最近はネットで自分の気に入った賃貸物件を探した後、物件を実際に確認してから契約するという流れが多いと思います。
その際の注意すべき点、順序を分かりやすく説明していきます。
まず注意したいのが、
- 宅地建物取引業者に仲介を依頼し賃貸借契約を締結した場合
- 自社物件等の賃貸借契約を締結した場合
では、違いがあるという事です。
宅地建物取引業法において、「取引」とは「自ら売買・交換、売買・交換・貸借の代理・媒介」という8つの取引が規定されています。
「自ら貸借」する場合は上記にありませんので、宅地建物取引業法の規制はおよびません。
貸主の自社物件等を貸借契約した場合には「宅地建物取引業法」という縛りは一切なくなります。
民法上の賃貸借の場合、申し込みと承諾があれば契約が成立しますので、契約書の作成は不要になります。
ただ現実的には、宅地建物取引業法に沿った進められることが多いので、契約書の作成等は行うことになるでしょう。
以下で、業者が仲介している前提で話を進めて行きます。
ここからはわかりやすく説明しますのでご安心ください!
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このページでわかること
1. 住みたい部屋が見つかった!賃貸契約の基本的な流れ
インターネットで探して住みたい物件を見つけたら、掲載している不動産賃貸仲介の会社に連絡をし、内見の予約を取ります。
実際に内見し、住みたい物件が見つかったからといって、すぐに契約とはなりません。
特に、「申込み」をしただけでは契約するという確約には至っていないということにご注意ください。
1-1. 入居申込み
ココに住みたい!
そう思ったら、不動産仲介会社の担当さんに申し込みの意志を伝え、所定の申込書を管理会社またはオーナーさんから取り寄せてもらい、それに記入をします。
申込み書にご自身の名前や職場などを記載し、本人確認書類をコピーした用紙、または写真を不動産仲介業者の担当に渡したら申込み完了です。
しかし、物件の大家さんや管理会社さんによって提出すべき書類に違いがあります。
申込みの際に求められる書類が用意に時間がかかる場合、申込書と運転免許証などの本人確認書類を提出することで、一旦仮押さえをしている状態だと思ってください。
後述の「3.契約時に必要な書類について」で必要書類をご説明します。
必要な書類はがそろえば、そこから次へ進みます。
「申込みしたけど、やっぱり他の物件も見たい!」
気に入った物件が見つかったものの、もう少しだけ他の物件も見てみたいという場合は「仮押さえ」可能です。
もちろんそれが出来ないお部屋もありますので、申込みの際に迷っているときはご注意ください。
申込みをすれば強制的に契約まで進みます、という強行突破物件も中には存在します。
仮押さえしたい時に「申込金」という名目で、業者や貸主に対していくらかのお金を支払うケースがあります。
実はこの「申込金」、不動産仲介業者からすると、この時点では必要ないお金、です。
ではなぜ先に払わなければダメなのか?
「申込金」としてお金を支払ってもらい、他の会社で探してそっちにも申込みをさせないように、という魂胆というのが一番でしょうか。
会社としてのルール、という不動産仲介業者もあります。
もちろんそれが全てではなく、管理会社から申込金が必要と言われる場合もあります。
こちらは管理会社がこの人で確定させたいという意思があったり、キャンセルをさせないようにという気持ちがあったり様々です。
もちろん申し込んだからには「ココが良い」として申込みしたのですから、一部を先に支払うことに問題はないはず、で話が進みます。
この申込金は、その物件に決めるのであれば、契約に関する費用に充当する支払いになります。
ここで心配になるのが、「もし契約しない場合には申込金は没収されてしまうのか」という事だと思います。
答えは「没収されずきちんと返還される!」です。
申込金を渡した段階ではまだ契約締結には至っていないため、申込金に「解約手付」としての性質がないからです。
振込で支払われることが多いと思いますので、振込手数料はかかりますし、返金される際にも手数料負担になるので、少しだけお金はかかると思っていてくださいね。
正直言ってしまえば、契約金を支払いサインをするまではすべて仮押さえの状態です。
やっぱりやめた!と言ってもなんのペナルティもありません。
だからといって申込金?払いません!というと申込み受付をしてくれないので、損はしませんしお支払いをお願いします。
1-2.入居審査
書類も集まり、本格的に申込みに必要な項目を全て満たした後は入居審査が開始されます。
保証会社にもよりますが、以下が確認をされる項目です。
- 本人確認の電話番号が合っていて、本人が電話に出るか
- 本当に申込書に記載された会社に在籍をしているか
- 反社会勢力とのつながりが無いか
- クレジットカードなどでブラックリストに載っていないか
電話番号あってる?本人と意志確認の電話
あらかじめ「保証会社から電話があるので出てくださいね」と不動産仲介業者からお願いがあると思います。
この電話に出ないと審査も進みませんので、必ず出るようにしてください。
出れなかった場合は折り返しをするか、時間指定でかけてもらうか、とにかく本人が出る必要があるので必ず保証会社の方とお話をしてください。
その際に、本人確認のため住所や転居理由を聞かれるのですが、申込書に記載がある以上の内容はまず聞かれません。
もし電話がかかってきて聞かれる場合の例として、
結婚を機に引越し。奥さんは働いているが、旦那さんが研究職で大学からお金をもらっている状態。
旦那の稼ぎは多くなく、もし子供が出来て奥さんが稼げなくなったら収入面で不安がある。
その場合は旦那さんに、「今後そのようになったらどうされるのですか?
将来的に大学に就職し、お金が安定してもらえるのが約束されているなら大丈夫なんですけど…今後の展望を教えてください。」
という感じで不動産管理会社からでしょうか。
内容的に余計なお世話だと思いますが、家賃の支払いができなりそうな人を入居させてくれるほど、保証会社も管理会社も優しくありません。
本当にその会社で働いている?
書類に記載した勤め先に電話をかけて、本当に在籍しているかを確認します。
本人が出ずとも、上席の方や人事の方が出てくれて、「○○さんはそちらに在籍されておりますか?」という質問に「はい」と答えてくれればそれで大丈夫です。
反社会勢力とのつながりがないか?
反社会勢力とのつながりについては、もし後からつながりが分かった場合には、無条件で即契約解除するという書面にサインをします。
クレジットなど支払いで失敗や滞納してない?
その他、ブラックリストに載っていないかどうかの確認のために、CIC(Credit Infomation Center)等の信用情報機関に確認をとります。
一度失敗していると審査が通りませんので、過去5年で失敗したことがある方は、信販系ではない保証会社さんを審査に使ってもらうようにお願いしてみてください。
あらかじめブラックであるとわかっていたら、最初からその旨を不動産仲介業者に正直に話しをしておいてください。
審査通らず他の物件にしないといけない、時間がない!物件も無い!等、緊張が走る道を通ることはなくなるでしょう。
以上から判断して、問題がなければ審査通過、契約開始日と契約日を決める流れとなります。
1-3.正式契約
不動産仲介会社が仲介をしてくれている場合、その不動産仲介会社に契約に関する説明責任があります。
必ず契約前に「重要事項説明を宅地建物取引士に宅地建物取引士証を提示してもらった上で借主に説明」してくれます。
重要事項説明とは、契約するかどうかの判断基準を前もって説明することにより契約後のトラブルを防止する説明のことです。
そのため、必ず契約書にサインをする前に行います。
- 「ペットと一緒に暮らしたい」と思い物件を契約したのに、実はペット禁止の物件であった場合
- 「ピアノを朝まで練習したい」と考え契約したのに、20時以降は演奏禁止だった場合
こんな場合、「契約する前にきちんと説明をしてくれていれば、契約しなかったのに!」と思いませんか?
そういったトラブルにならないよう、不動産仲介業者には説明義務が課されています。
そしてそれを実際に説明するのが宅地建物取引士です。
「どうせ聞いても分からないし、面倒くさいし、省略して欲しい」という方もいらっしゃると思いますが、これができません。
できるとしたら借主が不動産業者の場合で、対面での説明のみ省略か可能です。
実際に対面で聞いた方が安心できますが、都合がつかない場合などは不動産仲介会社の担当に相談してみて下さい。
オンラインでの説明に対応している不動産会社もあります。
契約日が契約開始日でなくとも大丈夫で、サインをして重要な説明を受ける日であり、ご自身に時間がある時に設定してください。
契約開始日が、そのお部屋に入居できるとなります。
鍵をもらうのは前日?その日に引っ越しは?
契約開始日の前日に鍵を不動産仲介会社からもらえるので、その日を契約日にすると何度も行き来をしなくてすみます。
鍵は前日以降でしたらいつでももらえるので、契約当日に鍵を受け取りに行っても、何日後でも大丈夫です。
しかし、前日にもらえるからと行って引越しを前日にすることは出来ません。
その日は契約が開始されておらず、そのお部屋はオーナーさんの持ち物です。
契約開始日以降に荷物を運び入れてくださいね。
前日は内装や寸法などを確認する程度の入室でしたら問題ありません。
1-4. 物件の引き渡し
無事契約が成立し鍵を受け取ったら、まず家具を入れる前にしっかりと中を確認しましょう。
物件の引渡しを受けた際には、必ず「入念にチェック」するようにしてください。
入居したばかりでいきなりかもしれませんが、契約終了時のことを考えるため!です。
解約時、借主には当然原状回復義務が課されます。
自分が誤ってつけてしまったキズなら納得できますが、元々ついていたキズにリフォーム料は払いたくありませんよね。
もしキズがあるようなら写真を撮っておく等の証拠を残しておくといいでしょう。
鍵を渡してもらう際に室内のチェック表といったものを渡されますので、その用紙に記載をもれなくすることをおすすめします。
ちょっと書きすぎかな?と思っても大丈夫ですよ。
そうすることによって、引越し業者さんが付けてしまった傷というのも見つけることが出来るかもしれません。
引越し業者さんは細心の注意を払って家具を入れてくれますが、100%傷をつけない、という保証はありません。
万が一、荷物の搬入時に引越し業者さんが傷を付けてしまった時は引越し業者さんがその部分の原状回復の費用を支払います。
これに関しては管理会社と引越し業者さんとのやり取りが主になると思います。
ご自身が付けていない傷に原状回復費用は支払う必要ありませんよ。
2. 契約にかかる費用について
一番多いのが敷金が賃料の1ヶ月・礼金も1ヶ月という物件で、中には敷金0円・礼金0円という物件もあります。
最近は、仲介手数料も0円のトリプルゼロ物件というものも見受けられます。
そして、不動産仲介会社に仲介をお願いしていた場合には通常、仲介手数料が必要になります。
仲介手数料は、法律では原則家賃の1か月分に消費税を合わせた金額の2分の1であるとされています。
ですが事前の承諾を得ることにより、家賃の1か月分に消費税を合わせた金額を受領出来るということもあり、慣習として仲介手数料は家賃の1ヶ月分に消費税という金額が普通になっています。
これに関しては法律が現状に追いついていない状態で、半額だから陥る罠というものもあり、一概に法律を守っているから良い不動産仲介会社であると言い切ることが出来ません。
ここでは仲介手数料は家賃の1ヶ月分に消費税とします。
その他に保証会社利用料、火災(家財)保険、鍵交換費用、前家賃(日割り家賃)などがあります。
その他として挙げるのであれば、自治会費や24時間サポート、共有設備利用料など、物件によって様々な費用があります。
一般的に掛かる費用として以下になります。
- 敷金 1ヶ月分
- 礼金 1ヶ月分
- 仲介手数料 1ヶ月+消費税
- 保証会社利用料 0.5ヶ月分
- 火災保険 10,000円〜30,000円程度
- 鍵交換費用 10,000円〜50,000円程度
- 前家賃(日割り家賃) 1ヶ月分
上記のほかに書類作成費用等も必要になる管理会社もありますが、平均的には月額賃料の5ヵ月分程度を想定しておけば大丈夫でしょう。
3.契約時に必要な書類について
一般的に個人で借りる場合には、以下の4点のうちいずれか、または全てが必要とされます。
- 印鑑(実印)
- 印鑑証明書
- 住民票等の本人・連帯保証人確認書類
- 収入証明書等の支払い能力を確認できる書類
未成年の場合、親権者の同意書も必要になります。
法人の場合は、商業登記簿謄本だけではなく、役員の住民票や免許証など本人確認書類、「登記されていないことの証明書」の提出を求められることもあります。
本人確認書類は、破産していないこと等の証明になり、「登記されていないことの証明書」とは、後見登記されていないこと等の証明になり、法務局において取得できます。
もちろんこれに該当しない書類の提出を求められることがありますし、心配になりますが何も必要ないときもあります。
こればかりはオーナーさんの考え方や管理会社の決まりがありますので、一般的に必要になるものは以上になります。
4. まとめ
長くなりましたが、賃貸契約の流れについ不安な部分が少しでも解消できましたでしょか。
まとまったお金が必要になりますので、正しい知識を身につけることが大切です。
最後に、賃貸物件を契約する際のポイントがあります。
「物件を決めるにあたって絶対に妥協できないポイント決めて、それ以外は妥協してください」ということです。
自分の全ての希望に100%合致する物件に出会うということは非常に難しいです。
ですので、これだけは譲れないと決めたこと以外は妥協をして探してみてください。
そして納得できる物件に出会えたら、なるべく早めに申込みをするようにしてください。
物件は1点ものの上、他のみんなも狙っているのです・・・!




