人口の約4割が地方出身者と言われる東京。
結婚、就職や転勤、はたまた夢を追いかけて上京する、なんて話もよく耳にします。
そんな東京で暮らすことを考えると、気になるのが「住民税」ですね。
「区民税」や「都民税」とは別物なのか、どれくらいかかるのか不安に思う方もいるでしょう。
そこで今回は「区民税」「都民税」とは何か、東京の住民税はどうやって計算するのか詳しく説明していきます。
このページでわかること
1. 区民税と都民税って? 東京の住民税について
住民税の計算は、どの都道府県でも基本的には変わらないのですが、東京都の場合は少し複雑になっています。
まず東京都以外の道府県では、「道府県民税」と「市町村民税」を合わせたものが住民税として納められています。
計算式で表すと【住民税=道府県民税+市町村民税】となります。
このことから道府県と市町村、ふた手に税金を納めていることが分かりますね。
それぞれに納めるのは課税者、納税者ともに負担が大きくなるので、利便性から一括徴収されています。
それでは、東京の住民税はどうなっているのでしょうか。
東京における住民税は「都民税」と「市町村民税」、この2つを合わせたものです。
道府県の住民民税と同じく、計算式で表すと【住民税=都民税+市町村民税】となります。
これが23区に住む場合は「市町村税」が「特別区民税」に変わります。
つまり計算式だと【住民税=都民税+特別区民税】となります。
2. 2種類の住民税とは
住民税の額は、「所得割」と「均等割」という2種類の計算の合計によって決められます。
それぞれの特徴や計算方法を詳しく見ていきましょう。
2-1. 均等割
一定以上所得がある人が、全員同じ金額を負担するのが均等割です。
その税額は都民税1,500円、区市町村税3,500円で定額となっています。
東日本大震災以降、防災対策に充てるために平成26年から平成35年までの間、都民税・区市町村税の均等割額にそれぞれ500円が加算されています。
そのため、均等割額は(1500+500)+(3500+500)=6,000円となります。
課税対象は、1月1日の時点で東京都内に住所がある人や、住所がなくても家屋を持っている人です。
2-2. 所得割
所得割は、前年の所得金額に応じて課税されます。
税率は都民税率4%、区市町村税率6%で合計して10%となり、各種控除を差し引いた課税所得を元に計算されています。
所得割の課税対象は、都内に住所のある人となっています。
3. 区民税と都民税の計算方法を知っておこう!
上記を踏まえて実際に東京に住んだ場合、どれくらい住民税がかかるのかシミュレーションしてみましょう。
大体でも知っておくと、実際の支払の段階で慌てずに済みますよ。
以下の手順で所得割額を求めます。
➀ 収入金額-必要経費=所得金額
➁ 所得金額-所得控除=課税所得金額
➂ 課税所得金額×税率=所得割の税額
➃ 税額-税額控除=所得割額
➀ 収入金額-必要経費=所得金額
まずは、前年の年収から「所得金額」を求めます。
所得金額とは年収から必要経費を差引いた金額のことで、会社員の場合は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を参照します。
個人事業主の場合は自分で計算する必要があります。
確定申告を行なっていれば、確定申告書Aの「所得金額の合計」を確認しましょう。
計算して求める場合は、年収によって控除額が変わるので以下のようになります。
65万円以下 → 全額控除
65〜180万円以下 → 収入額 × 40%
180〜360万円以下 → 収入額 × 30% + 18万円
360〜660万円以下 → 収入額 × 20% + 54万円
660〜1000万円以下 → 収入額 × 10% + 120万円
1000〜1500万円以下 → 収入額 × 5% + 170万円
1500万円以上 → 245万円 上限
また、自動で計算してくれるサイトがあるので、こちらを利用すると便利です。
◎給与ねっと
http://kyuyo.net/keisan/syotoku_06_v2.htm?kyuyo=1%2C000%2C000
➁ 所得金額-所得控除=課税所得金額
所得金額が算出できたら、次に所得控除額を求めます。
所得控除には医療費控除、生命保険控除、扶養控除等があり、該当する場合は所得金額から差引くことができます。
差引き後の金額が課税対象の所得(課税所得)です。
➂ 課税所得金額×税率=所得割
続いて課税所得を元に所得割を計算します。
都民税率4%、区市町村税率6%なので、課税所得にそれぞれを掛けると所得割が算出できます。
➃ 所得割-税額控除=所得割額
調整控除をはじめとした税額控除は、算出された所得割から直接差引くことができます。
調整控除は課税所得額200万円を境に計算方法が変わります。
【課税所得額200万円以下の場合】
・参照数値
➀ 所得税と人的控除額の差の合計
➁ 課税所得額
・計算式
調整控除額(区市町村税)=➀、➁のいずれか小さいほうの金額×3%
調整控除額(都民税)=➀、➁のいずれか小さいほうの金額×2%
【課税所得額200万円以上の場合】
・参照数値
➀ 所得税と人的控除額の差の合計-課税所得額-200万円
➁ 5万円
・計算式
調整控除額(区市町村税)=➀、➁のいずれか大きいほうの金額×3%
調整控除額(都民税)=➀、➁のいずれか大きいほうの金額×2%
こうして算出された調整控除額を、➂で算出した所得割から差引いて所得割額が決まります。
最後に所得割額と均等割額を足せば、住民税を求めることができます。
4. サラリーマンと自営業では住民税の納め方が違う!
皆さん、住民税はどうやって納めていますか?
「実はよく知らない…」などという方も多いと思います。
それもそのはずで、サラリーマンであれば住民税を意識することが少ないからです。
大まかに説明すると、住民税の徴収方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。
サラリーマンの場合、徴収方法は「特別徴収」となり、会社が毎月の給与から天引きして代わりに納めてくれています。
この場合、自分で直接納めているわけではないので、あまり意識していないことのほうが多いのです。
一方で自営業者は「普通徴収」となり、年4期に分けて区市町村から送られる納税通知書に従って納税者自身で納税することになります。
どちらも住民税額に変わりはないのですが、「普通徴収」のほうが負担感はどうしても大きくなってしまいます。
その理由には、自分で納めに行くこと、年4期に分けられていることが挙げられます。
自分で納税する場合は忘れないように注意が必要ですし、毎月少しずつ納税している「特別徴収」とは違い、一度に納める額が大きいのでどうしても負担に感じてしまいます。
5. 住民税がかからない人って?
ここまで住民税を納めることを前提に進めてきましたが、実は住民税がかからない場合もあります。
(1)所得割・均等割とも非課税
ア. 生活保護法による生活扶助を受けている方
イ. 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方
ウ. 前年中の合計所得金額が、区市町村の条例で定める額以下の方
<東京都23区内の場合>
ア. 控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合:
35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円 以下
イ. 控除対象配偶者及び扶養親族がいない場合:35万円 以下
(2)所得割が非課税
前年中の総所得金額が下記の額以下の方
ア. 控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合:
35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円 以下
イ. 控除対象配偶者及び扶養親族がいない場合:35万円以下
出典:個人住民税Q&A|東京都主税局
http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/sonota/index_j.html
上記に該当する場合は、住民税がかかりません。
また、アルバイトやパートで所得税がかからないように、年間103万円以内で働く人も多いようですが、住民税は年間100万円が壁となるので注意しておきましょう。
6. まとめ
今回はあまり知られていない都民税・区民税について詳しく説明しましたが、いかがだったでしょうか。
普段意識することも少ないうえに、計算方法も複雑なので混乱したかもしれません。
しかし頭の片隅にでもいいので、覚えておくと便利なこともあります。
特に東京は地方に比べ物価や物件が高いので、住民税等必要経費がどれくらいかかるのかを把握しておくことは非常に重要です。
一度シミュレーションをしておくと後々慌てずに済むので、住民税の計算はぜひ試してみてください。





