賃貸契約を結ぶ際に求められる連帯保証人。
どのような人物が適しているのか、もしも見つけられない場合はどうなるのか、とても気になる部分です。
ここでは連帯保証人に関連する知識や、困ったときの対処方法などを細かく解説していきます。
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このページでわかること
1. 賃貸借契約に必要な連帯保証人とは?
そもそも連帯保証人とはどういった立場になる人のことを言うのでしょうか?
簡潔に言えば連帯保証人は「借主と同等の責任を負う人物」で、借主が家賃を支払えなくなった時やトラブルを起こした際、借主に代わって責任を取る義務を負う人を指します。
1-1. どうして連帯保証人が必要なのか
賃貸契約は契約を結んだ本人が家賃や共益費を支払い、共用のものを壊した場合は修繕費なども支払います。
しかし借主が失踪してしまったり、支払う意思を見せなかったりする場合など、借主からの回収が困難になることがあります。
そうなると貸主側は、借主を強制退去させるにも手続きの時間や費用がかかるので、大きな痛手を負うことになります。
こうした貸主側のリスクを回避するために、連帯保証人を付けることが一般的になっています。
法律で定められているわけではないので、個人間での貸し出しの場合などは連帯保証人が不要となるケースもあります。
1-2. 連帯保証人制度について
連帯保証人制度は2020年の5月までに改正民法が施行されるということをご存知ですか?
借主と同等の責任を負うという点は変わりませんが、不動産業界に影響する改正が多く、契約を見直さないと連帯保証人との保証契約が無効になってしまう可能性もあります。
その為、現在賃貸契約をして連帯保証人を立てている人でも、新たに契約を結びなおすことを求められる場合があります。
貸主や不動産業者にだけ関係する改正だと思われたり、改正があること自体知られていなかったりすることも多いですが、現在賃貸物件にお住まいの方全員に関係のあることなのです。
1-3. 保証人と連帯保証人の違い
連帯保証人と保証人では大きく意味が違います。
同じ「保証人」という言葉が付くので似たようなものだと思っていると、大変な目に遭ってしまうかもしれません。
保証人と連帯保証人の一番大きな違いは、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」と「分別の利益」が連帯保証人には無いという点です。
- 催告の抗弁権
自分に請求するよりも債務者(賃貸の場合は借主)にまずは請求をして欲しいと主張する権利。
- 検索の抗弁権
債務者に返済能力や収入・財産がある場合は、まずはそちらを差し押さえて欲しいと主張する権利。
- 分別の利益
保証人が複数人いる場合、債権額を保証人の数で按分して1人当たりの金額にのみ責任を負えばよいというルール。
この3つが連帯保証人には適用されないため、債権者が連帯保証人に請求をした場合は有無を言わさず全額を支払う必要があるのです。
保証人に比べると、連帯保証人は非常に重い責務を負うことになります。
1-4. 審査時に提出する書類
賃貸契約の連帯保証人の審査に必要な書類は、迅速かつ正確に用意する必要があります。
事前に知っておけば慌てることもないので、確認しておきましょう。
連帯保証人の審査時に提出する書類は、以下の2種類です。
- 連帯保証人の印鑑登録証明書
- 直筆で記入して実印を押した契約書
印鑑登録証明書は本人か代理人にしか取得できない重要な書類で、なりすましなどの不正を防ぐ為に必須です。
取得する為に役所に行く必要があるので、連帯保証人をお願いする場合は先に用意しておいてもらうとスムーズです。
2. 連帯保証人の審査基準
前述したように連帯保証人は非常に重要な立場になり、貸主にとっての最後の砦ともいえる存在です。
その為、誰でもなれるわけではなく、連帯保証人になれる人物にも審査があります。
どんな人物が審査を通りやすいか解説をしていきます。
2-1. 親族である
最も連帯保証人に適しているのは一定の収入がある親族です。
年金暮らしや低収入だと連帯保証人としての信用度が下がってしまうので、別の人に頼んだ方が審査に通りやすいです。
2-2. 安定した職業についている
親族でなくても安定した職業に就いていて、社会的な信用がある人物は連帯保証人として認められやすいです。
医療関係・公務員・弁護士などは特に信用度が高いです。
2-3. きちんと収入がある
いくら安定した職業についていても、借主が契約した物件の家賃を支払える程度の収入がないと連帯保証人としては不十分です。
最低でも借主と同等の収入がある人物が求められます。
2-4. 条件を満たさなくても連帯保証人を立てるには
条件に合う人物が見つからない場合は、連帯保証人を複数人用意することで認められることがあります。
不動産会社によって審査基準が異なるので一概には言えませんが、どうしても見つからない場合は相談してみてください。
3. 連帯保証人を立てずに賃貸契約する方法
色々な事情があり、連帯保証人を見つけることができないという人も少なくありません。
そのような場合は連帯保証人を立てずに賃貸契約を行うという道もあります。
3-1. 連帯保証人を立てられないケース
連帯保証人は親族がなることが一般的で、それ以外の人物は認められにくいです。
両親がすでに亡くなっていて兄弟もいない、親戚とも疎遠であったりする場合は連帯保証人を立てることが出来ません。
知人や友人に頼むという道もありますが、認められないことがとても多いです。
こうした場合は連帯保証人を立てられないと判断され、可能であれば別の形での契約を結ぶことになります。
3-2. 家賃保証会社を利用
連帯保証人が立てられない場合、最も多く利用されるのが家賃保証会社です。
保証金(家賃の30%~100%が相場)を家賃保証会社に支払うことで、連帯保証人の代理になってもらうシステムです。
不動産会社によって認められる場合と認められない場合があるので、事前に確認を取っておいた方が良いです。
3-3. 保証人不要物件
長く空室になっていたり、物件の価値が下がってしまっていたりする場合、大家さんが直接管理している場合など、様々な理由で連帯保証人を必要としない物件があります。
代わりに敷金・礼金が高いなど特殊な条件が付いていることがあるので、それを確認して納得できればこうした物件を利用するという方法もあります。
3-4. 不動産会社と提携した特定のクレジットカードを利用する
最近増えてきているのがクレジットカードで家賃を支払うという方法です。
クレジットカードで支払う場合、家賃をクレジットカード会社が保証しているのと同じ状況なので、連帯保証人がいなくても契約を結ぶことが出来ます。
不動産会社がクレジットカード会社と提携している必要がありますが、利用が可能であれば保証会社を利用するよりも出費を抑えることが出来ます。
4. ルームシェアの連帯保証人について
賃貸契約を結ぶ際には連帯保証人が必要になりますが、複数人が同じ物件を借りるルームシェアの場合はどうなるのでしょうか?
ルームシェアの場合は契約方法には、以下の2つのパターンがあります。
- 入居者全員と契約を行う連名契約
- 代表者1人とだけ賃貸契約を結ぶ
連名契約の場合は入居者全員に連帯保証人が必要になります。
3人でルームシェアをする場合は、3人それぞれの親族から1人ずつの連帯保証人が必要になるというわけです。
代表者1人と契約を結ぶ場合は1人で部屋を借りる時と同じで、契約者のみが連帯保証人を用意します。
ただし、連帯保証人を立てた契約者が退去する場合は、残った人が再度契約を結ぶ必要があります。
その際には再契約のための手数料がかかったり、連帯保証人を新たに自分の親族から見つけたりする必要が出てきます。
5. まとめ
賃貸契約にはつきものの連帯保証人について解説してきました。
保証人と比べると非常に重たい責任を負うことや、審査に通りやすい人物が限られていることなど、厳しい制度となっています。
連帯保証人には迷惑をかけないようにすることが当たり前で、問題なく過ごしている方が大半です。
しかし今のご時世何があるかわからないので、連帯保証人を頼む場合も頼まれた場合も金銭的・人間関係的なリスクを理解して返事をするようにしましょう。




