アパート

待ちに待った新生活で、初めて一人暮らしをするという人も多いことでしょう。しかし物件の数や種類も多く、自分はどういった切り口でお部屋探しをすべきか悩むことも多いはずです。新生活を気持ちよくスタートさせるためにも、お部屋探しでの失敗は絶対に避けたいもの。

そのためにも、契約前に物件の内見は必須といえます。
物件は構造によっていくつかに分類されていますが、今回はアパートの内見に着目していきます。

1.アパートとマンションの違い

まずは「アパートの定義」について確認しておきましょう。

アパートとマンションの違いを大まかに挙げると、以下の通りになります。

アパート

・木造もしくは軽量鉄骨造
・ほとんどが2階建て
・建築費用が安く抑えられるので、家賃も比較的手頃

 

マンション

・鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造
・ほとんどが階数は3階以上
・建築費用がかかるため、アパートと比較すると家賃は高め

 

アパートは家賃が手頃であるのが魅力ですが、それゆえに設備面で不便があったり、築年数の古さが目につきやすかったりするのも確かです。

また、ほとんどのアパートはオートロックがついていないなど、防犯対策でも不安な点は多いといえます。
これらを念頭に置きつつ、アパートを内見する際のポイントを見ていきましょう。

 

2.  賃貸アパートの内見チェックポイント【一人暮らし編】

マンションと比較して、家賃が手頃に抑えられるのがアパートの良いところ。

そのため、学生さんや新社会人で新生活を始める際は引っ越し先として候補にする場合も多いでしょう。
一人暮らしの方がアパートを内見する際に、チェックすべきポイントがあります。

 

2-1.騒音

アパートの住人同士で最も起こりやすいトラブルの一つが騒音です。

アパートのほとんどは木造建築のため、耐震性や防音性に乏しく、音や声が四方八方にダイレクトに伝わってしまいます。
内見の多くは、日当たりを検証するために日中に行われます。

しかし、世間の大多数の人々が自室で過ごすのは夜の時間です。

不動産会社の担当者に確認した上で、もし可能であれば日中とは別に夜の内見をし、アパート住人による騒音、もしくは防ぎようがない生活音も筒抜けになっていないか、ぜひ確認しておきましょう。

また、騒音の確認が必要なのはアパート内だけではありません。

近隣のアパートやマンション、店舗、また道路からの音が気になる場合も多いにあります。
物件の謳い文句に「静かな住環境!」などというフレーズがよく使われていますが、過信せずに騒音の有無を自分の耳で確かめることが大切です。

 

2-2.防犯対策

ほとんどのアパートにはオートロックがついていないのが防犯面でネックになります。

オートロックさえあれば被害がゼロになるわけではありませんが、やはり安心感は違いますよね。少しでもそういった不安をカバーできるかどうかが重要です。

まず、敷地内での玄関の位置を確認しましょう。奥まったところよりも、出来るだけ外の通りに面している方が安心です。
・死角になる場所はないか?塀の高さは充分あるか?

・隣の建物や非常階段から、不審者が飛び移ってくる可能性はないか?

などの点も要確認です。

よく「防犯上、住むなら2階以上にすべき」と言われていますが、アパートの場合もはや1階も2階も大して違いはないのです。

アパートの大家さんによっては、好意により防犯カメラやセンサーライトを設置してくれる場合もあります。

内見した上で「夜は敷地内が真っ暗で怖い」などの不安があれば、大家さんに正直に伝えてみるのも良いでしょう。

3.  一人暮らしの部屋探しの注意点

次に、アパートに限らず一人暮らしの部屋探し全般で注意すべき点を確認していきましょう。

 

3-1.近隣の店舗や施設

一人暮らしとなると、頭を悩ませるのが食事です。

近隣にスーパーがあると便利なのは、言うまでもありません。

しかし、単身者でもよほど料理が好きという人でない限り、学校や仕事で疲れて帰宅した後に毎日自炊するというのは意外と難しいことです。

外食漬けになるのは健康上好ましくはありませんが、いざというときに頼れる定食屋や惣菜店があると、気持ちの面でも楽になります。

また、体調を崩したときに頼れる医療機関が近隣にあるかどうかも重要です。

インフルエンザのように数日寝込むほどの病気や、骨折など日常生活に支障をきたす怪我をしたときなども、一人暮らしは非常に心細いものです。
万が一のときも、移動の負担も少なく、早めに診てもらえる環境であるかも確認しておきましょう。

 

3-2.夜の時間帯の周辺環境

女性の場合は特に、一人で帰路につく間も防犯意識を高める必要があります。

そのため、内見だけでなく実際の帰宅時間に合わせて、最寄り駅から物件までのルートを歩くことをおすすめします。
・街灯は明るいか?

・人通りは多いか少ないか?

・いざというとき、交番やコンビニなど駆け込める場所はあるか?

など、事前にチェックしておきましょう。

また近くに飲食店がある場合、昼間とは違った光景に出くわす可能性もあります。

酔っ払いが騒ぐ、路上マナー違反が見られる、ゴミが散乱しているなど。

こういった場合は住環境の快適性が低くなるだけでなく、治安の悪化など防犯面にも影響を及ぼす可能性にもつながります。
可能であれば夜の内見もできると好ましいですが、それが出来なくても夜の周辺環境は、ぜひ事前にチェックしておきましょう。

 

3-3.大家さんの信頼性

特にアパートの場合、構造上他の住人の生活音が気になりやすい、世帯数も少ないので他の住人との関係が良くも悪くも閉鎖的で密になりやすいなど、神経に障るトラブルが発生しがちです。

万が一こういったトラブルに陥った場合、大家さんが毅然とした態度で対応してくれる人であるかどうかも見極める必要があります。
また、実際にトラブルに発展しなくても、防犯面や設備面で不安な点があれば、未然に対処してくれるかどうかも重要です。

特に人生経験が浅い学生さんや新社会人であれば、大家さんの存在はぜひ頼りにしたいものです。

(余談ですが、筆者が大学時代にアパートで一人暮らしをしていたときの大家さんは、私が体調不良のときは食べ物を買ってきてくれるなど孫のように可愛がってくれる人でした)
内見の際は大家さんと直接話し、また内見に同行した不動産の担当者の反応も見ながら、信頼できる人であるかを見極めましょう。

 

4.  賃貸アパートの内見チェックポイント【ファミリー編】

ファミリー世帯がアパートを選ぶ際に留意すべき点を確認していきます。
先ほども説明しましたが、「アパートのほとんどは木造という構造上、音が漏れやすい」

そのため、「そもそもファミリー世帯がアパートを選ぶなんて、騒音トラブルになりかねない」と警戒する人も多いでしょう。

乳幼児がいる世帯であれば尚更、生活音に関しては気をつけなければならないのは確かです。しかし、「アパートはマンションと比較して家賃が安い=より広い占有面積の物件を選べる」という、ファミリー世帯に嬉しいポイントもあるのです。
さらに防犯上敬遠されがちな1階も、実は物件数が多いので選択肢も広がります。

また1階は足音が気にならない、物件によっては庭やバルコニーとして使えるスペースを有する場合もあります。
このため、騒音や共有スペースでのマナーへの気遣いさえクリアできれば、アパートもファミリー世帯にふさわしい選択肢といえるのです。

基本的に、内見時での注意点は一人暮らしの際と同じです。

ただし、やはり騒音トラブルでの迷惑は絶対にかけたくないものですよね。
もし可能であれば、隣室の住人が在宅時に内見を行い、声をかけてみましょう。

その際「家族での入居を検討しているが、生活音で迷惑にならないか気にしている。内見のときに声が気にならなかったか」と聞いてみても良いでしょう。

ついでに住人の雰囲気(感じが良いか悪いか)もチェックしておきましょう。

5.ファミリー世帯向け部屋探しの注意点

5-1.エレベーターの有無

ファミリー世帯でもベビーカーが必要な乳幼児がいる場合、2階以上の物件であればエレベーターが必要になります(多くのアパートには不備です)。

ベビーカーを卒業しても、子連れだと荷物が多くなり、出入りに一苦労することも多々あります。

入り口が広く、バリアフリー要素が取り入れられた物件であれば、より快適に外出することができるでしょう。

 

5-2.周辺環境

周辺環境についても、基本的には一人暮らしの項と同じです。

ただし乳幼児がいる世帯であれば近くに小児科や24時間対応の救急病院が近くにあるかどうかも視野に入れておくと良いでしょう。
また子どもが小さいうちは特に、たびたびスーパーに買い出しに出かけるのも大変です。最近増えている、ネット注文で配送まで対応してくれるスーパーやドラッグストアがあるとさらに快適なのでチェックしておきましょう。

 

5-3.交通量

交通量や車の進入エリアも要確認です。

スクールゾーンであっても車の出入りが多く、子どもの注意力では危険な場所もあります。特に、衝動的に駆け出す傾向があるお子さんがいる世帯は慎重に選びましょう。

 

6 .賃貸アパートの内見に役立つチェックシート

賃貸アパートの内見でチェックすべき項目を挙げていきます。

賃貸アパートの場合、築年数が古い物件も多く、より慎重に確認する必要があります。

・日当たりは良好か
・排水口の匂いは気にならないか
・携帯電話の電波やインターネット環境に支障はないか
・共有スペースやゴミ捨て場は整然としているか
・洗濯機は室内に置けるか
・周辺の騒音は気にならないか
・住人の様子に心配な点はないか
・大家さんは常駐もしくは近隣に居住しているか。信頼できる人であるか

以上の点を踏まえ、アパート選びを進めていきましょう。

 

7.アパートの内見に欠かせない必須道具3つ

アパートの内見の際にぜひ持参したい便利な道具を紹介します。

不明点は後日不動産の担当者が回答してくれる場合もありますが、せっかく内見で現場に立ち会っているのだから、効率的で有意義な時間にしたいですよね。

そのためにもそれらの道具を活用し、疑問点を自発的に見つけて解決していきましょう。

 

7-1.間取り図

不動産屋に入店して物件を紹介してもらうとき、その部屋の間取り図を配布されます。内見の際は、その間取り図を持参しましょう。
中には「部屋の間取りは、しっかりと頭の中に焼き付けておく!」と自分の記憶力を過信している人や、「室内はスマートフォンで撮影しておく」などと、間取り図は必要ないと思っている方も多いでしょう。

しかし案外、間取り図の作成ミスは多いものです。

間取り図を信じきって入居してみたら、あるはずの窓が実際にはなかった…などという事例もあります。
現況と照らし合わせるためにも、間取り図は必ず持参しましょう。

 

7-2.メジャー

手持ちの大型家電や家具が、入居を検討している物件の設置場所に合わない・幅が合わずに搬入できないといったケースも考えられます。事前にこういった箇所の寸法を測っておくためにも、メジャーも必須アイテムといえます。
同様に、カーテンも今使っているものが引っ越し先の窓に合うかもチェックしておきましょう。

 

7-3.スリッパ

物件のオーナーもしくは不動産の担当者がスリッパを準備してくれます。

しかし、前の住人が退去してすぐの内見だと室内クリーニングが未完の場合が多く、もしスリッパの準備がなかった場合、汚れが気になることもあります。

気になるのであれば、使い捨ての簡易スリッパを持参しても良いでしょう。
ちなみに実際の足音や床の劣化や凹み、傷などは、スリッパを履かない方が気づきやすいものです。必要に応じて着脱ができるようにしておきましょう。

 

8.  賃貸アパートの内見ポイントまとめ

いかがでしたか?

アパートはマンションと比べて手頃な家賃ではありますが、構造上生活音が気になりやすい、住民層が気になるといった点も懸念されます。
入居後のトラブルを未然に防ぐためにも、内見をフル活用して快適な住環境を手に入れる機会にしましょう。