
新たに物件を借りる場合、ある程度長期的に住み続けると想定して借りる方がほとんどかと思いますが、なかには単身赴任の場合など、賃貸期間があらかじめ決まっていることもありますよね。
でも、通常の賃貸物件は「2年契約」となっているケースがほとんど。
「2年契約」と言われると、短期間では契約できないのかと不安になったり、違約金が必要なのではと心配になったりしませんか?
そこで、この記事ではなぜ2年契約が多いかの理由をご説明します。
1年契約の物件とは何が違うのか、更新料や違約金についてもご説明しますので、引っ越しを検討中の方はぜひお役立てくださいね!
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このページでわかること
賃貸の契約期間が「2年」になっている理由とは?
2年契約が多い理由は2つです。
①1年未満の賃貸契約が避けられている
一つは、法的な事情があって、1年未満の賃貸契約が避けられているからです。
借地借家法という法律の29条には、“期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす”とあります(借地借家法第29条)
契約期間が定められていれば、特別な理由がない限り、期間中は住み続けることができますが、期間の定めがない場合、貸主が契約終了を申し入れをして、正当な理由があれば、6か月後には契約を終えることができます。
6か月の猶予はあれども、いつ「終了します」と言われるかわからない状況では、安心して暮らせませんよね。
ただ、この場合、「正当な理由」(正当事由)というところがポイントで、じっさいには簡単に契約終了となることはありません。調停になることもあり、貸主側は、そうしたリスクを避けるために、1年未満の契約を避けているのです。
②期間の定めのない契約が避けられている
二つ目は、貸主側の事情によるものです。
期間の定めのない契約(1年未満の契約)では当然、契約更新もありません。
つまり、更新料や手数料といった利益が得られないということになります。
借りる人にとっては3年だと長すぎますし、貸す側もその分、更新料や手数料を得るスパンが長くなってしまいます。
こうした理由から、多くの物件では2年契約が採用されているのです。
また、契約期間が長いことのリスクには、不動産価格の急落・急騰に対応しづらいという点も挙げられます。
あまりに契約期間が長いと、都度、家賃を上げ下げするのは難しく、不動産価格の変動についていけません。
そのため、長くても2年の契約期間であることが多いのです。
(参考:CHINTAI情報局「賃貸物件の契約期間とは? 2年ごとに更新するのは何故? 2年未満の契約ができる定期借家物件を紹介」)
(参考:エイブル「途中解約できる?賃貸物件の契約期間とは!違約金や更新の仕方についても合わせて確認しよう」)
賃貸の契約期間「2年」と「1年」の違いとは?
通常、契約期間は「2年間」ですが、中には「1年」など、契約期間の短いものもあります。
これにはどういった理由があるのでしょうか。
普通借家契約と定期借家契約
賃貸契約には、“普通借家契約”と“定期借家契約”の2種類があります。
普通借家契約とは、通常私たちが物件を借りるときの契約で、1年以上、ほとんどの物件では2年の契約期間が設けられており、希望すれば、満了後も手続きをして引き続き住み続けることができます。
一方、定期借家契約では、契約期間を大家さんが自由に設定できる契約形態で、1年未満にすることも可能です。
「期間が終了すれば、必ず出ていかなければいけない」というのが決まりで、その代わりに、相場よりも家賃が安かったり、敷金礼金が必要なかったりと、好条件の物件が多い傾向があります。
基本的には更新は行われませんが、物件によっては、借主・貸主の合意によって再契約ができる物件や、最初から再契約が前提となっている物件もあります。
賃貸の契約期間満了時の更新料
普通借家契約では、期間満了後もそのまま住み続けたい場合、契約更新となります。
期間満了が近づくと、基本的には不動産仲介会社などから連絡が入り、更新を行うかどうか聞かれます。
更新を行う場合、一般的には更新料として、家賃の1か月分ほどの金額が設定されている場合が多いです。
また、地域や物件によっては、更新料がかからない場合や、もっと高額になることもあります。
加えて、大家さんとの間に仲介会社が入っている場合、更新料とは別に更新手数料が必要となります。
ただし、更新料のかからない物件の場合は、更新手数料もかかりません。
さらに、契約更新の際は、契約当初に加入した損害保険に再加入する必要がある場合もあります。
この場合は、契約更新料とは別に保険料が必要となります。
契約更新料には地域差がある
大阪や名古屋では、賃貸物件の更新料は取られない物件が多いですが、関西圏でも京都は更新料が必要なケースが多いようです。
関東圏の物件は、ほとんどで更新料が必要となっており、人気のエリアでは更新料も高くなる傾向にあります。
また、更新料がかかる物件の少ない地域であっても、本社が首都圏にある物件などは更新料が必要なこともあります。
契約更新料は家賃負担軽減になる
なぜ、更新料がある物件とない物件があるのでしょうか。
更新料には、家賃の補充や前払いであったり、賃貸契約を維持・継続するための対価であったりといった意味合いがあります。
最高裁は2011年、「更新料は、一般に、家賃の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である」という判断を示しています。
つまり、更新料という仕組みがあることで、入居者が支払う月々の家賃が安くなり、当事者同士が安心して貸す・借りることができるようになる役割があるのです。
また、賃貸契約の際には、家賃のほかにも敷金や礼金といった費用が必要で、その中に更新料が含まれます。
入居者の立場で考えると、これらは別々のものと認識しますが、大家さん目線ではこれらすべてを複合的に考えて収支の計算をしています。
そのため、「どこをどのような金額設定にすれば魅力的に感じるか」という基準で家賃や敷金・礼金、更新料が決められているわけです。
つまり、「更新料があるから損だ、ないからオトクだ」ということではなく、呼び方が違うだけで結局のところ、“更新料として先に払う”か、“家賃として月々払うか”の違いということですね。
賃貸の契約期間内に途中解約する場合の違約金
長期間住み続けるつもりで賃貸物件を契約しても、何らかの事情があって契約期間内に引っ越しをすることもありますよね。
携帯電話の契約では、契約期間満了よりも早く機種変更などで解約すると違約金が発生しますが、賃貸の場合も違約金がかかってしまうのでしょうか。
実は、賃貸契約の場合は、契約期間内に途中解約しても違約金は発生しないことがほとんどです。
ただし、物件によっては違約金が発生するケースもありますので、きちんと契約書を確認するようにしましょう。
違約金が発生するケースの例としては、初期費用の少ない物件や、地域の相場よりも家賃が安いといった、好条件の物件が挙げられます。
また、違約金がある場合、その金額はそれぞれの賃貸物件によって違います。
通常、入居期間の長さによって定められていることが多いですが、相場としては家賃の1~2か月程度が一般的と言われています。
賃貸の契約期間が2年になっている理由まとめ
賃貸の契約期間の多くが「2年間」になっている理由をご説明してきました。
賃貸契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」があり、普通借家契約では契約期間を1年以上と定められています。
契約期間が1年未満の場合は、“期間の定めのない契約”とみなされ、双方にとってリスクが高いということをお伝えしました。
また、借主のライフスタイルや、貸主側の利益など事情を考慮すると、2年間の契約がよりベターで一般的だということでしたね。
普通借家契約では、希望すれば2年以上住み続けることができますし、更新料がかからない物件もあります。
逆に、2年以内に引っ越すことになった場合も、多くの物件では違約金などは不要です。
ただし、物件によって異なりますので、契約書をよくチェックするようにしましょう。
また、短期間で引っ越すと決まっているなら、「定期借家契約」の物件を探してみるのも良いでしょう。
契約期間が終われば必ず出ていかなければいけませんが、低家賃や敷金礼金不要など好条件なことも多いです。
物件を探すときには、次の引っ越しのタイミングなども考えながら、よりご自身にぴったりの物件を見つけてくださいね。




