家賃6万5千円の初期費用は32万5千円!詳しい内訳と契約時の注意点もご紹介

マンションの賃貸契約をするときに支払うお金をまとめて初期費用と呼びます。

おおよその金額を把握しておくと、事前にお金の用意ができるので安心です。

初期費用の額は、家賃によって違いがあります。

初期費用の多くが「家賃何ヶ月分」というように決められているからです。

ここでは、家賃6万5千円のマンションを借りる場合の初期費用を考えてみましょう。

1. 家賃6万5千円の初期費用は32万5千円

初期費用という言葉を見たときに、注意すべきことがあります。

それは、契約金という意味で初期費用といっているのか、契約金・引っ越し費用・家具等購入費用の3つをまとめて初期費用といっているのか、区別することです。

ここでは、契約金のみを指して初期費用という言葉を使います。

初期費用は家賃5ヶ月分が目安とされているので、家賃6万5千円の賃貸マンションの初期費用は、32万5千円ということがわかります。

2. 家賃6万5千円のマンション初期費用の内訳

初期費用の内訳はどのようになっているのでしょうか。

ひとつひとつ見ていきましょう。

2-1. 敷金 6万5千円

敷金とは、入居してから退去するまでの間、大家さんに預けておくお金です。

退去時に、入居者による部屋の損壊などを修理するための費用(原状回復費用といいます)に充てられます。

入居時に支払った敷金から退去時に発生した原状回復費用を差し引いて、残りがあれば入居者に返金されます。

家賃の不払いがあれば、その分も差し引かれます。

国土交通省の平成29年度住宅市場動向調査報告書(以下、「調査報告書」といいます)によると、敷金は家賃の「1ヶ月ちょうど」という回答者が52.8%、「2ヶ月ちょうど」という回答者が29.0%となっています。

また、最近では敷金なしの物件も増えています。調査報告書では、35.5%が敷金なしと答えています。

2-2. 礼金 0円~6万5千円

礼金とは、物件を貸してくれたお礼として大家さんに支払うお金です。

その性質上、敷金とは異なり、退去に際して入居者に返金はされません。

調査報告書によると、55.2%が礼金なしと回答しているので、礼金なしの物件のほうが多いということがわかります。

また、礼金ありの物件について、家賃何ヶ月分であったかという質問に対しては、「1ヶ月ちょうど」が65.9%で最も多くなっています。

2-3. 前家賃 6万5千円

賃貸契約時には、賃貸契約をした月の翌月分の家賃をあらかじめ支払うことになっています(前家賃といいます)。

翌月分の家賃を契約時に支払うことに違和感を覚えるかもしれません。

民法第614条によると賃料は後払いが原則のはずですが、同条は任意規定であるため、賃貸契約の内容が優先します。

通常の賃貸契約書には賃料前払いの特約が入っているので、前家賃を支払うことが一般的になっているのです。

2-4. 日割り家賃 0円~6万5千円

前家賃は賃貸契約をした月の翌月分の家賃(つまり1ヶ月分)ですが、日割り家賃は入居月の日数分に相当する家賃です。

日割り家賃は、その名のとおり家賃を日割り計算します。

具体的には、ひと月分の家賃をその月の日数で割り、入居日から月末までの日数分をかけて計算します。

家賃が同じ6万5千円でも、入居日がいつであるかによって、日割り家賃の金額が変わります。

日割り家賃の性質上、最大で家賃1ヶ月分です。

2-5. 仲介手数料 3万5100円~7万200円

仲介手数料とは、大家さんと入居者の仲介役となってくれた不動産会社に支払うお金です。

仲介手数料には、家賃1ヶ月分以内という上限が定められています。

多くの不動産会社が家賃1ヶ月分の仲介手数料を受け取っています。

しかし、最近では家賃半月分としている不動産会社もあります。

この場合、残りの家賃半月分は大家さんから受け取るので、不動産会社が受け取る仲介手数料に違いがあるわけではありません。

なお、仲介手数料は消費税の課税対象となっているので、家賃半月分と家賃1ヶ月分それぞれの108%としています。

2-6. 火災保険料 2万円

賃貸契約の際に、不動産会社から火災保険への加入をすすめられます。

すすめられたとおりの火災保険に入るかたが多いですが、その補償内容が自分にとって適切かどうか、しっかりと判断する必要があります。

補償内容が広すぎる場合、他の火災保険に入ることを検討しましょう。

それによって、火災保険料を抑えることができるかもしれません。

火災保険料は、補償内容によって異なりますが、1年あたり1万円ほどです。

2年分をまとめて支払うことが通常なので、2万円としています。

2-7. 鍵交換費用 5千円~2万円

鍵交換費用は、なぜ必要なのでしょうか。

それは、以前その物件を借りていたかたが合鍵を作っていた場合、新たな入居者が借りた後も侵入できてしまうからです。

鍵交換費用なしの物件は、セキュリティがしっかりしていないため、避けたほうがよいでしょう。

鍵交換費用は鍵の種類によって差がありますが、5千円~2万円かかります。

初期費用の内訳は以上のとおりです。

合計すると、22万2600円~33万7700円です(日割り家賃は3万2500円として計算)。

初期費用の目安である家賃5ヶ月分の32万5千円に近い金額になりました。

3. 初期費用以外に賃貸に引っ越すためにかかる費用

初期費用以外にかかる費用には、引っ越し費用と家具等購入費用があります。

引っ越し費用は、引っ越し作業を業者に依頼する場合にかかります。

一人暮らしであれば3万円~10万円程度です。

荷物の量、運送する距離などによって金額が異なります。

また、引っ越しの時期によっても金額が異なります。

1年間の引っ越しの3分の1は3月~4月に集中的に行われるといわれており、繁忙期と呼ばれています。

繁忙期は引っ越し費用が高めに設定されているので、その時期の引っ越しが必須でなければ避けたほうがよいでしょう。

家具等購入費用は、人によって大きく差があります。

今まで使っていた家具や電化製品をすべて引っ越し先に持って行く場合、すべて買い直す場合、持って行くものと買い直すものの両方がある場合など、いろいろなパターンがあるので、相場がいくらという言い方はできません。

4. 家賃6万5千円の賃貸に最適な年収

初期費用は入居するときに支払えばそれで終わりですが、家賃は毎月支払い続ける金額です。

どのくらいの年収を得ていれば、家賃6万5千円を無理なく支払っていけるのでしょうか。

一般的に、1年間の家賃が年収の4分の1以下におさまっているとよいとされています。

家賃6万5千円の場合は、312万円が最適な年収であるということです。

残業代やボーナスなどの変動がある収入は除いて考えるようにしましょう。

5. 賃貸マンション契約時の注意点

賃貸契約時に注意すべきことはいろいろありますが、特に重要な事項に絞ってまとめましたので、参考にしてください。

5-1. 退去時のクリーニング代

敷金なしの物件の場合は、退去時にクリーニング代を請求される可能性があります。

退去時にあわてることのないよう、契約時にしっかり確認しておきましょう。

5-2. 禁止事項

ペット飼育不可、楽器演奏不可など、賃貸契約書に記載されている禁止事項を必ず確認してください。

これに違反してしまうと、退去させられても文句が言えません。

5-3. 契約期間

一般的に、賃貸契約の期間は2年ですが、3年契約の物件もあります。

2年後に引っ越すことが決まっている場合に3年契約の物件を選んでしまうと、契約期間内に解約することが必要となり、違約金が発生する可能性があります。

6. まとめ

賃貸契約のときに初期費用を払う必要があることは知っていても、こんなに多くのお金がかかるなんて知らなかった!というかたが多いのではないでしょうか。

初期費用を少しでも安く抑えたいなら、火災保険料の安い火災保険のプランを探したり、引っ越し費用の見積りをとって安い引っ越し業者を選んだりするなど、いろいろと工夫してみましょう。

費用に関する不安を減らし、落ち着いた気持ちで賃貸契約ができるとよいですね。