賃貸住宅を借りる際には、必ず賃貸契約をします。
賃貸契約では住宅の使い方や禁止事項のほかに、家賃の支払い方法やその内訳についても必ず確認があります。
ただ月々の支払いには、家賃以外にも管理費というものが発生します。
ところがその支払い方法は契約内容によって違います。
そこで今回は賃貸の管理費がもとでトラブルに巻き込まれないために知っておきたい「管理費に関する契約内容の見方」について分かりやすく解説します。
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このページでわかること
賃貸の管理費は家賃に含まれる?契約内容の見方に注意!
賃貸契約は、「部屋を借ります」「部屋を貸します」という契約を借主(あなた)と貸主(大家さん)の間で交わすだけではありません。
賃貸契約が成立するためには、いろいろな取り決めにお互いが納得して合意することが条件です。
借主・貸主ともに安心して借りる・貸すが出来るように、こうした取り決めは全て賃貸借契約書を元に行います。
賃貸借契約書には「月々に貸主(大家さん)に支払うお金のこと」も書かれています。
初めて賃貸住宅を借りるのであれば「月々に支払うのは家賃だけ」というイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
一般的に借主(あなた)が月々に支払うお金は「家賃」と「管理費」になります。
つまりこの2つの合計金額が月々に支払う賃料=家賃となります。
この管理費の支払い方法は、契約の内容によって変わります。
大きく分けると「管理費込みの賃貸物件」と「管理費と賃貸が別の賃貸物件」の2つになります。
そこでそれぞれの物件の特徴と注意点をまとめてみました。
管理費込みの賃貸物件
特徴
管理費込みの賃貸物件は、「月々に支払うお金が分かりやすい」という点が特徴にあります。
お部屋探しをする時に、必ずチェックするのが「家賃」ですよね。
家賃が安い物件を探しているのであれば、なおさら「家賃」は重要です。
だから家賃にこだわりがある場合は、ネットで物件検索するときに検索の条件の中に「家賃〇万円以下」と設定して探します。
ただここで「管理費」のことを理解していないと大変です。
せっかく予算の範囲内で理想の物件が見つかったとしても、費用の欄に「管理費〇万円」と記載があれば、月々に支払うお金は「家賃+管理費」となりますので、予算をオーバーしてしまうこともあります。
ところが管理費が家賃込みであればこうしたことはありません。
月々に支払うお金は全て賃貸料の中に含まれているのですから、月々に支払うお金が分かりやすいです。
つまり「予算=家賃」となるので、物件選びをする時にもお金の計算がしやすくなります。
ですから効率よく予算に合うお部屋を探すことが出来ます。
注意点
賃貸契約をする場合に「初期費用」が必要です。
初期費用にはいろいろな項目があるのですが、金額が大きいのは「敷金」と「礼金」です。
敷金と礼金は家賃を基本として計算します。
つまり管理費が家賃に含まれているということは、その分敷金と礼金も高くなるというわけです。
そのため「初期費用を抑えたい」と考えているのであれば、管理費込みの物件は敷金・礼金が高くなります。
ただし、「敷金・礼金なし」の場合はこの心配がないのでお得ですよ!
管理費と賃貸が別の賃貸物件
特徴
管理費と家賃が別に表示されている物件は、初期費用が少し安くなります。
初期費用には「敷金」「礼金」「仲介手数料」があります。
この3つは全て家賃を基本として計算します。
例えば「家賃58,000円 管理費2,000円」のワンルームを契約するとしましょう。
この場合「敷金1ヶ月・礼金1ヶ月」となっていれば、敷金・礼金はそれぞれ58,000円となり合計金額は116,000円となります。
これが「管理費込みで家賃60,000円」であれば、敷金・礼金はそれぞれ60,000円なので合計金額は120,000円になります。
このように管理費と賃貸料が別の賃貸物件の場合は「初期費用の節約が出来る」というのが特徴にあります。
注意点
賃貸借契約では、家賃と管理費が別になっている方が比較的多いです。
管理費は共益費と一緒に表示されており、表示されるときも「管理費・共益費〇万円」となることが多いです。
ただ最近は「まずはネットで物件を検索する」という人がほとんどです。
しかも月々の支払いで最も大きいのが家賃になるので、ネットで検索する時には一番大事な「家賃」を重視して検索するはずです。
これが注意点なのです。
例えばあなたが家賃60,000円のワンルームを探しているとします。
この場合は「家賃60,000円以下」「ワンルーム」と検索条件を設定します。
この条件で検索すると、「家賃60,000円+管理費・共益費◯◯◯円の物件」と「管理費・共益費込み家賃60,000円の物件」がヒットします。
もしもあなたが家賃の上限を60,000円と考えているのであれば、「管理費込み家賃60,000円」でなければあなたの希望に合いません。
そもそも管理費は家賃と同じく毎月支払うお金なので、賃貸料と別であれば「家賃+管理費・共益費=毎月の家賃」と考えなければいけません。
実はこれ「家賃と管理費が別の物件で多くみられるトラブルなのです。
家賃は収入に応じて適正価格があります。
あくまでもこれは目安ですが、賃貸住宅に住むには家賃以外にも光熱費・水道料の他にもかかってくるお金があります。
そのため賃貸住宅選びでは、家賃を無理なく支払うことが出来る範囲で考えることが大事です。
ですから管理費と家賃が別になっている賃貸物件の場合は、「月々の家賃=家賃+管理費」と考えなければいけない点が重要な注意点になります。
賃貸契約時に確認しておきたい費用一覧
初期費用
敷金
敷金は「一時預かり金」として考えます。
原則として退去する際に帰ってくるお金と考えますが、修繕が必要な場合は敷金から修繕費が差し引かれます。
礼金
礼金は「お礼金」として大家さんに支払うのが慣習です。
「貸していただいてありがとうございます」という意味で渡す謝礼金ですので、返金されることはありません。
礼金はあくまでも昔からの慣習として支払うものですので、最近では礼金不要という物件も増えています。
仲介手数料
不動産仲介会社を利用する場合は、仲介手数料も必要になります。
仲介手数料は不動産仲介会社に仲介料として支払うもので、こちらも返金されることはありません。
前家賃
前家賃も必要です。
管理費と賃貸料が別の場合は「管理費+家賃」を支払います。
管理費込みの場合は賃料を支払います。
相場は家賃の1~2か月分です。
もちろん先に支払ったら次の月は支払う必要がありません。
日割り家賃
例えば、60,000円の家賃の部屋に4月15日から契約が開始の場合、15日から30日までの16日間の家賃が日割りで発生します。
日割り家賃も管理費・共益費込みの値段で計算します。
60,000円÷30日=2,000円
2,000円×16日=32,000円
31日ある月でも一律30日で計算されたり、端数は切り捨てや切り上げ、四捨五入など、金額がほんの少し変わってくる場合があります。
保険料
賃貸住宅では、賃貸借契約と合わせて火災保険の加入をすることが一般的です。
火災保険は個人でも加入することが出来ますが、ほとんどの場合が大家さんや管理会社さん、または不動産仲介会社の指定する火災保険に加入します。
保険期間は原則2年間となっています。
そのため保険料はまとめて2年分支払うことになります。
とはいえ、広い家を借りても2万円程度だと考えて良いでしょう。
ちなみに、2年未満で引っ越しになり途中解約の際には保険料は返金されますので、保険の途中解約を保険会社に申し出ましょう。
これは大家さんや管理会社さんの管轄外になりますので、ご自身で保険会社に連絡してください。
鍵の交換費用
鍵の交換費用は初期費用として請求されます。
一般的な鍵であれば5,000~10,000円が相場ですが、複雑な構造をしている鍵の場合は30,000円以上かかる場合もあります。
入居後にかかる費用
家賃
管理費・共益費が別途必要な場合は、1ヶ月分の家賃+管理費・共益費を大家さんまたは不動産管理会社(または家賃保証会社)へ支払います。
水道光熱通信費
水道光熱費は、どんなに節約しても基本料金が発生します。
また暮らす人数によっても金額に違いがあります。
基本的に暮らす人数が増えるほど水道光熱費は高くなります。
電話やインターネットを利用する際にも同じですが、最近はインターネット無料のマンションも多くなってきました。
食費
食費はあなたのライフスタイルによっても金額に大きな違いが出てきます。
自炊ベースの場合は節約が出来ますが、ほぼ外食(または中食)の場合は食費にかかる費用は大きくなります。
雑費
トイレットペーパーや洗濯洗剤などのような日曜消耗品は、節約しても必ず必要になります。
また、電球が切れた場合も入居者であるあなた自身の負担で交換になります。
賃貸契約の更新料
意外と忘れがちなのが「更新料」です。
賃貸住宅の場合、契約期間が設定されています。
契約期間が満期となっても、新たに契約を更新すればそのまま住み続けることが出来ます。
その代り契約を更新するためには更新料が必要になります。
ちなみに入居時に加入する火災保険の契約期間も、賃貸住宅の契約期間と併せているのが一般的です。
そのため火災保険も契約更新も必要です。
そのため保険の更新料も必要になります。
更新料は無いものから0.5ヶ月、1ヶ月、1ヶ月+事務手数料までかかるものもあり、様々な種類があります。
そのため、引っ越しを考える時期は賃貸借契約を更新する時期が多い傾向になります。
退去にかかる費用
原状回復費
退去する時には「原状回復」が原則です。
基本的には入居する際に預けておいた敷金の中から支払うことが出来るのですが、あまりにも破損個所が多い場合は修繕費用を請求されることがあります。
入居時に支払った敷金から、退去立会いをする際に原状回復をする業者さんと一緒に決めた原状回復費を引かれて、後に銀行振込されるという流れが一般的です。
違約金
契約内容に「入居から1年以内に退去する場合は違約金が発生します」と書かれている場合があります。
もちろん書かれていない契約が多く、ほとんどの場合発生しない金額ですが、会社都合の引っ越しの場合などで早期退去をしなければならない場合があります。
その場合、会社負担になるはずですが、契約書に署名捺印をする際に聞いていない、そもそも契約を本人に任せていて知らなかったなど問題になることがありますので法人で契約する場合は最新の注意が必要です。
契約に早期解約違約金の記載がある場合は、指定された契約期間が満期を迎えないうちに退去をすると違約金を請求されます。
違約金が発生するのは「敷金・礼金ナシ」など入居時の条件が良い物件に多いようです。
このような物件の場合は退去のタイミングにも注意が必要です。
できるだけ退去費用を節約したいのであれば、契約内容をよく確認したうえで退去日を決めるようにするのがポイントです。
賃貸の家賃表示の見方には気をつけよう!
賃貸物件の家賃表示の仕方は、大家さんや不動産管理会社の考え方次第と言えます。
ただし「管理費・共益費込みの家賃」と「管理費と家賃が別」では、それぞれメリット・デメリットが違います。
管理費の表示内容は、家賃にまつわるトラブルでも上位に入ります。
理想の部屋に長く住み続けるためにも、契約内容から家賃、管理費・共益費の支払い方法をきちんと確認することが大事なポイントですよ!




