賃貸契約の際には、まず重要事項説明が不動産会社から行われます。
これは法律に則った行為です。賃貸契約を結ぶ際の最終確認といっていいでしょう。
賃貸契約は全てを承諾することですが、それについて事前説明といった意味合いになります。
そのためにも、借り主は、賃貸契約についてさまざまな注意点を確認する必要があるのです。
この記事では、賃貸契約時の注意点について詳しく説明します。
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このページでわかること
1. 賃貸契約で注意すべきポイント
1-1. 重要事項説明では?
賃貸契約を結ぶ前に「重要事項説明をします」と不動産会社から事前の説明が行われます。
これは「宅地建物取引業法」で定められている行為のことです。
法律ですから、ここの記されていることを行わなければ罰せられることもあるとても重要な事柄なのです。
「重要事項説明を…」と言われても一般の人にはわからないことですから、身構えてしまいがちです。
重要事項説明というのは、賃貸契約前のほぼ直前に行われます。
それまでに賃貸物件においては内見を済ませ、詳細においても詰めてきてほぼ合意ができていて、後は賃貸契約を結ぶだけという状態です。
そのようなときに行われるのが、重要事項説明ですから、内容については念押しに近いものですが、改めて賃貸物件の詳細な内容、そして契約条件について、書面と口頭で不動産会社の担当者から説明を受けるのです。
このとき、この担当者は、国家資格である宅地建物取引主任者であり、主任者証という資格証を提示したうえで重要事項説明が行われます。
以上のことから、重要事項説明が、宅地建物取引主任者の資格証を提示しないまま説明をすること、あるいは重要事項説明がないまま、賃貸契約書に記名捺印を迫られるような行いがあった場合、その不動産会社は宅地建物取引業法に違反していることになります。
それまで、ほぼ同意に達していることで、最終確認の意味合いの強い重要事項説明ですが、ここで新しい文字通り重要な事柄が出てくると、納得がいかなくて賃貸契約を結ばないということになるかもしれません。
もちろん、ここで賃貸契約を結ばないという決断を下しても、違約金という費用は一切かかりません。
まだ賃貸契約を結んでいないので違約金等が発生することもないのです。
形式的な意味合いが強い重要事項説明ですが、不動産に関する専門用語が多く一般の人にはよく分からないことも多く、一般的な社会常識があれば大丈夫と思いがちです。
しかし、一般常識と思っていることが大きな落とし穴である場合があります。
良心的な不動産会社では、特に重要なことは、かみ砕いて理解しやすい言葉で説明してくれるので、そういった事柄を聞き逃さないようにしましょう。
最低限、費用負担のことについては、しっかりと確認しておきたいところです。
たとえば、もともとある設備についての確認です。
室内設備および共有スペースでのエアコン、駐輪場などの状況と設備の維持費です。
設備が壊れた場合、借り主の費用負担が発生するのかを訪ねておくのです。
マンションなどの共有スペースについての維持費は管理費という名目で家賃とは別にあるいは込み込みで徴収されます。
修理費用などはそれに含まれていることが多いのですが、例外などもありえます。
そういった部分もしっかりと聞いておきたいところです。
1-2. 契約書では?
賃貸契約書については、記名捺印して終わりというわけではありません。
これも一つ一つ説明を受けることになります。
渡されて「目を通してください」ということにはならないので、説明を受けながら賃貸契約書を確認します。
特に注意したいポイントは、お金に関することです。
重要事項説明と被る部分もありますが、敷金礼金など、お金について明記されている部分は特に確認する必要があります。
契約に更新があるのか、その更新時には更新手数料がかかるのかといったことは賃貸契約書に明記されるべきですし、なければ確認が必要でし、全く何もないから明記されていないかもしれません。
そういったことも踏まえてただしておくようにしたいところです。
また、賃貸契約では退去時にもめることがあります。
それは入居時に支払った敷金の取り扱いです。
故意あるいは過失による破損や汚損については敷金から修理修繕されます。
それ以外については敷金は戻ってきます。ただし、そこで確認したいポイントがあります。
「敷金は○ヵ月分償却」という項目があれば、その分の敷金は戻ってこないのです。
例えば「1ヵ月分償却」ということでしたら、1ヵ月分は敷金から引かれることとなります。
賃貸契約書に記載がなければ発生しませんが、書かれていると当然ですが退去時に行使されることになります。
入居後に不具合が発生した場合、それぞれについてどこに連絡をしたらいいのかは、重要事項説明で説明されることとなります。
賃貸契約書には、「速やかに連絡すること」程度の書き方になっているので、入居後に都度確認するよりも、賃貸契約時にしっかりと確認しておくとよいでしょう。
2. 敷金返還に関わる特約は要チェック!
退去時に修繕費などが敷金から引かれることがありますが、明細を見るといろいろな項目が書かれていることがあります。
詳細な明細が書かれているだけ良心的と言えますが、退去時の敷金返還の際はもめることが多いので、退去時に詳細な明細を出すのは昨今では一般的となっています。
その中で、クリーニング費用さらには畳の表替え費用といった項目で退去時に請求されることがあるのです。
原状回復が基本といっても、経年による劣化や通常使用による損耗は、貸し主の負担が原則です。
しかし、こういったクリーニング費用、さらには畳の表替え費用を請求される借り主が多いのが現状なのです。
しかし、理不尽に請求されるわけではなく、これは契約内容で決められているからです。
ということは、賃貸契約に明記されているということです。
そのときに説明を受けても、賃貸契約に書かれていても後で見直すこともありませんし、年数が過ぎるとそういったことも忘れてしまうので、いざ退去というときに慌ててしまうことになります。
賃貸契約で、畳の表替え特約、ハウスクリーニング特約などが決められていると、退去時にそれぞれ請求されることとなるのです。
退去時に敷金が返還されるポイントは、契約内容と故意・過失の有無の2点です。
故意・過失はわかるのですが、契約内容に特約が入っていればそれに従わなければいけません。
ですので、入居時の賃貸契約の特約内容はしっかりと目を通し、なおかつ覚えておいたほうがいいでしょう。
3. 入居者の義務「原状回復」とは?
立つ鳥跡を濁さずということわざもあります。
さらには、来たときよりも美しくなどとも言われています。
賃貸における退去時の原状回復というのは、来たときよりも美しくということではありません。
原状回復は来たときの状態に戻すことと思いがちですが、経年利用によって自然に損耗や汚損する点については、その部分まで借り主が見る必要はありません。
その点がどうしても曖昧になるので、原状回復については退去時にもめることとなるのです。
宅地建物取引業法でも「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と難しく書かれています。
言えることは、通常の使用に基づく損耗・汚損について復旧することは、借り主の義務とされる原状回復とは無関係なのです。
4. 賃貸契約するときに確認したい事柄
4-1. 設備について
元々ある設備について細かな決めごとが賃貸契約書に書かれています。
故意による損傷は借り主負担ですが、それ以外では、貸し主負担あるいは借り主負担ということが明記されているので、その点についてしっかりと確認する必要があります。
4-2. 更新について
賃貸物件はたいてい2年契約が多いです。
「2年契約だから途中で退去したら違約金が発生するかも?」
通常ではそういったことはないのですが、まったくないということもありません。
違約金があれば、それも賃貸契約書に書かれているので確認しましょう。
4-3. 解約について
これは退去するということです。
退去時の決まりも賃貸契約書に書かれていますし、誰もがいつかは退去することになるので、決まり事はしっかりと守らなくてはいけません。
賃貸契約書には、いつまでに退去の通告をしたらいいのか、といった期日の記載があります。
また、違約金が必要な物件は少ないのですが、ないとも限りません。
それも含めて賃貸契約をしているのですから退去時にもめないように、入居時にしっかりとチェックしておきます。
5. まとめ
賃貸契約をしっかりと理解しておかないと、退去時にもめることにもなりかねません。
特にお金のことは原状回復特約も含めて入居時にしっかりと確認しておきましょう。
退去時にもめるようなことがあっても、賃貸契約に記載されていたら文句を言うことはできません。
契約書はしっかりと読み込み、後々トラブルにならないようにするのが大切です。




