
賃貸物件では必ず「契約期間」が定められています。
契約のときにはもちろん、少なくともある程度の期間をその物件で暮らすつもりでいますが、何らかの理由で期間内に解約せざるを得ない場合もありますよね。
あるいは、契約期間いっぱいまでは住む予定がなくても、他に物件が見つからずやむを得ず契約する場合もあるかもしれません。
この記事では、契約期間内に解約するための手続きの方法と、気になる違約金の相場について詳しくご説明します。
引っ越しを考えているけれど契約期間満了がまだまだ先だという方は、ぜひ参考にしてください。
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このページでわかること
賃貸の契約期間内に解約するための手続き
“手続き”というと、かしこまった書類のやり取りなどが必要なのかと感じてしまいますが、基本的にはそういった書類などは必要ありません。
「○月〇日に、この物件の契約を解消します」という申し入れをし、入居者はその日までに部屋の荷物を運び出し、契約したときの状態に部屋を復帰させるというのが一般的な解約までの流れですよね。
この、“申し入れ”ですが、どちらの都合によって解約するのかによって、申し出なければいけない時が異なります。
借主の都合による契約解除の場合
卒業や就職、転勤、結婚や新居の購入、あるいは、単に気分転換のための引っ越しなど、借主側の都合で契約解除をする場合、借主側から大家さんや管理会社へ契約解除の申し入れをする必要があります。
一般的には「退去予定日の1か月前までに」申し入れることになっています。
ただし、物件によっては申し入れの時期がもっと早い段階で必要な場合もあります。
申し入れの時期については、必ず、賃貸借契約書に記載があるはずですので、引っ越しを検討した段階できちんと契約書を確認しておきましょう。
貸主の都合による契約解除の場合
賃貸借契約では、貸主は、正当な理由がない限りは、借主に対して契約解除を求めることができない決まりになっています。
しかし、立て替え工事や廃業といった正当な理由があれば契約解除を求めることは可能で、この場合は、借主都合の契約解除のときと同じように、貸主側から借主へ契約解除の申し入れを行います。
ただし、申し入れの時期は、借主都合の解除よりも厳しく設定されており、「6か月前まで」とされています。
この理由は言うまでもなく“借主保護”のためです。
いくら正当な理由があったからといって、突然借主側から出ていけと言われたら困ってしまいますよね。
こういったことのないように、貸主側は借主よりもかなり早い段階で契約解除を申し出なければいけないことになっているのです。
契約期間が満了したときの解除手続き
ちなみに、契約期間が終わるとともに契約解除をしたいときにはどのように手続きをすればよいのでしょうか。
この場合は非常に簡単です。
契約期間の終了が近づくと、通常、大家さんや管理会社、不動産仲介業者から、電話や郵便で連絡が来ます。
そのときに、契約を更新するかしないかを尋ねられますので、「更新しない=解除」の旨を伝えるか、通知を返送するなどして申し出てください。
この場合、契約終了日までに部屋の荷物を整理し、契約時の状態に原状復帰する必要があります。
ただし、契約が「自動更新」である場合、こういった連絡がくることはありません。
上述の通り、借主側からの解除の申し出は、1か月前までにする必要があります。
自動更新を見落としていたことによって解除の時期が遅れ、余計な家賃を支払わなければいけなくなるケースも考えられますので、契約書をよくチェックしておきましょう。
賃貸を契約期間内に解約した場合の違約金について
契約期間内に解除するにあたって、もっとも気になっていることは違約金のことですよね。
契約期間が定められていると、満了まで住み続けなければペナルティとして違約金が必要なのではないかと心配になってしまいます。
しかし、安心してください。
ほとんどの場合、契約期間内の解除であっても違約金がかかることはありません。
というのも、これまでご説明してきたように、賃貸契約を解除するときには1か月前までに申し出が必要であり、解除日までには1か月以上の日数があることになります。
つまり、最後の1か月分(あるいは、契約で決められている解除日までの日数分)の家賃は必ず支払われるということになります。
また、物件によっては、契約期間内の解除に違約金が発生することもあります。
この場合、おおむね「家賃1か月分」が違約金の相場となっていますので、上述の“違約金なし、最後の1か月の家賃が必要”な場合と条件は同じと言えます。
ただし、1か月分以上の違約金が求められる場合もあります。
違約金については、必ず契約書に記載されていますので確認するようにしておきましょう。
傾向として、初期費用が少ない、相場よりも家賃が安いなど、いわゆる“好条件”の物件は違約金が発生するケースもやや多いです。
また、1年未満など、非常に短い期間で契約解除にいたった場合などは、解約について条項が設けられていることもあります。
賃貸を契約期間内に解約・退去する場合の注意点
ここでは、賃貸物件の契約を、契約期間内に解約する場合に注意したい点を2つお伝えします。
契約解除の申し出は、「口頭」を避ける
契約解除を申し出るには、特別な書類などが必要なわけではなく、大家さんや管理会社に「契約解除をしたい、いついつに退去したい」ということが伝われば問題ありません。
しかし、口頭だけで伝えてしまうと、“言った、言ってない”とトラブルになってしまう可能性もあります。
そのため、契約解除は口頭のみでの申し出は避け、メールやFAXなど、記録の残るもので申し出ることを強くおすすめします。
また、書面を郵送するなどして申し出を行う場合も、念のため、確実に届いているかを確認しておく方が良いでしょう。
申し出を確認するときには、「解約日」、「退去の立ち合いの有無」、「立ち会い日時」に間違いがないかよく確認しておきましょう。
とくに、3~4月や9月頃は、入退去が重なる時期です。
そのため、手続きに漏れや誤りも起こりやすくなるため、不必要な家賃などが発生してしまう可能性もあります。
スムーズに契約解除ができるよう、念には念を入れて、申告や手続きには抜かりのないよう努めましょう。
解約する月の家賃を確認しておく
解除日が月末の場合はそれほど気にすることはありませんが、月途中に解除日がくる場合などは特に、最終月の家賃について確認しておいた方が良いでしょう。
というのも、家賃は通常1か月ごとに支払うことになりますが、解除日が月途中に来る場合は、最後の月は契約が1か月に満たないことになります。
1か月に満たない期間の家賃に関しては、請求の仕方が3つあり、このうちどれが当てはまるか確認しておく必要があるのです。
家賃請求の仕方3つとは「日割り」、「半月割」、「月割」です。
それぞれ読んだ通りですが、日割りは“家賃を30日または31日で割った金額×日数分”、半月割は“解除日が1~15日なら家賃の半額分、16~末日なら家賃の1か月分全額”ということですね。
支払わなければいけない家賃の金額をきちんと把握したうえで、契約解除の日程を決めないと不要な家賃を支払うことになりますので、必ず確認しておきましょう。
賃貸の契約期間内に解約するための手続と違約金の相場まとめ
賃貸契約を、契約期間内に解約するときの手続きや注意点をご説明しました。
物件それぞれの契約内容にもよりますが、基本的には契約期間内であっても賃貸契約の解除は可能で、契約に定められた日数以前の申し出によって解除することができます。
原則、借主都合の場合は1か月前、貸主都合の場合は半年前と、借主保護のために申し出が必要な時期は異なります。
違約金についても、ほとんどの物件では不要で、申し出た時期や解除日によって、残りの家賃を支払うという形が一般的です。
ただし、好条件の物件や、あまりにも入居期間が短い場合には違約金が発生するケースもあります。
これらは、必ず契約書に記載されていますので、よく確認しておきましょう。
また、いわゆる引っ越しシーズンなど、入退去の重なる時期では手続きの不備や漏れなどの可能性もありますので、「念には念を」の精神で、トラブルのないよう、記録の残る形で手続きを進めることを心がけましょう。




