マンションなどに多く設置してある機械式駐車場。
機械式駐車場とは、機械を利用して車を立体的に格納できるタイプの駐車場で、マンションの駐車場の約32%が機械式駐車場だという調査もあります。
利用を考えている方も少なくないと思いますが、初めて利用する方にとっては駐車場の仕組みなど分からないことが多いはず。
そこで、今回は、機械式駐車場の種類や特徴、メリット・デメリット、利用前に事前に確認するべき点などを簡単にまとめてみました。
このページでわかること
機械式駐車場とは?
限られたスペースで多くの車を止めなければいけないマンションなどでよく使われているのが「機械式駐車場」です。
駐車場と聞けば、平坦な土地に車を止めることができる「平面駐車場」を一番に思いつくかもしれませんが、機械式駐車場も都心部などでは頻繁に見かけることがあります。
機械式駐車場は空間を立体に使うことで、複数の階層に車を止めることができることが一番の強みです。
狭い土地を有効活用することができるため、駐車場の料金なども安く設定されていることが多いです。
ただ、ひと口に機械式駐車場といっても車の収容方法や方式などさまざまなタイプが存在します。
機械式駐車場は、大きく分けて三つに分けることができます。
- 地上二段式
地上二段式は個人宅に機械式駐車場を設置するときに多く使われています。
地上の上と下に車を停めることができて、車を載せる板状の部分であるパレットを昇降させることによって車を出し入れすることができます。
- ピット二段式
ピット二段式は、地上の二段に加えて、地下に車を入れるためのスペースをもう一つ作って、パレットによって車を昇降させる方式です。
下に停めている車を移動させることなく、上の車を移動させることができるのが特徴です。
- 昇降横行式
昇降横行式とは別名「パズル式」とも呼ばれています。
操作盤の駐車番号を押すことによって、車を乗せているパレットを上下左右に移動させ、選択したパレットが駐車位置に降りてきます。
機械式駐車場のメリット・デメリット
機械式駐車場の主なメリット
- いたずらや盗難などの被害を減らすことができる
地上二段式などで上に停めた車はいたずらをされたり、盗難などの被害が減ります。
たとえば、コインなどを使って車体に傷をつけられたり、故意にタイヤをパンクされたりするなどの被害を抑えることができます。
どんな人が周りに住んでいるのかが分からないため、車を保有している方たちにとっては安心して利用できるかもしれません。
- ボディの変色を防ぐ
地下などに車を停めた場合、日光などによって起こる車の変色などを防ぐことができます。
日光に当て続けてもいきなり変色することはないですが、長年に渡って日光を車体が浴び続けると変色してしまうため、車を大事にしている利用者にとっては大変有難いメリットになります。
- 駐車場料金が比較的安い
機械式駐車場は駐車料金が高い都心部などでも、平面駐車場よりも機械式駐車場の方が安く設定されていることがあります。
駐車場の料金も出費の一つなので、料金を抑えることができるかもしれない機械式駐車場は、利用を考えている人たちにとっては有難いかもしれませんね。
- ぶつけられるリスクを減らせる
通常の駐車場ですと、車を乗り降りするときに開けた車のドアが、隣の車に当たってしまうこともまれにありますよね。
機械式駐車場は車体が車室に格納されているため、乗り降りするときに隣の車にぶつけづらい構造になっている点もメリットといえるでしょう。
機械式駐車場の主なデメリット
- 車の出し入れに時間がかかる
地上二段式は下の車を出さないと、上に駐車している車を出せません。
また昇降横行式の駐車場は、パズルのようにパレットを移動させないといけないため、車の位置によって、かかる時間が増えます。
急いでいる方たちにとっては、この待っている時間がデメリットに感じてしまうかもしれません。
- 浸水被害の可能性がある
ピット二段式や昇降横行式などのように地下に車を停めた場合は、大雨などが降った際に地下への浸水被害も考えられます。
地下に車を停めることができるというのは嬉しいことですが、デメリットはもちろんあるので対策や確認などが大事になってきます。
- 車のサイズに制限がある
機械式駐車場には高さや幅などの制限があるので、高さなどを考えて車を購入する必要があります。
もしかしたら買いたい車の高さや車幅などがオーバーしていて、購入を考え直すことになるかもしれません。
- 機械の維持費がかかる
通常の駐車場費用に比べて比較的安価といわれているものの、機械式駐車場はメンテナンスを行わないといけないので、維持費はどうしてもかかってしまいます。
お金の問題は人によっては一番のデメリットになるかもしれませんね。
- 事故が起こるかもしれない
機械式駐車場は、利用者がしっかりと気を付けて操作しないと、人が挟まれたりするなどの事故が起こる可能性があります。
機械式駐車場の事故は必ず起こることではないですが、被害は報告されているので、機械式駐車場を利用する際のデメリットになります。
人の命にかかわることなので利用者の確認作業などが必須になってきます。
- トラブルがあると車を出せなくなる
一台の車がトラブルになると、一時的に車を出すことができなくなる可能性があります。
機械をストップしないといけないため、他の人の車にも影響してきます。
トラブルを解決しないと、駐車場内で事故が起こる可能性もあるので、利用者は我慢しないといけないデメリットかもしれませんね。
- 周辺に音が響く可能性がある
深夜や早朝などの時間帯に車の出し入れを行うと、音が響いてしまう可能性があります。
機械式駐車場は名前の通り機械なので、音が出てしまうのは仕方がないことですが、気を遣ってしまいますよね。
周りのことを気にしてしまう性格の人であれば、デメリットに感じてしまうかもしれません。
- 荷物の出し入れに手間がかかる
機械式駐車場は、安全な利用を促すため、入庫する場合などのほかには立ち入ることが禁止されているうえ、車室内での物の出し入れも原則禁止されていることがあります。
荷物の出し入れを行う際には、一度機械式駐車場から車を出さないといけないため、これをデメリットと思ってしまう方もいるかもしれません。
- 場所によっては車の出し入れがしづらい
マンションなどでは狭いスペースで機械式駐車場が作られることが多いため、通行できる箇所が場所によっては狭くなり、車の出し入れがしづらくなる可能性があります。
狭いスペースでの車庫入れは、複数回の切り返しが必要になってくる場合もあるので、運転があまり得意ではない方にとっては、車庫入れが苦痛に感じてしまうかもしれませんね。
- メンテナンス中や故障時は使用できない
機械式駐車場は機械なので、利用者の安全を確保するためにもメンテナンスはどうしても必要になってきます。
メンテナンスを行っている時には車の出し入れが出来ないため、前もって告知されるメンテナンス日などを利用者自身が覚えておく必要があります。
また機械なので故障もします。
修理中は使用できませんし、修理にも多少の時間がかかってしまうことも、機械式駐車場のデメリットとして挙げられるでしょう。
- 大地震が起きた時は使用できない
大地震が起きた直後は、安全が確保できていないため機械式駐車場を使用することができません。
利用者が安全に利用できるように、破損や故障などの確認作業が必要になってくるので、時間がかかる場合があるのです。
- 屋外の場合は屋根がない
機械式駐車場が屋外にある場合は、最上階部分には屋根がないことが多いです。
そのため最上階に停めてある車は雨に打たれますし、日差しも受けることになります。
機械式駐車場を利用するときに気を付けるべきこと
機械式駐車場はマンションなどで活躍する非常に便利な機械ですが、事故が起こる危険も避けられません。
過去には死亡・重症事故なども起きています。
例えば、機械が動いているときに子供などが過って機械に挟まれてしまったり、装置内に取り残されて事故に合うなどの被害が報告されています。
機械式駐車場の事故などは、利用者が車を移動させるときに起きることが多いので、車を出し入れするときには気を付けなければいけません。
特に小さなお子さんがいる方たちは、お子さんの安全を確認してから車を移動することをオススメします。
小さな子供は色々なことに興味を持ってしまうため、目を離したすきに事故に巻き込まれる可能性も考えられるからです。
しっかりと駐車場付近に人がいないか確認して、機械式駐車場を利用するときに受けた説明などをきちんと守ることが、事故防止に繋がります。
またピット二段式や昇降横行式のようなタイプの駐車場を使用する場合は、地下に車を止めることになるので浸水被害などに気を付けなければいけません。
ピット二段式の駐車場の場合は、一時的にでも上に挙げることができますが、この操作は利用者の不用意な事故を防ぐために駐車場の管理者が行うことがほとんどなので、もし利用を考えているのなら、駐車場の管理者などに確認をとってみるのもいいかもしれません。
ゲリラ豪雨や台風発生時の大雨などは、身近に起こり得る自然災害の一つなので、事前の対策が大事になってきます。
身近に起こり得る自然災害の中には大雨のほかに「地震」も挙げられます。
地震も機械式駐車場の耐震対策がしっかりしていないとパレットなどが落下して被害にあうケースも考えられます。
マンションの耐震性も大事ですが、駐車場の耐震性も確認することをオススメします。
地震によって実際に被害に合われている方もいるので、機械式駐車場の耐震対策は非常に大事になってきます。
維持費の相場は?
機械式駐車場は、15年から20年程度で、設備のすべてを取り換えるマンションが多いと言われています。
個々の設備も、メンテナンスを行う必要があり、安全装置や昇降装置、地下排水ポンプなど利用者が安全に利用できるように、さまざまな点のメンテナンスが必要になってきます。
マンションなどで機械式駐車場を利用している方たちは、保守点検などの費用が必要になってきます。
保守点検費用は、一般的には、一台あたり年間2~3万円程度と言われます。
月額にすると、だいたい3000円から5000円ほどでしょう。
また、機械式駐車場をリニューアル(全取り換え)するときには、修繕積立金が使われることがほとんどですが、その修繕積立金はマンションの住民が負担します。
リニューアルの値段の相場は1パレットあたり100~150万と言われています。
駐車場使用料が、管理費や修繕積立金のどちらかに含まれるかもしれないので、管理組合に確認してみることをオススメします。
機械には必ず寿命があるので、安全に使用するために修繕作業は必要になってきます。
マンションによって色々と変わってくるので、入居者の事前確認は非常に大事です。
地上と地下どちらを選ぶべきなのか
駐車場を選ぶときに考えてしまうのが、地下にするか地上の駐車場にするか迷う方もいるはずです。
「地下・地上」それぞれにメリット・デメリットがあり、台数や環境によっても変わってきます。
地下に車を止めれば日差しにさらされないので車体の変色を防げますし、いたずら被害なども抑えることができるので、車を傷つけたくない方たちは駐車場選びの際に選択肢の中に含めてみてもいいかもしれません。
もちろん浸水被害や車の出し入れに時間がかかってしまうなどのデメリットも、きちんと頭に入れておくことが大事になってきます。
機械式駐車場でも平面駐車場のように地上に車を止めることができます。
車の出し入れが簡単なので時間はあまりかかりませんが、場所によっては日差しによる変色や、車体へのいたずらなどの被害が起きる可能性もあります。
地下か地上かどちらがいいのかは人によって変わってくるので、一概にはどちらがいいのかは言えません。
駐車場選びに失敗しないためにも、それぞれのメリットやデメリット、駐車場の値段やマンションの周辺環境などを考慮したうえで、どちらがいいのかをしっかりと自分で考えることをオススメします。
確認作業が大事!
機械式駐車場を利用するときには、メリットやデメリットなどを考慮して自分で確認することが一番大事です。
自分の車の大きさや費用、駐車場の安全対策などはしっかりとできているかなど、前もって確認することは山ほどあります。
駐車場選びに失敗しないためにも、利用しようと思っている駐車場の確認作業をしっかりすることをオススメします。





