引越し前になって、「アパートの退去時に、かなり高額なクロス張替え代を請求された」という話を周囲の人から聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
実は、マンションやアパートの退去費用やクロスの張替えにかかる料金は、業者によって大幅に違うのです。
では退去時に、大家さんや不動産屋さんとの金銭トラブルに巻き込まれないためには、どのように対処すれば良いのでしょうか?
このページでわかること
1. 3DKのクロス張替え料金の相場はいくら?
住んでいるマンションやアパートを退去することになった時、クロスを張替えたらどのくらいの金額になるのか事前に知っておきたいですよね。
そんなクロスの張替え料金のおよその金額が知りたい場合は、「1メートルあたり〇円です」という表記で書かれている業者を参考にしましょう。
3DKのお部屋のクロスを張替えることになった場合、最も安い量産クロスは、1メートルあたり750~900円くらいが相場となっています。
少しハイグレードのクロスになると、1メートルあたり1,100~1,300円ほどになります。
これらを基準にトータルの張替え代は、「メートル単価×自分の部屋のクロス張替えに必要なメートル数」で計算することができます。
クロス張替え業者が提示しているメートル単価には、料金に工賃や諸費用が含まれている場合と、材料実費にプラス工賃や諸費用がかかる場合とがあります。
<諸費用の一例>
クロス張替えにかかる諸費用の例をご紹介します。
- クロス養生費用:5,000円
- 下地処理(経年劣化している場合):10,000円
- 廃材処分費用:1mあたり100円
これらは、クロス張替え時にかかる諸費用の一部ですが、他にも細かに何項目か諸費用として上げられてしまうことがあります。
また、人件費がプラスされる場合もあります。
自分の引越し日と、次の入居者の入居日が近く、時間的に引越しやメンテナンスがギリギリになってしまう場合もありますね。
そんな時は、まだ居住している時にクロスの張替えをする場合もあります。
クロスの張替え時にお部屋の荷物を動かす必要がある場合、人件費として1人当たり10,000~20,000円がプラスで発生することもあります。
この計算でいくと、例えば6畳の部屋のクロスを張替える場合、
- クロス費用:33,000円(750円/m×44m)
- 養生代:5,000円
- 下地処理費用:10,000円
- 廃材処分費用:4,400円(50円/m×44m)
- 荷物移動費用:10,000円
計62,400円に消費税がかかり、合計67,392円という計算になります。
6畳のお部屋2つ分クロス張替えをした場合、単純に2倍、3つのお部屋をクロス張替えすれば3倍の価格になるため、料金は20万円超になってしまいます。
クロスは、業者ごとに価格のばらつきがあります。
1つの業者だけで見積もりを取るよりも、事前に複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。
ただし、「見積もり無料」と書かれていないところは、見積もりだけでも出張費として金額が発生する場合もあるので、依頼前に見積もりは無料なのかも確認しておきましょう。
2. 3DK賃貸退去時のクロス張替え料金の負担はどれくらい?
3DKの賃貸マンションやアパートに住んでいる場合、退去時に3つの個室とDKのクロスを全て張替えした場合、通常の見積もりを出せば220,000~270,000円程度でしょう。
ただし、入居時に敷金としてクリーニング料やメンテナンス料を払っている場合は、敷金範囲内で退去費用を賄ってもらうようにお願いしてみることも大切です。
というのも、不動産屋さんや管理会社に相談すると、費用が割引になる場合もあるからです。
普通に生活している上での小さな傷や、自然に消耗する箇所などは、追加費用として徴収されることはありません。
故意的に開けた穴などでない限りは、ペナルティにならないというルールのもとで賃貸業は成り立っています。
国土交通省や自治体によって、賃貸に関する条例はきちんとルール決めされていますので、不当な請求額が来た場合は、きちんと正当な価格なのかを調べて、不動産屋さんに申し立てをしましょう。
自分が住んでいた年数分は、建物自体も経年劣化していますので、その分を減価償却として差し引いてもらうことも可能です。
3. 3DK賃貸退去時のクロス張替え料金が高い場合の注意点
退去の際、不動産屋さんから退去費用についてのお知らせが届くと思います。
そこで、部屋のクロス張替え料金が思っていたより高い場合は注意しましょう。
引越しの荷物を出し終わり、お部屋が空っぽになったところで、退去立ち会いというものが行われます。
この時、いくつかの注意点があります。
退去の立会いは、不動産屋さんか大家さんと実施されます。
その際、不動産屋さんから「ここのクロス部分、激しく汚れていますね、ここが汚れていると全て張替えになります。」と言われることもあるでしょう。
しかし、全て張り替えるとなると、30万円弱の大金がかかってしまうことになります。
特に退去費用についての立会いが、大家さん・不動産屋以外の不動産仲介であるときには注意が必要です。
不動産仲介業者の場合、リフォーム代から退去費用マージンを請求する場合があるので、その分料金が高くなってしまうことがあるのです。
そもそも、クロスなどは誰も入居していなくても劣化していくものであり、減価償却の対象になっているものです。
同じ物件に何年か住んでいる場合は、クロスの価値も年数に比例して下がってきます。
・「原状回復」という言葉に気をつけましょう
賃貸物件の退去費用の際に、よく聞かれる言葉に「原状回復」があります。
しかし原状回復といっても、本当にそのまま原状回復までのリフォームが必要なのかどうか、それは大家さんの意見なのか、大家さんがどう言っているのかなどはきちんと確認する必要があります。
1人で立ち会う場合は、相手の同意を取って、動画撮影や音声録音をさせてもらうこともおすすめします。
4. 3DK賃貸の退去費用相場とトラブルにあった時の解決方法
基本的に賃貸の原状回復にかかる費用は、借主が普通に暮らしていた場合、貸主(大家さん)が負担することになっています。
しかし、貸主が借主に法外な請求をするなど、退去費用でトラブルになることがあります。
賃貸住宅の退去費用に関わる敷金や原状回復などのトラブル相談は、国民生活センターに毎年13,000件以上も寄せられているのです。
実際、3DKのクロス張替え代金だけでもかなりの金額になってしまいますが、ハウスクリーニング代や鍵の取り替えなど細々と請求された場合、入居前に敷金を支払っていたとしても、かなりオーバーしてしまうでしょう。
なお賃貸の退去費用で、問題となることが多いのが、原状回復についてです。
原状回復とは退去時に、入居時の状態に部屋を戻すことですが、「入居時の状態」がどういう状態なのかについてや、単に年数が経ったことによる汚れなのかどうかについてなど、借主と貸主で認識にズレがあることがあります。
物件の「経年劣化」に関しては、2年住んだ場合も10年住んだ場合も、退去費用を支払う必要はありません。
ただし、故意に壁に穴を開けた、タバコの火でカーペットを焦がしてしまった、壁紙を破ってしまったなど自分の過失で損傷した場合は、その部分の修理代金を支払う義務があります。
しかし、通常の範囲で暮らしていて付着した汚れやシミ、エアコンや冷蔵庫を取り外した後の日焼けなどは、経年劣化の範疇になります。
5. まとめ
以上、3DKの賃貸マンションやアパートに住んでいる場合の、クロス張替え料金や退去費用について詳しくご説明しました。
新しく部屋を借りる場合は、物件を契約する前に「賃貸借契約書」をしっかり見ておきましょう。
また賃貸借契約書には、「原状回復のガイドライン」もしっかり書かれているだけでなく、退去の際にすること、支払うべき事柄についての詳細も記されています。
不当な退去費用を請求されることがないように、借主側もしっかり気をつけておきましょう。




