないのでしょうか。

答えは「ノー」です。

このような場合、連帯保証人は支払い責任があると判断される可能性が非常に高いのです。

通常の賃貸契約では、賃貸借契約の保証人は、更新後も保証の責任があることを承知で契約したとみなされます。

この事案は、平成9年11月13日に最高裁判所の判決がありました。

その際、「期間の定めのある賃貸借の保証人は、更新後も責任を負うという合意があったと解釈される」としています。

保証人が同意して、契約書に署名と捺印がないまま更新されていたとしても、借主の家賃滞納が発生すれば、貸主は保証人に未払い家賃を請求し、連帯保証人は、その請求に応じなければなりません。

また、「借主が継続的に賃料の支払いを怠っているのに、貸主が保証人にその旨を連絡しないで契約を更新させている場合は『信義則に反する』と最高裁判所も指摘しているため賃借人の保証人への請求が否定されることがあり得る」ともしています。

連帯保証人の責任期限が明記されていなくても、通常、契約更新を前提とする賃貸借契約の場合は、保証契約も更新され、連帯保証人の責任は消えない可能性が高いと言えます。

4. 賃貸における連帯保証人の時効

連帯保証人の債務には、時効が成立します。

連帯保証人は、貸主との間で、保証契約を締結しています。

借主を介すことなく、直接連帯保証人と貸主の直接契約という形になります。

この保証契約によって、連帯保証人は主債務者(貸主)の借金を保証する義務を負います。

この連帯保証債務も、時効によって消滅することがあります。

連帯保証債務が時効に差しかかった場合、連帯保証人は自らの保証債務に関する消滅時効を援用し、独立して債務を免れることができます。

しかし、連帯保証人の保証債務が時効にかかったからといって、借主の滞納分も時効にかかるわけではありません。

5.連帯保証人の変更におけるトラブルになるケース

実際、連帯保証人の変更は、トラブルになるケースも多いのです。

ここではよくトラブルとなる事例についてご紹介します。

5-1.【ケース1】夫婦の一方が連帯保証人になっている

これは、夫婦のうち1人が連帯保証人になっているケースです。

例えば、結婚後に賃貸契約で妻が夫の連帯保証人となり、その後夫婦仲が悪くなって、離婚したとします。

そのため、妻が連帯保証人を外してくれという場合です。

結論から言うと、離婚などを理由として連帯保証人の責任が無くなることはありません。

貸主側が承諾しないと、離婚後も連帯保証人としての責任を背負って生きていかなければいけません。

5-2.【ケース2】ルームシェアによるトラブル

最近ではルームシェアも一般的になってきましたね。

友人とルームシェアをすることとなり、片方が連帯保証人になるケースです。

ルームシェアを開始してみたものの、その後、窮屈な生活に疲れて関係が悪化、連帯保証人になった側の住人が、そのアパートを退去して1人暮らしを始めました。

しかしその後、残った側の家賃未払いが続くようになり、住んでいないのにすでに退去した側に家賃請求がされるようになるケースが考えられます。

このような場合も、シェア物件に残った友人と協議して、新たな連帯保証人を立てる等、貸主の承諾が得られなければ、連帯保証人を外してもらうことができないのです。

6.まとめ

賃貸借契約において、連帯保証人は非常に重い責任を負います。

それだけではなく、連帯保証人を変更したいと思っても、債権者側、賃貸借のケースでいけば、大家さんが納得して同意してくれないと変更は認められません。

連帯保証人は一度なってしまった場合、非常にやめにくいため、「連帯保証人になったために人生が狂った」というのはドラマの世界だけの話ではないのです。

実際、連帯保証人についての悩みや相談は、大手法律相談サイトで約1万件にものぼっています。

連帯保証人の変更を認めてもらうためには、新しい連帯保証人を立てるか、不動産などを担保に立てるしかありません。

また、連帯保証は期限について定めがない場合は、自動的に更新となる可能性が高いので、もし連帯保証人になる場合はその点も十分に確認しておく必要があります。

連帯保証人の変更は容易ではないということを十分認識しておくことが重要ですね。