賃貸時の契約書を紛失!契約は無効?再発行はできるの?

賃貸時の契約書を紛失してしまった!そんな時はどうすればよいのでしょう。

再発行やコピーはできるのか、その方法、原本が必要な場合はあるのか、解説していきます。

1. 【賃貸借契約書を紛失】再発行はできるの?

契約書については、基本的には再発行はしないと考えたほうが良いです。

賃貸借契約書を再発行するということは、もう一度署名・押印をしなおす必要があり、その上で再発行をすれば発行日が紛失した物と異なり、本契約の内容を正確に証明する証拠にならないからです。

書面に記載をする日付が違うことから、契約書は厳密には以前交わしたものとは別物です。

このことは仮に万一再発行した契約書の内容について、一方にとって不利になるような内容に変更されてしまったとしても、日付が新しくなっている方、つまり変更した後の契約書が優先されるということです。

これらの理由からも、再度調印をしなおすということを貸主は敬遠しがちなのです。

ですので再発行ということは考え難いのが現状です。

しかしながら貸主によっては再発行を許可してくれる方もいるので、1度相談してみるのも手です。

1-1. 再発行は難しいがコピーは可能

契約書は当事者の双方、貸す人と借りる人に一部ずつ交付するのが一般的です。

自分の持っているものと全く同じものを相手も持っている状態であることがほとんどとなります。

それのコピーを発行してもらうことが一番有効な手段と言えるでしょう。

1-2. 契約書を貸主も無くしていた!そんな場合は?

貸主も契約書を紛失していた場合は、契約の仲介を行った会社に連絡してみましょう。

仲介した会社はその契約について、契約で使った書類を保管しておく義務があるのです。

契約書の複写についてもその中に含まれていますので、コピーをもらうことが可能です。

具体的な方法としてはまず、仲介会社の公式サイトへアクセスしましょう。

公式サイトには必ず、入居者へ向けたQ&Aがあるはずです。

その項目で、契約書の紛失についてといった項目を探してご確認ください。

多くの場合会社で控えを持っているので、電話等で問い合わせれば、コピーを送ってもらえます。

実は法律上では、不動産会社は契約書を保管する義務はありません。

しかし宅地建物取引業法49条において、宅地建物取引業に関し取引があった度に「取引年月日」「取引の宅地」「建物の所在」「面積」等を帳簿に記載し、その帳簿を決算日から5年間事務所に備え置く義務が規定されています。

よって5年以内であれば再発行をしてもらえる可能性が高いのです。

また、もし10年以上同じ物件に住んでいる場合は、最初の契約書は保管していない可能性もありますが、直近の更新契約書は保管しているはずです。

◯但し、こうしたコピーには手数料が発生する可能性があるので、その点は注意してください。

発行申請の際は本人確認書類を持っていくとスムーズにコピーをもらえるでしょう。

1-3. 不動産会社に契約書の再発行もコピーも断られた場合は?

もし不動産会社との交渉がうまくいかないのであれば、各都道府県庁の相談窓口に相談してみましょう。

相談機関から不動産会社へ連絡して貰えれば、不動産会社は契約書のコピーを提出してくれるはずです。

2. 【賃貸借契約書を紛失】契約は? 今後どんなことで困る?

契約書をなくしても、契約は無効になりません。

契約書に調印した時点で契約は成立しているため(厳密にいうと口頭でも契約は成立)、契約後に紛失したとしても、それを理由に契約を解除されるということはありませんので大丈夫です。

2-1. 退去する際には賃貸借契約書が必要?

物件を退去する際に賃貸借契約書を返却、または提示する必要はありません。

引っ越しなどで自主的に退去するような際にも、賃貸借契約書を提示したり返却したりする必要はありません。

なので契約書を紛失してしまったからといって退去できないということはないので、ご安心くださいね。

2-2. 契約書を紛失した際にはどんなことで困る?

賃料改定の場合や、退去する際の原状回復について等、トラブルになりがちな項目の契約内容は、契約書の内容を基準に対処していくことになります。

ですので実際にそういう状況になった際は契約書が必要になってきます。

また、たとえ契約内容を把握していたとしても、貸主・借主双方の意見が食い違った場合には、証拠として契約書は非常に重要になるので、やはり契約書は持っていた方が良いです。

◯よくあるトラブルの項目

  • 契約の期間

何年間の契約なのか。解約の際の通知は何ヶ月前までに行うのか。

契約中の解約時にかかる違約金について等。

  • 使用上の禁止事項

ペット、楽器の可否について。

ペットについては魚やハムスターなども飼ってはいけない物件もあります。

  • 設備、備品について

契約書にはその物件の設備、備品について記載がされています。

それらを借主の過失により故障させた際には、借主が修理費を負担する必要があります。

しかしそれ以外の場合には貸主側に修繕義務があります。

しかしその設備、備品が前の住民のものだと、故障の状況に関わらず、貸主に修理義務はないので注意が必要です。

  • 契約更新の条件

更新の際に手数料は必要か、また更新時の賃上げ制度はあるか等。

  • 退去時の原状回復義務

通常経年劣化による破損・汚損は物件管理者に回復義務があります。

ですが契約によっては、契約者にその分の支払いを求める特約が定められている物件もあるので、注意が必要です。

3. 【賃貸借契約書を紛失】原本が必要な場合はどんなとき?

3-1. 新たな事業をはじめる時

新たな事業を始める際には、その事業について役所の許可が必要となる場合があります。

その際にはほとんどが契約書の原本の提示を求められることになります。

ですので無くしてしまっていると許可がとれず、事業を行えないということになってしまいます。

また、保証金の預かり証については、契約書と一緒になっているようなこともあります。

このような場合は預かり証ですから、原本は借主側にしかありません。

返還の際にトラブルにならないよう厳重な管理が必要です。

3-2. 会社への家賃補助の申請時

会社等で家賃補助の制度を申請するときには、賃貸借契約書の原本やコピーの提出を求められます。

3-3. どうすれば原本を発行できる?

このように新規事業をはじめる際や会社の家賃補助申請時に、賃貸借契約書の原本が必要な場合があります。

しかし上で解説したように、基本的には原本の発行は難しいです。

ではどうすれば原本を発行できるのでしょうか。

これはやはり大家さん(管理人)にしっかりと事情を説明し、契約書を再度作成してもらうしかないです。

大家さんにとっては負担となってしまいますが、こちらは毎月家賃を納めている立場でもあるので、事情をしっかり話せば応じてくれるはずです。

万が一応じてくれないという場合は、各都道府県庁の相談窓口で相談してみてください。職員から話があれば、大家さんも応じてくれるはずです。

4. まとめ

これまで見てきたように、賃貸借契約書を紛失してしまった場合、再発行は困難ですが、コピーを発行してもらうことは可能です。

この賃貸借契約書がないと契約時の約束事が把握出来ないため、なにか問題が起きた際にうまく対処することが出来ない場合があります。

またトラブルが起きた際の貴重な証拠にもなるので、紛失した際は大家さんや管理会社に連絡し、その旨を伝えるようにしましょう。

そして万が一コピーに応じてくれなかった際には、各都道府県庁の相談窓口に相談すると、発行してもらえるはずです。

そしてコピー等を発行してもらった際は、どこに保管するかよく考えて決め、今後紛失することがないよう、気をつけるようにしましょうね。