賃貸物件を契約するときには、どんなケースでも収入がどれくらいあるのかを問われます。
管理会社によっては、給料明細や通帳の残高証明の提示が条件になる場合もあります。
生活の拠点となる住居ですので、限りなく理想に近い物件を見つけたいと多くの方が思われるでしょう。
単身で部屋を探している場合でも、希望はあります。
夫婦の場合や、子供がいればそれぞれの要望が生まれるのも当然です。
理想通りの物件が見つかっても、管理会社や大家さんに『理想の借り主』と思われないと、残念ながら賃貸契約には至りません。
図書館で本を借りたり、レンタカーを借りたりするケースとは大きく異なります。
賃貸物件の契約に欠かせない入居審査についてまとめてありますので、引っ越しを考えている方は参考にしてください。
どのような書類が必要なのか、大家さんはどんな借り手を探しているのかを事前に知ることで、心構えができ、準備も整います。
このページでわかること
1. 賃貸の入居審査における年収の基準
年収に対する家賃の割合は、3割が基準です。
5万円の物件を希望して入居基準を通過するためには、年収が180万円以上あることが基準です。
家賃が10万円なら360万円以上の年収がないと、ほぼ審査に合格しません。
物件探しを依頼する時の申込書に、年収を記入する欄があります。
そんなプライベートなことまでと思われるかもしれませんが、契約を結ぶ前段階の入居審査では年収を証明できる書類の提出が求められます。
収入が不安定で決まった金額が書けない場合にも、正直に伝えておきましょう。
その場しのぎの記入をしてしまうと、審査基準で通ることはありません。
不動産会社は、賃貸物件を斡旋する道のプロです。
状況に合わせた物件を紹介してくれることもありますので、正直に相談をしてみましょう。
2. 賃貸の入居審査には年収を示す書類が必要
初めて賃貸物件で暮らそうと思っている方は戸惑うかもしれませんが、部屋を借りるときには『収入証明書』を提出します。
わざわざ証明書を発行してもらう必要はありません。
以下のような、すでに発行されている書類で対応できます。
・源泉徴収票
・給与明細
・確定申告の控え
・課税証明書
サラリーマンの場合には、源泉徴収票があれば1年間の収入がわかります。
配布されてから期間がたっているために、手元にない場合や紛失してしまった場合でも再発行してもらえますので、会社に問い合わせをしてみましょう。
毎月提示される給与明細でも対応してもらえますが、ひと月分ではなく、3か月分の明細を要求されるケースがほとんどです。
自営業の場合には、源泉徴収票も給与明細もありませんので、確定申告の控えが有効です。
課税証明書は、市町村が住民税の支払いに使用する公の書類です。
課税された1年分の住民税に加え、年収や所得も記入されています。
企業が発行する源泉徴収票などと比較すると信頼性が増すことから、厳しい入居審査を設けているマンションでは課税証明書の提出が必要な場合があります。
不動産会社によっては契約者の収入状況だけではなく、連帯保証人の収入証明を求めるケースもあります。
そのため、連帯保証人を依頼する最適な方は収入が安定している両親と言われています。
兄弟や友人と比較をすると、審査基準が通りやすくなります。
そのため、収入が安定している両親がいる場合には、両親に連帯保証人になってもらいましょう。
家賃が収入の3分の1を超えてしまう場合でも、身近な肉親が保証人になることで、審査に通過することもあります。
また未成年の場合には、保護者の同意書も必須です。
必要書類を揃えることができるように、しっかり準備をして物件探しを始めましょう。
契約を交わす時に、最も重要なポイントが借り手の経済能力ですが、収入証明以外にも本人確認をする書類を提出することもあります。
免許証や保険証の提示が必須の場合もありますので、物件探しを依頼する時に確認しておくと、後からあわてずにすみます。
3. 年収に応じた賃貸物件を探した方がいい理由
家族構成によって違いが生まれますが、収入の範囲内で必要な支出が捻出でき、その上で貯蓄ができる暮らしが理想ではないでしょうか。
特に家賃は固定費になり、毎月決まった金額を必ず支払わなくてはなりません。
今月は出費がかさんだからと言っても、家賃を抑えたいと思ってもかなえることができません。
そのため全ての理想がかなう物件に暮らしたいと思っても、やはり収入とのバランスを考える必要があります。
家賃は、収入の3分の1以下に抑えることが理想です。
無理して収入に合わない物件を契約してしまうと、理想の生活を継続することは難しくなります。
ファイナンシャルプランナーの仕事をしている方のアドバイスがありますので、収入と家賃のバランスを考える時に参考になります。
月収に対して住居費は25%、食費は15%、水道光熱費が6%、教育費は10%前後を理想としています。
この他にも、通信費や衣類、雑貨、医療費、税金などがかかります。
家賃を収入の25%に抑えて、収入の10%以上貯金ができる経済状況をすすめています。
賃貸物件を探す時に、収入を考慮して家賃がいくらまでの物件を借りることができるのか、目安にするために計算をしておきましょう。
最近では、人気の高いデザイナーズマンションや駅近物件、リノベーションが済んでいる物件と理想はいろいろあるかと思います。
それでも、家賃は月収の3分の1が目安です。
子供の数が多ければ、食費や教育費などの出費が増えますので、収入の25%以内が理想とされる傾向になっています。
賃貸物件を探すときには、優先順位を決めてどうしても譲れない条件以外は臨機応変に変更することで、収入に見合った物件が見つかる可能性が上がります。
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4. 年収以外にも確認しておきたい入居審査の基準
収入さえ高ければ、どんな物件の入居審査にも通ると思われるかもしれませんが、判断基準は年収だけではありません。
大家さんは大切な財産である部屋を貸しますので、家賃を毎月払ってくれる経済力も考慮しますが、ほかにも重要視することがあります。
それは、借り手となる人の『人柄』です。
有名な企業に勤め高収入であっても、乱暴なふるまいが目立つ場合には、大家さんや管理会社も慎重になります。
貸し手からしてみたら当然と思われるでしょうが、以下の2点も賃貸契約を交わすときには重要なポイントです。
・賃貸契約を守り、部屋をきれいに使ってくれること
・隣近所とトラブルを起こさずに常識的な付き合いができること
いくら敷金をもらっても、大切に使ってもらえなくては、修繕費やリフォーム代は敷金内では収まりません。
また、ゴミの出し方や深夜の騒音などに常識を脱したような行動をする借り手では、大家さんも管理会社も仲裁に入るたびに、気持ちが休まりません。
収入面も大事ですが、それだけを重視して賃貸契約が交わされることはありません。
逆から見ると、人柄によっては収入面が満たない場合でも、契約を結べることもあります。
大家さんや管理会社によっては、審査基準には幅があると言えるでしょう。
基準にされることをもう少し詳しく紹介しますので、事前に準備をしておきましょう。
・収入が家賃の3倍以上あることは基本基準ですが、安定した職についているのか、仕事の内容や勤務形態を確認
・クレジットカードなどで滞納したことがあるかどうかの審査
・連帯保証人や勤め先とすぐに連絡がつかないなど、連絡が滞るケース
・提出書類が足りない、記入漏れなどが多くある場合
通常審査には3~5日程かかります。
提出した書類を審査するのは当然ですが、勤務している会社に問い合わせをすることもあります。
連帯保証人へ連絡も入りますので、依頼をした方には審査が始まった時点できちんと伝えておきましょう。
審査基準が厳しい場合には、記載した内容が正しいかどうか十分に審査されます。
審査に通るために、事実とは違う内容を記載してしまうことはおすすめできません。
万が一、記載内容が事実とは違ったまま入居審査に通っても、後から発覚してしまう可能性もあります。
その場合には、強制退去を言い渡されることもありますので、十分に気をつけましょう。
楽しく新生活を送るためにも、ありのままの状況で借りることができる物件を見つけるようにしたいですね。
5. まとめ
賃貸物件の契約を結ぶときには、収入や年収を考慮した審査基準が設けられています。
これは大家さんを考慮して、契約をしたものの後から家賃が支払われなくなることを防ぐためです。
結果として、借り主の生活を守ることにもつながります。
最大の固定費でもある家賃で無理をしてしまうと、どんなに理想的な物件を見つけることができても、長く暮らしていくとは困難です。
譲れないポイントと譲歩できるところを上手に区別しながら、収入の範囲内で借りられる物件を見つけましょう。
それでも、理想通りの物件を見つけても、入居審査で落とされてしまうこともあります。
家賃の占める割合が収入の3割以下であることが、基本ですが、厳しい条件を提示するケースでは、25%以下であることが基準です。
定職についていないことなどで契約を結べない場合には、不動産会社の信頼を高める工夫をしてみましょう。
たとえば、保証人を親族にする、特に高収入のある両親の場合、一番信頼度が上がります。
契約者名を定職についている両親にすることも可能ですので、相談をしてみましょう。
それでも審査基準に満たない場合には、家賃の低い物件を探す、駅から少し遠い物件も候補に入れるなどして対応してみましょう。
今までこだわっていた条件を少なくしてみると、年収の範囲内に収まり審査基準をクリアできる物件に出会える可能性が高まります。
借りている部屋に多少気になる部分があった場合でも、経済的にゆとりがあることで、次第に気にならないようになっていくこともあります。
参考
PRESIDENT OnLINE
『ムダをあぶり出す!収入と支出「理想の家計バランス表」』
https://president.jp/articles/-/20356
参考
スマイティ
『年収が低いけど借りたい!賃貸の入居審査基準と通過への具体策』





