お母さんと赤ちゃん

母子家庭の方が賃貸アパートを借りる場合、1LDKを選ぶことが多いと思います。

母子家庭で1LDKのお部屋を借りる時は、いくつか注意点があります。

母子家庭での参考になるようなお部屋の選び方と、母子家庭の方が受けられる行政からの支援制度についてご紹介します。

1. 1LDKの間取りは母子家庭には十分な広さ?

母子家庭でアパートを借りる場合、母1人子1人の母子家庭であれば、1LDKは十分な広さと言えるでしょう。

多くの2人家族の母子家庭の方たちは、1LDKで暮らしています。

1LDKのお部屋は広すぎず狭すぎず、母子が2人で暮らすには十分な間取りと言えるでしょう。

2. 母子家庭で1LDKの賃貸を借りる時の注意点

母子家庭で1LDKに住もうと思った時、広さや間取りには何も問題がありませんが、賃貸契約に際していくつかの注意点があります。

・家賃を支払う能力があるのかをチェックされる

母子家庭かどうかににかかわらず、アパートの賃貸契約をする場合は、家賃に対しての年収、職業や勤務先、連帯保証人の有無、人柄などがチェックされます。

連帯保証人が必要でない場合は、保証会社のチェックが入ります。

保証会社を通す場合、より審査が厳しくなる場合もあります。

要するに「きちんと家賃を払うことができるのか」というチェックをされることになるので、この点は母子家庭でもそうでなくても、条件は同じです。

・お子さんが小さいと審査が通りにくい場合もある

母子家庭の場合は、お子さんの年齢もチェック項目に入ります。

お子さんの年齢が低いと夜泣きなどの心配から、近隣住民とのトラブルになるかもしれないと、敬遠されることがあります。

しかし、契約の際にお子さんの年齢を詐称したり、虚偽報告で賃貸アパートの申し込みをしたりするのは契約違反になるので、絶対にやめましょう。

2-1. 家賃目安

家賃の目安は、手取りの収入の3分の1以内を目安に考えましょう。

家賃と月収のバランスが悪いと、賃貸契約の審査に落ちる可能性が高いのです。

月収 家賃目安
150,000円 45,000円
160,000円 48,000円
170,000円 51,000円
180,000円 54,000円
190,000円 57,000円
200,000円 60,000円

上記の表を参考に、月収と家賃のバランスを考えて、賃貸契約の申し込みをしましょう。

・賃貸マンションやアパートの場合

賃貸マンションやアパートを借りようと思った場合、審査に受かりやすい物件を選ぶこともポイントです。

母子家庭でも借りやすい物件には、いくつかの特徴があります。

・大家さんが個人で経営しているアパート

大手不動産が運営しているアパートなどより、大家さんが個人で運営しているアパートなどは、一般的に審査がゆるい場合が多いようです。

大家さんの承諾が出れば、賃貸契約の審査は通りやすくなるものです。

個人で経営しているアパートなどは、不動産屋さんが情報を持っている場合や、口コミ・人からの紹介でご縁をいただくことになります。

普段から知り合いに声をかけておくなどしておくと、不意に良い物件にめぐり合うこともあります。

・外国人OK、生活保護の人でもOKの物件

賃貸物件を見ていると、時々「外国人もOK」「留学生もOK」と書かれている物件があります。

また、不動産屋さんの表には出ていないこともありますが、生活保護の方でも借りることができるアパートなどもあります。

このような物件は、賃貸契約の審査がゆるい場合が多いのです。

こちらも不動産会社だけでなく、不動産会社で内密の物件として出ている場合があります。

・不動産情報は、インターネットに載っていないお得な物件もある

お家を探す時、インターネットに載っている不動産が全ての物件ではありません。

不動産屋さんは、不動産情報サイトには載せていない物件も、たくさん持っているのです。

実際に不動産屋さんへ足を運んで「母子家庭なのですが、条件の良い物件はありませんか?」と直接尋ねてみると良いでしょう。

・築年数にこだわらないで探す

築年数が20年、30年と経過した物件は、格安家賃で賃貸に出されています。

しかし、人はどうしても新築の物件へ目移りしてしまいますね。

なので、築年数がかなり経った物件などは人気がないことが多いので、「借りたい」という人が現れたらすぐに入居できる場合もあります。

・値引き交渉も?

意外に知らない人も多いのですが、不動産物件は個人で賃貸アパートを経営している場合など、値引き交渉が可能な場合もあります。

不動産屋さんで、「値段の安い物件を探している」ことを伝えて、契約前に「少しでも家賃が下がらないか大家さんに聞いてみてほしい」と尋ねてみましょう。

家賃が1,000円でも下がればラッキーなので、家賃の値段交渉をしてみるのも良いでしょう。

・公営住宅の場合

公営住宅は、一般の賃貸マンションやアパートに比べて、家賃が安いのが魅力です。

また公営住宅は所得額に応じて家賃が決まるので、無理のない家賃設定になっていることから、母子家庭にも人気の物件です。

ただし母子家庭の場合、離婚予定などでは母子家庭としての申し込みはできません。

2-2. 入居審査の項目

公営住宅に入居するためには、応募者多数の場合抽選がありますが、入居審査もあります。

審査項目は自治体によって異なりますが、だいたい以下のようになっています。

  • 申込日現在、申し込み希望の公営住宅の自治体内に居住していること、もしくはその自治体内に勤務していること
  • 同居親族がいること(公営住宅には基本単身では申し込みできません)
  • 申込者及び同居親族、又は同居しようとする親族が住民税を滞納していないこと
  • 申し込み時点で住むための家に困っていること
  • 所得額が基準内であること(申込世帯の所得の合計が所得基準の範囲内であること)
  • 申込者(同居親族を含む)に暴力団員がいないこと
  • 連帯保証人を立てることができる人
  • 家賃の3ヶ月分として敷金が払えること
  • 共益費などの滞納がないこと
  • 過去に公営住宅を不正利用していないこと

審査の資格などについては、お住いの市町村に尋ねてみてください。

また、公営住宅では基本的にペットの飼育は禁止されています。

規則を守らなければ、たとえ入居できても退去処分となるので、気をつけましょう。

3. 母子家庭を支える支援制度

母子家庭の収入は、父子家庭ほど高くないのが現状です。

そこで、母子家庭を支えるために行政の支援制度があるので、しっかり利用しましょう。

母子家庭になったからといって、自分で尋ねなければ、行政側から「こんな制度がありますよ」と教えてくれることはありません。

自分の家庭が受けられる制度にはどんなものがあるかを、しっかり把握しておきましょう。

支援制度についてよくわからない時は、お住いの地域の市役所や福祉事務所に相談してみると、丁寧に教えてくれますよ。

3-1. 児童扶養手当

児童扶養手当は、すべての家庭を対象にした支援制度である児童手当とは別に、国が支給を行っている制度で、母子家庭・父子家庭を対象とした扶養手当になります。

母子家庭・父子家庭になった原因として、離婚、死別などは問われません。

戸籍上母子家庭・父子家庭となっている家庭であれば、児童扶養手当の申請をすることが可能です。

・児童扶養手当の支給対象となる場合

母子家庭・父子家庭で育てられる0~18歳の3月31日までの間(高校3年生の終わりまで)の子供が、児童扶養手当の支給対象になります。

・児童扶養手当を受給する際の所得制限

児童扶養手当を受給するためには、所得制限があります。

扶養人数 全額支給所得額 一部支給所得額
0人 190,000円 1,920,000円
1人 570,000円 2,300,000円
2人 950,000円 2,680,000円
3人 1,330,000円 3,060,000円

例えば、母1人子ども1人の場合、母親の所得が57万円以下であれば、児童扶養手当を受けることができます。

母親の所得が57万円以上230万円以下であれば、一部支給として受給することができます。

また、純粋に母子だけで暮らしているのではなく、母子を養育する者(両親や祖父母など)と暮らしている場合は、その養育者の所得が2,740,000円を超えていると、児童扶養手当を受給することはできません。

・支給される月

児童扶養手当は、年に3回支給されます。

4~7月分を8月に、8~11月分を12月に、12~3月分を4月に、それぞれ4月・8月・12月に指定口座へ振り込まれます。

振込日は居住地の市区町村にもよって異なりますが、支払い月の10日前後であることが多いようです。

児童扶養手当を受給している家庭は、毎年8月に「児童扶養手当現況届」を提出するようになっており、不提出の場合は、次のタイミングで支給がストップしてしまうので注意しましょう。

また、家庭の状況が変わった時に不正受給をしていると、発覚した時から遡り返金要請があります。

条件の変更に気づかずに不正受給をしていた場合も、返金しなければならないので注意しましょう。

・児童扶養手当として支給される金額

児童扶養手当は、所得によって支給金額が異なります。

これは児童手当と同様のシステムで、母親または父親の所得額や、お子さんの扶養人数によって、支給金額が異なります。

支給区分は以下の3区分に分かれています。

・全額支給

児童扶養手当が全額支給される場合、扶養人数と支給金額は以下の通りです。

扶養する子どもの人数 金額
1人 42,000円/月
2人 47,000円/月
3人+1人増えるごと 3,000円ずつ加算

・一部支給

扶養者の所得額などで、児童扶養手当が全額支給されない場合、次のような計算式で金額が決まります。

一部支給の場合、児童扶養手当の月額計算式 41,990円ー(申請者の所得ー全額支給所得制限限度額)×0.0185434
(10円未満は四捨五入)

児童扶養手当が一部支給される場合、扶養人数と支給金額は以下の通りです。

扶養する子どもの人数 金額
1人 9,910~41,910円/月
2人 14,910~47,000円/月
3人+1人増えるごと 3,000円ずつ加算

・不支給

母子家庭・父子家庭でも、親の所得額が一定額以上であれば、児童扶養手当は不支給になります。

3-2. 住宅手当

母子家庭における手当として、行政からの住宅手当があります。

母子家庭・父子家庭で20歳未満の子供を養育している場合、月に10,000円を越える家賃を払っている人を対象に、住宅手当が支給されます。

住宅手当は、国からではなく市区町村からの支給になるので、すべての地域に適応されているわけではありません。

お住いの地区の市役所に問い合わせをしてみましょう。

住宅手当が支給される地域でも、受給には所得制限があるので、一定額以上の所得がある人は住宅手当を受けることはできません。

・住宅手当の支給対象者

住宅手当は市町村ごとで条件が変わりますが、おおよその条件は以下の通りです。

  • 母子家庭・父子家庭で20歳未満の子どもを扶養している
  • 一般のアパートを借りている
  • 住宅手当を受給する申請をする市町村に6ヶ月以上住んでいて、住民票がある
  • 生活保護を受けていない
  • 所得制限を超えていない
  • 住宅手当の支給金額

住宅手当は市町村ごとに異なりますが、だいたいどこの市町村も5,000~10,000円の範囲内であることが多いようです。

3-3. 公営住宅への優先入居

母子家庭には、住宅に関する支援として、公営住宅への入居の優先権があります。

市営住宅や県営住宅などの公営住宅は、一般のアパートよりも安い家賃で住む事ができるため、とても人気があります。

「市営住宅に入居したい」と思った場合、市役所で手続きを行います。

一般のアパートなどの賃貸住宅の場合は不動産屋さんへ行きますが、市営住宅の場合は役所で申し込みをします。

申し込みにも時期があり、募集するタイミングと合致していたらすぐに抽選がありますが、募集するタイミングではない時は申し込みができないので、時期をずらすことになります。

入居できる人数は住宅ごとに限られているので、入居者は抽選で決められます。

人気の公営住宅では、かなりの倍率になります。

抽選は公正に行われ、その場で結果がわかる場合もありますし、当選者の辞退が続いた場合は、後日繰り上げ当選として抽選結果が送られてくる場合もあります。

一方過疎地域などで、空室が長く続いている市営住宅などは、応募者が少なければ即入居可能な場合もあります。

・公営住宅の種類

市営住宅にはいくつかの種類があり、子育て中の親子向け、小家族向けと、家族の人数や形態によって住宅の規模も違います。

母子家庭の場合は、市営住宅の抽選の倍率が上がることもあります。

また、母子家庭は優先的に入居できるようになっていることもあります。

地域によって母子家庭の優先権については異なるので、住んでいる市町村へ問い合わせてみましょう。

・東京都の提供する母子アパート

母子家庭で市営住宅などの公営住宅に入居できない場合、東京都には、母子アパートという母子家庭を対象とした家賃の安いアパートがいくつかあります。

入居を検討する場合は、都内各地域の福祉事務所に問い合わせてみてください。

4. 母子家庭の方の1LDK賃貸の選び方まとめ

母子家庭の方が1LDKのお部屋を借りる場合の注意点について、公営住宅を借りる場合、行政からの支援サービスをしっかり受けるための方法などをご紹介しました。

母子家庭の方でもしっかり家賃が払えることが証明できれば、賃貸契約を結ぶことは決して難しいことではありません。

公営住宅に当選すれば、格安の家賃で入居できる可能性もありますが、不動産屋さんの店舗では、情報サイトに出ていないお得な物件を持っている場合もあります。

自分好みの1LDKのお部屋に出会うためにも、お家を探す時は実際に不動産屋さんまで出向いて、新しい情報を仕入れてからお部屋を決めてくださいね。