家賃9万円の初期費用は27~54万円!詳しい内訳と契約時の注意点もご紹介

家賃9万円の賃貸住宅を契約する時に、必ず必要になるのが「初期費用」です。

初期費用の内訳は細かく分かれており、地域や慣習によって相場も違ってきます。

ただ初期費用は一般的に「家賃の数か月分」といわれています。

ですから家賃が高くなるほど「入居するためには一体いくら準備しておけばいいの?」という疑問が浮かんできますよね?

そこで今回は家賃9万円の場合の初期費用の目安や内訳、さらに契約をする際の注意事項について分かりやすく紹介していきます。

1. 家賃9万円の初期費用は27~54万円

家賃9万円の物件を正式に賃貸契約するとなると、契約する際に「初期費用」の支払いも必要になります。

初期費用は地域の慣習によっても内訳や相場が変わります。

ただ目安としては「初期費用=家賃3~6か月分」が全国的な相場になります。

ですから家賃9万円の場合であれば、初期費用は27~54万円となります。

2. 家賃9万円のマンション初期費用の内訳

2-1. 敷金

敷金は家主に対して支払うお金です。

相場は家賃の1~2か月ですので、9万円の物件の場合は9~18万円となります。

ただし敷金は退去時に帰ってくるお金でもあります。

これをわかりやすく説明すると「契約を解約するまでに家主に預けておくお金=敷金」となります。

敷金は「家賃を滞納した場合」などに差し引かれるお金です。

そのためこのようなことがなければ、敷金は基本的に退去する際に戻ってきます。

2-2. 礼金

礼金も家主に対して支払うお金です。

礼金そのものに法的根拠がなく「謝礼」という意味で支払うため、地域や物件によっては「礼金ナシ」ということもあります。

相場は家賃の1~2か月分となるため、家賃9万円の場合は9~18万円となります。

ただし礼金は「お礼」という意味で支払うので、敷金のように退去時に戻ってくるということはありません。

2-3. 前家賃

前家賃というのは、引っ越しした翌月の家賃のことを言います。

家賃9万円の物件の場合は、前家賃は9万円になります。

2-4. 仲介手数料

不動産会社に仲介してもらって契約をする場合は、仲介手数料が発生します。

支払う相手は仲介してもらった不動産会社になります。

仲介手数料は1か月の家賃に消費税が加算されます。

ですから家賃9万円の物件の仲介手数料は9万7200円になります。

2-5. 日割家賃

月の途中で引っ越しをした場合、引っ越しをした日からその月の末日までの家賃を日割りで計算します。

9万円の物件の1日当たりの家賃は30日の場合は「9万円÷30日=3000円」、31日の場合は「9万円÷31日=2903円」となります。

これに日数分をかけたものが日割家賃となります。

2-6. 共益費・管理費

「共益費・管理費」が設定されている場合は、その金額も初期費用として考える必要があります。

共益費と管理費の使われ方をわかりやすく説明すると、「共益費→賃貸住宅の共有部分の維持・管理に使われるお金」「管理費→賃貸住宅そのものを運営するために必要なお金」となります。

ただ実際にはこの2つはそれぞれが独立して請求されるというのではなく、「共益費・管理費=〇〇〇〇円」となることがほとんどです。

また共益費・管理費の相場は物件によって変わります。

考え方としては「物件のグレードが上がるほど共益費・管理費は高くなる」とイメージしておくとわかりやすいかもしれません。

一般的な賃貸住宅では1か月あたりの共益費・管理費は5000円が相場ですが、古いアパートであれば「共益費・管理費ナシ」または「共益費・管理費 3000円」というケースもあります。

これに対して「20階以上」「ワンフロア1世帯」などの場合は、共益費・管理費が1万円というケースもあります。

いずれにしても家賃と同じく毎月支払わなければいけないお金ですので、物件を選ぶ際には「月々の支払=家賃+共益費・管理費」と考えます。

2-7. 火災保険料

火災保険は、火災が起きた時のための保証として契約時に加入を求められるのが一般的です。

火災保険料は保証の内容によって料金が変わります。

また一般的な損害保険と同じですので、保険会社によって保険料は変わります。

不動産会社が紹介する火災保険は賃貸契約の際に加入手続きをするため、火災保険料も初期費用として考えます。

契約期間は原則2年間となっており、保険料の相場は1.5~2万円です。

2-8. 鍵の交換費用

入居時に鍵を交換する場合は、その費用は初期費用として借り手が負担します。

鍵の交換費用の相場は1.5~2万円です。

ただしオートロック式などの場合、鍵の交換費用の相場は2~3万円です。

2-8. 関西の場合

関西エリアでは「敷金」「礼金」はありません。

その代り「保証金」「敷引き」があります。

保証金というのは、一般的に「敷金」といわれるものです。

相場は家賃の4~7か月分になるので、家賃9万円の場合の保証金は36~63万円が相場になります。

敷引きというのは、退去するときに差し引かれるお金のことです。

これは初期費用として必要になるものではありませんが、退去する際には保証金から差し引かれます。

3. 初期費用以外に賃貸に引っ越すためにかかる費用

・1ルーム、1K、1DKの場合

コンパクトな1人暮らしに人気がある1ルーム、1K、1DKの場合は、ベッドやソファなどのような大型の家具がないことが多いですよね?

この場合の引っ越し料金は、平均2.8万円が相場です。

ただし3~4月の繁忙期には近距離でも平均3~4万円が相場です。

・1LDK、2K、2DKの場合

1LDK、2K、2DKはゆとりが欲しい1人暮らしや同棲・新婚の2人暮らしに人気がある間取りです。

家に住む人の人数によって荷物の量が変わりますので、それに併せて引っ越し料金も変わります。

また移動距離によっても費用は変わります。

1人暮らしの場合の引っ越し料金の相場は3.6万円ですが、県外への引っ越しとなると10万円前後が相場となります。

2人暮らしの場合の引っ越し料金の相場は4.6万円です。

県外への引っ越しの場合は13.3万円が相場です。

・2LDK以上の間取りの場合

2LDK以上の間取りとなれば1人暮らしからファミリーまで幅広く人気がある間取りです。

基本的に荷物の量によって引っ越し料金は変わりますが、大型家具の個数によっても料金の目安は変わります。

通常期(近距離)の場合、1人暮らしの引っ越しであれば5万円、2~3人暮らしの場合は5.4万円、4人以上の場合は8~9万円が相場です。

もちろん県外になると金額は上がります。県外への引っ越しの場合は7~15万円が相場です。

4. 家賃9万円の賃貸に最適な年収

・1人暮らしの場合

1人暮らしの場合、1か月にかかるお金の目安は以下のようになります。

項目 費用の目安
家賃 90,000円
共益費・管理費 5,000円
水道代 2,500円
電気代 5,000円
ガス代 3,000円
食費 30,000円
電話代 8,000円
交際費 30,000円
雑費 10,000円
合計 178,500円

この範囲内ですべておさまるのであれば、年収240万円でも生活することはできます。

ただしこの試算には社会保障費や税金などが含まれていません。

ですから1か月の手取りが20万円を切る場合はかなり厳しいです。

ちなみに家賃9万円の物件に1人暮らしする場合は、年収250~280万円が最適といえるでしょう。

・2人暮らしの場合

2人暮らしの場合、1か月にかかるお金の目安は以下のようになります。

項目 費用の目安
家賃 90,000円
共益費・管理費 5,000円
水道代 5,000円
電気代 10,000円
ガス代 5,000円
食費 40,000円
電話代 16,000円
交際費 60,000円
雑費 20,000円
合計 251,000円

実際にはこのほかに2人分の社会保障費などが必要になります。

また食費もこの試算では「ほぼ自炊」で計算していますが、「ほとんど外食」の場合は2人でも食費が10万円以上になることもあります。

ちなみに家賃9万円で2人暮らしの場合、世帯の年収が310~350万であれば暮らしていくことはできます。

ゆとりのある暮らしをしたいのであれば、世帯の年収が350~400万円だと最適です。

5. 賃貸マンション契約時の注意点

5-1. 設備に関すること

契約書に書かれている設備に関する項目は、入居した後に発生するお金に関することが書かれています。

賃貸マンションの場合、契約の解除(退去)の際には原状回復をすることが原則です。

でも長く住み続けていれば設備が故障したり修繕・修理が必要になる部分も出てきます。

その場合に「どちらがその費用を負担する義務があるのか」ということを明確にしているのが「設備に関する項目」なのです。

契約書の中で「設備」として書き記されているものに関しては、修理・修繕が必要となった場合の費用は「家主」が負担します。

ただし「設備として書き記されていないもの」または「借り手側が故意に破損・故障させたもの」に関しては、その部分の修理・修繕にかかる費用は「借り手側」が負担します。

例えばエアコンがない物件の場合、新たに取り付けるとなれば借り手側がエアコンを購入し取付工事の費用も負担します。

また部屋を退去する場合にはエアコンは取り外さなければいけませんし、取り付け工事であけた穴の補修費用も借り手側が負担します。

ただし問題になりやすいのが「契約書に設備として書かれていない設備に関すること」です。

同じエアコンでも、契約書の設備の欄に「エアコン有り」と書かれていないのに部屋にエアコンが付いていることってありますよね?

これは前の借主が使っていたものをそのままの状態にしていることが考えられます。

あくまでもこのような場合、「状態がよかったからそのままにしているので、使うならご自由にどうぞ」というのが家主のスタンスです。

だから「使う」「使わない」を決めるのは新しい借主であるあなた次第ということになります。

ちなみに設備に書かれていないエアコンが故障した場合、修理・取り換えを希望するのであればその費用はあなたが負担することになります。

これは知らなかったでは済ませない出費ですよね?

つまりこうしたトラブルを避けるためにも、契約書に書かれた「設備に関する項目」は細かなところまできちんとチェックすることが大切なのです。

5-2. 禁止事項

賃貸マンションは共同住宅です。

あなた以外にも同じ建物には住人がいますし、エレベーターや通路、エントランスなどの共有部分もあります。

お互いに暮らしやすい環境を保つためにも、賃貸住宅の契約書にはあらかじめ禁止事項が書かれています。

「禁止事項」といってもその内容には様々なものがあります。

よく目にするのは「ペット禁止」ですが、賃貸マンションの場合はそれ以外にも「夜間・早朝に関する音(音楽など)に関する禁止事項」「灯油を使う暖房器具の使用禁止」などがあります。

5-3. 契約の解除に関すること

契約書には「契約の解除に関する項目」もあります。

一般的に賃貸住宅の場合、2年ごとに契約(自動更新が一般的です)となっています。

ただ契約期間内でも契約を解除(退去)することはできます。

契約を解除(退去)する場合に関係してくるのが「契約解除の申し出のタイミング」です。

一般的には「退去予定日の1か月前までに契約の解除を申し出ること」となっていますが、契約の内容によっては「契約期間内に解除する場合は違約金が発生する」というケースもあります。

このような特約が付いている場合は、契約期間内に契約を解除(退去)すると違約金を請求されます。

もちろん契約書にそのことが書かれている場合は、契約時にそのことについてあなたが了承しているものとみなされます。

ですから請求された場合には、借り手側のあなたに支払いの義務が生じます。

6. まとめ

家賃9万円の物件を正式に契約する場合には、初期費用だけでなく契約書に書かれた内容も細かな点まできちんとチェックすることが大事です。

また契約書にサインをする前に契約書の読み合わせを行いますが、この時に少しでもわからない点や不安なことがあれば必ずその場で確認するようにしましょう。

こうしたことも入居後にトラブルに巻き込まれないようにするための大事なポイントです。