新たに賃貸マンションに住もうと考えた時、最初にかかる費用はどれくらいなのでしょうか?
イメージしやすいのは引っ越し費用や新居の家具・家電といったものがありますが、物件の契約時には他にも色々と費用がかかるものです。
その中で、賃貸物件を探しているとよく目にする「礼金」とは何なのでしょうか?
今回は「礼金」とは何か、いつ何のために払うお金なのか、その相場はいくらなのか、といった情報をご紹介します。
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このページでわかること
1. 賃貸マンションの礼金とは?
「礼金」とは、物件を借りる際に大家さんに支払う「お礼」の意味合いのお金です。
もともとは関東大震災の直後や第二次世界大戦後などの住宅が不足した時期に、住む場所を提供してもらったお礼として家主に支払っていたものと言われています。
他にも「上京する子どもの面倒を見てほしい」という思いから、上京する人の親や親族がお礼として家主に支払ったお金だという説もあります。
つまり、物件を借りるために必要な資金と言うよりは、あくまで「借りる側の感謝の気持ち」として包んだお金が「礼金」ということです。
現代では先述のような状況はほとんど無いため、本来の意味合いはなく、昔からの慣習として根付いているだけ、というのが実情です。
最初から金額を設定されているので「礼」の要素はありませんし、法律で具体的な礼金の定義が定められているわけでもありません。
そのため最近では「礼金なし」の物件が増えていたり、「礼金あり」でも金額の交渉ができたりなど、物件によって様々な形が増えています。
2. 賃貸マンションの礼金と敷金の違い
物件を探すとき、「礼金」と同時に目に入るのは「敷金」ですよね。
よく「敷金・礼金◯ヵ月分」などと表記されているものが多いですが、「礼金」と「敷金」の違いとは何でしょうか?
「礼金」とは先述のとおり「大家さんにお礼の意味合いで支払うお金」ですが、「敷金」は「物件を借りる際に大家さんに預けるお金」のことです。
あらかじめ「敷金」として大家さんにお金を預ける理由は、以下の2つです。
- 借主が家賃を支払えない、または滞納した場合、「敷金」より精算するため
- 借主は物件の退去の際に「原状復帰」を行う義務があるため、壁紙などの修繕やルームクリーニングが必要になった場合に費用として使うため
つまり、借主の過失で問題が起きた場合に、あらかじめ預かっていたお金から精算するために「敷金」が必要になるワケです。
あくまで「預けているお金」ですので、上記2つに該当しない場合には、退去時に戻ってきます。
「礼金」は「大家さんへのお礼のお金」のため退去時にも戻ってこないので、これが「礼金」と「敷金」の最も大きな違いと言えます。
3. 賃貸マンションの礼金の相場
地域によって相場も変わってきてしまいますが、1つの参考として首都圏では家賃の1ヶ月分が「礼金」で支払う金額の相場です。
家賃1ヶ月分、と聞いただけでは最低限の金額で済むように感じるかもしれませんが、物件の契約時に支払うのは「礼金」だけではありません。
「敷金」の相場も家賃1ヶ月分が相場ですので、それだけでも「礼金」と合わせて家賃2ヶ月分という計算になります。
さらに、不動産会社を通した場合には仲介手数料、前家賃や火災保険などの費用を合わせると、家賃にして4~5ヶ月分が入居前に必要になります。
賃貸マンションを借りる際には、「礼金」以外の費用も考えながら、「礼金」の金額を計算しましょう。
4. 礼金はいつ払う?
「礼金」は入居の前に大家さん(仲介が入っている場合は不動産会社)に支払います。
他にも「敷金」などの費用も同じタイミングで支払い期日を指定される場合がほとんどですので、先述のとおり、一度にまとまった予算が必要になります。
入居前に支払う金額が合計でいくらになるかを計算し、予算が足りない場合は後述する「礼金の交渉」や「礼金なしの物件」などを検討しましょう。
5. 礼金の金額は交渉できるって本当?
「礼金」は入居前に交渉することで金額を下げられる場合があります。
「礼金」は、同じく初期費用である「敷金」や「仲介手数料(不動産会社が仲介に入っている場合)」などに比べて交渉がしやすい費用ですので、
物件を借りる際の初期費用を抑えたい場合には最初に交渉すべき費用だと言えます。
理由として、「礼金」は先述のとおり「お礼」の意味合いをもつお金のため、大家さんにとってはマイナスにはならない費用だからです。
むしろ、「築年数が古い物件」や「4~7月の閑散期」などで、何とか部屋を埋めたいと考えている大家さんからすれば、
デメリットの少ない「礼金」を値下げすることで空き室を減らしたいと考えている場合もあるので、積極的に交渉するのがオススメです。
反面、「1~3月の繁忙期」や「新築」「人気の物件」などの場合は、「礼金」の値下げ交渉が成功しない場合もあるので注意が必要です。
6. 礼金や敷金無しの賃貸マンションとは?
最近では値下げ交渉をすることなく「敷金・礼金ゼロ」といった物件も増えてきました。
「礼金」が無ければ当然初期費用を抑えられるため、大きなメリットがあると考えられます。
しかし、それ以外の部分で費用がかかる可能性やデメリットなども存在します。
以下では、「敷金・礼金ゼロ」のデメリットについて紹介します。
☆礼金ゼロの場合
「礼金」は「敷金」と違って補修などに使われるお金ではないため、ゼロだったとしても問題はありません。
先述のとおり「お礼」の意味合いをもつため「大家さんへの心象を良くするため」といった考え方もできますが、実際には大きな影響はないと考えて問題ありません。
ただし、「礼金」がゼロの代わりに家賃が高い、といった物件もあります。
「礼金ゼロ」の物件を見つけた時は、同じ間取りの相場を調べて、入居してからの費用も計算しておくことをオススメします。
☆敷金ゼロの場合
「敷金」は「礼金」とは逆に具体的に使用の目的があるお金のため、注意が必要です。
「敷金」には退去時に「原状復帰」を行うための費用という用途があるため、「敷金」がゼロということは退去時の「原状復帰」時には必要なお金を支払うことになります。
多くの場合、退去時は別の場所へ引っ越しをするなどお金がかかる時期ですので、金銭的な負担が大きくなる可能性があります。
先に支払うか後に支払うかの差があるだけで、最終的には支払わなければいけない費用と言えますので、よく考えてから選ぶことが重要です。
7. 賢い賃貸マンションの選び方
新しく賃貸マンションを探す場合、どうせならキレイな部屋で、できれば家賃が安いところに住みたいと考えるのではないでしょうか。
築年数が古ければ家賃も安くなりやすいですが、新築物件を探そうとすれば当然家賃も高く、選択肢も狭くなります。
きれいに原状復帰されていても、築年数が古い物件は経年劣化による古さが出てしまうため、イマイチに感じてしまうかもしれませんね。
そこで、新築物件とはいかなくても、きれいな部屋に住むには「リノベーション物件」を探してみることをオススメします。
「リノベーション物件」とは最近増えてきた物件で、リフォームよりもさらに大規模な工事を行なった物件のことです。
デザイン性を高める、耐震強化工事などを行うなど、既存の建物を壊さずに新築時以上の価値が付加されます。
築年数が古いため家賃も抑えられ、デザイン性や耐震性にも優れた「新築じゃないけど新築みたいな物件」と言えます。
その他にも、先述したような「礼金の交渉」や「契約時期」に気をつけることによって、より初期費用を抑えて新生活が始められるので、ぜひ活用しましょう。
8. まとめ
今回は「礼金」についての用途や相場などの情報をご紹介してきました。
「礼金」の由来や理由だけでなく、初期費用を抑えるための方法などがお分かりいただけたのではないでしょうか。
新しく生活を始める際には何かとお金がかかる場面が多いため、初期費用をどれだけ抑えられるかは、その後の生活にも大きく影響します。
相場や物件を見ながら、交渉が可能な部分は積極的に値引き交渉することをオススメします。
ただし、初期費用を安くすることにこだわり過ぎますと、月々の家賃や退去時に必要になる費用などが後々大変ですので、バランスには注意しましょう。
賢く賃貸マンションを選び、また初期費用を無理なく抑えるために、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。




