 
										賃貸借契約書を交わす時には、契約書に収入印紙を貼ることが求められます。
収入印紙を貼り付けることで、その契約書が公正なものとして認められることになります。
ただ普段の生活の中で、なかなか収入印紙を取り扱うようなことは少ないですね。
「賃貸借契約書には、いくらの収入印紙を貼ればいいのだろう?」
「そもそも、収入印紙とか印紙税って何?」
そんな風に疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、不動産の賃貸借契約書に貼る「収入印紙」や「印紙税」とは何か、印紙税は何に対して支払う税金なのか、印紙税の軽減措置、建物・土地の賃貸借契約書は1通につきいくら印紙税がかかるのかについて解説します。
おすすめ賃貸情報
このページでわかること
1. 賃貸借契約書の収入印紙と印紙税って?
1-1. 収入印紙とは
まず「収入印紙」とは、印紙税を納めるために文書に貼る証票のことです。
収入印紙を貼る文書のことを「課税文書」といい、賃貸借契約書をはじめとする契約書や領収書などがそれに相当します。
収入印紙は、法務局や郵便局、身近なところではコンビニなどで買えます。
1-2. 印紙税とは
では「印紙税」とは、何に対して支払う税金なのでしょうか。
政府の見解がわかる文章を引用します。
「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である(以下略)」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/162/touh/t162009.htm
(参照:参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書)
一読しただけでは、何を言っているのかちょっとわかりませんね。
これを簡単に言うと、「契約書などの文書を交わす取引の裏には経済的利益(=儲かっている)があるはずだ、文書によって安心して取引できるのは法律があるからだ、だから文書を交わすのなら、法律を整備している国に税金を払ってほしい」ということになります。
つまり「印紙税」とは、経済取引などのために作られる文書にかかる流通税のことです。
収入印紙を、契約書や領収書などの文書に貼ることで、印紙税を納めることになります。
また文書に収入印紙を貼るときは、収入印紙の上に割印を押す必要があります。
割印を押さなければ、正式には印紙税を納めたことにならないので、忘れないよう注意しましょう。
1-3. 印紙税の軽減措置って?
実は、一部の印紙税には、期間限定で軽減措置がとられています。
対象となるのは下記の通りです。
2020年3月31日までの間に作成された
- 契約金額が10万円以上の「不動産譲渡契約書」
- 契約金額が100万円以上の「建設工事請負契約書」
上記の契約書において、契約書に記載された契約金額に応じて、20~50%の印紙税が軽減されます。
当初、軽減措置は平成30年3月31日まででしたが、2020年3月31日までに期間が延長されました。
2. 建物の賃貸借契約書の場合
収入印紙と印紙税について分かったところで、賃貸借契約書の印紙税はいくらかかるのかを解説します。
まず建物の賃貸借契約書ですが、これは課税文書ではありません。
そのため印紙税はかからず、収入印紙を貼る必要がありません。
3. 土地を含む賃貸借契約書の場合
上記に対して、土地の賃貸借契約書は、課税文書になります。
そのため印紙税がかかるので、収入印紙を貼る必要があります。
例えば、駐車場の賃貸借契約書を例に挙げます。
これは、契約書の内容が土地の賃貸借なのか、または駐車場や車庫の賃貸借なのかによって、印紙税がかかるかどうか変わってきます。
3-1. 駐車場をつくるために、更地を賃貸借する契約
この場合は土地の賃貸借のため、印紙税がかかります。
3-2. 駐車場内の特定の場所に駐車する契約
このケースは、施設(駐車場)の賃貸借のため、印紙税はかかりません。
3-3. 車庫を賃貸借する契約
これは施設(車庫)の賃貸借のため、印紙税はかかりません。
土地の賃貸借契約書においては、契約の内容が土地なのか施設なのかを確認するようにしましょう。
4. 印紙税額って1通につき、いくらなの?
土地の賃貸借契約書には印紙税がかかると確認したところで、では印紙税額は契約書1通につき、いくらかかるのでしょうか。
収入印紙を貼る必要がある課税文書は、全部で20種類あり、それぞれ印紙税法の第1号文書~第20号文書という名で定義されています。
土地の賃貸借契約書は、このうち「第1号文書」に該当します。
(建物の賃貸借契約書は、収入印紙を貼らなくてよいので該当しません)
第1号文書は、1文書から4文書までの4種類あります。
このうち土地の賃貸借契約書は、第1号の2文書(地上権又は土地の賃貸借の設定又は譲渡に関する契約書)に含まれます。
そのため、契約書に記載されている契約金額がいくらかを、第1号文書の印紙税額一覧表に照らし合わせて、該当する印紙税を払うことになります。
具体的に、印紙税をいくら払うのかは、下記の表を参照してください。
| 記載された契約金額 | 印紙税額(1通または1冊につき) | 
| 1万円未満 | 非課税 | 
| 1万円以上10万円以下 | 200円 | 
| 10万円を超え50万円以下 | 400円 | 
| 50万円を超え100万円以下 | 1千円 | 
| 100万円を超え500万円以下 | 2千円 | 
| 500万円を超え1千万円以下 | 1万円 | 
| 1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 | 
| 5千万円を超え1億円以下 | 6万円 | 
| 1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 
| 5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 
| 10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 
| 50億円を超えるもの | 60万円 | 
| 契約金額の記載のないもの | 200円 | 
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm)
(参照:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」)
土地の賃貸借契約書では、敷金や保証金、更新料や権利金などいろいろな金額が設定されることがあるため、記載されている金額はいくらなのか、わからなくなってしまうこともあります。
この場合の記載金額とは、譲渡の対価または権利の設定となる金額のことです。
つまり、あとで返還されない金額の合計が該当します。
例えば、敷金は返ってくるから記載金額に含まない、礼金は返ってこないから含む、など、返還されるかされないかで考えるようにしましょう。
また、土地の賃貸料も、記載金額には含まれません。
そのため、賃貸料と敷金としか記載のない土地に関する賃貸契約書は、「契約金額の記載のないもの」にあたり、印紙税額は200円になります。
また賃貸借契約書は、貸主と借主それぞれが1通ずつ同じ契約書を保持します。
そのため、2枚の契約書にそれぞれ収入印紙を貼る必要があります。
例えば、土地賃貸借契約書に記載された金額が1,500万円の場合、印紙税は2万円となります。
その場合、2枚の契約書にそれぞれ2万円の収入印紙を貼るため、計4万円の収入印紙が必要になります。
5. まとめ
以上、ここまで解説したことをまとめてみます。
- 「収入印紙」とは、印紙税を納めるために、契約書などの文書に貼る証票のこと
- 「印紙税」とは、経済取引などのために作られる文書にかかる流通税のこと
- 収入印紙は郵便局やコンビニで買え、貼るときは割印が必要
- 建物の賃貸借契約書には、印紙税はかからない
- 土地の賃貸借契約書には、印紙税がかかり、契約書に記載された金額に応じた額の収入印紙を貼る
- 契約書に記載された金額とは、あとで返還されない金額の合計
- 契約書が2通ある場合、それぞれに収入印紙を貼る必要がある
契約金額が大きくなってくると、収入印紙も金額が大きくなってきます。
賃貸借契約書を結ぶ際には上記の事柄を押さえて、問題なく印紙税を支払えるように備えましょう。
 
											
 
                     
                     
                     
                    




