新生活のスタートとともに、恋人との同棲を検討している人も多いことでしょう
しかし結婚している二人ならまだしも、宙ぶらりんな状態である同棲は、部屋を借りるにも悩むことは多いものです。
今回は、同棲カップルだからこそ知っておきたい賃貸契約の基本と、あらかじめ決めておくべき事項について触れていきます。
今後同棲を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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このページでわかること
1. 同棲する場合の賃貸契約
まず、同棲する場合の賃貸契約について概要を知っておきましょう。
「仲の良い友人同士のルームシェアと一体何が違うの?」と思う方も多いでしょう。
同棲とは、最終的には結婚というゴールに向かう準備期間(もちろん、結婚はしないと公言しているカップルもいます)。
友人同士のルームシェアとは違い、将来の関係を視野に入れた2人だからこそ、より慎重に進めるべきことが多いのです。
将来を見据えた上で、自分たちにふさわしい契約パターンを選びましょう。
1-1. 契約者は誰になる?
同棲で部屋を借りる場合の契約者については、以下のパターンが可能です。
- 収入が多いほうが契約者、もう1人は「同居人」
- 連名契約をする
(1)については、同棲といえども「入籍予定日が決まっている」など、結婚が確定しているカップル向きといえます。
めでたく入籍を済ませたあとも、苗字変更などはあるものの、契約内容をそのまま反映させるだけなので手続きも楽になります。
一方、結婚についてまだ具体的なプランが定まっていないカップルについては(2)の連名契約を選ぶのが無難です。
詳細は後の項目で触れますが、万が一別れるなどの理由で同棲解消となった場合、こちらの方がスムーズに手続きを進めやすいからです。
すでに互いの家族に挨拶も済ませ、入籍や結婚式の予定も視野に入れているのか。
はたまた「結婚」というワードすら、口に出すのは気が早いか、結婚に対する認識を互いに把握した上で、契約者を決めましょう。
1-2. 一人暮らしから同棲することになった場合
同棲を考えているけれど、現在は互いに一人暮らしというカップルも多いことでしょう。
同棲に向けて心躍る反面、気ままで自由な一人暮らしの心地よさを惜しむ気持ちもありますよね。
しかし同棲するなら、お互い心地よく毎日を送るために事前に決めておくべきことや、妥協点がたくさんあるのです。
その中でも必須なのが以下の通りです。
(1)金銭面の管理・把握
一人暮らし生活では、自分で稼いだお金をどう使おうが自由でした。
しかしパートナーとの生活をともにする以上、浪費グセは二人の関係にヒビを入れるもの。
家計をともに支え合うという意識改革が必要です。
まず同棲が決まった時点で、家賃や光熱費、食費や生活用品にかかる費用など「どの部分をどちらが支払うのか?もしくは完全に折半にするのか」を決めておきましょう。
同時に、これまでの生活で自分が何にどれだけ費用がかかっているのかを算出・記録し、互いに把握しておくことが大切です。
(2)家事の分担
共同生活をするうえで、掃除・洗濯・自炊も二人で協力していかないといけません。
大抵の一人暮らし経験者であれば、それらも全て自分でこなしてきた人がほとんどでしょう。
一人暮らし経験の有無に関わらず、「家事を積極的にこなす」という感覚が身についていれば問題ありません。
しかし中には家事が苦手だとか、そもそも家事のやり方(家電の根本的な使い方や、衣類の干し方や畳み方など)について何も知らなかったという人も少なくありません。
特に男性の場合、育った環境によっては「家事は女がやるのが当たり前」といった感覚もまだまだ根強いようです。
共働き世帯が主流である今、家事を分担する意識を同棲中に培っておきましょう。
(3)価値観の違いの尊重
親密なカップルなら、お互いに相手のことを知り尽くしている自信にあふれているでしょう。
しかしいざ同棲してみると、良くも悪くも相手の知られざる一面を目にすることが多いのです。
例えば「実はかなりの潔癖症で神経質だった」「マメな性格だと思っていたが、実生活はズボラ過ぎた」など、相手の実態に戸惑うこともあるはずです。
また「こちらは嫌なのに、相手はしょっちゅう友達を泊まらせる」「夜は一人でボーッと過ごしたいのに、相手に構われる」など、配慮の無さにウンザリすることもあるかもしれません。
相手が、こちらの表情やちょっとした言動だけで不快感を察してくれたらどんなに楽でしょう。
しかし世の中の人全てがそうではありません。
同棲すると決まった時点で、「自分が生活の中で外せない、優先したいこと」「相手にされたら嫌なこと」を互いにさらけ出し、明確に伝えることが大切です。
また、その中で自分と相手の考えにズレがあったなら、どう折り合いをつけていくべきかをきちんと話し合っておきましょう。
2. 同棲カップルは賃貸物件が借りにくい!?
「恋人以上、夫婦未満」同棲のイメージや実状はこう表現できるのではないでしょうか。
結婚を視野に入れているカップルであっても、まだまだ遠い話だというカップルであっても同じです。
パートナーとの共同生活は、二人が家族に近づく期間として、まぶしく思えることでしょう。
しかし実は、同棲カップルが賃貸物件を借りるにも、ひと苦労することが多いのです。
その理由は「万が一別れてしまったら退去」という流れがあるからです。
すでに夫婦であるならまだしも、同棲であればより「気軽に」別れを選ぶ可能性がありますよね。
そのため、大家さんたちはいつ退去になるか分からない同棲カップルを煙たがる傾向があるのです。
また年配の大家さんの中には、結婚前に男女が生活をともにすることに、ふしだらな印象をもつ方もおられるようです。
これらの点を踏まえ、同棲でのお部屋探しをするときには、とりあえず「近々結婚予定である」と伝えた方がイメージも悪くありません。
同棲カップルへの風当たりの強さをカバーしつつ、ここからは契約の段階に焦点を当てていきます。
2-1. 半同棲は契約違反
半同棲が契約違反にあたるのはご存知ですか?意外と知られておらず、戸惑う人も多いでしょう。
付き合ううちに家に通う頻度が増え、いつのまにか入り浸っていた、なんてよく聞く話ですよね。
しかし、当初は「単身での入居」という契約内容で申し込んだにも関わらず、ちゃっかり二人で暮らすのは契約違反という決まりなのです。
ただし半同棲が発覚しても、大半の大家さんは見て見ぬ振りをしてくれるようです(痴話喧嘩による騒音やトラブルになれば論外)。
そうは言っても違反行為なので、物件によっては罰金もしくは退去命令の対象となる可能性があります。
「どれだけの頻度で寝泊まりしたら半同棲なの?」など、半同棲の定義についてはかなり曖昧ですが、違反行為であることは知っておきましょう。
2-2. 一人でも家賃の支払いができる証拠を見せる
前述のように、同棲カップルは「破局したら退去」というイメージが強いものです。
そのため、不確定要素が多い同棲カップルには、部屋を貸し渋る大家さんは少なくありません。
そんな大家さんの不安や不信感を解消するために必要なのが、「一人になっても家賃を支払うえるという証拠」です。
もし仮にどちらか片方が退去してしまっても、空き物件になるリスクはありませんよ、と示すのです。
二人それぞれが、安定した生活基盤をもっていると示すことで、信用性も上がります。
2-3. 連名契約をする
冒頭の項目でも少し触れましたが、連盟契約によって手続き上のゴタゴタを避けることができます。
賃貸物件を借りる際「1つの物件につき契約者は1人」と思っている人は多いでしょう(その場合、契約者以外は「同居人」という扱い)。
実はそうではなく、1つの物件に対して複数の契約者を設定することもできるのです。同棲の場合、1つの物件に2世帯が入居するという感覚だと言えます。
そしてその場合、契約者それぞれに連帯保証人をつけることになります。
そのため、いざというときも大家さんは家賃を確実に回収できるため、より信頼度も高まるのです。
3. 同棲する場合の保証人について
一人暮らしの場合、連帯保証人は契約者の親とするのが一般的です。
また様々な事情により親族が頼れないという人は、保証会社の代理人サービスの利用が可能です。
3-1. 基本的に連帯保証人は必要
ここで、冒頭でも触れた同棲で賃貸契約をする際のパターンについて、再度確認してみましょう。
(1)契約者は1人のみ
- 2人のうち、収入が多い方を契約者とし、もう1人は「同居人」として契約
- 契約者のみ連帯保証人を立てればOK
(2)連盟契約の場合
- 2人とも契約者となる
- それぞれ個別で連帯保証人が必要
不動産管理会社によって、契約には以上のパターンがあります。
ただし同棲だと、破局した場合に家賃の支払いが滞るケースが頻発しています。
後に残されたのがどちらの入居者であっても、大家さんがスムーズに家賃を回収できるように、という考えが契約の基本となっています。
3-2. 保証人は働いている両親または兄弟がベスト
連帯保証人を立てるにも審査があり、条件としては安定した収入があるのは大前提です。
それだけでなく「いざというときに該当物件の家賃を支払う能力はあるのか?」という点も審査で重要なポイントとなります。
上記を満たしており、不動産管理会社が認めれば、親・兄弟姉妹をはじめとした親族だけでなく、友人であっても連帯保証人に立てることが可能です。
ただし、もしもの出来事が起こったとき、いざ頼りになるのは一番近しい人=親なのです。
両親がともに働いており、一定の収入が確保できているならば、親が連帯保証人になってもらうのが一般的です。
3-3. 保証人を誰にも頼めない時の対処法
同棲予定の人の中には、様々な事情により保証人を立てられない人もいるでしょう。
その場合は、先ほど触れたように賃貸保証会社による代理サービスを受けることができます。
これは、契約者が保証料を支払うことにより、いざというとき大家さんに対して連帯保証人と同じ対応ができるというシステムです。
審査が厳しいのでは?というイメージが強いかもしれませんが、安定した収入があり、携帯電話やクレジットカードの料金滞納がなければスムーズに完了する場合がほとんどです。
また、最近では未払い家賃の回収に関してストレスフリーという点で、連帯保証人ではなくこうした賃貸保証会社を好んで指定する大家さんがとても多くあります。
4. 同棲すると決める前にきちんと決めておきたいこと
最後に、同棲を決める前に2人できちんと決めておくべきことに触れていきます。
パートナーとの同棲は夢にあふれ、甘酸っぱい気持ちで心躍るものです。
でも所詮は他人との共同生活。
いざ現実に直面すると「こんなはずじゃなかった!」と悩みトラブルに発展する可能性もあるのです。
そうならないためにも、お互い一人の大人として、冷静に向き合う時間が必要です。
4-1. 初期費用の支払いについて
まず初期費用ですが、一般的には家賃4〜6ヶ月分が目安とされています。
「引っ越しってこんなにお金がかかるんだっけ?」と驚く人も多いでしょう。その内訳は以下の通りです。
・敷金
・礼金
・共益費
・仲介手数料
・火災保険料
・前家賃
・鍵の交換代
よほど貯金ができているカップルでない限り、勢いや思いつきでは実現不可能な金額です。
そのため資金調達の準備期間を設けた上で、支払いは折半にするのか、もしくはその他の比率にするのかどうかも、お互いの年収や就労状況を把握した上で決めておきましょう。
4-2. 部屋の間取り、生活費について
次は部屋の間取りと生活費について触れていきます。実は、同棲生活が上手くいくかどうかはこの2つにかかっているとも言えるのです。
まず、間取りから検証していきましょう。
1K〜1LDK
なるべく家賃を抑えたいカップルには、こちらの間取りで探すのが一般的です。
1Kだとかなり狭いと思う方も多いでしょうが、占有面積は広めのものもあります。
さらに余裕が生まれる1LDKは、同棲で大多数の人が選ぶ間取りとされています。いずれも、家賃以外に「掃除・お手入れが一挙に済む」というメリットがあります。
ただしこれらの間取りには、以下のような難点もあります。
- 相手の生活リズムに左右される
帰宅時間や起床・就寝時間などがほぼ同じならば問題ないのですが、中には夜勤など変則的な勤務体系の人もいるでしょう。
そのような場合「自分は寝たいのにパートナーの生活音が気になる…でも物理的に逃げ場がない」というストレスになることも多いのです。
- 完全プライベートの空間がない
カップルが1K〜1LDKの間取りで感じる一番のストレスがこれです。
どんなに好きな相手であっても、仕事で疲れて帰ってきたときには誰とも話したくない、自分ひとりの世界にこもりたい気分のときは多いでしょう。
そういうとき、この間取りだと「逃げ込む」場所がない(せいぜいトイレか入浴中くらい?)ので、息苦しさから関係悪化につながるパターンが多いのです。
またこの間取りだと、どちらかが風邪やインフルエンザにかかった場合も、パートナーへの感染のリスクが高まります。
互いの生活リズムや気質、病気にかかったときの感染リスク回避なども、お部屋探しと同時進行で考えておく必要があります。
2K〜2LDK
こちらの間取りの良いところは、なんといっても2人の生活スタイルに合わせた用途が選べるところ。
「2部屋のうち片方を2人の寝室、もう片方は書斎」などの使い方もできますし、あるいは「1人1部屋、寝室も完全振り分け」という使い方もできます。
自分の生活リズムやプライベートな時間をしっかり確保したいカップル、また結婚後の生活まで視野に入れているカップルには、断然こちらがおすすめです。
ただし念のため、こちらの間取りの難点も確認しておきましょう。
- 家賃が高い
1K〜1LDKと比較すると、部屋数が1つ増えるので家賃も当然高くなります。
アクセスはイマイチの郊外で広めの物件にするか、利便性重視で、家賃は節約して物件の広さは妥協するか。
万が一どちらかが先に退去する可能性も踏まえ、金銭的に無理のない選び方が重要です。
- 掃除、メンテナンスが大変
1K〜1LDKの場合は一気に掃除ができるのが長所ですが、部屋数が2つだと億劫に感じることも多いようです。
2人で寝室を一緒にしているなら話は別ですが、振り分けの場合は各自が清潔を保つよう心がけなくてはなりません
さすがにパートナーの部屋を抜き打ちで掃除するのは気が引けますよね。
エアコンも各室に設置することが多いので、定期的な掃除の手間も余分にかかります。
2K〜2LDKの間取りは物理的にも精神的にもゆとりをもたらしてくれます。
ただし金銭面や清掃・お手入れなど、きちんと管理できるかどうかを念頭に置くと良いでしょう。
生活費
次に生活費について触れていきましょう。
婚姻関係に至らない同棲カップルは、「他人」同士であるからこそ、生活費の管理に節度が求められるといえます。
生活費の分担のしかたには、以下の4通りが挙げられます。
- 片方が全額負担
- 折半
- 内訳別に分担
- 収入による傾斜配分
自分の収入や現在の生活費の内訳など、パートナーに知られるのは気がひけるという方も多いでしょう。
しかしある程度家計をともにするのであれば、隠しておくと相手に不信感をもたれますし、マイナス面も多いものです。
同棲を決める前に互いの金銭的な現状を赤裸々にしたうえで、2人に見あった生活環境を探る機会を設けてみましょう。
4-3. 破局して退去することになった場合について
同棲生活を検討するとき、万が一破局した場合については目を背けがちです。「今2人の仲は良好だし、縁起でもない話題は出さなくていい!」と反感をもたれるかもしれませんね。
しかし人の心は常に移ろいゆくもので、何が起こるかわかりません。破局ではなくても、どちらかが転勤などやむをえないケースで同棲を解消するパターンもあります。
ここでは、残念ながら2人の関係に終わりを迎えたとき、また泣く泣く離ればなれになるときなど、同棲を解消する場合に注意すべきことに触れていきます。
まず、契約内容について考えましょう。どちらかが退去せずに残るのであれば、その人が今後の家賃を1人で負担することになるので要注意です。
また連盟契約をしている場合は、一方の名義を契約上から消してもらうことで手続き上問題ないのか、大家さんに確認しておきましょう。
2人とも部屋を退去する場合は、退去申し出後も家賃・光熱費の支払いや敷金の返還など、金銭面でのやり取りが続くことを覚えておきましょう。
5. まとめ
いかがでしたか?
同棲生活は大きな楽しみが待っていますが、同棲だからこそ悩むことや、契約上慎重に考える点もたくさんあるのです。
将来に向けて、2人の関係がより良く発展する機会になるように、同棲生活をスタートさせてくださいね。





