賃貸物件は1年未満でも契約できる! それは得か損か?

出張や仕事、通っている学校などの関係で、賃貸物件を1年契約で借りようと考える人がいます。

また、事情により1年ごとに賃貸物件の契約を更新することで、同じ物件に住み続けようと考える人もいます。

しかし通常、賃貸物件を借りるときは5年や10年のようなまとまった期間での契約を交わします。

賃貸での1年契約が果たして通用するのか、疑問に思う人も多いかもしれません。

結論からいうと、1年だけ契約できる賃貸物件は存在します。

問題は、それを行うことが得か損かということです。

本記事では、賃貸を1年だけ契約することは可能か、またそのメリットとデメリットには何があるのかなどを解説します。

1. 賃貸を1年だけ契約することはできるの?

賃貸物件のなかには、1年だけ借りることができる物件も存在します。

そこには借家契約において法的に定められたルールが関係しており、借りるうえでの注意点があります。

1-1. 普通借家契約と定期借家契約について

賃貸物件を借りる契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」が存在します。

「普通借家契約」は、最短でも1年以上、普通は2年程度の契約を前提としています。

定められた契約期間の終了時に更新手続きを行うことで、その人は借りた部屋に住み続けることができます。

貸主は、借主が他の住人に重大な迷惑をかけたなどのよほどの理由がない限り、契約更新を拒絶することはできません。

「定期借家契約」は、2000年3月に新しく定められた制度です。

これは、契約期間が終わり次第、借主は借りていた部屋を貸主に必ず返さなければならないという内容の制度です。

この場合も、借主と貸主がお互いに合意して再契約を結べば住み続けることができますが、特段の理由がなくても、貸主は契約更新に反対することもできるのがポイントです。

また、こちらの契約は、期間を1年未満に定めることもできます。

1-2. 「定期借家契約」で部屋を借りる場合の注意点

「定期借家契約」に基づいて部屋を借りる際には、3つの注意点があります。

1. 借主から一方的に契約解除を申し出ることができないという条件がある

事業用や床面積200㎡以上の部屋・建物を定期借家契約に基づいて借りた場合、その期間内は、借主から一方的に契約を解除することは原則としてできません。

契約を解除した場合は、貸主から違約金を求められますので注意しましょう。

ただし、転勤や居住者の病気療養などといったやむをえない事情があった場合は、この限りではありません。

2. 契約時の貸主の様子をチェックすること

貸主が定期借家権について書面で詳しい説明をしない場合は、同権利に基づいた契約が双方の合意に達していないことになります。

そのため、従来の賃貸借契約になってしまいます。

最低限、『契約が更新されないこと』『期間満了時に借りた物件を貸主に明け渡さなければならないこと』『その年月日』の説明を聞いておく必要があります。

店舗や事務所として使用する物件の場合も、定期借家契約になっていない場合があるため、事前にチェックをしておきましょう。

3. 貸主と合意のうえ結んだ契約は忠実に守ること

例えば、契約が終わっても貸主に部屋を返さず住み続けている場合などは、貸主から裁判で訴えられ、強制執行を受ける可能性があります。

自身の社会的地位の保全のためにも、貸主との不要なトラブルは避けましょう。

2. 賃貸の1年契約は得? 損?

1年間だけの賃貸契約は交わせることを上述しましたが、それが得になるか損になるかは、住む人の条件により変わります。

以下の借主や貸主にとってのメリットとデメリットを参考に、自身の条件が1年契約で賃貸物件を借りるにふさわしいかを見極めましょう。

2-1. 借主のメリットとデメリット

1年だけの定期借家契約のメリットは、コストの安さです。

例えば、長期の出張などをはじめ、仕事や生活上の都合で短期だけ住む場所を確保したい人にとっては、住居費はなるべく抑えておきたいところです。

1年契約が可能な物件は、その地域の相場よりも家賃が安く設定されていたり、礼金が不要であったりするなど、コストが抑えられています。

ただし、その際のデメリットは、契約期間終了後には貸主との合意がない限り、契約更新ができないことです。そのため、期間終了までに次の住居に引っ越すことができる見通しを立てなければなりません。

床面積が200㎡未満の部屋に関しても、転勤や介護などのやむをえない事情がない限り、契約期間内に借主からの中途解約を申し入れることはできません。

もし仮に、期間内に契約解除をして勝手に部屋を出てしまった場合、違約金を請求されてしまいます。

 

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2-2. 貸主にもメリットがある

定期借家契約は、借主だけでなく貸主にもメリットがあります。

それは、普段のマンションやアパートで見られるようなトラブルに長く悩まされるリスクを軽減できることです。

例えば、長期にわたり家賃を滞納したり、迷惑行為をしたりする人がいた場合は、貸主は法的措置を取ることが考えられます。

解決が長引いたとしても、定期借家契約の更新には貸主と借主の双方の合意が必要であるため、貸主が同意しなければ、迷惑な住人もその賃貸物件を立ち去らざるをえなくなります。

 

3. 賃貸 の1年契約物件を探すなら

有名な賃貸物件情報サイトのなかには、1年の定期借家契約が結べる物件に絞って検索できるものがあります。

『1年の定期借家契約が可能』といった条件で検索・表示された物件でも、家賃と管理費から始まり、最寄り駅やそこからの徒歩でかかる時間、間取りや部屋に備え付けられているものなど、あらゆる条件を求める人に配慮して、様々な物件から選ぶことができます。

また検索結果も、「家賃が安い順」「築年数が新しい順」「専有面積が広い順」などのように、複数表示される物件を選んだ条件に従って並べ替えることも可能です。

定期借家契約で借りられる物件は、短期間をしのぐ人のための物件であり、最低限の設備しか整えられていなかったり、築年数が古かったりするのではないかと懸念する人もいるかもしれません。

しかし実際は、定期借家で借りられる物件のなかにも、3LDKのような広い部屋や、ウォークインクローゼットにバルコニー、ジェットバス付のお風呂、さらには無料で利用できる駐車場など、条件に恵まれている物件もあります。

また、築年月が閲覧日よりも後という新築物件が提示されることもあります。決して古い物件ばかりとは限らないのです。

このように、定期借家契約で借りられる物件にも多種多様なタイプが存在しています。

自身の費用や生活状況に見合ったものを探してみてはいかがでしょうか。

4. まとめ

賃貸物件は、定期借家契約に基づき、1年未満で契約することも可能です。

しかし多くの場合、期限が訪れたら部屋から退去し、貸した人に明け渡す必要があります。

定期借家契約で借りられる物件は、礼金が不要であったり、家賃が地域の相場よりも安かったりします。

出張や家のリフォームなどの事情を持つ人たちにとって、その場しのぎの物件としては理想的です。

ただし、敷金は必要である場合が多いのも事実です。

部屋を退去する際は、借りる前と同じ状態にする原状回復義務があり、もちろん傷や汚れには掃除や修繕で対応しなければなりません。

住人が部屋を去った後に、貸主が掃除や修繕でかかったお金を退去費用として請求します。

これは敷金の中でまかなわれますが、オーバーした分は部屋を借りていた人の自己負担となります。

賃貸物件の情報サイトでも、定期借家契約に条件を絞って検索することが可能ですので、もし必要になった場合、自分にあった物件を様々な視点から検討することができます。

自身の予算の範囲内で、なるべく理想的な環境の部屋を見つけるよう努めましょう。