一般的な賃貸住宅であれば、契約期間が切れると改めて契約の更新をします。
ただ問題は手続きの時に高額な更新料を支払うことにあります。
ところが同じ賃貸物件でも「契約料なし」物件もあります。
ではなぜ物件によって契約の更新にかかるお金に違いがあるのでしょうか?
今回は「更新料なし」物件になる理由の代表的なものを5つ紹介!
お部屋選びをする時のヒントとしてもぜひ覚えておきたいポイントを併せて紹介します。
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このページでわかること
更新料なしの理由①:昔から更新料を支払う風習がない地域の物件
実は更新料を2年ごとの契約更新の時に支払いをするのは、関東エリアを中心とした慣習です。
賃貸住宅では「借主」と「貸主」という関係が必ずあります。
また日本の文化の一つに「借りたものにはお礼をする」という考え方があります。
こうしたことも関係して、賃貸住宅を借りる時には借主側から貸主である大家さんへ「お礼」という意味でお金を渡す風習があります。
例えば部屋を借りる時に大家さんに支払う「礼金」もこれと同じです。
「貸してくれてありがとう。これからよろしくお願いします」という意味で渡すお金のことなので、法的な根拠があるお金ではありません。
「礼金なし」物件が増えているのもこうしたことが少なからず関係しています。
更新料も礼金と同じような意味があります。
「継続して貸してくれてありがとう。またお世話になります」という意味で渡すお金なので、法的な根拠はありません。
ただし「更新のたびにお金を払う」という風習がない地域もあります。
どちらかというと関東エリア以外ではほとんどの地域で「更新料なし」が一般的です。
ですからこうした地域では更新料のことを知らない人も多いです。
更新料なしの理由②:法定更新にしている物件
更新と併せて大家さんにお金を支払う風習がない地域であっても、賃貸住宅の場合には「契約期間」はあります。
契約期間は2年間とするのが一般的ですが、契約期間が切れても更新手続きをしないことを理由に退去を迫られることはありません。
これは「法定更新」という制度があるからです。
法定更新は賃貸契約に関する民法でもきちんとかかれているもので、「契約期間が過ぎても一定期間継続して家賃の支払いをしている場合は契約更新の意思があるとみなす」というものです。
実はこれが「更新料を払わなくても問題がない」という意見の根拠にあり、それを悪用する人が増えているのが現実です。
そのためトラブルも多く、最近では「法的更新しても更新料は発生する」という一文を契約書の特約として明記している大家さんが増えています。
ただ大家さん側の好意として「法定更新となった場合は更新料なしで更新したこととする」というケースもあります。
こういう物件は基本的に大家さんから見て優良なお客さんが多いケースに見られます。
例えば「建物の一部に大家さん宅がある物件」だと大家さんと借りる側の関係が非常に良好なケースが多いです。
セキュリティーでも家主が同居する物件の方が安全ですし、関係が良いのであればちょっとした設備の不具合などは直接大家さんに相談することが出来ます。
しかも不動産会社に相談するよりもスピーディーに対応してくれることもよくあります。
このように借主と貸主との関係が良好な物件の場合は、法定更新をもって更新手続きをしたこととするケースがよくあります。
もちろん手続きなどは特に必要ないので、手続きにかかるお金もありません。
更新料なしの理由③:築年数が古い物件
賃貸料金を決める基準にはいくつか条件があります。
「築浅物件」「駅近物件」「立地条件が良い物件」などは非常に人気が高いので、建物の価値としては高く評価できます。
しかも入居希望者が多いので、空きが出てもこのような物件はすぐに次の入居者が決まります。
ところが同じ条件であっても築年数が古くなると、建物としての価値が下がってきます。
もちろん築年数が古くても価値が下がりにくい物件もありますが、それはよほどの好条件がある場合に限られます。
このように築年数が古い物件の場合は家賃そのものも相場より安くなります。
しかも空きが出ると次の入居者がなかなか決まりにくいのも古い物件ならではの特徴です。
そのため少しでも長く継続して入居してもらうために、更新料なしにすることがあります。
更新料なしの理由④:空き状態が長く続く部屋が複数ある物件
空き状態が長く続くことは、大家さんとしては一番避けたいことです。
例えば20世帯が入居できる賃貸マンションのうち半数近くの部屋が空き部屋だとすれば、全て入居者で埋まっている時と比べると単純に大家さんの家賃収入は半分になります。
かといって建物を維持していくためには定期的な整備が必要ですし、住人が安心して暮らすことが出来るように管理をすることが大家さんの仕事でもあります。
ところがこうした仕事も業者に委託すればお金がかかります。
家賃収入が半分に減っている状態であっても建物の維持にかかるお金は同じですから、出来るだけ空き部屋を少なくしたいと思うのが大家さんの本音です。
もちろん空きが多いことをカモフラージュするということも考えられます。
でも近所に住んでいれば、夜の建物の灯りを見るだけで空き状態がある程度わかります。
さらに「空き部屋の状態が長く続く部屋がある」「建物全体に空き部屋が多い」となれば、借りる側としては「入居者が集まらない特別な理由があるのでは?」と不審に思うのも当然です。
もちろんほとんどの場合が根も葉もない噂に過ぎないのですが、こうしたまちがった情報でも広まっていくと入居希望者を集めるのに苦労することになります。
しかも今入居している住民まで退去となれば、それこそ大家さんにとっては死活問題です。
そこで「少しでも長く住み続けてもらいたい」という気持ちと「少しでも空き部屋を入居者で埋めたい」という気持ちが重なって、「契約更新時に借主の負担となるものはやめよう」となります。
もちろんこの状態であっても「更新料あり」となっている物件はありますが、このような物件の場合は契約の際に更新時のお金の交渉をしてみると意外と良い回答がもらえることがあります。
更新料なしの理由⑤:入居希望者が集まりにくい物件
入居希望者が集まりにくい物件にはいろいろな条件があります。
例えば先に例に挙げた「築年数が古い物件」も入居者が集まりにくい物件といえます。
また「最寄りの公共交通機関までの距離が遠い」というのも、入居希望者が限定されてしまうのであまり良い条件とは言えません。
さらに「日当たりに問題がある」という家も人気があまりありません。例えば「日当たりが悪い」「窓が少ない」などは、同じ条件のほかの物件と比べるとどうしても人気が落ちます。
ではこのような物件で入居者を集める手段は何があるでしょうか?
そうです!月々の支払いに関係する「家賃」です。
家賃が同じ地域の相場よりも安ければ、多少条件が悪い物件であっても入居者は集まります。
ただし家賃を重視して入居してくるのですから、2年に1度更新料をとるとなればまた客離れの原因になってしまう可能性があります。
このように入居者集めに苦労している物件の場合は、「更新料なし」を売りにして入居希望者を増やすケースがあります。
賃貸契約で「更新料なし」物件になっている理由まとめ
賃貸物件で「更新料なし」物件には、何らかの事情があることがわかりました。
でもこの事情があなたにとって不都合なものでないのであれば、逆にこれを利用して理想のお部屋探しをするのもアリです。
ただし今でも慣習として更新料を支払うことが一般的な地域では、建物の状態や条件などを問わず更新料をとるケースがほとんどです。
ですから契約後もできるだけ節約したいと考えているのであれば「更新料なし物件を探す」または「更新料を支払う風習がない地域で物件探しをする」のどちらかを選ぶのがおすすめですよ。





