賃貸マンションでは、あらかじめ設置されている設備とは別に追加で設置する場合はいろいろと問題があります。
でも住みやすさを追求する場合、新たに手すりを取り付けたいと考える人もいます。
特に介護を理由に手すりの設置を検討している人も多いはずです。
ではこの場合、賃貸マンションでも手すりの設置は可能なのでしょうか?
今回は賃貸マンションで手すりを新たに設置したい時に知っておくべきポイントをわかりやすく解説!
設置方法や設置が認められる条件、さらに介護を理由に設置をする場合に知っておきたい介護保険の利用法についても詳しく紹介します。
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このページでわかること
1. 賃貸マンションでも手すりを設置することは可能
賃貸マンションでは、契約書に書かれている内容以外の設備を設置・取り付けすることは基本的にNGです。
でも賃貸マンションでも「手すりの設置」に関しては認められることがあります。
1-1. 設置をする時には必ず家主の許可が必要
賃貸マンションでは、退去時に原状回復をすることが条件になります。
ですから新たに設備を取り付けるにしても、退去する時にはすべて撤去し元の状態に戻す必要があります。
このことから賃貸マンションの場合は壁に穴をあけるなどは原則NGとなっています。
でも手すりは、入居者が安全に室内で生活するうえで必要な設備となる場合もあります。
たとえば高齢で普段から杖がなければ歩くことが難しい場合、杖の代わりに手すりを使うことで部屋の中を安全に移動することが出来るようになります。
またトイレやお風呂なども足が不自由になると何らかのサポートが必要になります。
常に解除してくれる家族が同居しているのであればよいですが、「一人暮らしをしている」「日中は家族全員仕事に行っている」という場合は一人で対応しなければいけません。
転んで怪我をしてしまえば、それこそ一大事です。
このようなことを未然に防ぐために手すりを必要としている場合は、賃貸マンションであっても設置を許可してもらうことが出来る場合があります。
ただしどのような事情があったとしても、無許可で設置工事をすることはNGです。
ですから賃貸マンションに手すりを設置したいのであれば、まずは家主またはマンションの管理会社に相談することが必要です。
1-2. 状況によっては認めてもらえないこともある
やむを得ない事情があったとしても手すりの設置が認めてもらえないケースもあります。
理由は様々ありますが、マンションの構造上の問題で認められないこともあります。
また賃貸マンションなので、他の入居者のことも考えて設置を認めないケースもあります。
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2. 賃貸マンションに手すりを設置するための条件
賃貸マンションで手すりを設置するための条件は、「家主の許可を得られること」です。
賃貸マンションは分譲マンションではありませんから、退去する際には入居した時と同じような状態に戻す責任が入居者にはあります。
この作業を「原状回復」といいます。
手すりの設置方法は設置場所によっても様々です。
ただ壁にしっかりと固定して設置する方が取り外し簡単な手すりよりも安定感があります。
そのかわりこうした取り付け方法では、壁などに穴をあけて取り付ける方法が取られます。
ですから本来であれば手すりの取り付けは、賃貸マンションの家主として一番避けたいことです。
それでも事情があり手すりを取り付けることによって入居者が快適で安全に暮らせるからこそ、条件付きで認めているというのが一般的です。
この時の条件というのは、賃貸マンションの基本である「原状回復」です。
「取り付けたのはいいけれど、退去の時に撤去もせずに引っ越してしまった」では困ります。
ですから取り付けを認めてもらったからには、退去する時にはきちんと手すりを撤去し壁の補修なども行う必要があります。
3. 賃貸マンションでも介護保険を利用した手すりやバリアフリー(住宅改修)が可能
3-1. 住宅改修とは?
住宅改修とは、簡単にいうと「住宅のバリアフリー化」のことを言います。
高齢者や体が不自由な場合、家の中にあるちょっとした段差でも転倒してしまいます。
また和室によくある押し入れや引き戸式のドアの場合、腕の力が弱くなると開け閉めが出来なくなります。
これでは安全・安心して暮らすことが出来るとは言えませんよね?
そのため住宅の中に生活動作がしやすくなる設備を加える(または改良する)ことを「住宅改修」と呼んでいます。
3-2. 住宅改修と介護保険
住宅改修は、介護保険を利用している人であれば介護サービスの1つとして利用することが出来ます。
改修工事にかかる費用の一部を支給してくれるサービスもあるので、対象であればこの制度を上手く活用することで費用の負担を抑えることが出来ます。
ただし介護保険における住宅改修は、「居宅サービス」に分類されます。つまり住まいに関するサービスとなるので、介護施設などに入所している場合には利用が出来ません。
もちろん自宅介護を前提として申請する場合は認められます。
3-3. 手すりの取り付けは介護サービスでできる
手すりの取り付けは、介護保険の中の「居宅サービス」として利用することが出来ます。
設置費用の一部を負担してもらえますし、介護用の手すりのレンタルサービスを受けることもできます。
3-4. 介護保険で取り付けしてもらうためには事前に申請が必要
介護保険を利用して手すりの取り付けを行う場合は、あらかじめ担当窓口に「住宅改修費の申請手続き」をする必要があります。
窓口は介護保険対象者が住民登録をしている市区町村役場です。
支給される金額は20万円が上限となっていますが、工事費用の1割は自己負担となります。
申請のタイミングは工事を行う前です。
申請書類を窓口に提出すると、まずは書類の審査が行われます。
設置工事が完了すると工事の内容を担当者が確認をし、介護サービスとして費用の支給が認められた場合には申請者に費用の支給が行われます。
ただし費用は工事設置後の確認・審査が終わらなければ支給されませんので、工事会社への支払いは利用者が先に全額支払いをします。
ですから少なくとも費用が支給される前に工事費用の準備が出来なければ、このサービスを利用することは難しいです。
4. 賃貸マンションで住宅改修をするための条件
4-1. 介護保険の適応範囲は自己判断しないこと
介護保険を利用すれば住宅改修の費用の一部を支給してもらうことが出来ます。
でも賃貸マンションの場合は、どこまでの範囲を介護サービスの適用範囲とするのか判断がむずかしいです。
ですから家主の許可をもらったとしても、実際に介護サービスを申請したところ「適用外」と判断されてしまうこともあります。
自己負担ですべて対応するのであれば問題はありませんが、介護保険の範囲で改修しようとしているのであれば諦めなければいけません。
ですから介護サービスで手すりの取り付けを考えているのであれば、まずは市区町村の介護保険担当者に相談をすることから始めるのが第一条件です。
4-2. 複数の書類を準備するため時間に余裕がないと利用できない
賃貸マンションでの手すりの取り付けを介護保険で行うのであれば、戸建て住宅よりもはるかに多くの書類を準備する必要があります。
役所の窓口でサービスが受けられるかどうか相談をしなければいけませんし、申請書には取付工事をする際の設置予定図等も必要になります。
また賃貸マンションの家主の許可も必要になりますし、本当に手すりの設置が必要なのかも審査のうえで判断しなければいけません。
ですから「今すぐ必要だからすぐに取り付けてもらう」ということはできません。
段階を追って必要な書類を期限内に提出しなければいけませんし、工事終了後も申請した通りに設置されているか確認をする作業もあります。
ですから時間に余裕がない場合は、介護サービスでの手すりの取り付けは出来ません。
4-3. 家主とトラブルになる場合は諦めた方がいい
賃貸マンションですので家主の許可がなければ、手すりの取り付けは出来ません。
もちろん家主も事情が分かれば理解してくれることの方が多いです。
ただし他にも入居者はたくさんいますので、総合的に判断した結果、許可に難色を示すこともあります。
この場合は無理にお願いをするのではなく、バリアフリー化された高齢者向け賃貸マンションや住宅改修を積極的に受け入れている賃貸マンションへの転居を検討する方がおすすめです。
これがもとで家主とトラブルになるのは、入居者であるあなたにとってもメリットはありません。
また賃貸マンションでの手すりの取り付けは「家主の好意で受け入れている」というのが現状ですから、誠意をもって交渉にあたることが手すり取り付けを成功させるためには大事な条件となります。
5. まとめ
賃貸マンションで手すりの取り付けは、基本的に可能です。
でも賃貸契約上では「新たな設備の設置はNG」となっていますので、家主の許可なく設置することはできません。
ただし介護を目的として取り付けをするのであれば、介護保険の居宅サービスを利用することもできます。
こうした公的サービスを上手く活用すれば、費用の負担を抑えつつ安全で安心な環境を作ることが出来ますよ。





