賃貸の契約をキャンセルは可能か?契約書を提出する前と後の違いについて

賃貸借契約を結んでも、事情によりどうしても解約が必要な場合もありますね。

例えば、急な職場の転勤、家族の傷病などやむを得ない事情の場合などが挙げられます。

賃貸借契約をキャンセルしたいと希望したら、可能なのでしょうか?

その場合、費用は発生するのでしょうか?

また、どのような手順でキャンセル手続きを進めるのでしょうか?

今回は、賃貸借契約のキャンセルについてご紹介いたします。

 

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1. 賃貸借契約をキャンセルしたい! いつまで可能?

まずは、賃貸契約の流れを確認しましょう。

賃貸契約は、所定の手続きを行い契約書に署名捺印をするまでは、成立しません。

①物件を見つけて不動産会社に連絡

②内見に行き、物件を決定する

③契約の申し込み、入居審査の実施

④宅地建物取引士より重要事項の説明を受ける

⑤契約手続き(契約金や前払い家賃の入金、書類提出等)

⑥物件の引き渡し

これら①~⑥のうち、いつまでに家賃等、費用の支払いをせずに、キャンセルが可能なのでしょうか。

1-1.契約の申し込み前

契約の申し込み前はどうでしょうか。

上記①②の段階では、契約は成立していないと考えられます。

例えば、不動産会社と打ち合わせ時や、内見の時に「必ずこの部屋を申し込みます。よろしくお願いします。」と口頭で言ったとしても、契約書に署名捺印をするまでは、契約は成立していない可能性が高いでしょう。

そのためこの地点では、不動産会社にキャンセルする旨を伝えれば、問題なくキャンセルできる可能性が高いと考えられます。

1-2.契約書にサインする前

契約書にサインする前はどうでしょう。

手元に契約書があり、それまでの手続きは済んでいる状況です。

こちらも上記同様に、キャンセルできる可能性が高いと考えられます。

契約書へ署名捺印するまでは「契約成立前」という扱いになり、契約はキャンセル可能です。

つまり、この時点でもし申込金等の支払いをしている場合は、それを返金してもらうことができます。

しかし、インターネットの法律相談サイトなどでは、正当なキャンセルにもかかわらず、申込金を返金してもらえない、というトラブルについての相談事例も見られます。

相談事例

「賃貸物件の申し込みを口頭で行い、不動産会社の営業マンに物件を確保してもらった。

その後、営業マンからの依頼で、申込金がどうしても先にいると言われたため、指定された口座に申し込み金9万円を支払った。

支払いの際、「振り込み明細があれば、いつでも返金に応じる」と説明を受けたので、すっかり安心していた。

しかし、その後、家族の傷病を理由に急きょ実家へ戻らなければいけなくなり、今回の賃貸物件に関する契約はキャンセルすることにした。

その後連絡をし、不動産管理会社に返金を依頼したが、不動産管理会社からはしばらく待って欲しいと言われた。

このようなやり取りが数か月続き、今も申込金は返金されていない。

申込金は返してもらうことはできないのか。」

このような事例は決して珍しくはありません。

ここで明確な回答をすることは難しいのですが、契約書にサインしていない以上、特段の事情がなければ、キャンセルできる可能性は非常に高いと考えられます。

またこの返金は、管理会社ではなく、賃貸の媒介をする不動産会社側が行う必要があります。

まずはお客さんに返金をして、その後不動産会社が管理会社に求償する形を取るのが適切でしょう。

1-3.契約書にサインした後

では、契約書にサインした後はどうでしょうか。

契約書にサインをすると、契約そのものが成立しているとみなされます。

キャンセル=解除という扱いではなく、契約が成立したものを白紙に戻すわけですから、「解約」という扱いになります。

解約の場合、一度した契約したものを解除することになります。

そのため、支払いに関する問題も生じてきます。

契約金

契約金や申込金、手付金といったお金は返金されないことがあります。

ただし返金される場合があるとすれば、宅地建物取引士からの重要事項説明を受ける前が考えられるでしょう。

これは、不動産取引において不動産業者規制宅建業法に定められており、賃貸借契約においては、仲介をする不動産会社側に、契約締結を行う前に「重要事項説明」を行うことを義務としています。

契約金や申込金、手付金といったお金は預り金として扱われます。

そのため返金の余地はあると考えられるでしょう。

預かり金の返還についても、宅地建物取引業法に根拠条文があるため、業者に返金を申し出れば返してもらえる可能性は高いと言えます。

〇宅地建物取引業法施行規則 – 第十六条の十二 – 二

「宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。」

ただし、あくまで重要事項説明を受けて本契約する前に限られる、と考えられます。

また、各地域で考え方に差異があります。

その点については、ご自分の住んでいる地域の慣習も影響してきます。

敷金

敷金は、主に賃借人が居住した住居のハウスクリーニングや修繕に関する費用に充てられます。

もし契約キャンセルし、入居していない場合、返還交渉すれば返してもらえる可能性が高いと言えます。

火災保険料・損害保険料

キャンセルは、保険契約の契約内容に従うことになります。

例えば年間保険料を一括で支払っている場合、解約返還保険料として全額返金してもらえます。

月払いの場合、当月分は返金されないこともあるようです。

各保険会社の約款を確認すると良いでしょう。

2. 賃貸契約キャンセルは多くの人に手数をかける

不動産賃貸契約には、複数の人達が取引にかかります。

物件を任せられた不動産会社、その担当営業マン、そして物件の大家さん、不動産物件の管理会社などが想定されますね。

これらの方々で連絡を取り合い、契約や入居に向けた準備と段取りを行います。

そのため、少なからず不動産会社の人件費や各当事者の時間等の労力が使われますが、取引キャンセルは、これらがすべて無駄になることを意味します。

家庭の事情ややむを得ない事情の場合は、仕方ないでしょう。

しかし、ある程度交渉が進んだ段階で「やっぱりあちらの物件の方が安いから」など、あまりに身勝手な理由でキャンセルするのは考え物と言えるでしょう。

ただし契約のキャンセルは、何か違法性を帯びているわけではありませんから、それ自体はやむを得ないと言えるでしょう。

3. キャンセルした人にはペナルティがあるのか

賃貸契約のキャンセルは、ペナルティがあることが多いようです。

賃貸契約書に、次のような文言で書かれている場合があります。

「賃借人は、本契約締結後、契約期間開始日の前日までの間は、賃料等の1ヶ月相当分を賃貸人に支払うことによって、本契約を解除することができるものとする。」

契約には、「契約自由の原則」というものがあります。

つまり違法な契約でなければ、自由に契約の内容を定めることができるのです。

このようなペナルティが定められている契約書はよく見かけられるようです。

どうしても、不動産会社や各契約当事者の人件費などの諸経費が発生している関係から、家賃1ヵ月分程度のペナルティが発生するのは、仕方ないと言えるでしょう。

4. まとめ

賃貸契約は重要事項説明を受けて、賃貸借契約書に署名捺印するまではキャンセル可能です。

重要事項説明を受けて、署名捺印前なら、契約をキャンセルして預り金(手付金、前払い家賃、申込金など)を返金してもらえる可能性は高いと言えます。

しかし、契約後のキャンセルは解約扱いとなるため、注意が必要です。

賃貸契約のキャンセルは、不動産取引の当事者の方々に迷惑かけることになります。

それだけに、慎重に検討しましょう。

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